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つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

そしてまた階段を上る―――スケートカナダ 男子FS感想

フィギュアスケート パトリック・チャン 羽生結弦 村上大介 ナム・ニューエン

SPの大自爆大会から一夜、FSは非常に見応えのある展開になった

第一グループからジャンプを決めて自己ベストを更新するなど後半になるにつれて徐々に何か起こるかも?と期待というか不安というか何とも言えない興奮がライスト前の私にわき起こっていました。そして6分間、第一滑走である羽生の走りすぎとも思える早急なアップに「落ち着け~無茶すんな~」とPC前で言っている私を見たらおそらく皆「お前が落ち着けよ」と突っ込みを入れたと思います

そんなわけで全ての滑走が終わり順位が確定したときにはもう私はへろへろ状態・・疲れ切ってしまい考えをまとめることも出来ずにダウン

それでも後々のために3日経ちましたがFSの感想を書いておきます

 

丸1日経った頃浮き上がってきたのはそれぞれの積み重ねが見えた試合だったな、ということだった

チャンは若くしてシニアに上がりスケーティングの良さで早くからトップ選手と目された選手だった。順位は高かったが一方で「手がひとで」等と言われたことがあるほど表現力が課題だったと思う。何を滑っても同じ、そういう印象が強かった。しかしこの復帰戦を見てもうそう言われることは無いだろう、とはっきりと認識できた。踊り心と言われると正直ないと思う。だがその卓越したスケーティングを昇華させた言ってみれば「滑り心」というものが確立されたように見えた。どんな曲にも合うかと言われれば違うだろうしあれがショパンかと言われれば首をかしげるが、少なくともチャンの「僕はこの曲をこう滑りたいんだ。こう見せたいんだ」という気持ちは非常に良く伝わってきた。彼がバレエなどに取り組み表現力を磨いてきた成果がこのFSで一つの形になったと思う。

羽生もまたジュニアタイトル総なめ、シニアにあがりあっという間に頂点に上り詰めた選手だ。シニア1年目から4Tを投入、3シーズン目から4Sをプログラムにいれ始めた。4Tは早くから高確率の成功を誇ったが4Sは年に1、2回何とか着氷程度だった。オリンピックの頃にはコーチにやめる提案をされても意固地に入れ続けた。3シーズン目となった苦難のシーズンようやくクリーンに成功。そして今シーズン2戦で2成功、それも4Tよりも安定してきている。失敗の積み重ねにより新たな武器を確立させてきていることを感じた。

村上は上記の二人から見れば実績がほとんど無い。シニアに上がったものの怪我・手術でなかなか国際大会に出場する機会が無かった。昨年騒然とさせた中国杯後のNHK杯という注目された試合で優勝しようやく認知度が高まった選手だ。しかし全日本FSで初めて最終滑走を経験し自爆、チャンスを失ったかのように思えたが四大陸の出場を得て日本人最上位と言う結果を出した。そして今回SPで1位、FS最終滑走、しかもチャンのすばらしい演技後というとても難しい場面でできる限りの演技を見せた。数少ない経験を着実に力に変えてきていることを実感できた。

個人競技の特に長くその競技を見ている場合の面白みはその選手の成長を感じられることだ。それが進化であったり円熟であったりその選手・その大会においても異なる感覚ではあるがそういう意味では今回のスケートカナダはSPの自爆故に余計面白くなった大会だったと思う

それでは各個人の感想に

 

総合1位 パトリック・チャン 271.14 FS190.33

4回転と3A各1本でここまで得点が出るか、と驚いた。ただジャンプは全てクリーン、GOEが付くのも納得の出来だった。そこまで高難度にしなくても質を磨けば良い点数が出るよ、と多くの選手に可能性を感じさせた演技だったと思う。

PCSについて高過ぎではという意見がでている。私はジャッジでは無いので妥当かどうかはわからないがトータル数字ではこんなものではと言う気がする。項目ごとで見ればSSは多少躓いたように見えたところもあったが正直10点満点でも良いと思う。それくらい別格な印象だ。TRに付いてはソチの頃よりだいぶつなぎが減っているので高くても9点だろう。PEについては間違いなく高得点、9.8位で良いのではと感じる。CCとINについては好みや感覚の違いもあるので9.3~9.5といったところ。それを総合すると95.2になる。今のシステムでなんだかんだと言われやすいのは5項目がある程度連動し常に5角形を保ちすぎているからだ。もう少しそれぞれの項目を分散して判断すればもっとわかりやすくなるのに、といつも思う。そしてその得点を得た選手が悪く言われる理由も無い。ジャッジが高い点数を出しやすいくらいの演技だったと言うこと。

とにかく良いものを見せてもらいました、と言う演技だった。3Aはいつももそうやって飛んで下さい。

 

総合2位 羽生結弦 259.54 FS186.29

4回転3回認定おめでとう!まずは第一関門突破しました。2位に入りGPFが見えたのも良かったです。単純に最後のLzが転倒しなかったらFS1位は取れていたと思います。

ジュニアの頃から羽生を見てますがここ数年ずっと願っていることがSPFSで転倒なしの演技が見たいと言うこと。B級ではあるのですが残念ながら今回も達成できませんでした・・・それだけは残念でした

つなぎが格段に多いせいか昨年のGPFに比べ全てのジャンプが低いことが気になります。GOEが付かず着氷が多少こらえているように見えるのはその辺りが原因では?まだ振付をこなし切れていない感じです。

オータムに比べ振りが変わったステップはレベル3。3連を増やしたことからおそらく後は上体の動き不足といったところか。音楽や世界観にはあった振りだと思うが・・・なかなか難しい。

FCSSpが3なのはLz転倒で時間が足りなくなったため。転倒はこういう影響があるため無理そうだと思ったら2Lzにするとかしても良いのでは?転倒点とスピンのマイナス更にPCSも下がっていることを考えれば、今季は昨季までより転倒の影響は大きいと感じる

 

総合3位 村上大介 252.25 FS171.37

FSの得点の出たときの表情が何とも言えない。不満だったのは間違いない。スケアメで宇野がFSで大きくPCSをあげたことからみてももう少し、と思うのは仕方ないかもしれない。ノーミスFSで上がりきらなかったのはチャンの後だったという影響も合ったと思う。

良い演技だったことは間違いないしできる限りをしたこともわかる。ただ上位に行く為にはやはりスピンとステップはレベルをある程度揃える必要がある。プロトコルを見なくても素人が足りてないなぁと感じるというのはPCSにも影響が無いと言えないだろう。

そしてやはり構成の弱さ。今回SPでセカンド3Loを入れてきたがFSではセカンド3T構成でやはり入らなかった。村上の場合4回転がSなので3回転以上が5種と言うことになってしまう。オールマイティを評価する風潮があるので最も簡単と思われる3Tが入らないのは多少マイナスになっている。構成を可能なら変える検討も必要だ

 

総合4位 アダム・リッポン 239.62 FS159.33

すごい色の頭と何とも言えない衣装の印象が強かったリッポンは地味に4位。でも併せて3回の転倒は・・・4Lzやっている限り減らせないか?

成功したエレメンツにはしっかり加点が付くのでもったいない気がしてならない。

男子選手の中では柔軟性も高く体の線もきれいに出せる、個性も出てる、スケーティングも悪くない、スピンも良い、でもPCS80は転倒が多いせいだと思われる。せめてURレベルならジャッジももう少し考えるだろうけどほとんどダウングレードだからなぁ・・・

それにしてもSPもそうだったがあの謎軸3Aが着氷できるのが不思議だ。飛び方はアメリカンなのに着氷はプルシェンコみたい、不思議

 

総合5位 ナム・ニューエン 238.82 FS162.72

体調が良くなさげでもジャンプは全て着氷。着氷率の高さはそのままBVの高さなんだけどその先が伸ばせない。悪いマイナスはしっかりされても加点は付かない、たまご売りのプロトコルになっている

一番はスピード感のなさが原因だが、安定を保ちながらあげていくのはなかなか難しそう。チャンの復帰した今シーズンは試練の年になりそうです。
SPFSをみると大人アピールとつなぎを増やすことでGOEとPCSをあげようとしている感じだが、ニューエンという見た目若い選手に対して有効かは少し疑問
曲もどちらも難しいので現在のところこなすのがやっとといった風情が見える
4Sは不調で抜いてきたことを考えると無理に構成をあげるより地力をしっかり底上げし時間をかけて上げていく覚悟が必要な感じだ
個人的にはジャンプ前の前傾姿勢が美しくない気がする。せっかくのスピードを殺している印象を受けるので羽生がやっているような肩を水平にする意識をもう少しつけた方が良い

SP4位FS4位で5位なのは羽生が上がったから。1戦目でチャンと羽生に当たってしまったスケカナ組はかなり大変でした。スケアメだったらこの得点で3位になれた

 

総合6位 アレクサンドル・ペトロフ 221.02 FS149.58

ニューエンが4位4位で総合5位だったがペトロフは7位7位で総合6位という・・・順位って面白い
シニア第一戦で全てのジャンプを降り減点はSPの!だけというかなり良い出来だったのでは。まずは実績を作るためか4回転を入れてきませんでしたが好印象を与えるという意味では成功だったでしょう。
ジャンプの質はさすがミーシン門下といった感じ。プルシェンコやトゥクタミシェアを彷彿とさせました。
スピード感はあまりない、ジャンプの安定で勝負というと個性は違うけどロシアのニューエンといった感じ。4回転を入れてからどうなっていくか
スピンについてはもう少し改善が必要かな、レベルもそうだが加点があまり付かない。SPFS共に3つあるスピンは基礎点を稼ぐという意味でも重要な要素だ