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つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

哲学者は最後に頭を抱える―――セルゲイ・ヴォロノフ

台乗りの主流が10代から20代前半がしめる昨今の男子シングル界において今期唯一気を吐いた微笑みの哲学者セルゲイ・ヴォロノフ
シニア歴も長くなった彼の名をここまで聞く機会が多かったシーズンはこれまでなかっただろう。それくらい2014-15は彼のキャリアの中でもいい成績を残したシーズンだった。
世界選手権までは出場した試合すべてで台乗り、中でも初めて出場したGPFで3位になったことは彼のこれまでの苦労が報われた事だろう。
シニア9年目、遅咲きの彼の今シーズンを振り返る。

 

ロステレコム 総合2位 252.00 SP2位 90.33 FS4位 161.67
NHK杯   総合2位 236.65 SP4位 78.93 FS2位 157.72
G P F  総合3位 244.53 SP4位 84.48 FS3位 160.05
欧州選手権  総合3位 233.05 SP2位 81.06 FS3位 151.99
世界選手権  総合3位 218.41 SP3位 84.70 FS1位 133.71
  平均     総合 236.928  SP     83.90  FS   153.028

 

27歳にして初めて華々しいシーズンになったが、シーズン後半になるにつれて得点が下がっていってしまった感が強いデータである。
世界選手権は膝の痛みで痛々しい演技だったが、こうデータを見てみるとやはり試合数が多かったのでは?と思わずにいられない。
特にNHK杯⇒GPF⇒ロシアナショナルの間は各2週間、欧州選手権⇒世界選手権1か月半、年齢を考えるともう少し試合数を調整したいところだ。
ただロシアも日本と同じ2枠しかない。またロシア男子は年齢が幅広く有望な選手がいる。ナショナルだけでは世界選手権の出場が決まらないお国柄ではあるからユーロには出ざるを得ない。
若手が力をつけてきているからGPSもGPFも手が抜けない…ロシアも日本と同じくなかなかシビアな世界である。


<ジャンプ>
SP  予定構成 4T+3T // 3A 3Lo = 29.36

         基礎点   GOE  減点  合計
ロステレコム 29.36  5.09  0 34.45  
NHK杯   26.56 -0.98  0 25.58
G P F  29.36  1.74  0 31.10 
欧州選手権  23.64  2.17  0 25.81
世界選手権  29.36  0.01  0 29.37
平均    27.656 1.606  0 29.262

 

今季が安定した順位を出し続けた一番の要因はSPだろう。
ヴォロノフはトップ選手の中では構成が弱い。だが4回転をはじめ3つのジャンプを確実に入れることで安定した得点を稼いできた。
ヴォロノフはどちらかといえば旧採点下で育った選手だ。今更つなぎだ、助走を短くうんぬんは言えないし難しいだろう。
だからせめて来季は今季取り戻した3LzをSPから入れてきたい。助走が長くGOEが稼ぎにくいだけに基礎点は大事だ。


FS 予定構成 4T+3T 3A+2T 4T 3Lz // 3A 3S 3Lo+2T+2Lo 2A = 67.12 

        基礎点   GOE  減点  合計
ロステレコム 57.15  6.15  0 63.30  
NHK杯   57.02  5.38  0 62.40
G P F  60.92  4.27  0 65.19  
欧州選手権  56.74 -0.63  0 56.11
世界選手権  34.76  2.59  0 37.35
平均    53.318 3.552  0 56.87

 

転倒は一度もなかった。過去に大怪我で不本意なシーズンをいくつも送ってきたのでそういう意味では見ていて安心できるシーズンだった。
今季良かった点はGPFからここ数年飛んでいなかった3Lzを入れてきたこと。コーチが怖かったからなどというコメントが出ていたが、コーチグッジョブ!である。
やはりトップ選手で3Lzも3Fもないというのはどんな理由があろうと偏りすぎといわざるを得ない。エッジエラー厳格化によりどちらかを外す選手はいるので3Lzだけは絶対に入れたいところだった。
ただ一方で2回目の4Tが一度も入らず、構成が弱いヴォロノフはやはりジャンプでは稼ぎきれないという結果にもなった。
年齢を考えれば後半5ジャンプはきついと思われる。だとすればやはり4回転2回は確実に決めたいところだ。
ヴォロノフが来季も世界選手権に出場するためにはそれが必須であると言える。


<スピン>
SP 

        基礎点   GOE   合計
ロステレコム  9.7  1.92 11.62  ALLレベル4
NHK杯    9.7  1.57 11.27  ALLレベル4 
G P F   9.7  2.00 11.70  ALLレベル4
欧州選手権   9.7  2.15 11.85  ALLレベル4
世界選手権   9.7  2.29 11.99  ALLレベル4
平均       9.7 1.986 11.686

 

スピンはヴォロノフの稼ぎどころ。今季すべてALLレベル4。これはすばらしい!
加点も後半に行くほど高くなっていくので十分評価されているということだろう。
若い選手にはどうしてもジャンプ構成で後れを取ってしまうが、こういうところできっちり稼ぐのがベテランの強さである。


FS

        基礎点   GOE   合計
ロステレコム  9.3  1.24 10.54  レベル3 1回 レベル4 2回
NHK杯    9.7  1.64 11.34  ALLレベル4 
G P F   9.7  1.57 11.27  ALLレベル4
欧州選手権   9.7  2.36 12.06  ALLレベル4
世界選手権   9.7  1.86 11.56  ALLレベル4
平均      9.62 1.734 11.354

 

序盤で一つ落としたがそれ以降はすべてレベル4。しっかりきっちりエレメンツをこなしている。
確実に取れるところでとるのが今の採点方式なので十分に理解ができているということだろう。
見栄えがしないところがあるのでGOEがスピン巧者に比べれば出てこないが、それでも基礎点と少しでもGOEをもらうことが今のフィギュアスケートでは大切なのだ。


<ステップ>

SP 

        基礎点   GOE   合計
ロステレコム  3.3  0.71  4.01  レベル3
NHK杯    3.3  0.43  3.73  レベル3 
G P F   2.6  0.50  3.10  レベル2
欧州選手権   3.3  0.57  3.87  レベル3 
世界選手権   2.6  0.50  3.10  レベル2
平均      3.02 0.542 3.562

 

スピンに対してヴォロノフの泣き所というべきなのがステップだ。最初からレベル3狙いになっているのかも。だとしたら確実にそのレベルをキープしなければいけない。ロシアンのステップは皆あまり加点がつかない印象がある。
ステップだけでも外注してみたらどうだろうか?


FS

        基礎点   GOE   合計
ロステレコム  5.3  2.09  7.39  レベル3
NHK杯    5.3  1.30  6.60  レベル3 
G P F   4.6  1.99  6.59  レベル2
欧州選手権   5.3  1.66  6.96  レベル3 
世界選手権   4.6  1.90  6.50  レベル2
平均      5.02 1.788  6.808

 

SPと全くレベルが同じ…ということはステップを厳しく取るテクニカルにあたるとレベルとして認定されない項目が出てくる、ということだ。
これは最初から実効性も含めて振付を検討する必要がある。国内やユーロといった欧州系のジャッジだけでなく北米系のジャッジの判定を受けてステップを組んだ方がいいのかもしれない。


<TES計>
SP   

        基礎点   GOE  減点    合計
ロステレコム 42.36  7.72  0   50.08  
NHK杯   39.56  1.02  0   40.58
G P F  41.66  4.24  0   45.90
欧州選手権  36.64  4.89  0   41.53
世界選手権  41.66  2.80  0   44.46
平均    40.376 4.134  0   44.51

 

GOEのマイナスがない、転倒減点がない、それだけで常に基礎点以上を稼いでいる。
とっても優秀なデータであり、今季SPの安定によって常に最終グループにいられた実績が理解できる。
あとはステップの改良と抜けを無くすことかな?でも抜けてもノーカンにならないところがSPについては良かった。

FS

        基礎点   GOE  減点    合計
ロステレコム 71.75  9.48  0   81.23  
NHK杯   72.02  8.32  0   80.34
G P F  75.22  7.83  0   83.05
欧州選手権  71.74  3.39  0   75.13
世界選手権  49.06  6.35  0   55.41
平均    67.958 7.074  0  75.032

 

転倒無、GOEマイナス無、SPと同じ優秀なデータ、と言いたいところだがラストが残念だ。
4T2回構成の選手には常に付きまとうザヤックの危険。
ヴォロノフが2回目の4Tが一度も入らないのにそれに陥らずに済んだのは1回目の4Tがずっとオーバーターン程度のミスで成功していたからだ。
しかし2回とも抜けてしまえば3Tだろうと2Tだろうとザヤックに引っかかってしまう。
ザヤックは引っかかる場合たいていコンビネーションが丸ごと消えてしまうので痛いなどと言うレベルでない。9.13プラスであれば順位もかなり違っただろう。
コンビネーションを飛ばないという選択肢は…演技中では思いつかないか。男子選手はセカンドLoは案外難しいというから…
膝が痛む中懸命に枠のために努力したのだが何とも悲しい結果になってしまった。


<PCS>
SP 

       SS  TR  PE  CC  IN   合計
ロステレコム 8.04  7.71  8.25  8.04  8.21  40.25
NHK杯   7.82  7.50  7.71  7.68  7.64  38.35
G P F  7.96  7.29  7.93  7.79  7.61  38.58
欧州選手権  8.18  7.43  8.00  7.96  7.96  39.53
世界選手権  8.07  7.71  8.18  8.07  8.21  40.24
平均     8.014   7.528   8.014  7.908   7.926  39.39

 

ヴォロノフは明らかにつなぎが薄いのでTRがトップ選手の中で低いのは仕方ない。
しかしシーズン通していい演技をしてきたことでほぼ40近くが安定して出るようになった。
GPFは羽生の後でなく無良の後だったらもう少し高かったかもしれない。いい演技だったが意外に出なくてブーイングが起こっていた。

FS 

       SS  TR  PE  CC  IN   合計
ロステレコム 8.14  7.46  8.29  8.04  8.29  80.44
NHK杯   7.86  7.43  7.93  7.61  7.86  77.38
G P F  7.96  6.86  8.04  7.71  7.93  77.00
欧州選手権  8.00  7.29  7.64  7.71  7.79  76.86
世界選手権  8.04  7.54  7.82  7.71  8.04  78.30
平均       8.00   7.316   7.944  7.756   7.982 77.996

 

GPFのTRの低さが際立っている。前の滑走者がつなぎ満載のフェルナンデスだったのが影響したか。
ただ5項目PCSがあるのだから良いところと悪いところがこのくらい離れることがあってもおかしくないと思う。
それにしてもコフトゥンもそうだったが他の国の選手と比較してロシアンは後半3項目に点が出ない傾向がある。
あのぶつ切りな曲のつなぎ方や何でその振り付け?というのが各国の審判に理解されにくいのかも・・・たまには北米系の振り付けをしたらどうだろうか?


<来期に向けて>
ワールドFSのキスクラで頭を抱えてしまったのが悲しかった。
やはり年齢を考えると試合数がきついんじゃないか?膝も古傷みたいだから大事にして欲しい。
でも国内の争いを考えるとそうそう休んでいられないんだよね、きっと・・・
とりあえず・・・2回目の4Tを確実に入れることとステップ強化、かな?
ただ4回転が増えると膝の負担も大きそうだ。なるべく試合の間隔を開けたいところだけど自分で選べるとは限らないからな。
とにかくステイヘルシーで・・・あとSPに3Lz入れてくるとうれしいかも。
やっぱり3Loだとちょっとあれ?って感じになるから。