2014-15シーズンジャンプ成功率―――J.ブラウン/SP編
今季全米チャンピオンになったジェイソン・ブラウンのSPジャンプ成功率を見る。
ブラウンの出場したのはネーベルホルン杯/Sアメリカ/ロステレコム/全米選手権/四大陸選手権/世界選手権/国別選手権の7試合。
予定構成
3A 3F+3T // 3Lz = 24.50
4T 3A // 3F+3T = 29.14(四大陸のみ)
GOE0以上はネーベルホルン3・Sアメリカ2・ロステレコム2・全米選手権3・四大陸1・世界選手権3・国別選手権3の17回。
成功率は17/21=80.95%
やはりブラウンの成功率は高い。基本四回転を入れないブラウンにとってはジャンプの確実な成功こそ上位へとどまるための必須手段であるといえる。
・3A 5/7 成功率71.43%
基礎点 GOE 減点 合計
ネーベルホルン杯 8.50 0.67 0 9.17
Sアメリカ 8.50 -3.00 -1 4.50 (転倒)
ロステレコム 8.50 0.43 0 8.93
全米選手権 8.50 1.57 0 10.07
四大陸選手権 6.00 -1.14 0 4.86 (UR着氷不良)
世界選手権 8.50 1.14 0 9.64
国別対抗戦 8.50 0.14 0 8.64
平均 8.142 -0.027 -0.142 7.973
昨季までブラウンの中では長かった3Aの助走がつなぎを増やしかなり短くなった。少しでもGOEを稼ぎたい・成長を見せたいと言うことだろうが回転がぎりぎりになりがちで結局GOEは平均マイナスとなった。
しかし何度も繰り返し通し練習を成功させていたシーズン後半にはかなり安定して飛べるようになってきている。
ただ四大陸で四回転を入れたときにはURをとられていることから難度を上げたときつなぎが多いままこなせるのか今後の課題だろう。
平均基礎点に対し出来高95.71%、基礎点期待し93.8%、ブラウンにとっての最高難度なので確実に獲得したいところだ。
・3F+3T 6/7 成功率85.71%
基礎点 GOE 減点 合計
ネーベルホルン杯 9.40 0.93 0 10.33
Sアメリカ 9.40 1.20 0 10.60
ロステレコム 8.30 -2.10 0 6.20 (2ndUR・両手つき)
全米選手権 9.40 1.90 0 11.30
四大陸選手権 10.34 1.00 0 11.34 (後半)
世界選手権 9.40 0.10 0 9.50
国別対抗戦 9.40 0.70 0 10.10
平均 9.377 0.533 0 9.91
成功率は高いGOEもプラスでしっかりとした得点源であるといえる。ただ加点が少ないこととURが一度あることからもわかるがやはり回転はぎりぎりできれいに流れないことが多い。
来季四回転を入れると言っているようだが、その前に出来れば同じくらいの出来を後半でするか、前半にいれ続けるなら着氷が流れるようにするべきだろう。四大陸を見る限りいきなり加点付きの四回転が安定してはいるようには見えない。そこで減点を受けても少しでも点数を取り戻せるようにより稼げるようにしたいところだ。
平均基礎点に対し105.68%、基礎点に対し105.43%、堅実に獲得している結果だ。
・3Lz 6/6 成功率100%
基礎点 GOE 減点 合計
ネーベルホルン杯 6.60 1.40 0 8.00
Sアメリカ 6.60 0.80 0 7.40
ロステレコム 6.60 0.60 0 7.20
全米選手権 6.60 1.90 0 8.50
世界選手権 6.60 1.30 0 7.90
国別対抗戦 6.60 0.30 0 6.90
平均 6.60 1.05 0 7.65
音楽に合わせて片手を上げて飛ぶ3Lzは今季全て成功。安定した得点源であるといえるが単独ジャンプなので正直もう少しGOEが欲しいところではある。着氷が流れたらと思うが上から落ちるようなタイプなのでなかなか難しい。
出来高は115.91と高いものになっている。
・4T 0/1 成功率0%
基礎点 GOE 減点 合計
四大陸選手権 4.10 -2.10 0 2.00 (DG両足着氷)
飛ぶ前から成功イメージがなかった.おそらく本人も転倒だけはしないと言うつもりで飛んだのだろう。
これを見る限りとても四回転は入りそうもないが来季は入れると公言しているので経過を見守りたい。
出来高は平均に対して48.78%、基礎点からは19.42%、ダウングレードではやはり低い結果だ。
.ステップからのジャンプ総計(3Lzと4Tの計) 6/7 成功率85.72%
基礎点 GOE 合計
6.243 0.60 6.843
4Tがダウングレードであるから数値が下がるのは仕方ない。あとはブラウンとその陣営がどう戦略を練るかだろう。
四回転がないと言うことで一番大きいのは実際GOE加点だろう。3Aはトップ選手なら誰でも入れるので考えないことにして、四回転と三回転ではGOE係数が違う。成功率が低い四回転だとGOEのマイナスも多くなり安定した三回転を入れた方がましという場合もあるがトップ選手の場合決まれば加点2以上というケースが多くなってくるとその差を埋めることがほぼ無理となってしまう。
今季はシーズン全体を通して四回転持ちが安定していなかったためブラウンも上位に食い込んできたが来季はどうなるかわからない。今のトップとその次と目されている選手はほぼブラウンと同世代である。自ら勝ちに行く為にはやはり四回転は必要だろう。
ただ現時点でそれをブラウンに進めるかというと上記の数字を見る限り私としては首を振りたい。三回転の成功率は高いがGOEは決して多いとはいえない。あれだけつなぎを入れてジャンプに工夫してそして成功率が高くてこのGOEでは挑戦によって失うものの方が多く見える。
あくまでこれは2014-15シーズンの結果を見ての意見であるからこのオフシーズンでブラウンがどんな練習を積みどう進化してくるのか楽しみに待つことにしたい。