つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

取捨選択の自由

少し前にツイッター上である記事の情報が流れてきた。
ここ数年乱発しているフィギュア雑誌に蹂躙され老舗雑誌が追い込まれている状況を嘆いたものだった。更にはそれに群がる購入者へ見る目を持てと苦言を呈した内容だった。
読み終わったときに頭を抱えた。あきれたというより末期的だと感じたからだ。
文中にフリーの編集者N氏という人物が登場する。この手の記事は実名でない限り本当に存在するかはわからない。ただ似たようなことを言う関係者はいたのだろうと想像はできる。しかしそれを口にする意味をその人たちは理解しているのだろうかと疑問に思う。その言葉を突き詰めて考えれば「私たちは無能です!」と宣言しているのと同じだということを。
 
私は学生時代文芸部に所属していた。毎月1冊部誌をさらに年1回文化祭に合わせて文芸誌を発行することが主な活動だった。
毎月の部誌はB4のわら半紙に印刷機で印刷し2つ折りにしてスーパーホッチキスで留めた簡易なもの。(今の子供たちはわら半紙って知っているのだろうか?)
当時はパソコンもないワープロ時代。印刷機も今のようなものではなく大型のガチャコンガチャコン音のうるさいよくズレる手間のかかる代物だった。印刷した紙を部員総出で美しく2つ折りにして(この美しく2つ折りすることに非常にこだわりがあった)大型の机に並べ皆でぐるぐる回りながら本にしていく。結構労力がかかるそれでいて楽しい作業だった。
 
一方文化祭用に発行する雑誌は外部で印刷製本される。当時はまだ個人による自費出版はあまりなかった時代である。コミケもあることはあったがかなりマイナーな時代だ。印刷業者に頼むというのはかなりのコストのかかるものだった。
 
ところで本を作るときに一番大変な作業は何だと思いますか?
 
文章を書くこと?編集構成をすること?見本刷りから校正修正していくこと?
 
それぞれなかなか労力がいることだが、本好きならば案外楽しんで出来る作業だったりする。筆が進まないことも思い通りな形にならない悩みで落ち込んだりもするが最初からわかって始めていることなのでそこまで大変だとは感じない。
 
実は文芸誌制作に一番大変なのは作るための資金を用意することだった。
 
生徒会からもらう部費は毎月の部誌の紙代を賄う(それでも使いすぎて時々怒られました・・・)ことが精一杯だったので外部委託する資金は自分たちで稼がなければならないわけだ。バイトすることも出来ない私たちに出来ることはただ一つ「広告を集める」こと。地元の店舗や知り合い・親戚のつてなどに雑誌に広告を載せてくれるよう1件1件お願いに回るのだ。これは体力的にも精神的にも非常につらい作業だった。
1ページで1万円、半分で5千円、4分割で3千円、6分割で千円という設定で30万から40万かかる製本代を捻出しなくてはならない。千円がだいたい80%、3千円が15%と言った比率だったから少なくとも40件以上集める必要があった。当然断られることも多いのでものすごくしんどく毎年その時期気鬱だった。中にはお金は出してくれるもののデザインやコピーなどはそちらで作ってと言われるケースもありそういった労力も別に必要だったりもした。
 
その次に大変な作業はその作った本を「売る」という作業。
文化祭2日間の間に取り置き分以外の冊数を売りさばかなくてはならなかった。一応文芸部の研究発表をするブースもあるがそこだけで売り切れるはずも無く、部員が交代で校内を歩き回り生徒や父兄・来場者に売って回る。結果的に文芸部員は期間中誰よりも校内を歩きながら文化祭の内容を全く知らないまま卒業することになるのだ。

今となっては良い思い出だが当時はなかなかしんどかった。ただお金を貰うと言うことと物を売ると言うことが非常に大変であることを知った経験は大きかったと後から思ったのだった。
 
私は結構長くフィギュアスケートのファンをやっている。子供の頃から本は好きだったが育ったのは本屋も無い田舎町(メジャーな雑誌などは文房具店で売ってた)でフィギュアスケートの雑誌があることも大学生になるまで知らなかった。といってもバイトで生活費を稼ぐ苦学生だったので高価なフィギュア雑誌が買えるはずも無く本屋でぺらぺら流し読みするくらいだった。
社会に出て正社員になり安定的に給与が得られるようになって初めて購入することが出来た。以来10数年、フィギュア雑誌の中で老舗と言われるワールド・フィギュアスケートを年に何回か購入してきた。外国人選手好きの私にはこれが一番情報があったためだ。本棚や押し入れを探せば30冊以上は出てくるのではないかと思う。

ソチ五輪の少し前日本男子選手中心の雑誌が出たときはとても驚いた。それまでは五輪後に突発本が出ることがあっても多くが女子選手中心だったからだ。せっかく出たのだからと購入したが、30代後半(当時)のおばさんはあまりのゆづゆづしさにくらくらしてしまった。ただこういうものでもフィギュア雑誌が出てくれたことは喜ばしかったのでその後も継続して購入した。そしてソチ五輪で羽生が五輪王者になるとそういう雑誌が爆発的に増加したのだ。
当初はどんな形でもファンが増えると良いと思いせっせと幅広く購入していたのだが、翌シーズン終了した頃には力尽きた。なんというか・・・色々大変だったのだ。
 
1.増えすぎて管理できない。置き場が無くなる。
大きさがA4版が多くかさばること。写真がメインのため紙質が良い場合が多く重ねると重量がとんでもないことになること。更に羽生が表紙の場合が多く、また各社似たような物をチョイスするので同じ雑誌を2冊購入してしまうミスを何度も犯してしまったことなど多すぎて管理できなくなった。
 
2.写真がメインで読むところがほとんど無い雑誌が多かった。
動画や録画で演技を見返すことは割と良くあるが、静止画には全く興味が無い。絵を描く趣味も無いためパラ見して重ねるだけというものが多かった。
 
3.財布がきつい
2000円前後といった高価な雑誌が多いため購入額が半端ない金額となってしまい色々支障を来した。
 
4.間違いが多い
単純な誤植レベルの物は数知れず。特に多かったのは写真と個人名が合ってないというケース、外国人選手はまだわからないこともないが日本選手でも間違っているケースがありあきれてしまった。
一番笑ったのは2・3・4回転ジャンプの基礎点を纏めた表で回転数表記が全部1回転少ない物を見つけたとき。でもその時はこれで女子の計算したら何点になるだろう、とうきうき計算して楽しんだ覚えはある。読む物が少ない分雑誌内で誤植を探すことが楽しみになっていた時期もあった。
まぁ笑えるとか単純な誤植はまだいいですが、許せないのはライターがルールを理解せずに文章を書いているケース。素人に書かせているのかと確認したら何度か記事を読んだことがある名前だったりしてがっかりしたことが1度や2度では無かった。
長年フィギュア雑誌を手がけているライターが過去について書いてある文章の内容が間違っているケースも良くある。時系列が違っていたり会場や年度が違うというのはまだましで違う試合の内容を混ぜて書かれていたりきちんとデータ管理もされていないのかと腹立たしく思った物だった。
 
そんなこんなでこれだけ雑誌が出ていれば当面フィギュア雑誌が無くなることは無いだろう、私が買い支える必要はないと翌シーズンからは厳選して購入することにしたのだった
その結果それ以降購入する雑誌は激減した。2季前はそれでもシーズン中15冊ほど購入したが昨季は10冊を割り今シーズンは結果的に5冊しか買わなかった。
そして雑誌を選択しだしたのは私だけでは無かったようで昨季辺りからすぐ売れる雑誌とそうで無い雑誌が別れてきた印象だ。本屋の店頭でも残っている雑誌はいつも同じタイトルになってきている。

そんな状況下の現在、冒頭のような記事を書かれたのは売れない部類の中に老舗雑誌が数多く含まれていると思われる。ただそれはそれで仕方ないだろうと思う。何しろ今季私は1冊もそういった「老舗雑誌」を購入していないからだ。
 
全部では無いが長年ワールド・フィギュアスケートを購入してきた。特にソチオリンピックの前後はほぼ全て購入していた覚えがある。しかし昨季は2冊、今季は結局1冊も買わなかった。

買わない理由は特にない。強いて言うなら買って読む必要は無いと感じたからだ。
基本的にこの雑誌の内容はマンネリ。試合内容のまとめと選手のインタビュー中心。ときどき振り付け師やコーチのインタビュー、アイスショーの特集などがある位。振り付け師やコーチのインタビューも纏めて読める利点はあっても有名どころなので他の雑誌やネット上の情報で見る機会はあるのだ。この雑誌でなくてはならないというのは価値を今では見いだせなくなっている。
 
許可をとらない非正規な雑誌が正規の雑誌を蹂躙したと記事に書かれているが、きちんと選手や関係者に向き合う機会があるのに写真載せるだけの手抜き雑誌に負けるということは結局は手抜き雑誌以下の内容だと判断されていると言うことだろう。時代に合っていない、ニーズを読めていない、一方で老舗ブランドを維持するような高尚な記事もかけていないということ。
選手やコーチに聞く質問も真新しい物は無い、他の媒体でも得られる情報の焼き直しに過ぎない内容を数千円を出して購入しろというのは消費者を馬鹿にした行為だと思わないのだろうか?非常に不快に感じてくる。
 
関係者に接することが出来る老舗ならばいくらでも出来ることがあるはずだ。例えば何かの大会特集だったらその試合での各エレメンツの高得点要素を取り上げてどこが優れているのかどう評価されているのか分析や解説してみてもいいだろう。できれば判断したジャッジ自身に聞ければ良いが無理ならばジャッジ資格者でも構わない。ついでに今後試合を見るときはどこに注目すべきかジャッジ視点を明確に説明してくれたらありがたかったりする。そういう行為は非正規本には決してできない行為だ。なぜコネや人脈があるのにそういう発想がないのだろう。
例をあげるとするとボーヤンのワールドFS冒頭の4Lz特集なんてどうだろう。私が見た中での過去最高の出来の4Lzだったと思うし、高いGOEもついた。離氷スピードがどの位で飛んだ高さと幅がどの位で着氷後の流れがどの位だったのか数字で見せてくれたらすごくありがたいと思う。今季の他の4Lzと比べてどこが良かったのかあるいは昨季のボーヤンと比較してみるのも面白いのではと4Lz一つとってもいろいろ企画アイデアが生み出せる。

老舗の雑誌というのはそのスポーツの素晴らしさ、面白さを広める物だろう。この技術がどれだけ高度な物なのかとか不明瞭になりがちの採点がどう行われているのかを伝えたり、毎年変更されるルールがどう変わったのか、何故変わったのか、それによって選手にどう影響が出るのか、プラス面マイナス面併せてわかりやすく解説し理解を深めようとするものではないだろうか。
聞いた内容をただ垂れ流したりライターの作ったシナリオに試合内容を纏める物では無いはずだ。しかし現状はライター個人の思い込みや好みや感性をまき散らす場になっているのではないだろうか。

人気選手ばかり取り上げる傾向を揶揄するのならば老舗こそその他の選手の素晴らしさや可能性、今現在の実力を「客観的に」特集すれば良いはずだ。それが優れた内容であるならな人気選手以外のファンは購入したいと思うだろう。何故自らそれをしないで購入者を責めるのか全く理解できない。
やっていて売れないというのならそれはライターや編集者の能力が低いだけの話。「客観的」でなかったり曖昧な自己満足の文章を垂れ流すだけでは共感や理解ができるはずがない。結果的に値段に見合わないと見切られていくのだ。
学生時代の私たちでさえ規定冊数売り切るために見合う単価を自分たちで設定し販売した。学生が作った本での売り上げで印刷経費すべてが賄えるはずのないことはわかっていたから毎年赤字にならないよう広告料を必死で集めたのだ。
設定価格に見合う雑誌が作れていないのに別雑誌を購入する消費者に見る目がないなどよく言えたものだ。それより自分たちの力量を過分に想定している現状や購入者に対する思い上がり・傲慢な目線を改めるべきだと思う。
良い雑誌を選び購入したいというのは購入者の自由と権利だ。「買わない」という選択に売る側が文句をつけるいわれはない。
 
実は私がワールド・フィギュアスケートを購入しなくなったことには一つのきっかけがある。2季前のシーズン中のことが発端だった。
この雑誌にはT氏という割とフィギュア関係でよく見かけるライターが良く記事を書いている。かなり色んな媒体で見かける人物なのでこの人の好みや思考の方向性のような物がある程度知識として私の中で蓄積されていた。
ある試合をリアルタイムで見た後ふと思った。きっとT氏がこの試合の記事を書いたらこんな感じになるだろうな、と。思ったら少し面白くなったので内容を書き出してみた。切り口はこうでこういう文章でこんな風に纏めるだろう、と6行ほど箇条書きした。そしてしばらくしてT氏のその試合の記事を見つけて私は思わず天を仰いでしまった。そこそこ長い記事だったが切り口も語りも8割は予想通りの内容、特にまとめ方はそのままその通りの文章だった。
おいおい金貰って仕事で書いてるライターが素人に考え読まれるような文章書くなよ・・・と突っ込んでしまっても仕方ないだろう。
 
読んだ文章はワールド・フィギュアスケートの雑誌上ではなかったのだが、これを契機に一気に購入意欲を失ってしまった。貴方の書く文章は読まなくてもわかります、と思ってしまったからだ。
 
自分の考えが正しいと確認するために読むという楽しみも有りと言えばあるのかもしれない。ただ基本本や雑誌という物は新たな知識や認識を得たいと思って読む物では無いだろうか?その試合からしか得られない新たな視点や内情など目にできないことを期待して本を取る。しかし満足できるものでないことが続けば当然読者は離れてゆく。
特にフィギュア雑誌は値段がかなり高めとなっている。そして購入者には老舗だから正規本だからという理由に付加価値など何も感じないのだ。
非正規本といっても写真は正規のルートで購入しているしとってもいないインタビューをねつ造しているわけでも無い。私は買わないが綺麗な写真が見たいと言うだけならそれを購入することをとがめられないだろう。少なくとも写真購入代金分はスケート連盟の懐を潤しているし売れればそれなりの貢献にはなる。それを読者を奪われたなどと逆恨みするのは間違いだろう。
要するに今の状況は老舗の編集者やライターがしている仕事がそんな「手抜き本」以下の価値だと判断されているだけだ。苦言を呈する前に自分たちの怠慢・怠惰を恥じることがまず先だろう。
 老舗の看板を立てに吠えるより先に冊数が出る本を作るか、数は出なくても純粋なファンを納得させるような読み応えある雑誌にするかしっかりとした方針を立てそれに合った社内改革をするべきだ。それができないまま今まで通りの古い考えに固執した時代の見えないお抱えライターと緩い関係を結んだ人々の間だけのうちわネタ的な雑誌を作っていくというのならばそれはそれでいい。結局フィギュアスケートという競技や選手を愛しているわけでも理解しているわけでもない、自己満足の雑誌を作りたいというだけなのだから廃れても本望だろう。
 そうでないのならば「現在」のフィギュアスケートの魅力を愛する人々による改革と刷新し他には作れない雑誌にしていかなければならない。しかしあのような記事が出るということは関係者間で全く問題の本質が見えていないのだなと感じられて思いやられる。
 
過去は過去で賛美すればいい。だが今は今の魅力を客観的に多様性をもって伝えられなければ「雑誌」という形はいずれなくなっていくのだろう。
 ネット情報時代だ。多種多様な情報があふれていて自由に得られるものが数多く存在する。知りたければ外国の記事でもいくらでも読むことができる。そういう時代の中で売れないものが市場から淘汰されるのは自然の摂理。他者を責めるばかりで身を切るような努力を何もしていかなければいずれ消えていくだけなのだと私は思っている。
 

フィギュアへの愛を滑る―――ジェイソン・ブラウン

4回転さえ飛べればトップ選手とシニアに上がった頃から言われていた。昨季は怪我で後半シーズンを棒に振ったが、今季冒頭から4回転をSPFSとも投入してきた。
残念ながら一度も成功することは無く怪我まで負ってしまい心配されたが、全米選手権の頃から4回転を抜いて復帰した。結果的にその方が成績的には安定しアメリカに3枠をもたらすことになった。
 

ロンバルディアT   総合2位 256.49 SP2位 81.58 FS1位 174.91
USインターナショナル   総合1位 254.04 SP2位 83.18 FS1位 170.86
Sアメリカ   総合2位 268.38 SP3位 85.75 FS2位 182.63
NHK杯    総合7位 218.47 SP8位 74.33 FS7位 144.14
四大陸選手権  総合6位 245.85 SP9位 80.77 FS6位 165.08
世界選手権   総合7位 269.57 SP8位 93.10 FS7位 176.47 
国別対抗戦           273.67 SP5位 94.32 FS6位 179.35
平均       総合  255.21  SP平均 84.719 FS平均  170.491
 
SアメリカでFS,国別でSPと総合のPBを出した。FSはともかく4回転を抜いてPBが出たことには何とも言いようがない。4回転無しで90点代半ばが出せるのはブラウン位だが昨季同じ演技をして出せたかというと微妙な印象だ。ジャンプ偏重にならないようにしたい思惑もあってこそのブラウンの数字が見えてくるからだ。しかし結局のところ基礎点を上げなければこれ以上の伸びはない。4回転を入れて同レベルの演技が出来るか、来季が正念場なのかもしれない。
そしてその為の3枠を無事に確保できたことは非常に良かったと言えるだろう。
 
<ジャンプ>
SP  
         
         基礎点     GOE  減点    合計
ロンバルディアT   23.36  -0.64 -1   21.72  
USインターナショナル   27.06  -1.88 -1   24.18
Sアメリカ   30.13  -1.00 -1   28.13
NHK杯    20.83  -3.50  0   17.33
四大陸選手権  22.72  -1.90 -1   19.82
世界選手権   24.70   4.50  0   29.20
国別対抗戦   24.70   4.66  0   29.36
平均     24.786 -0.034 -0.571 24.249  
 
4回転を入れない方が点数が高いのはブラウンの4回転がほとんど回転不足になってしまうからだ。それに転倒がつき減点を合わせると3回転+GOEの方が上回ってしまう。
ただSPに関してはまだこの戦法は有効かもしれない。最終グループは無理だろうがその前であれば90点以上であれば十分入れる。ブラウンの完成度ならばSPはまだその戦法でも良いかもしれない。
4回転は今季成功できなかったが3Aについては向上が見られた。昨季までは回転がぎりぎりでそれ故の着氷のいまいちもあったりしたが少なくともワールドと国別の3Aはしっかり回りきって余裕を持って着氷が出来ていた。上半身がシャープになったというか多少ゆるめだった軸が細くなった感じがする。4回転を練習した成果がもしかしたら生かされているのかもしれない。

 
FS 
        
         基礎点     GOE  減点    合計
ロンバルディアT   64.21   1.50 -1   64.71 
USインターナショナル   60.44   2.40 -1   61.84
Sアメリカ   65.54   4.57  0   70.11  
NHK杯    49.09  -7.84 -1   40.25
四大陸選手権  53.94   2.25  0   56.19
世界選手権   61.61   3.38 -1   63.99
国別対抗戦   55.48   8.12  0   63.60
平均     58.616  2.054 -0.571 60.099
 
ブラウンの今季のFSの問題は4回転では無く3Loだと思う。こんなに苦手だったっけ?と思わず以前をさかのぼってしまった。確かに得意ではなさげな飛び方だけどここまでミスが出るものでも無かった。ただ昨季や2季前はこれほど終盤に飛んでいなかった。あまり得意ではないのならば羽生の3Fのように早めに飛んでミスを少なくするという戦法でも良いのではと感じる。
構成で弱いため後半6ジャンプ、しかもあまり連続にならないように組み込んでいるが、ジャンプが終わるまでコレオ以外基本左回り(それもだんだん円が小さくなってくる)というのは単調だと感じる。足下は色々入れているが同じ方向へ動くだけというのは意外性というか幅が狭い印象になるので改善を求めたい。
 
<スピン>
SP
        基礎点   GOE     合計
ロンバルディアT   9.7  3.10  12.80  ALLレベル4
USインターナショナル   9.3  2.30  11.60  レベル4 2回 レベル3 1回
Sアメリカ   6.5  1.79   8.29  レベル4 2回 ノーカン  1回
NHK杯    8.3  1.58   9.88  レベル4 1回 レベル3 2回
四大陸選手権  9.7  2.65  12.35  ALLレベル4
世界選手権   9.7  3.50  13.20  ALLレベル4
国別対抗戦   9.7  3.57  13.27  ALLレベル4
平均    8.986 2.641 11.627
 
スピンは最もブラウンの稼ぎどころだがやはり怪我をしていると大変な要素なのだなと思う数字。NHKは軸がゆがんだりズレたりしていた。
そしてスケアメのキャメルで足をとれずにノーカンになってしまったことが平均を大きく下げることになった。ただそれ以外の試合のGOEは素晴らしい。出来ればスピンオール満点を狙ってほしい。

FS
        基礎点   GOE    合計
ロンバルディアT  10.2  3.60  13.80  ALLレベル4
USインターナショナル  10.2  3.20  13.40  ALLレベル4
Sアメリカ   9.7  3.50  13.20  レベル4 2回 レベル3 1回
NHK杯   10.2  2.92  13.12  ALLレベル4
四大陸選手権 10.2  3.57  13.77  ALLレベル4
世界選手権  10.2  3.78  13.98  ALLレベル4
国別対抗戦   9.7  4.07  13.77  ALLレベル4 V付き
平均   10.057  3.52 13.577
 
4.50満点の平均3.52というのは素晴らしい!SPではいまいちだったNHKもFSはしっかり得点を確保している。
もったいないのは国別、レベルは確保したものの姿勢不足で基礎点を落としてしまった。それでも4点超えというGOEは素晴らしいのですがトータル14点超えが見られなかったことが残念でならない。
 
 
<ステップ>
SP
        基礎点   GOE   合計
ロンバルディアT   3.9  1.96  5.86  レベル4
USインターナショナル   3.9  1.40  5.30  レベル4
Sアメリカ   3.9  2.00  5.90  レベル4
NHK杯    3.3  1.29  4.59  レベル3
四大陸選手権  3.9  1.70  5.60  レベル4
世界選手権   3.9  1.70  5.60  レベル4
国別対抗戦   3.9  1.90  5.80  レベル4
平均    3.814 1.707 5.521
 
凄い数字、フェルナンデスには負けるけどチャンより上という。GOE平均はチャンの方が高いんだけどレベル4の確保数で上になるという。やはりステップはレベルが大事。
ブラウンのステップは上下のメリハリが大きく印象に残るというところがGOEの高さにつながっていると感じる。レベルをここでとっているよと非常にわかりやすく見せてくれるありがたい選手でもある。
 
FS
        基礎点  GOE    合計
ロンバルディアT   5.9  3.50  9.40  レベル4
USインターナショナル   5.9  3.22  9.12  レベル4 
Sアメリカ   5.9  3.40  9.30  レベル4
NHK杯    5.3  2.77  8.07  レベル3
四大陸選手権  5.9  3.50  9.40  レベル4
世界選手権   5.9  3.40  9.30  レベル4
国別対抗戦   5.9  4.00  9.90  レベル4
平均    5.814 3.399 9.213
 
FSはSPと逆でチャンには負けるがフェルナンデスよりは上という結果。チャンとは基礎点は同じだったので体調が悪かったNHK杯の点が足を引っ張った形だ。
ただそれ以外すべて3点以上というGOEは素晴らしい。チャンにとってステップは「滑りの良さ」、フェルナンデスは「表現」だがブラウンは「魅せる」ということで評価を受けているという感じだ。
 
<TES計>
SP  
        基礎点   GOE  減点    合計
ロンバルディアT  36.96  4.42 -1   40.38 
USインターナショナル  40.26  1.82 -1   41.08
Sアメリカ  40.53  2.79 -1   42.32
NHK杯   32.43 -0.63 -1   30.80
四大陸選手権 36.32  2.45  0   38.77
世界選手権  38.30  9.70  0   48.00
国別対抗戦  38.30 10.13  0   48.43
平均    37.586 4.382 -0.571 41.397
 
TES平均40以上というのは少し前ならかなりいい点数だった。基礎点の急激な伸びによってこの数字が平凡に見えてしまうのが怖い。
前半4回転チャレンジがあったため転倒していることがやはり痛い。転倒はPCSにも響くので4回転チャレンジするにしてもせめてステップアウト程度に収められないと出遅れてしまう。
それでもスピンステップで稼げるということは大きいと感じる数字だ。
 
 
FS
         基礎点    GOE  減点     合計
ロンバルディアT   80.31  8.60 -1    87.91
USインターナショナル   76.54  8.82 -1    84.36  
Sアメリカ   81.14 11.47  0    92.61
NHK杯    64.59 -2.15 -1    61.44
四大陸選手権  70.04  9.32  0    79.36
世界選手権   77.71 10.56 -1    87.27
国別対抗戦   71.08 16.19  0    87.27
平均     74.487 8.973 -0.571  82.889 
 
NHK杯が大きく平均を下げてしまった。やはり基礎点を大きく下げるミスは痛い。ただ怪我の影響もあった中での結果なのでそれ以外では80点台半ばで落ち着く。
トップは100点110点の時代なので構成を上げなくては太刀打ちできないが、3Loの抜けなどなくし安定的にTES90超え出来ればGPSなどでは表彰台に届くだろう。とりあえず飛べるジャンプは確実に飛ぶことが大事なので構成だけでなく配置などにも工夫をしたい。
 
<PCS>
SP
        SS  TR  PE  CC  IN  合計
ロンバルディアT   8.20  8.00  8.35  8.20  8.45  41.20
USインターナショナル   8.40  8.35  8.30  8.45  8.60  42.10
Sアメリカ   8.50  8.57  8.71  8.79  8.86  43.43
NHK杯    8.36  8.54  8.21  8.71  8.71  42.53
四大陸選手権  8.50  8.50  8.57  8.64  8.79  43.00
世界選手権   8.96  8.96  9.07  9.00  9.11  45.10
国別対抗戦   8.96  9.04  9.32  9.18  9.39  45.89
平均       8.554  8.566      8.647    8.71   8.844   43.321
 
シーズンを通して着実に上げていったと感じる出来。4回転無しで45超えは凄いと思う。若手がなまじBVにこだわるので質の良さを評価したいジャッジの思惑もあるのだろうか。
CCやINが高いのは一瞬の静寂から音が大きくなる瞬間のバレエジャンプなど静かな曲ながら非常にインパクトのある振付を優雅に滑ったことを評価されたのだろう。
そして相変わらずSSより高いTRはトップ選手ではブラウンだけ。

FS
        SS  TR  PE  CC  IN  合計
ロンバルディアT   8.35  8.60  8.85  8.80  8.90  87.00 
USインターナショナル   8.35  8.55  8.75  8.85  8.75  86.50
Sアメリカ   8.89  8.79  9.11  9.04  9.18  90.02
NHK杯    8.07  8.39  8.00  8.43  8.46  82.70  
四大陸選手権  8.43  8.43  8.64  8.61  8.75  85.72
世界選手権   8.89  8.71  9.07  8.86  9.07  89.20
国別対抗戦   9.07  9.04  9.11  9.32  9.50  92.08
平均       8.579  8.644  8.79   8.844   8.944   87.603
 
FSでも後半2項目が高くSSよりTRが高いのも変わりない。ただSPに比べると後半の左周回の多さが私には評価できない。同一円上でジャンプを飛び続けているという印象が強いからだ。ジャンプが固まらないように分散した結果長い時間をその行為に費やしているように見える。これは振付というか構成の問題かもしれないがもう少し右回りや方向転換をしてほしい。ネイサンやボーヤンよりも気になった。
スパイラルの美しさ、足の上がりの気持ちよさは素晴らしい、本当にラインの綺麗な選手だと思う。その中で私が一番好きなのは両腕を広げ胸を張ったラインだったりする。NHK杯の時はその辺りがきちっとしてなくて本当に体調が悪いんだなと感じた。怪我には気を付けて来季も素晴らしいプログラムを滑って欲しい。
 

<来季に向けて>
NHK杯の時怪我して体調が悪いことを聞いて心配していたが後半シーズンには回復してくれてうれしかった。昨季もケガで後半棒に振ったので来季は体調万全で過ごせるように気を付けて欲しい。
4回転についてはまだ微妙という感じだが今季後半3Aとコンボのセカンドで進化が見られたのでうまく感覚がつかめたらいけるかもという期待はある。飛びすぎには気を付けて頑張って欲しい。
SPFSとも今季は割と似た印象の曲だったので来季はもう少し違った感じになることを期待する。クラッシックとドラマティックプロだったりしたらうれしい。
解くとモコモコのあの髪がどうしてきれいなお団子になるのかすごく不思議だがすっきりしてかなり好きだった。女子もだがポニーテールって顔に当たったり汗で首筋に張り付いたりしてあんまり好きじゃないので来季もぜひお団子でお願いしたい。

雑記

GWも最終日となりました。月曜日からの勤務を考えると気鬱になってきます。そしてフィギュアシーズンも終わり7月の新シーズン開始まではブログの方も放置期間に入ることでしょう。辺境ブログを見てくださった方々、色々ありがとうございました。

アイスショーのチケット今年も取り損ねました・・・手取り20万無い貧乏事務員としてはイベントごとの参加は1月に1度と決めています。5月7月8月は既に他が入り込んでいましてアイスショーが見たければ6月しかなかったのですが「良席で」という条件のもとプレミアムかSSしか狙わないため今シーズンも「お席がご用意できませんでした」のオンパレードとなりました。想定内のことですのでもう落ち込みはしませんが自分の籤運の無さを実感します。
 
ぼちぼち書いてきたシーズンまとめもあとはブラウンと羽生くらいで終わろうかなと思っています。時間的&心情的な余裕があったらいいんですけど個人的になかなかこの5月から8月っていうのは難しい時期なんですよ。
 
来季が五輪ということで選手情報も早めに発信されているようです。持ち越しについては案外早めに出てくるものですがそうじゃない人たちも新プロの情報が出てきます。一つ言えるのは来季はララランドが多そうだということ。ミュージカル物は使いやすい曲が多いし世界的な話題作なので五輪という舞台に向けてはアピールしやすいという利点もあるのでしょう。
宇野は「冬」と「トゥーランドット」、田中はFS持ち越しのSPスカリ、無良はチャーリーとスカリということが判明してます。
そしてフェルナンデスはSPは過去に使ったものを利用しFSはスペインの音楽というか登場人物がモチーフ(しかし伝統的な作品ではない)ということ。SPはチャップリンかな。FSはゾロとかドン・キホーテとか?でもドン・キホーテだと伝統的になるから違うか?まだはっきりしませんがおそらくフェルナンデスらしい作品になるのでしょう。新境地というよりは「五輪」を意識した妥当な選曲になるかと思います。なんになるにせよお披露目が楽しみです。

各地でアイスショーが開かれていますのでEXとか新作も見発表されている模様、いいな・・・見たいけどチケット取引サイト利用してまでは行きたくないので今年は諦めます。日本のアイスショーは高額化していますが世界的には集客が困難になっているようです。今は面白い興行がたくさんあるのでただ持ちプロを淡々と実行するだけでは興味をそそられないのでしょう。フィギュアスケートというスポーツもある意味での曲がり角に来ていますがショーなどについても見直す時期に来ているのかもしれません。特に引退した選手たちの受け皿になるようなイベントや興行が必要な気がします。日本という極地だけで盛り上がっても先細りするだけ。まだ集客できている日本も特定選手に便乗している実態があるので不安要素は満載です。
来年の五輪が終わると引退する選手が多く出るでしょう。新たな若い選手達がそれ以上に盛り上げることができるのか、スポーツとしてさらなる進化ができるのか、資金の必要なスポーツだけになかなか心配な現状です。
 

それでも旅は続く―――パトリック・チャン

2014-15シーズンに休養して翌シーズンから戻ってきたときにおそらくここまでの高難度化は予想していなかったと思われる。ボーヤンの登場はセンセーショナルではあったがジャンプ以外の部分は弱かったのでまだそれ程の脅威は無かったはずだ。
しかしながらネイサンを身近で認識し羽生が更に構成を上げてきていることからソチシーズンでも行わなかった構成上げを敢行した。昨季後半から3Aを2回にし今季は4Sを投入してきた。おそらく来季にはSPも2クワドにしてくるだろう。
年齢がフィギュア選手の中では高いチャンにとってなかなか体力的に難しい部分ではあるが更に進化しようとする姿勢は評価したい。この高難度時代にあるからこそそのスケーティングの良さはもっと評価されるべきだと思うからだ。
 
フィンランディアT   総合2位 248.73 SP3位 84.59 FS2位 164.14
Sカナダ    総合1位 266.95 SP1位 90.56 FS2位 176.39
中 国 杯   総合1位 279.72 SP3位 83.41 FS1位 196.31
G P F   総合5位 266.75 SP2位 99.76 FS5位 166.99
四大陸選手権  総合4位 267.98 SP5位 88.46 FS4位 179.52
世界選手権   総合5位 295.16 SP3位 102.13 FS5位 193.03 
国別対抗戦          276.47 SP6位 85.73 FS3位 190.74
平均       総合    271.68 SP平均  90.663 FS平均  181.017
 
平均してしまうと1試合平均7クワドのネイサンと4クワドのチャンの獲得点が8点ほどしか無いという面白い数字マジックが見れる。これだけ見ると下手に4回転増やさなくても良いかもと思ってしまうが、多種4回転はネイサンだけでは無いのでやはり良いときのGOE差で埋められる程度の構成にしておきたくなる。
昨シーズンはSPで出遅れてFSで盛り返すという試合が多かったが今季はSPを纏めPBも出せた。FS高難度構成になるとやはり体力的に厳しそうなので来季上位をキープするためにはやはりSPで上位にとどまり滑走順をなるべく後にしてGOEとPCSを出しやすくする必要がある。ただおそらく2種クワドにしてくるためそれが可能かは現時点では未知数だ。
 

<ジャンプ>
SP  4T+3T 3A // 3Lz =29.70
         
         基礎点      GOE   減点    合計
フィンランディアT   30.13   -6.10  -1   23.03  
Sカナダ    29.70   -0.70  -1   28.00
中 国 杯   23.10   -1.60   0   21.50
G P F   29.70    4.54   0   34.24
四大陸選手権  27.83   -3.11  -1   23.72
世界選手権   29.70    5.83   0   35.53
国別対抗戦   25.49   -2.94  -1   21.55
平均      27.95  -0.583 -0.571  26.796 
 
今季は昨季のような3Lz抜けは無くその分ある程度は確実に基礎点を稼いだ。ただそれ程高難度では無い割に半分転倒があるというのは今の状況では厳しい。
4Tが4S練習の影響からか割とミスが出たのが基礎点を下回ってしまった大きな原因。そして3A、決まると綺麗なんだけど確実というわけでは無いのがやはり不安要素となっている。

 
FS 
        
         基礎点     GOE  減点    合計
フィンランディアT   56.42  -0.66 -1   54.76 
Sカナダ    61.10   3.14 -1   63.24
中 国 杯   77.16   6.59 -1   82.75  
G P F   62.03  -4.09 -4   53.94
四大陸選手権  70.53  -3.10 -2   65.43
世界選手権   72.05   5.29  0   77.34
国別対抗戦   67.04   6.10  0   73.14
平均     66.619  1.896 -1.286 67.229
 
成功ジャンプにはGOEがつきやすいが、転倒が多いとなかなか点数は伸びない。
今季から投入した4SはGPF以降はかなりの確率で入れることが出来た。決まればGOEが付くので大きな武器になる。一方で昨季から継続して後半の4回転の成功率が低い。3Aもなかなか2本ともクリーンに決められないのが現状だ。無理に前半3後半5にせずにネイサンのように前半ジャンプ多め後半滑りで見せる方式にしても良いのではと思う。少なくともネイサンよりは滑りに見応えがある分評価はされやすいと思う。
 

<スピン>
SP
        基礎点   GOE     合計
フィンランディアT   9.3  2.92  12.22  レベル4 2回 レベル3 1回
Sカナダ    9.2  3.13  12.33  レベル4 2回 レベル3 1回
中 国 杯   9.7  3.21  12.91  ALLレベル4
G P F   9.3  3.42  12.72  レベル4 2回 レベル3 1回
四大陸選手権  9.7  3.28  12.98  ALLレベル4
世界選手権   9.3  3.28  12.58  レベル4 2回 レベル3 1回
国別対抗戦   9.7  3.00  12.70  ALLレベル4
平均    9.457 3.177 12.634
 
計算していて感心したのがスピン。稼ぎどころであることはわかっていたがここまで良かったんだと驚いた。これを上回れるのはブラウンと羽生・宇野くらいじゃないのか?
レベルはちょくちょく落としているが、平均12.5以上は素晴らしい数字だ。

FS
        基礎点   GOE    合計
フィンランディアT   9.3  2.84  12.14  レベル4 2回 レベル3 1回
Sカナダ    9.7  2.93  12.63  ALLレベル4
中 国 杯   9.3  3.00  12.30  レベル4 2回 レベル3 1回
G P F   9.3  3.07  12.37  レベル4 2回 レベル3 1回
四大陸選手権  9.3  2.71  12.01  レベル4 2回 レベル3 1回
世界選手権   9.2  2.07  11.27  レベル4 2回 レベル3 1回
国別対抗戦   9.7  2.86  12.56  ALLレベル4
平均      9.4 2.783 12.183
 
FSのスピンも非常に良い得点だ。ただシーズン後半に来てラストのコンビネーションのGOEが低めになった。体力的に厳しかったのだろう。
確実の稼げるポイントなのであと一踏ん張り頑張りたいところだ。
 
 
<ステップ>
SP
        基礎点   GOE   合計
フィンランディアT   3.9  1.52  5.42  レベル4
Sカナダ    3.3  1.43  4.73  レベル3
中 国 杯   3.3  1.21  4.51  レベル3
G P F   3.9  1.80  5.70  レベル4
四大陸選手権  3.9  2.10  6.00  レベル4
世界選手権   3.9  2.10  6.00  レベル4
国別対抗戦   3.9  1.90  5.80  レベル4
平均    3.729 1.723 5.452
 
ステップはチャンの最大の見せ場であるがレベルを落としている分フェルナンデスには及ばなかった・レベルで係数が変わる分GOEも低くなってしまう。
満点の回数はフェルナンデスと同じ2回。フェルナンデスが格好良さとかフラメンコらしい動きを楽しむのに対してチャンは純粋に滑りの気持ちよさを楽しむエレメンツとなっている。チャンの魅力が最も感じられるのがステップだと思う。
 
FS
        基礎点   GOE   合計
フィンランディナT   5.9  3.26  9.16  レベル4
Sカナダ    5.9  3.50  9.40  レベル4 
中 国 杯   5.3  2.96  8.26  レベル3
G P F   5.9  4.00  9.90  レベル4
四大陸選手権  5.9  3.60  9.50  レベル4
世界選手権   5.9  3.60  9.50  レベル4
国別対抗戦   5.9  4.00  9.90  レベル4
平均    5.814  3.56 9.374
 
FSステップはフェルナンデスよりも高くなっている。レベルも中国杯以外は取れている。コレオもStSqも非常に高い。なのでむしろ満点が出なかったことが残念でならない。ステップ合計10点越えを来季期待したい。

<TES計>
SP  
        基礎点   GOE  減点    合計
フィンランディアT  43.33 -1.66 -1   40.67 
Sカナダ   42.20  3.86 -1   45.06
中 国 杯  36.10  2.82  0   38.92
G P F  42.90  9.76  0   52.66
四大陸選手権 41.43  2.27 -1   42.70
世界選手権  42.90 11.21  0   54.11
国別対抗戦  39.09  1.96 -1   40.05
平均    41.136 4.316 -0.571 44.881
 
転倒が半数合ったためどうしてもGOEが伸びなかった。ノーミスであれば世界選手権のようにGOE10点以上稼ぐ質の良さの持ち主なのでジャンプの成功率を上げるようなプログラムを組んだ方が良いのかもしれない。
来季は2種クワドにするようだがもしそうならば3ジャンプ全て前半でも良いかもしれない。ジャンプについては基礎点確保、スピンステップで稼げばチャンならば十分上位にこれると思う。
 
FS
         基礎点    GOE  減点     合計
フィンランディアT   71.62  5.44 -1    76.06
Sカナダ    76.70  9.57 -1    85.27  
中 国 杯   91.76 12.55 -1   103.31
G P F   77.23  2.98 -4    76.21
四大陸選手権  85.73  3.21 -2    86.94
世界選手権   87.15 10.96  0    98.11
国別対抗戦   82.64 12.96  0    95.60
平均     81.833 8.239 -1.286  88.786 
 
ネイサンやボーヤンを見てしまうと基礎点差は大きいなと感じる。PCSで15点差を埋めると言うことは現行のルールではかなり難しくなってきている。構成を上げることを検討したくなる数字だが、現実には転倒とコンボ抜け・REPなどの基礎点減が多かった結果の基の数字でもある。転倒があっても中国杯で100点超えをしているので、無しで纏められれば110程度は出せるということ。
高難度ジャンパー達は羽生を除けばそこまで完璧に点数を出せる訳ではない。実際ボーヤンはノーミスで204点。チャンがTES110点出せれば205以上にはなる。無理な構成上げよりも組んだ構成を完璧に実施することにに徹した方が良いと思う。
 

<PCS>
SP
        SS  TR  PE  CC  IN  合計
フィンランディンT   8.63  8.54  8.33  8.67  8.75  42.92
Sカナダ    9.14  8.93  9.00  9.18  9.25  45.50
中 国 杯   9.07  8.89  8.57  8.89  9.07  44.49
G P F   9.43  9.36  9.46  9.39  9.46  47.10
四大陸選手権  9.18  9.11  8.93  9.25  9.29  45.76
世界選手権   9.71  9.46  9.64  9.57  9.64  48.02
国別対抗戦   9.36  9.21  8.75  9.18  9.18  45.68
平均       9.217  9.071   8.954   9.162  9.234   45.638
 
チャン・フェルナンデス・羽生をPCS3強と呼んでいる。ソチシーズンまではそれでもチャンが一番高かった。しかし休養後チャンと羽生はほとんど変わりなくなり、世界王者になって以降フェルナンデスも同レベルになった。
そして今季はミスると低めに採点されるチャンと羽生に対しフェルナンデスは高値安定傾向となっている。ノーミス同士だった世界選手権でもフェルナンデスの方が高い。SSとTRはチャンが上、後半3項目がフェルナンデスが上というよう特色は分かれているが・・・2クワドの構成の高さとフラメンコという認識されやすい世界の表現が評価されたのだろう。そういう意味では五輪シーズンには王道的なわかりやすい曲の方が有利なのかもしれない。
 
FS
        SS  TR  PE  CC  IN  合計
フィンランディアT   8.83  8.58  8.67  8.96  9.00  88.08 
Sカナダ    9.21  9.00  8.96  9.18  9.21  91.12
中 国 杯   9.36  9.18  9.14  9.36  9.46  93.00
G P F   9.32  9.11  8.57  9.18  9.21  90.78
四大陸選手権  9.25  9.18  9.14  9.29  9.43  92.58
世界選手権   9.57  9.46  9.36  9.57  9.50  94.92
国別対抗戦   9.64  9.43  9.32  9.57  9.61  95.14
平均       9.311   9.134  9.023   9.301  9.346   92.231
 
崩壊したGPFを除いてはシーズン後半に向けて伸びていった印象。ただやはり下限はフェルナンデスより低め。チャンが今季あまりPCSが高くならなかったのはノーミス出来なかったこととFSの構成がトップの中では低めだからという理由もあるかもしれない。実際にはフェルナンデスとはそれ程差はない。だがフェルナンデスは今季欧州といういってみれば地元でしか試合が無かったため多少有利に採点された感じだ。
ジャッジには北米・欧州・アジアと若干好みというか重要視する項目にばらつきがあるので当たる試合によっては多少の有利不利は発生している。出された数字はともかく試合内での序列は変わりないので順位には影響しないがこうして纏めてみるとこの数字である意味をどうとらえて良いのかわからなくなってくる。少なくともTRについてはフェルナンデスがチャンより高い理由がよくわからない。
 

<来季に向けて>
いかに優れたスケーティング技術を持とうとTESを堅実に稼げないと現行ルールでは勝てない。ただチャンの場合五輪団体戦のメダルはほぼ確実に得られるので可能な限りの高構成を確実に実施したい。3A2本の確実性が得られないなら4S4T2本ずつ構成(しかも前半4本構成)でも良いかもしれない。
その一方で無理して構成を上げてバタバタするよりも現行のままそのスケーティングの良さを見せつける方が個性とチャンの存在意義を感じられる気もする。
その為構成を上げるならばジャンプの飛びやすさや位置を検討すべきだし、上げないのならばチャンにしか見せられないような滑りを生かしたものにしたい。できればステップ満点を一度見てみたいのでジャッジが出さざるを得ないような記憶に残るプログラムを組んで欲しい。現役ラストシーズンになるかもしれないのでスピードや滑らかさを堪能できるものであるといいなと思っている。

海賊は高みを目指す―――ネイサン・チェン

ジュニアワールド最有力候補と言われながら骨折のため棄権した。シニア入りが復帰になったが怪我の回復具合を案じるファンを尻目に4Lzと4Fをひっさげて大旋風を巻き起こすという大躍進のシーズンとなった。
4種類の4回転を自由自在に飛ぶ様は見ているものを興奮させた。更にシニア1年目にして四大陸というチャンピオンシップのタイトルをとった。
一躍優勝候補に名を連ねることになったネイサンのシーズンを振り返る。
 
フィンランディアT   総合1位 256.44 SP2位 87.50 FS1位 168.94
フランス杯   総合4位 264.80 SP2位 92.85 FS4位 171.95
NHK杯    総合2位 268.91 SP2位 87.94 FS2位 180.97
G P F   総合2位 282.85 SP5位 85.30 FS1位 197.55
四大陸選手権  総合1位 307.46 SP1位  103.12 FS2位 204.34
世界選手権   総合6位 290.72 SP6位 97.33 FS4位 193.39 
国別対抗戦           284.52 SP2位 99.28 FS4位 185.24
平均       総合   279.386 SP平均  93.331 FS平均 186.054
 
計算してみてあれっと思ったのはそれ程ボーヤンと変わりないなということ。平均で約5点(SP2点FS3点)ほど高いのだが構成そのものはネイサンの方が高いのでこの位ならあまり違いが感じられない。
それでもボーヤンに比べてネイサンの日本での報道が多かったのはやはり4回転を4種類飛ぶというわかりやすさと羽生に勝ったという点につきる。普通の公式戦ではボーヤンも宇野も未だに羽生に勝てていない。一方ネイサンは一緒の試合で戦った中で勝っていない選手はいないというシニア1年目にしてある意味の偉業を成し遂げた。年齢のわりに物おじしない落ち着いた精神力の持ち主だが五輪シーズンでもそれが貫けるか来季は真価が問われそうだ。
ジャンプの質という点ではボーヤンには劣るが種類という点では勝っている。高難度の急進派として来季もひた走る予感がする。怪我には気を付けながら質の向上も図って欲しい。
 
<ジャンプ>
SP  4Lz+3T 4F // 3A =39.55
         
         基礎点     GOE   減点    合計
フィンランディアT   39.55   -3.33 -1   35.22  
フランス杯   33.83    2.26  0   36.09
NHK杯    39.55   -6.00 -1   32.55
G P F   35.85   -4.40 -1   30.45
四大陸選手権  39.55    2.37  0   41.92
世界選手権   39.55   -0.29 -1   38.26
国別対抗戦   36.25    3.71  0   39.96
平均     37.733  -0.812 -0.571  36.35  
 
今季の最高難度・・・と言うかこれを超える難度は現行ルールではほぼ無いだろう。レベルと基礎点さえ確保してしまえばほぼ100点超えしてしまうと言う恐ろしい基礎点である。これを見てしまうとジャンプに偏りすぎと言われても仕方ないという感じだ。PCSが50点満点ならジャンプの基礎点は最高でも35点くらいに治まらないと釣り合いが取れない。
最高難度の構成のため転倒もそれなりにありまた着氷もいまいちという部分も多かった。しかし高難度4回転の場合上手く着氷すれば3回転よりGOEが付きやすいという傾向がある。シーズン後半にはステップからのジャンプ基準も緩くなってGOEがつきやすくなった。この数字を見てしまうと来季もとりあえず基礎点計画は継続しそうだなと感じる。

 
FS 
        
         基礎点     GOE  減点    合計
フィンランディアT   92.45 -10.65 -2   79.80 
フランス杯   81.70  -5.34 -2   74.36
NHK杯    85.65  -5.46 -1   79.19  
G P F   86.02   8.17  0   94.19
四大陸選手権  90.38   3.92  0   94.30
世界選手権   96.77  -5.87 -2   88.90
国別対抗戦   77.45   3.87  0   81.32
平均     87.203 -1.623 -1   84.58
 
なんと今季の7試合全てFSのジャンプ構成が違っていた。基本は4T2本の3種または4種構成だったが、つなぎに配慮が無いため自分の思うままに後半は構成を変えまくっていた。曲の表現とかプログラムの完成度的にどうなのかと思うが、若手のためかジャンプがまとまると気前よく点を出したためその傾向が更に強くなった印象だ。
ただやはり高難度のため転倒はトップ選手の中では多めとなりGOEと減点のマイナスが大きくボーヤンと1点も差がつかなくなった。
若手はマイナス面を甘く見る傾向は以前からあるが来季も同じように見てもらえるかはわからない。怪我の防止の意味でももう少し着氷がスマートになるといいと感じる。ステップアウトやオーバーターンまで行かなくても前傾の膝に悪そうなつまり着氷が多いのは気になった。
 

<スピン>
SP
        基礎点   GOE     合計
フィンランディアT   7.9  1.33   9.23  ALLレベル3
フランス杯   9.2  2.22  11.42  レベル4 2回 レベル3 1回
NHK杯    9.2  1.50  10.70  レベル4 2回 レベル3 1回
G P F   8.8  1.07   9.87  レベル4 1回 レベル3 2回
四大陸選手権  9.7  2.36  12.06  ALLレベル4
世界選手権   9.3  2.36  11.66  レベル4 2回 レベル3 1回
国別対抗戦   9.7  2.21  11.91  ALLレベル4
平均    9.114 1.864 10.978
 
ボーヤンとネイサンの数字を見比べると面白い。このSPスピンもほぼ同じ点数だ。しかし内容的には異なっている。レベルはボーヤンの方が安定していてGOEはネイサンの方が高めとなっている。スピンについてはGOEが付く方がお得なので長い目で見れば有利なタイプかもしれない。
ネイサン単体で見るとやはり転倒があった試合は低めになっている。転倒による体力消耗が関わっているのかもしれない。

FS
        基礎点   GOE    合計
フィンランディアT   7.4  1.08   8.48  レベル4・2・1 各1回
フランス杯   9.7  1.57  11.27  レベル4 2回 レベル3 1回
NHK杯    9.3  1.43  10.73  レベル4 1回 レベル3 2回
G P F   9.7  2.14  11.84  ALLレベル4
四大陸選手権 10.2  2.08  12.28  ALLレベル4
世界選手権  10.2  1.71  11.91  ALLレベル4
国別対抗戦   9.7  2.36  12.06  レベル4 2回 レベル3 1回
平均    9.457 1.767 11.224
 
FSスピンについてはボーヤンより高い得点となっている。
スピンの位置や構成はシーズン中にかなり変更があった。冒頭は前半にも入っていたが途中から全てジャンプが終了後になった。その方が精神的・体力的な負担が少なかったのだろう。プログラムとしては単調になってしまうが基礎点を確実に獲得することを優先したのだろう。ただ見ていて印象はあまりよくないので来季はその辺り工夫する必要があると思う。
スピンの組み合わせも後半から基礎点の最も高いものに変更された。これもとことん戦略を突き詰めた結果だろう。こなしきった精神力と体力は称賛に値する。
 
<ステップ>
SP
        基礎点   GOE   合計
フィンランディアT   3.9  1.40  5.30  レベル4
フランス杯   3.3  0.93  4.23  レベル3
NHK杯    3.3  1.00  4.30  レベル3
G P F   3.3  1.00  4.30  レベル3
四大陸選手権  3.9  1.70  5.60  レベル4
世界選手権   3.3  1.00  4.30  レベル3
国別対抗戦   3.9  1.40  5.30  レベル4
平均    3.557 1.204 4.761
 
ステップについてもボーヤンとほとんど変わらない数字に落ち着いた。レベルについては3と4がほぼ半々だった。印象としては転倒すると取りこぼしがあるという感じだ。
バレエをモチーフにしたこのプログラムはネイサンの個性にはよく合っていた。曲も定番曲と言われる(毎年誰かが使用している)ほどフィギュアではなじみがあるもので曲の盛り上がりを上手く使ったプログラムになっていたと思う。
 
FS
        基礎点   GOE   合計
フィンランディナT   4.6  1.20  5.80  レベル2
フランス杯   5.3  1.66  6.96  レベル3 
NHK杯    5.3  1.69  6.99  レベル3
G P F   5.3  1.80  7.10  レベル3
四大陸選手権  5.9  3.00  8.90  レベル4
世界選手権   5.9  1.90  7.80  レベル4
国別対抗戦   5.9  2.60  8.50  レベル4
平均    5.457 1.979 7.436
 
ステップについてはFSでもボーヤンに近い得点となっている。シーズン後半にレベルを揃えてきた。
コレオについては前半の高難度のジャンプ構成から印象を変えるために上手く使われており、StSqはジャンプが終わった後の最後のひとがんばりといった滑りになっていた。転倒があるとかなりきつそうだったがしっかりレベルを確保してきたことは評価できる。
 
<TES計>
SP  
        基礎点   GOE  減点    合計
フィンランディアT  51.35 -0.60 -1   49.75 
フランス杯  46.33  5.41  0   51.74
NHK杯   52.05 -3.50 -1   47.55
G P F  47.95 -2.33 -1   44.62
四大陸選手権 53.15  6.43  0   59.58
世界選手権  52.15  3.07 -1   54.22
国別対抗戦  49.85  7.32  0   57.17
平均    50.404 2.257 -0.571  52.09
 
転倒が半分合っても平均が50点を超えてしまうという高難度のメリットが見受けられる。そしてやっぱりボーヤンとあまり変わりない数字となった。
表彰台に上がるためにはSP100点を超える必要が出てきたシーズンとなったがそうするとやはり4Lzの基礎点が必要になる。国別では抜いてきたが怪我を治して来季も是非暴れて欲しいと願っている。

FS
         基礎点    GOE  減点     合計
フィンランディアT  104.45 -8.37 -2    94.08
フランス杯   96.70 -2.11 -2    92.59  
NHK杯   100.25 -2.34 -1    96.91
G P F  101.02 12.11  0   113.13
四大陸選手権 106.48  9.00  0   115.48
世界選手権  112.87 -2.26 -2   108.61
国別対抗戦   93.05  8.83  0   101.88
平均    102.117 2.123 -1   103.24 
 
基礎点100超えは構成が高い分ボーヤンよりも多い。しかし平均で1点ちょっとしか上回れなかったのはやはり転倒が多かったためだろう。転倒があるとGOEがマイナスになる可能性が高くなるので点数的には伸びなくなる。5つ6つ4回転を跳んでいる割には低いかもしれないがそれでもSPFS併せて1回程度に抑えないと大きな大会では表彰台は難しい。
ノーミスボーヤンのTESがネイサンの最高記録より上という結果を見るとやはり順位評価としては完成度が重要なので着氷含めて質と確率をもう少し上げたい。
 

<PCS>
SP
        SS  TR  PE  CC  IN  合計
フィンランディンT   7.58  7.25  7.54  7.71  7.67  37.75
フランス杯   8.18  7.89  8.43  8.36  8.25  41.11
NHK杯    8.18  8.04  7.89  8.14  8.14  40.39
G P F   8.18  7.96  8.04  8.32  8.18  40.68
四大陸選手権  8.68  8.50  8.93  8.75  8.68  43.54
世界選手権   8.64  8.43  8.61  8.68  8.75  43.11
国別対抗戦   8.46  8.21  8.61  8.29  8.54  42.11
平均       8.271  8.04  8.293   8.321   8.316  41.241
 
ボーヤンが1シーズン通して地味に点数を伸ばしたことに対してはネイサンの伸びは大きい。ボーヤンよりはジャッジ的評価の高い選手なのだろう。
バレエ音楽をバレエ的な振付で上手く見せたという効果もあったかもしれない。SPは来季そのまま持ち越しても良いかもしれないと思っている。
TESであまり代わり映えの無いボーヤンとネイサンだがPCSで若干差がついている。ジャンプを纏めるとポンと上がりやすい傾向があるのでPCSについてはボーヤンよりも有利に感じられる。

FS
        SS  TR  PE  CC  IN  合計
フィンランディアT   7.71  7.17  7.46  7.63  7.46  74.86 
フランス杯   8.11  7.61  7.96  8.07  7.93  79.36
NHK杯    8.54  8.32  8.25  8.46  8.46  84.06
G P F   8.46  8.11  8.79  8.46  8.39  84.42
四大陸選手権  9.00  8.75  8.89  8.93  8.86  88.86
世界選手権   8.54  8.39  8.32  8.64  8.50  84.78
国別対抗戦   8.50  8.07  8.50  8.29  8.32  83.36
平均       8.409  8.06  8.31   8.354  8.274   82.814
 
平均全て8点台とシニア1年目としては上々の数字。ボーヤンよりも2点ほど高い結果となっている。
ただFSはやはりバランスが悪い構成だし、構成を演技中に変えるためジャンプ中はそれだけになりやすい。来季も同じことをして同等の評価がされるかは未知数だ。
FSについては持越は無いと思う。今季は割とSPFSが似た印象だったので違った感じにしたいところだ。ネイサンについてはボーヤンと異なり王道曲も似合いそうだし、物怖じしない性格で年齢の割に大人びた身のこなしが出来るのでロックやジャズなどでも手くこなせそう。今季を引きずらない曲調になるといいと思う。
 

<来季に向けて>
とりあえずFSでバランスの取れた構成を作って欲しい。ラストにスピン纏めてこなしますというのはシニア選手としては印象が悪い。
速いテンポは盛り上がりやすいがスタミナが持たなくなるとこなしています感が感じられるのでその辺りを上手くフォローできる振付が出来ると良いかもしれない。
後はやはり着氷。前傾になる着氷はやはり膝に良くない。ほとんどが4回転の高難度であるので負担が大きすぎる。後方に流す着氷技術を磨いて欲しい。ボーヤンも昨季より改善傾向にあるのでネイサンも難度を上げるより完成度を上げて欲しいと願っている。

蜘蛛男は笑顔で飛ぶ―――ボーヤン・ジン

女子シングルは本命よりその時良かった選手が五輪金メダルを取ることが多いが、男子シングルはある程度実績がある選手が五輪を制してきている。そういう意味では2年連続ワールド表彰台に上ったことで金メダル有力候補になったと言える。シーズン冒頭はジャンプが安定せずに心配したが終わってみれば非常に安定した成績を出している結果となった。
シーズン開始前にはかなり心配していたローリーとの相性がかなり良くSPFS共に好印象を残した。SPは持越と言うことでランを減らしもう少し密度を上げたらかなり評価が上がりそうな印象がある。来季のさらなる躍進が非常に楽しみな選手だ。
 
 
Sアメリカ   総合5位 245.08 SP8位 72.93 FS4位 172.15
中 国 杯   総合2位 278.54 SP1位 96.17 FS2位 182.37
四大陸選手権  総合5位 267.51 SP4位  91.33 FS5位 176.18
アジア大会   総合2位 280.08 SP1位 92.86 FS2位 187.22
世界選手権   総合3位 303.58 SP4位 98.64 FS3位 204.94 
国別対抗戦           272.61 SP3位 97.98 FS7位 174.63
平均       総合   274.567 SP平均  91.652 FS平均 182.915
 
2016-17シーズンで高難度ながらSPFSノーミスで揃えた今季唯一の選手となった。
シーズン冒頭は身長が伸び上半身のバランスも変わりジャンプが安定しないのかと心配したが後半に行くにつれしっかりGOEが取れるものに調整してきた。いつもにこにこ笑顔ながらしっかりやることをやってきている手強い選手になったなぁと感じる。
先日2015年GPFを久々に振り返ったが体型や所作がものすごく変わっていて驚いた。是非ローリーにしごかれて更なるスケーティングの向上を図ってまた驚かせて欲しい。
 
<ジャンプ>
SP  4Lz+3T 3A // 4T =37.73
         
         基礎点     GOE   減点    合計
  
Sアメリカ   33.43  -10.14 -2   21.29
中 国 杯   37.73    3.86  0   41.59
四大陸選手権  37.73   -1.97  0   35.76
アジア大会   37.73   -1.52  0   36.21
世界選手権   37.73    4.14  0   41.87
国別対抗戦   37.73    1.55  0   39.28
平均     37.013   -0.68 -0.333  36.00  
 
Sアメリカでは2転倒で非常に心配した。昨季から高難度挑戦の割に転倒が少ない選手だったからだ。その後もなかなか得点源の4Lzコンボが綺麗に決まらず苦労したが結果的にSアメリカのGOEマイナスが大きすぎるだけで基礎点はしっかり取ってきたことがわかる。
体型変化もほぼ終わったようだしSPは持越なので来季はシーズン開始から大暴れしそうな予感がする結果だ。
 
FS 4Lz 4S 3A+Lo+3S // 4T+2T 4T 3Lz+3T 3A 3F = 88.1
        
         基礎点     GOE  減点    合計
Sアメリカ   85.47  -6.41 -1   78.06
中 国 杯   85.57   1.52 -1   86.09  
四大陸選手権  91.58  -7.89 -2   81.69
アジア大会   78.90   4.98  0   83.88
世界選手権   88.10  10.94  0   99.04
国別対抗戦   77.09  -3.34  0   73.75
平均     84.452 -0.033 -0.667 83.752
 
四大陸のみ4Loに挑戦した。上手くいかなかったことでその後すっぱりと止めたことはクレバーだと感じる。入れなくても十分高難度なのでワールドでしっかり纏め評価を安定させた。
国別はシーズン終了後ということでおいておいても四回転で抜けが少ないというのは大きいなと基礎点を見て思う。大抵の選手はその位のTESを得るのにも苦労しているというのに・・・
4Lzの質については今のところ世界最高だと思うので4Tも同じレベルになると更に怖い存在になりそうだ。
 
<スピン>
SP
        基礎点   GOE     合計
Sアメリカ   9.3  1.21  10.51  レベル4 2回 レベル3 1回
中 国 杯   9.3  1.43  10.73  レベル4 2回 レベル3 1回
四大陸選手権  8.9  1.50  10.40  レベル4 2回 レベル3 1回
アジア大会   9.7  1.90  11.60  ALLレベル4
世界選手権   9.7  1.78  11.48  ALLレベル4
国別対抗戦   9.7  1.64  11.34  ALLレベル4
平均    9.433 1.577  11.01
 
シーズン後半にしっかりレベルを揃えてきていることは評価できる。GOEについても昨年よりは獲得できるようになってきている。
それ程上手いと感じる選手では無いが、しっかり回るという意識は持てているので割と好感が持てる。シーズン冒頭のポジション不足も持越プロならば来季には心配なさそう。

FS
        基礎点   GOE    合計
Sアメリカ   8.3  0.79   9.09  レベル4 1回 レベル3 2回
中 国 杯   8.7  1.28   9.98  レベル4 2回 レベル3 1回
四大陸選手権  9.3  1.22  10.52  レベル4 2回 レベル3 1回
アジア大会   9.7  1.90  11.60  ALLレベル4
世界選手権   9.7  2.00  11.70  ALLレベル4
国別対抗戦   9.7  1.93  11.63  ALLレベル4
平均    9.233  1.52 10.753
 
SPよりは多少取りこぼしているがそれでも後半しっかり纏めてきているしGOEも付いてきている。
FSはおそらく新プロになると思うのでこの位のGOEとレベルが取れればボーヤンとしてはまずまずなのかもしれない。

<ステップ>
SP
        基礎点   GOE   合計
 
Sアメリカ   3.3  0.79  4.09  レベル3
中 国 杯   3.9  0.80  4.70  レベル4
四大陸選手権  3.9  1.20  5.10  レベル4
アジア大会   3.3  1.00  4.30  レベル3
世界選手権   3.3  1.00  4.30  レベル3
国別対抗戦   3.9  1.60  5.50  レベル4
平均      3.6 1.065 4.665
 
プロが個性にあって盛り上がることもありGOEも昨季よりは延びている。多少せわしく詰め込みすぎている感じもするのでローリーがもう少し調整してくれないかなとは思う。ラストのハイドロが「スパイダーマーーーン」のところで大きくやるともっと効果的だと思う。
ただ昨季より格段に滑るようになっているので見応えが上がっている。動いている感が減っていることは素晴らしい。それでもチャンやブラウンに挟まれてしまうとまだまだな印象を受けるのでその辺りは継続的に強化して欲しい。
 
FS
        基礎点   GOE   合計
Sアメリカ   5.3  1.70  7.00  レベル3 
中 国 杯   5.9  1.60  7.50  レベル4
四大陸選手権  5.3  1.23  6.53  レベル3
アジア大会   5.9  2.24  8.14  レベル4
世界選手権   5.9  2.30  8.20  レベル4
国別対抗戦   5.3  1.81  7.11  レベル3
平均      5.6 1.813 7.413
 
昨季より平均が1点近く上がっている。レベル4が取れるようになってきていることが大きい。レベルが取れればGOE比率も上がるので今後もその傾向を続けて欲しい。
個人的には前半のコレオはともかく後半のステップが割と下を向いていることが多いのが気になる。苦しい時間なのはわかるが顔を上げて姿勢よく頑張って欲しい。

<TES計>
SP  
        基礎点   GOE  減点    合計
 
Sアメリカ  46.03 -8.14 -2   35.89
中 国 杯  50.93  6.09  0   57.02
四大陸選手権 50.53  0.73  0   51.26
アジア大会  50.73  1.38  0   52.11
世界選手権  50.73  6.92  0   57.65
国別対抗戦  51.33  4.79  0   56.12
平均    50.047 1.962 -0.333 51.675
 
序盤の取りこぼしが大きすぎて昨季より平均は落としている。スピンステップのレベルが揃ったのが国別だけだったことがもったいない。ただ来季は持越ならレベル取りは安定しそう。2年連続表彰台と言うことでトップ選手としての認識は高まっている。是非五輪での台風の目となって欲しい。

FS
         基礎点    GOE  減点     合計
Sアメリカ   99.07 -3.92 -1    94.15  
中 国 杯  100.17  4.40 -1   103.57
四大陸選手権 106.18 -5.44 -2    98.74
アジア大会   94.50  9.12  0   103.62
世界選手権  103.70 15.24  0   118.94
国別対抗戦   92.09  0.40  0    92.49
平均     99.285  3.30 -0.667 101.918 
 
抜けとかコンボ無しとかで昨季より基礎点は落としているが獲得点としては上がっている結果に。序盤の転倒のマイナスがあってそれならば十分なシーズンだったろう。
体型もしっかりして大人の体つきになりスケートも力強さが感じられる。話題としてはネイサンや宇野に隠れてしまった感はあるが単純なジャンプの質としては二人より上だと感じるので世界選手権の4Lzの様な質を常に見せられるようにして欲しい。
 
<PCS>
SP
        SS  TR  PE  CC  IN  合計
Sアメリカ   7.57  7.07  7.32  7.54  7.54  37.04
中 国 杯   7.79  7.46  8.11  7.93  7.86  39.15
四大陸選手権  8.18  7.68  8.21  7.93  8.07  40.07
アジア大会   8.20  8.00  8.10  8.20  8.25  40.75
世界選手権   8.25  7.96  8.46  8.07  8.25  40.99
国別対抗戦   8.36  8.04  8.64  8.32  8.50  41.86
平均       8.058  7.702  8.14   7.998   8.078   39.977
 
ワールドの表彰台に上ったにしてはシーズン冒頭は厳しかった。どうも北米はボーヤンをあまり評価したくない傾向があるようでネイサンや宇野のように一気に上がると言うことは無かったが後半になるにつれ伸びていることがわかる。
平均でほぼ40と昨季より1.5点ほども上がっている。地道な努力が実を結んでいると感じる。後はつなぎ、クロスはそれ程でも無いがランは非常に目につくのでその辺りもう少し工夫をしたいところだ。

FS
        SS  TR  PE  CC  IN  合計
Sアメリカ   7.82  7.39  7.93  7.93  7.93  78.00
中 国 杯   7.86  7.54  8.07  7.93  8.00  78.80 
四大陸選手権  8.04  7.43  7.64  7.82  7.79  77.44
アジア大会   8.45  8.15  8.45  8.30  8.45  83.60
世界選手権   8.71  8.36  8.68  8.64  8.61  86.00
国別対抗戦   8.43  8.00  8.11  8.32  8.21  82.14
平均       8.218  7.812   8.147  8.157   8.165   80.997
 
SPよりも更に渋さを感じたPCSだが結果的に平均80を超えたので実績がついてきたのだと感じる。印象としてはPEが高かったのだが結果的にSSだったことが面白い。滑りが良くなったことがそれでも評価されているのだろう。
ローリーの振付がボーヤンに合っていることも良かった。来季はどういう選曲になるかわからないがたぶんわかりやすい世界観の音楽が合っていると思う。下手な王道よりボーヤンの素直さや純朴さをアピールした方が良いと考える。

<来季に向けて>
来季もローリー振付だと思うので是非ボーヤンの個性を引き出すものであって欲しいと願っている。スケーティングの強化とともにローリーにはぜひ引き出し中を捌くって頑張って欲しい。
4Loについては入れる必要が有るか微妙だが、ネイサンと争うことになると難度の問題になりそうなので入れそうな予感はする。ただ入れる場所については検討した方が良いとは感じる。
大人の体型でしっかりジャンプを安定させてきたことで今季よりプログラムに工夫が出来ると思う。つなぎとステップでの姿勢の強化を頑張って欲しい。

高難度時代に挑む―――ミハイル・コリャダー

羽生の全世界にいるファンたちが2017ワールドFSの注釈付き動画を世界的に発信している。面白い動画だなと感じる。ISUがお手本動画を配信しているが演技映像を垂れ流すだけでなくこういう注釈をつけてどこが評価されるのかどういう風に素晴らしいのかを明らかにしてくれれば日本の報道の仕方がもう少し変わるかもしれないのに、と思ったりする。ただ単にジャンプの成否を発信するのではなくどこでレベルを判別するのか、ステップはどこを見ているのか解説しやすくなるのではと思うのだ。ジャンプも単に「幅と流れがある良いジャンプでした」ではなくなってほしい。羽生のFSはノーミス演技だけにいいお手本になるのでISUも上手く利用すればいいのにと感じた。
もし作るならばアイスダンスが一番見たいのだが、男子シングルだったら羽生以外では特にチャンとフェルナンデスとブラウン、そしてコリャダーが見たいと思う。コリャダーは止まって動く場所もあるが結構足元は凝ってると思うのだ。ブラウンやチャンほど解説にはあまり取り上げられないのが残念だが、もう少しその辺りも評価されてもいいのにと思っている。今季はなかなかジャンプが安定しなくてシーズン当初は点数が伸びなかった。ただ初めてナショナルチャンプにもなったし世界選手権から国別にかけてまずまずの演技ができたので来季への期待も持てる終わり方だった。新たな4回転を入れる予定があるというコメントも出ているのでぜひ今季乗り越えられなかった280を超える演技を見せて欲しいと願っている。

フィンランディアT   総合4位 219.55 SP4位 80.20 FS5位 139.35
ロステレコム  総合4位 245.30 SP3位 90.28 FS6位 155.02
NHK杯    総合5位 225.69 SP4位 78.18 FS6位 147.51
欧州選手権   総合3位 250.18 SP3位  83.96 FS3位 166.22
世界選手権   総合8位 257.47 SP7位 93.28 FS9位 164.19 
国別対抗戦           279.41 SP4位  95.37 FS5位 184.04
平均       総合  246.266   SP平均 86.878  FS平均 159.388
 
結果的に見れば後半に向けて着実に点数を伸ばしたシーズンだったといえる。国別ではあるがPBも出せた。ただトップ選手の仲間入りというにはまだまだ下限が低いといえる。
入賞圏内を超えてユーロ以外の表彰台に上がるためには平均で265、下限で245を超えたいところだ。
 
 
<ジャンプ>
SP  4T+3T 3A // 3Lz =29.70
         
        基礎点    GOE   減点    合計
フィンランディアT  26.83  -1.09 -1   24.74  
ロステレコム 29.70   2.07  0   31.77
NHK杯   20.83   0.80  0   21.63
欧州選手権  21.20   3.41  0   24.61
世界選手権  29.70   4.50  0   34.20
国別対抗戦  29.70   4.46  0   34.16
平均    26.327  2.358 -0.167  28.518  
 
ソチの頃はこれで十分の構成だったが現在では少し厳しい構成となってしまった。確実に基礎点とGOEを稼ぎたいところだがシーズン冒頭はなかなかジャンプが揃わなかった。
しかし昨年のワールドといい今季のワールド&国別とシーズン後半でピークを合わせることは上手いのかもしれない。ジャンプそのものの質は良く流れも綺麗なのでGOEは付きやすい。特に3Lzの質の良さは素晴らしい。あとは確実性を上げたいところ。
 

FS 
        
        基礎点     GOE  減点     合計
フィンランディアT  47.87  -2.72  -1   44.15
ロステレコム 53.32   1.76  -1   54.08
NHK杯   55.83  -7.66  -2   46.17  
欧州選手権  62.53  -0.72  -1   60.81
世界選手権  62.47   1.09  -1   62.56
国別対抗戦  71.58   4.76  -1   75.34
平均    58.933 -0.582 -1.167  57.185
 
4Sや4Lzという2種目の4回転を入れようとしたシーズンだった。結果的に基礎点の高い4Lzにしたようだが今季中の成功はできなかった。新クワドの成功率が低いことは仕方ないことかもしれないがその影響か4Tも不安定になったことが序盤なかなか点数が伸びない原因だった。更に得意のはずの3Aもしばしばミスが出てしまうということで新クワドを試すにはリスクの方が大きかったシーズンだった。
コンボが足りなかったり予定構成がこなせない試合が多かったこともあり表彰台には絡めなかった。正直に言えば4Lzより4T2本構成をまずやるべきだと思うのだが・・・3Fがない分REPに引っかかりやすくリカバリしにくい構成を組んでいるところがもったいなく感じる。

<スピン>
SP
        基礎点   GOE     合計
フィンランディアT   9.7  2.50  12.20  ALLレベル4
ロステレコム  9.7  2.86  12.56  ALLレベル4
NHK杯    9.7  2.36  12.06  ALLレベル4
欧州選手権   9.7  3.28  12.98  ALLレベル4
世界選手権   9.7  2.57  12.27  ALLレベル4
国別対抗戦   9.7  2.93  12.63  ALLレベル4
平均      9.7  2.75  12.45
 
シーズン通してALLレベル4は素晴らしい。ロシアンはわりとスピンに苦労する選手が多いがコリャダーはポジション・回転ともに質がいい。
シーズンが進むとともにビールマンの姿を消したが、十分レベル確保はできているので無理する必要はない。平均獲得点数も素晴らしい出来だ。
 
 
FS
        基礎点   GOE   合計
フィンランディアT   8.9  1.83  10.73  レベル4 1回  レベル3 2回
ロステレコム  8.3  2.36  10.66  レベル4・3・2 各1回
NHK杯    9.7  2.22  11.92  ALLレベル4
欧州選手権   9.7  2.57  12.27  ALLレベル4
世界選手権   9.7  2.57  12.27  ALLレベル4
国別対抗戦   9.7  2.86  12.56  ALLレベル4
平均    9.333 2.402 11.735
 
転倒が毎試合発生しているためスピンでそのマイナスを埋めているといった印象。後半に向けて点数が伸びているのは評価されている。
ただスピンが得意な選手であるから、コンビネーションを2つにした方がお得なのにと思わないこともない。0.3もしくは0.5でも基礎点を上げられるなら取り組む価値はあると思う。
 
 
<ステップ>
SP
        基礎点   GOE   合計
フィンランディアT   3.9  1.05  4.95  レベル4 
ロステレコム  3.3  0.93  4.23  レベル3
NHK杯    3.3  0.64  3.94  レベル3
欧州選手権   3.3  1.00  4.30  レベル3
世界選手権   3.3  1.00  4.30  レベル3
国別対抗戦   3.9  1.40  5.30  レベル4
平均      3.5 1.003 4.503
 
ステップのレベルについてはなかなか4が取れなかった。コフトゥンに比べればGOEがつくのでレベルを落とすともったいない印象だ。
持ち越しプロだったので滑り慣れているはずだが、ステップのレベル要件については毎年少しずつ変わるので対応はなかなか難しいのかもしれない。
 
FS
        基礎点   GOE   合計
フィンランディアT   5.9  2.33  8.23  レベル4
ロステレコム  4.6  1.70  6.30  レベル2 
NHK杯    5.9  2.00  7.90  レベル4
欧州選手権   5.9  2.80  8.70  レベル4
世界選手権   5.3  1.36  6.66  レベル3
国別対抗戦   5.9  2.80  8.70  レベル4
平均    5.583 2.165 7.748
 
ロステレコムを除けばまずまずの点数を稼いでいる。ステップはレベルによって係数が変わるためGOEがつきやすい選手だからこそレベルにこだわりたい。
 
<TES計>
SP  
        基礎点   GOE  減点    合計
フィンランディアT  40.43  2.46 -1   41.89  
ロステレコム 42.70  5.86  0   48.56
NHK杯   33.83  3.80  0   37.63
欧州選手権  34.20  7.69  0   41.89
世界選手権  42.70  8.07  0   50.77
国別対抗戦  43.30  8.79  0   52.09
平均    39.527 6.112 -0.167 45.472
 
エレメンツの質については良い選手なのでジャンプミスさえなければ点が出やすい印象だ。シーズン後半に50点超えてきたことで来季に希望が持てる結果となっている。
ロシア男子がトップ選手から遠ざかっている実情があるので何とか頑張って欲しいものだ。とりあえずSPでは抜けは厳禁、特に3Aは稼ぎどころなので確実に飛びたいところだ。
 
FS
        基礎点    GOE  減点    合計
フィンランディアT  62.67  1.44 -1   63.11
ロステレコム 66.22  5.82 -1   71.04  
NHK杯   71.43 -3.44 -2   65.99
欧州選手権  78.13  4.65 -1   81.78
世界選手権  77.47  5.02 -1   81.49
国別対抗戦  87.18 10.42 -1   96.60
平均     73.85 3.985 -1.167 76.668 
 
毎試合転倒しているためGOEが伸びきらないことと減点が大きいことで70点台後半に落ち着いてしまった。羽生のようにジャンプミスが転倒に結びつくタイプの着氷なので安定するまでは仕方ないかもしれない。
転倒はともかくとしても抜けやコンボ不足・REPなどで基礎点を失っている試合が多いためまずはそこをなくすことを注視したい。コフトゥンにせよコリャダーにせよリカバリするということがないのがもどかしいと感じる。
 
<PCS>
SP
       SS  TR  PE  CC  IN  合計
フィンランディアT  7.88  7.38  7.63  7.71  7.71  38.31
ロステレコム 8.36  8.04  8.50  8.36  8.46  41.72
NHK杯   8.21  7.96  7.96  8.21  8.21  40.55
欧州選手権  8.43  8.14  8.50  8.46  8.54  42.07
世界選手権  8.57  8.29  8.61  8.43  8.61  42.51
国別対抗戦  8.64  8.36  8.89  8.57  8.82  43.28
平均      8.348  8.028   8.348     8.29  8.392   41.407
 
スケーティングの伸びの良い気持ちのいい滑りの選手なのでエレメンツをそろえると数字が出やすい選手だ。
ただし巧さはあるのにまだまだPCSが伸びきらないのはプログラムの問題もあるかと。コミカルな動きや表現は上手だが、それを点数に結びつけることに関しては弱いかなと感じる。もう少しうまくプログラミングできれば4回転が飛べるブラウン並みの評価が得られそうな印象がある。
五輪シーズンにコミカルでない良い振付が来ることを願っている。(バトルに振付してもらえないかな…)
 
FS
       SS  TR  PE  CC  IN  合計
フィンランディアT  7.67  7.33  7.58  7.75  7.79  76.24
ロステレコム 8.61  8.14  8.21  8.57  8.46  83.98
NHK杯   8.32  7.79  8.04  8.25  8.36  81.52
欧州選手権  8.57  8.18  8.43  8.43  8.61  84.44
世界選手権  8.46  8.07  8.21  8.29  8.32  82.70
国別対抗戦  8.86  8.50  8.86  8.64  8.86  87.44
平均      7.995  7.45  7.783   7.805   7.828   77.723
 
本来ならネイサンやボーヤンより上でブラウンと変わらない位の評価を受けても良いと感じる選手であるが、なかなかそこまで出ないのはやはり予定構成をこなしきれていないという点だろうか?
大技の転倒についてはジャッジもそこまで取り上げないが3A以下のジャンプでぽろぽろミスが出るのはいただけない。スケーティングはかなり良く着氷も美しく流れる選手なのでその辺りを強調したプログラムを組みしっかり基礎点を確保すれば275以上をコンスタントに出せる選手だと思う。
来季はさらに構成を上げるといっているが、まず取りこぼしがなくすことを注視して欲しい。
 
<来季に向けて>
コミカルっぽいプログラムを2つ並べたことが良かったかどうか微妙な印象だったシーズン。来季はぜひもっと違った方面の振り付けにしてほしい。SPFSのどちらかは北米系の振付師に依頼してくれたらと願っている。
スケーティングの伸びは非常にいい選手で足元も割と多彩で非常に好みの選手である。ジャッジの評価もまずまずな選手だけにロシアンという枠には収まらないで欲しい。
4Lzについては回転は問題なさそうだが着氷の感覚がまだつかめていない印象だ。飛形が飛ぶたびに異なっているみたいなのでまだ試行錯誤中かなという印象がある。オフの間にぜひそこをきわめて来季の武器にしてほしい。