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2014-15シーズンジャンプ成功率―――M.コフトゥン/SP編

2年連続ロシアチャンピオン、マキシム・コフトゥンの2014-15シーズンSPジャンプ成功率を見る。

 

コフトゥンの出場試合は中国杯/エリックB/GPF/ロシア選手権/欧州選手権/世界選手権/国別対抗戦の7試合だが、ロシア選手権ではプロトコルが掲載されていないためそれを除いた6試合で計算する。(あとで掲載するヴォロノフも同じ)

 

予定構成
4S+3T 4T // 3A = 34.25(中国杯のみ)
4S+3T 4T 3A = 33.40(中国杯/国別以外)
4S 3Lz+3T 3A = 29.10(国別のみ)

 

国別の構成は本来4S+3T 3Lzであったと思うが一応3Lz+3Tコンビネーションが成功しているのでこれで計算する。
GOE0以上は中国杯2・エリックB1・GPF0・欧州選手権1・世界選手権1・国別対抗戦1の計6回


功率は6/18=33.33%

ケヴィン・レイノルズが参戦しなかった今季構成上最も高かったのがコフトゥンであったが成功率はトップ選手の中で低かったといえる。本人は四回転の成功率は誰よりも高いと言っているが、SPにおいては着氷すれば成功というわけではない。もう少しルールを精査する必要があるといえる。


・4S+3T 3/5 成功率60%


         基礎点    GOE  減点   合計
中 国 杯    14.60   0.00  0  14.60  
エリックB  11.80   0.86  0  12.66  (2nd2T)
G P F  14.60  -1.00  0  13.60   (SO)
欧州選手権  10.50  -2.86  0   7.64  (両手付きコンボ抜)
世界選手権  14.60   1.43  0  16.03
 平均    13.22 -0.314  0 12.906


四回転が回りきれるようになったこととセカンド3Tがコンスタントに入るようになったのが今季の成長であるコフトゥン。四回転を全て失敗なしというのはなかなか難しいことであるのでまずまずの数字ではないだろうか。4Sの成功率は確かに良かったと思う。

平均基礎点から97.62%、元の基礎点から88.40%。


・3Lz+3T 1/1 成功率100%

         基礎点    GOE  減点    合計

国別対抗戦  10.10   0.90  0   11.00


4Sの着氷不良からのリカバリであったと思うが今季一度も飛んでなかったであろうコンビネーションをよく決めた。出来高は108.91%。


・コンビネーションジャンプ総計(4S+3Tと3Lz+3Tの計) 4/6 成功率66.67%

  基礎点    GOE     合計
 12.70 -0.112 12.588

 

リカバリが良かったため大きく点数を損なうことがなかった。コンビネーションはSPにおいては重要な得点源であるので点数は確保しておきたい。


・4S 0/1 成功率0%


         基礎点    GOE  減点    合計

国別対抗戦  10.50  -2.00  0    8.50  (SO)


本来はコンビネーション失敗で計上すべきだがリカバリを上手くこなしたので単独ジャンプとして計算する。コフトゥンは上から落ちるタイプのジャンパーなので着氷時スピードが落ちるところが気になる。出来高は80.95%。


・4T 1/5 成功率20%


         基礎点    GOE  減点   合計
中 国 杯    10.30   0.43  0  10.73  
エリックB  10.30  -3.00 -1   6.30  (転倒)
G P F  10.30  -0.29  0  10.01   (要素抜け)
欧州選手権  10.30  -2.00  0   8.30  (お手付き)
世界選手権   0.00   0.00  0   0.00   (2Tノーカウント)
 平均     8.24 -0.972 -0.2  7.068


本来は成功率0と言っていい。単独ジャンプはステップから飛ばなければならないルールだがコフトゥンは明らかに要素を満たしていない。
ただそれを抜いても今季は4Tの成功率が低かった。世界選手権のノーカウントはかわいそうではあったがそれがなかったとしても四回転を跳んでいる割にあまり有効的な得点源になっているとは言いがたかった。

平均基礎点から出来高85.77%、基礎点から68.62%とあまりいいといえない数字だ。


・ステップからのジャンプ総計(4Sと4Tの計) 1/6 成功率16.67%

  基礎点    GOE   減点   合計
 8.617 -1.143 -0.167 7.307

 

四回転を跳ぶより三回転で加点をもらった方がいいかもしれない。失敗のイメージが強いとPCSにも響いてくる。GPFで得点が低かったことを指摘しているコメントがあったが低いことを嘆くよりどうしたら高くなるのか考えた方が賢明だといえる。


・3A 1/6 成功率16.67%

        基礎点    GOE   減点   合計
中 国 杯    3.63  -1.21   0   2.42   (2AOT) 
エリックB  8.50  -3.00  -1   4.50   (転倒)
G P F  8.50  -1.00   0   7.50    (OT)
欧州選手権  8.50   1.00   0   9.50 
世界選手権  0.00   0.00   0   0.00    (1Aノーカウント)
国別対抗戦  6.00  -3.00  -1   2.00   (UR転倒)
 平均   5.855 -1.202 -0.333   4.32

 

今季とにかく良くなかったSPでの3A。昨季までどちらかと言えば3Aは得意なイメージがあったが今季は3S程度しか稼げていない。
ステップは今季だいぶ成長したがスピンはいまいちなコフトゥンがジャンプで稼げないと得点が伸びない。3Aにミスが多く出るなら2クワドの旨味はほとんど無くなる。
来季は構成を下げても確実に点数を獲得できる構成にした方がいいかもしれない。

平均基礎点から73.78%、基礎点からは50.82%と半分ほどしか獲得できなかった。

 


今の男子シングルSPジャンプで最も成功させなければいけないのは3Aだと思う。四回転は三回転を安定させた選手がさらなる高得点を求めて挑戦するものだ。
まず3Aを確実に着氷すること。ステップからの四回転が難しいならコンビネーションで飛んで、単独ジャンプは要素をきちんと入れた三回転から跳べばいい。ステップを抜いて四回転を着氷しても要素抜けでマイナスになるだけだ。それでも三回転より点数が高いからなんて甘い考えで行けばジェイソン・ブラウンとのPCSはますます離れていくだろう。
自分がやりたいことしかしない偏った構成のままで行けばジュニアから上がってくる有望選手にジャッジの期待は移っていくだけだ。そうなる前に改善を求めたい。