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つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

戦略と実行

2016-17 フィギュアスケート 羽生結弦 無良崇人 宇野昌磨 ハビエル・フェルナンデス パトリック・チャン ボーヤン・ジン ジェイソン・ブラウン ネイサン・チェン

女子シングルの場合五輪の表彰台はそれまでの強豪選手より五輪本番で良い演技をした選手が上るケースが良くある。
しかし男子シングルの場合、五輪表彰台特に金と銀はそのシーズン以前にある程度実績が伴っていないと取れないと言う過去があることがよく知られている。そういう意味で言えば昨季までの結果として五輪表彰台候補はフェルナンデス・羽生・ボーヤン・チャンかなと言う気がする。
そこに割って入りたいメンバーは今シーズンに彼らに匹敵する実績を作る必要がある。GPS3戦終えた現在その可能性がありそうなのはすでにファイナル出場を確定させた宇野、4回転がクリーンに入れば高得点が出る気配のジェイソンかなという印象だ。更に第4戦に登場するネイサン・チェンが4種クワドを確実に決め2位以上を確保できれば加わってくる可能性が高い。
五輪前年シーズンは表彰台候補をある程度予想させる大事なシーズン。ここまでの各選手の戦略と現実を纏めてみる。

 

CSやGPSを見た中で有力選手達の戦略は大きく分けて2つに別れる

①構成を変えない組
②構成を上げた組

 

そしてそれぞれの組も幾つか細かく分かれている。
①構成を変えない組
 (1)構成を上げないで完成度・表現力を上げるよ組
 (2)構成を上げないで弱点を減らすよ組

 

①-(1)組の代表選手は現世界王者ハビエル・フェルナンデスだろう。この戦略でいられるには大きな条件が必要になる。一つは確立された実績、二つ目は決して現状でも低すぎない構成、更に大きな弱点がないこと。
フェルナンデスはこの3条件を完璧に満たせている。それ故に失敗を少なくし確実に高得点をとり続けられれば評価も下がらないでいられる。ある意味ではソチ前のチャンと同じような立場ではある。チャンの結果を見ればそれで大丈夫かと思わずにいられない部分はあるが、年齢的な問題もある。大きな怪我をするリスクを鑑みれば現状通りというのは悪くない策だろう。五輪金ではなく表彰台ならば十分だと言える。実際昨季からロステレコム杯まで公式戦FSで200点以上をとり続けている訳で結果を十二分に出している。強い王者のイメージ・貫禄を保っていると言える。

この組の他の選手ではアダム・リッポンも入ると思うが現状安定して4回転を決められていないことで二つ目が満たせていない。更に国際戦の実績も今のところ数年前の四大陸しかないのでちょっと弱い。大きな弱点はない選手ではあるが表彰台候補には現状では難しいという印象だ。

 

①-(2)組の代表選手はボーヤン・ジンだ。ボーヤンは構成についてはすでに最高ランクであり、四大陸及び世界選手権のメダルという実績も持っている。ただ上位選手としてはPCSが高くないと言う大きな弱点を持っている。その為今季は構成を上げずにPCSを高める戦略できた。スケーティングをよくして表現力を上げる。つなぎを増やしGOEを稼げるようにする。ローリーという高名な振り付け師の指導を受けることで弱点を底上げする作戦できた。
GPSの初戦では大きな武器である4回転の失敗が多くその為PCSも伸びまでは行かなかった。しかし失敗が多くても昨季並みに出たのはスケーティングが良くなっている印象は受けたためだろう。現状としてはまだ滑り込みが出来ていないことが見て取れるため安定まではまだまだ時間がかかる印象がある。今季は2つとも新プログラムにした弊害も出ている。(元々ボーヤンは持ち越しが多い選手だ)
ただおそらく来季どちらかは持ち越しするだろうからある程度この問題は解消するだろうし、ジャンプさえまとめれば確実にPCSは上がると予想できる。年内は厳しいかもしれないが年明けや来季を見据えたというならば決して悪くない戦略だ。五輪表彰台の脅威の一人として日本選手達の壁になりそうだ。


②構成を上げた組
 (1)FSだけ構成を上げるよ組
 (2)SP・FS共に構成を上げるよ組

②-(1)の代表選手はパトリック・チャン無良崇人田中刑事・ミハイル・コリャーダなど数多くの選手が上げられる。
この組は更にプログラムを持ち越した組と新プログラムを作ったよ組にに分かれてくる(チャン・田中・コリャーダが前者、無良が後者)。更に構成上げが今まで跳んでいた4回転の回数を増やした組と新4回転を増やした組でも分かれる。(前者が田中、後者がチャンと無良)
ただどちらにしてもこの組に入る選手はチャンを除き昨季までの構成では表彰台に上ることすら難しくなるため上げざるを得なかったと言う選手だ。その為上げた構成が現状安定していないし上げたことで他のジャンプにも影響が出ているケースがほとんどだ。
各国ナショナルまでにそれを安定させ年明けのチャンピオンシップで有効策にできるかで五輪表彰台候補に名乗りを上げることが出来るだろう。
ただ一人、過去の実績が高く現状スケーティング世界一と認識されているチャンだけは4Sの確率さえ上げれば高評価が維持できるが、若手のPCSがガンガン上がるこの時勢ではなかなか厳しい。FSで4T4S3Aの5本を確実に決めて若手を押さえられるかどうかワールドの結果が大きく来季に関わりそうだ。

 

②-(2)組も更に細かく分かれる。持ち越しプロ組かどうか、構成上げが新4回転を含むかどうか、更には完成度を高めるor弱点はともかくガンガン行くぞ組かどうか・・・


難度で分けるとこんな感じの印象だ。
ⅰ4回転を増やすよ(入れるも含む)組 代表選手 ジェイソン・ブラウン(持越プロ) グラント・ホクスタイン・ミーシャ・ジー(新プロ)等
ⅱ新種4回転を入れてガンガン構成を上げるよ組 代表選手 ネイサン・チャン・宇野昌磨(新プロ)等
ⅲ新種4回転を入れて完成度も求めるよ組 代表選手 羽生結弦(新プロ)

 

ブラウンは今のところまだ4回転の成功がない。そして新たに4S投入を考えていると言う情報もある。相反する話ではあるが元々4回転がなくても4回転を跳ぶ選手の上位に近いPCSを出していたので安定して入れば十分に表彰台候補にはなれそうだ。尤も安定して入れられればという仮定の下の話なのでまずは確実な成功が求められる現状は変わりない。ただある程度失敗が許されるのは高PCSが保てるだけのエレメンツの質の良さという基礎力の高さがある。その辺りがホクスタインをはじめとする昨季すでに4回転を成功している選手と違う部分だ。ジェイソンの場合非常にジャッジに期待されていることがわかる点数が出ていることが強みだ。
PCSが現状SPで40を超えない選手の場合、4回転を増やして成功してもそこまで強い選手という評価を受けにくい現状がある。スピンステップのレベルを落としやすい選手、スケーティングがいまいちな選手は同時にその弱点も改善する必要がある。今季その評価を大きく上げているという印象の選手は今のところ居ない。時間がかかる部分ではあるので五輪メダル候補としては元々その素養がある選手に絞られてしまうのかもしれない。


ⅱの選手の一人である宇野は現時点では好調だ。新4回転である4Fも着氷だけならまずまずでPCSも伸びている。ネイサンはGPS登場がまだであるので現状の評価は見て取れない。ただジュニア時代の実績を見ればボーヤンよりもPCSは出ているので成功率が高ければ点数は出るかもと言う期待もある。ただし現時点ではこの二人はとりあえずガンガン構成を上げることに邁進しているため実際に有効か手段かは今シーズンが終わってみないと判明しない。特に宇野については日本のマスコミがものすごく煽っているが、過去の日本選手が男子女子にかかわらずGPSでの評価が高く表彰台の常連である割にチャンピオンシップで点数を下げ入賞止まりになるという結果を見ているだけに何とも言えない部分が多い。成功率が同レベルであった場合突っ込みどころの有無で点数が分かれる傾向があるためだ。現状ではネイサンはともかく宇野はまだ平昌五輪の表彰台候補にはなっていないと思っている。


ⅲの代表選手である羽生は現状色々と苦労している。元々持っている能力は高いがフィジカルに問題が多い選手だ。その為に今シーズンはずいぶん出遅れている。AC・スケカナと2戦見たが明らかに滑り込みが足りていない。原因の一番は練習を詰めるほどのフィジカルが整っていない為だろう。ただそのレベルであってもFSで4回転を2本決め他のジャンプをクリーン飛べる強さを持っている。現構成を今季中に完成させられるかは不明ではあるが、2シーズン掛ければ可能だろうと感じさせられる。何よりロステレコム杯をみて330点を出すということがどれほど難しいことか実感した人は多いのではないか。羽生より構成が高い選手であってもこれを超えることは並みではない、そう思う限り羽生の評価は下がらないと感じる。

 

過去実績からGPS・GPFで受けた評価が確定の評価ではないということが良くある。特にフィギュア強豪国であり国内戦が厳しい日本・ロシア・アメリカなどの選手の場合、違う6戦に出て受けた点数がそのまま生きるケースはほとんどない。
GPSは得点ではなく順位点のみで判断するべきだと私は思っています。スケカナの羽生よりロステレの宇野が点数が良かった、そのことにほとんど意味はありません。宇野のPBが以前より良くなった、ただそれだけの事象です。
マスコミは面白おかしくかき立てることが仕事なのでその文面に載せられてはいけない。GPSで何勝もしても国内戦で勝てずにチャンピオンシップにいけないと言うケースもあるのですから。必要なのはチャンピオンシップで高順位を確保する強さ、それだけです。その強さの保証は今のところ宇野にはない。今季にはそれが出来ると良いねと期待するのは良いですがそれは現在語ることではないのです。

 

いろいろな戦略を選手ごとに立てて実行している。今季一番成果を上げているのは現時点でフェルナンデスであることは確かだろう。更にフェルナンデスは国内戦に苦労しないというアドバンテージがあることも大きい。ロステレコムの成功で余裕を持てたという心情的成功も大きい。
その他の選手の成果は今のところ判断できない、データ集め段階と言えます。宇野はPBを上げてファイナル確定しましたが今のところ一度もノーミスがない。それだけでもフェルナンデスと大きな差がある。その意味が理解できないと昨季の四大陸やワールドの二の舞をすることになるでしょう。
とにかく今週末にはフランス杯でネイサン・チャンが初登場する。来週にはボーヤンとチャンが今季初対決をする。その次は羽生・ブラウン・ネイサンが当たりファイナル出場者が決まる。その結果と点数の出方を検討したい。

 

演技の映像を見ながらふむふむとプロトコルを検討する。時間さえあれば楽しい時期なのですが残念ながら忙しすぎて追いつくのが大変な状態です。どの選手が今季台頭するか、確変を起こす選手が登場するか。ベテランが若手の芽を摘み取るのか。

多くの選手がいい演技をしてシーズンを盛り上げてくれることを期待しながら睡眠不足と闘っていきたいと思っています。