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つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

REPの呪い

ロステレコム杯の逆転劇から1日、今こんなことを考えています。

 

羽生はこの逆転劇を検証しただろうか?
宇野はこの敗北の原因を理解したのだろうか?

 

一般の方は宇野がコケてフェルナンデスがミスらなかったから逆転されたと思うかもしれないがスケートファンはそうではないことを理解している。つまりフェルナンデスが勝ったのは戦略が当たったから。宇野が負けたのはリスク管理ができなかったからというのが今回の真実という側面だ。
実際1コケのみの減点であったなら宇野が勝っていたはずの試合だった。SPで7点もの差があったわけだから。そうならなかったのは宇野自らの戦略ミスが大きかったからだ。

 

転倒は確かに大きなミスだ。4回転の転倒はトータル5点問答無用で減点される。しかしSPの段階で宇野は7点ほどアドバンテージがあったのだから本来なら吸収できたはずだった。それなのに逆に8点もの差をつけられて負けた。それは何故か?

 

1.2回目の4Tを転倒しREPの減点を発生させた。
2.上記のリカバリができなかった。

この2点が宇野の敗北の本当の理由だ。

 

REPの減点を簡単に説明する。
3回転以上の同じジャンプを2回飛ぶ場合一方をコンビネーションにしなくてはいけないというルールがある。だが転倒や着氷不良などで2回とも単発になった場合REPとして扱われ基礎点が減額(0.7掛け)になるという違反規定があるのだ。
宇野はFSで4Tを2回飛んでいる。一度目が単発4Tで2度目がコンボの予定になっていたが転倒してしまった。そのため2回とも単発になってしまいその減点を受けることになったのだ。
転倒でGOEが-4に転倒減点-1、更にREPで-3.4加わりまず8.4点失ったわけだ。加えて予定されたコンボが入らずセカンドジャンプの基礎点を失ったことでマイナスを膨らませた。(-1.43点)トータルで宇野はあの1回の転倒で10点近い点数を失ったわけだ。

 

ただし今のルールはそれをリカバリできることになっている。
実際スケートカナダのFSでケヴィン・レイノルズがREPを受けたがその分のコンボを別のジャンプにつけてマイナスを最小限にしている。


しかしながら宇野はその処理をしなかった。いや、できなかったといっていい。何故ならリカバリできるジャンプが3Sと3Lzしかなく、この2つとも宇野にとっては苦手なジャンプであったためだ。


そもそもなぜ宇野が2回目の4Tで転倒したかというとその前に原因がある。直前の3Aが単発になったためだ。実はここも元々3A+3Tのコンボが入っていた。着氷がいまいちで単発になったためおそらくこの3Tを4Tにつける考えがよぎったのだろう。そのためただでさえ決して成功率が高くない4Tが転倒になってしまい、結果的にセカンド3Tとセカンド2T分の基礎点も失ったわけだ。
3Aの単発、4Tの転倒、リカバリなし、この3つの事象により宇野は14.56点もの点数を失った、これが今回の敗北の真実だ。


転倒だけならマイナス5点のはずが15点近くも失い、7点あったはずの点差を失い逆に8点差つけられて敗北したわけだ。逆に言えば転倒ジャンプがREPでなくリカバリできていれば宇野が勝っていた試合だった。

 

一方でフェルナンデスは2回飛ぶジャンプの1回目を確実にコンボにした。セカンド3Tが2Tになって2点ほど失ったがREPを起こすようなリスクは侵さなかった。

 

宇野の何が悪かったかといえば最初の4Tをコンボにしなかったことだろう。実際最初の4Tはコンボにできる着氷だったからそこにつけておけば2度目の4Tを転倒してもREPのマイナス3.4点はなかった。
ついでにリカバリしなければいけないコンボも1つで済んだわけで得点の損失を最小限にできたわけだ。もう一つ苦手な3Sと3Lzのどちらかを前半にしてまだ得意な方の3Loを後半に入れておけばリカバリできたかもしれない。
3Loを前半にしたのはあわよくば4Loを入れたいという思惑だろう。だとしたら猶更4Tコンボは1回目にするべきであり3Sや3Lzにコンボをつける練習をする必要がある。
上手くいったら高得点、というのは確かに魅力ではある。しかし2Tを後半にしたって0.13しか基礎点は増えないのだ。REPを食らえば3.4減ることを考えれば無理して買うほどの効果はないといえる。


戦略とはただ旨みを多く得るだけのために立てるものではない。いかに効率よくいかにリスクを減らし効果を得るか考えるものだ。
旨みの少ないリスクばかりが高くリカバリできない構成は絵に描いた餅に等しいということをこのロステレコム杯の敗北から学べるだろうか?とフェルナンデスと宇野の映像とプロトコルを眺めながらため息をついている。

 


そしてもう一人REPの危険性が高い選手がいる。すでに以前記事に書いたが羽生結弦だ。今回の宇野の敗北を見てやっぱり羽生も検討しないかなとちょっと考えている。


ただ羽生については多少はリスク管理したんだな、と読み取れる部分はあるのだ。少なくとも宇野よりも。

 

羽生は昨季2回REPを食らっている。全日本選手権とワールドだ。2回とも2回目の4回転をミスりそのリカバリができなかった。全日本は他選手もミスったため問題なかったがワールドでは見事にフェルナンデスにまくられた。


だからできれば今シーズン2回入れる4回転の1回目をコンボにしてほしかったが、残念ながらそれは今季もされなかった。時間的にも最初の4Sの後すぐスピンに入るためコンボはつけられない。ただ今シーズンのプログラムはREPは食らってもリカバリできるようには作ってあるのだ。


先シーズンのプログラム、REPのあとリカバリできるのは3Loだけだった。3Lzは直後にスピンがあったため不可能な使用だった。ついでに3Loもそのまま3Lzの助走につながるのでしたくてもしにくい構成で結果的にできなかったわけだ。


しかし今シーズンのプログラムで4Sコンボの後に入る4Tと3Lzの後ろには2Tなら入れられそうな余裕が作ってある。もちろん着氷の仕方次第ではあるが4Tも3Lzもコンボにした経験があるのでする必要があればタイミング的にできるだろう。その間だけでもリスク管理はできていると考えられる。

 ただそれでも今回のロステレコム杯を見てもう一段階リスク対応してくれないかなと思うわけだ。


具体的にどうするかというと2つ目に飛ぶ単独4Sと5番目の4Tを交換する、という方策だ。そうすれば今の位置にある4Sコンボは1回目の4Sになる。たとえここでつけられなくても次の4Sでリカバリできるかもしれない。ついでにもう一つのリスクに対応できるというメリットもある。


4Tは羽生にとって最も高確率な4回転ではあるが、抜けた場合3回転になることがある。現状の構成の場合4S+3Tコンボが上手くいき次の4Tが抜けて3Tになった場合、その後の3Aコンボ2連発の一方を変更する必要が出てくる。その場合どうするか……とっさに対応できるか非常に心配だ。
その点2番目に飛んでおけば仮に3Tに抜けた場合、4Sコンボのセカンドを2Tにするだけで良くなる。構成は下がるが損失は最低限で済むわけだ。

4Sと4Tを入れ替えれば基礎点も若干高くなるという旨みもある。成功率の問題もあるが検討してみる価値はないかなと思っている。

 

REPは怖い。4回転の旨みはほぼなくなる。ワールドでもロステレコムでもそれを感じた。REPの呪いが羽生にも宇野にも二度と降りかからないことを願ってやまない。