2014-15シーズンジャンプ成功率―――フェルナンデス/SP編
羽生結弦のジャンプ成功率を計算してみて他の選手はどうなのだろう?と考えた。
計算してみようかと思ったが、他の選手は案外シーズン中に構成を変えるケースが多くてちょっと難しい。そこでとりあえずあまり構成の動きが少ないSPを見てみようかと思う。
まずは2014-15シーズンの世界王者から。成功の定義は羽生の場合と同じである。
フェルナンデスが出場したのはSカナダ/ロステレコム/GPF/スペイン選手権/欧州選手権/世界選手権の6試合。
予定構成
4S 3Lz+3T // 3A = 29.95
GOE0以上のジャンプの数はSカナダ3・ロステレコム2・GPF2・スペイン選手権2・欧州選手権1・世界選手権3の13回。
成功率は13/18=72.22%
成功率だけ見てみると羽生よりも高い。ただしこの「成功」の中には要素抜けにはならない抜けがあったりする。
個々のジャンプを検証してみる。
・4S 4/6 成功率66.67%
基礎点 GOE 減点 合計
S カ ナ ダ 10.50 2.86 0 13.36
ロステレコム 10.50 2.00 0 12.50
G P F 10.50 -3.00 -1 6.50 (転倒)
スペイン選手権 10.50 0.67 0 11.17
欧州選手権 10.50 -1.71 0 8.79 (着氷不良)
世界選手権 10.50 2.14 0 12.64
平均 10.50 0.493 -0.166 10.827
4Sが成功した場合加点2以上が付くケースが多い。結果基礎点以上の点数を獲得している。
FSでは2つ揃えるのは難しかったがSPではまずまず安定していたといえる。
基礎点に対し出来高103.11%は安定した得点源だったことがわかる。
・3A 3/3 成功率50%
基礎点 GOE 減点 合計
S カ ナ ダ 3.63 0.36 0 3.99 (2A抜け)
ロステレコム 9.35 -0.29 0 9.06 (着氷不良)
G P F 9.35 0.14 0 9.49
スペイン選手権 3.30 0.33 0 3.63 (2A抜け)
欧州選手権 9.35 1.86 0 11.21
世界選手権 9.35 0.14 0 9.49
平均 7.388 0.423 0 7.811
ものすごく濃いつなぎから飛ぶためかシーズン通してクリアな着氷がほとんど無かった。2Aに抜けたことが2回ありこれが基礎点を下げている。
着氷があまり良くないが辛うじてプラスが多いのはやはりつなぎが評価されているからだろう。でもGOEが付かないため2Aでの抜けを取り戻せなかった。
平均基礎点に対して105.73%だが本来の基礎点に対しては83.54%と15%以上低くなっている。
・3Lz+3T 3/3 成功率50%
基礎点 GOE 減点 合計
S カ ナ ダ 10.10 1.40 0 13.36
ロステレコム 10.10 1.40 0 13.36
G P F 6.20 0.20 0 6.40 (2Lz抜け)
スペイン選手権 10.10 -0.70 0 9.40 (着氷不良)
欧州選手権 10.10 -1.10 0 9.00 (セカンドSO)
世界選手権 10.10 0.70 0 10.80
平均 9.45 0.317 0 10.387
フェルナンデスの3Lzは抜けやすいイメージがあるが今シーズンSPでは抜けたのは一度だけだった。それでもセカンドがきちんとつけられたのでノーカウントにはならなかったため成功率は下げていない。
成功率は50%であるが小ミスで収めたので基礎点以上確保できている。フェルナンデスは体幹が強く着氷が今ひとつでも転倒が少ない。GOEのマイナスを最小限に抑えたことで安定したSPの順位と得点を獲得したことがわかる。
平均基礎点から出来高109.92%、元の基礎点から102.84%、SPは基本ミス無く滑ることが前提だからこれはいい成績であるといえる。
SPの個別のジャンプで見るとフェルナンデスは成功率が決して高くなかったことがわかる。どのジャンプも半数を切らなかったと言うだけだ。
しかしトータルで見れば羽生より得点的には稼いでいる。これはやはり転倒が少ないこととステップアウトなどの失敗がつなぎの多さである程度相殺され大きなマイナスが付かなかったことがあげられる。息切れしそうで見ている方もしんどい鬼つなぎプロだったがジャッジの評価は高かったと言うことだろう。
ただ鉄板というジャンプがないことと平均すると決してGOEが多くないことから3Aの抜け分だけ基礎点を確保することが出来なかった。