つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

新たなシーズンの始まり―――世界選手権感想

1位 フェルナンデス 314.93 FS1位 216.41 TES118.05 PCS98.36

FSで完璧な演技というのは初めてのような気がする。それをここで出来る強さは昨年まではなかったものだ。いかに世界王者のタイトルを持ったことが大きかったのかよくわかる。タイトルが彼を本当の天才にした。
2連覇したことで羽生やチャンの間にあった差は全くなくなった。構成も羽生と差がない現状出来で全てが決まる戦いが来季から始まる。
怪我や靴トラブルがあってもこれが出来たことが更に彼を向上させると思えばメンタルを考えれば羽生の方がむしろ不利かなと思ったりする、その強さを持ってくれたことが本当にうれしい。1強なんてつまらないだけだ。今シーズン全く体型を崩さなかった自覚と自信が彼を本当に王者にしたことを羽生が理解できるかが今後の戦いを占うだろう。
シングル2人目のPCS10点満点を出したがCCとINであると言うことが共感力が高い演技が出来る証明だ。ただ五輪シーズンは今季のようなFSでも良いが来季は楽しい系のプログラムでないものが見たいと思っている。

 

2位 羽生結弦 295.17 FS2位 184.61 TES93.59 PCS92.02

結果は受け止めよう。勝つために計画し実行してきたが本番で出来なかったことを。
結果を知ってから演技を見たので良くないことはわかっていたが、思いの外意外な演技だったことに驚いた。今季のNHK杯まで一度もノーミス出来なかったのに勝ってきたのはミスを後に響かせないことが大きかった。昨年の世界選手権術後体調でも最初の2つの失敗以降は纏めたのに今季は最後までミスが続いた。そのことが「羽生の弱さ」を必要以上に実感させたのだと思う。
私が気になったのはお手つきが2回あったこと。シニアに上がってから羽生のジャンプの失敗は転倒が大半で後は着氷つまりか3Fのエッジくらいしかなかったと思う。他の選手はむしろお手つき・ターンオーバー・ステップアウト・フリーレッグこすりなど転倒よりもこういった小ミスの方が多いことが普通だが羽生は逆だった。これはジャンプを飛ぶ&飛んだ後のメンタルや感覚の違いじゃないのかとこれまでは思ってきた。ジャンプは勢いよく飛ぶ&飛んだら回りきる、それが羽生結弦だと思っていた。
しかし今回のFSは違った。あれっと思ったのは後半のコンボに行く直前一瞬衣装に触ったことだ。コンボに不安があったとコメントしていたがそういうときは些細なことが気になるものかもしれない。それを見て羽生の中で歯車がかみ合っていなかったのだなと実感した。羽生ほどのジャンプの完成度を持っていてもこれほど乱れるのだからいかにフィギュアスケートにメンタルが大きいのかがよくわかる。
これからに必要なことは色々考えて行くだろうが、必要以上に悩まないことも大切かもしれない。今回のフェルナンデスの勝利はある意味の「達観」意識かもしれない。この演技でシーズンが終わると思ったとフェルナンデスは言っていた。こういう外側から物事をとらえられる余裕のような感覚を羽生は学ぶべきかもしれない。追われることを楽しむ余裕を持てることが羽生の言う「絶対王者」への一つの道ではないかと感じた。
それでも3A-3Tを決めたこと、着氷が乱れた3Aからの3連をそれでも飛んだことは羽生らしいと思う。それが「勝ちたい」であったのか「負けたくない」だったのかはわからないがこの意識の持ちようの違いを本人だけは自覚する必要があると思う。
1ファンとして一つだけ要望を出すとするならば同じ四回転ジャンプを2回入れるのならば最初は必ずコンボにして下さい。REPの減点は多い、全日本と今回の失敗とフェルナンデスの演技を見れば些細な基礎点のアドバンテージなどあまり意味がないと感じる。二人の間にもうPCSの差はない。取りこぼしの差が点数を分けるとするならばこういう部分は非常に大きいと感じる。


3位 ボーヤン・ジン 270.99 FS3位 181.13 TES104.99 PCS76.14

四大陸ほど良い演技ではなかったがそれでも高難度を飛びきる能力は素晴らしい。四回転の転倒率は数飛んでいる割に一番低いのではないかとさえ思う。
PCSは今の時点ではあまり期待していないだろうからSP36~40 FS75~80で計算して演技を組み立てていける。怖いのはジャンプ基礎点の減少だけど、飛べなくなるわけじゃないからそれ程影響はないのかもしれない。
初出場で3位はニースの羽生と同じ、2年後の五輪が非常に楽しみになってくる結果だ。


4位 コリャーダ 267.97 FS5位 178.31 TES93.67 PCS84.64

SP6位、FS5位で4位とは多少恵まれた気がするが唯一SPFSノーミスで滑ったという事実は揺るがない。それでもボーヤンを抜けなかったのは上位陣の中で一番構成が低かったから。ジャンプも前半に偏っている。でもクリーンに決めてなんぼの世界であるので戦略として決して間違っていない、今回の結果を見てもよくわかる。ただこれ以上の順位を目指していくのならば構成を上げる必要があると言うだけだ。
ロシアンの割にジャンプ前のタメが少なく着氷も流れる。北米選手よりも柔軟で自在に動かせる肉体を持っている。もう少しスピード感は欲しいがスケーティングも悪くない。安定してくればもっとPCSも出てくるだろう。TESも今回羽生よりも高かった。いかにクリーンが大きいと言うことがよくわかる。
いろいろな音楽に対応できそうな表現力を感じるので来季のプログラムがとても楽しみである。


5位 チャン 266.75 FS8位 171.91 TES79.31 PCS92.60

まさかのFS8位で5位まで順位が落ちた。3抜けではTESが出ないのでこれは仕方ないというしかない。
氷の状態が明らかに悪く滑りにくかったことはよくわかった。リンクも狭かったし最終滑走だったこともかなり気の毒ではあった。
ただ抜けはあったが演技としてはそれ程崩れたと言う印象でなかったことが羽生よりPCSが高かったのかもしれない。
それでも演技後オリンピックまで続ける的なコメントを見たのがうれしかった。カナダはニューエンやレイノルズが不安定なのでチャンが居ないと枠も心配だ。
そして高難度化が進む昨今、滑りの良さの勝ちを見せつける選手も必要だろう。是非「おまえらその構成全部飛べなきゃ俺が勝つからな!」的なプレッシャーを与え続けて欲しいと願っている。


6位 リッポン 264.44 FS4位 178.72 TES93.08 PCS85.64

URはとられましたが4Lz着氷出来て良かった。アメリカの選手は本当にアメリカでは強いなぁと言う印象です。ただ思ったより点数が伸びなかったなぁと思ったら得意のスピンで取りこぼしていました。3位から7位までは僅差であったのでちょっともったいなかった。FSで180出てたら印象もだいぶ変わると思います。
シーズン中髪も衣装も頻繁に色が変わっていましたが結果的に一番無難な感じに落ち着いた気がする。最近男子でも割と柔軟性の高い選手が出てきているがリッポンの柔らかさはちょっと違う。なんと言うがゴムのような伸びというか・・・とにかく人とは違う見せ方をする選手なので後は安定させて表彰台を脅かして欲しい


7位 宇野昌磨 265.25 FS6位 173.51 TES87.93 PCS86.58

申し訳なく思うが私の宇野の予想順位は8位でした。だから結果を見たとき結構良かったじゃん、とむしろ思ってしまった。実際プロトコルを見ても4Tだけが問題だったみたいだしPCSも4番目に出ている。シニア1年目では非常に良い成績だったと思います。
ただ一つ言うと全日本からFSで4Tが一度も試合で成功していません。GPFまではむしろFSの方が安定していた気がしますがどうしてそうなったのは宇野陣営は理解できているのか?全日本の頃からやたら煽りで4Sだとか4Loと言った話題が頻繁に出てくるようになりました。そのことと無関係なのでしょうか?
比較するわけではないですが羽生も4Tを取り入れだした最初の2年はほどほどの出来でした。そこから4Sを安定させるのに3シーズン費やしました。それが許されたのは高い4Tの成功率があったからだ。宇野はそこまで完成された4Tを飛べていたのでしょうか?
宇野が今まず必要なことはつなぎを増やして高難度が飛べるかではないでしょうか?複数のつなぎからでも4Tを成功させられるそこから次へ進むものではないでしょうか?
激しい転倒からそれでも3Aを着氷する強さを魅せたことは素晴らしいです。ただどこがトゥーランドットだったのかな~とシーズン通して感じてしまいました。表現力の高い評価の選手になりたいとコメントしていましたが、その辺りが少し残念に思うシーズンでした。


羽生はTESもPCSも3位以下という結果は非常に悔しいと思います。しかし印象としてはもっと悪い演技であったと思いました。どちらかと言えばそちらの方が問題だと思います。
アメリカの選手は上位に食い込めなかったが非常に良い印象を残しました。これは来季につながっていきます。案外この「印象」こそが一番大切だとkamiyannは思ったりします。その辺りマイナスイメージをどう払拭するのかまずはそこが来季への課題になるのではないでしょうか?
そしてコフトゥンとハン・ヤン・・・コフトゥンもコリャーダと同じく初ワールドで4位でした。ハン・ヤンは7位だったかな?二人とも年々順位を落としているのが非常に問題です。まずはどこかでビシッとSPFSを纏める必要があります。二人ともTCC出場の可能性があるのでもし出るならばその辺りのイメージの払拭を願いたい。
そしてビチェンコさん、残念ながら13位でイスラエル1枠に。昨年ならこの得点で10位になれたのですが本当にレベルが高くなりました。FSは非常に良かったのでSPが本当に残念です。
今回は第3グループまでの下位の選手に良い演技が多かったです。足きり寸前だったマルティネス君、2枠を諦めてはいないビチェンコさん、地元雨勢ホクスタイン・アーロン・リッポン、他にはラトデニ君など非常に見応えがあったと思います。普段なかなか見れない選手が見れるのがワールドなんだからBSで良いから全選手放送してくれないかな。ネットの小さい画面じゃなくテレビの大画面で見たいの。

今シーズンのベスト演技はフェルナンデスのワールドFSになりました。
これで2015-16シーズンは終わり(TCCがまだあるけどお祭りだから・・・)新しいシーズンがまた楽しみですが、ひとまずはゆっくり今シーズンを振り返りたいです。
それにしてもこれでまた来季のスケカナでチャンVS羽生の可能性が結構出てきてしまいました。羽生は北米では勝てないが定着しそうなのでどうなるか(煽ってどうするって感じですが)
それでも羽生、一度頭をすっきりさせることが必要だと思うよ。勉強と練習、ストイックな生活も必要かもしれないけど追っかけは居ても監視されているわけじゃないから多少自由に動いてみる必要もあるような気がします。
宇野はまだ試合があるので練習漬けでしょうが気持ちを切り替えて頑張って下さい。
3枠獲得お疲れ様でした。


そして今シーズン頑張った全ての選手達にお疲れ様でしたとありがとうございましたと伝えたいです。