つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

世界選手権2017年 男子シングルSPデータ

2017年のワールドは平昌五輪を占う重要な大会だった。事前にフジテレビがライブ放送するなど珍しい発表があったりして非常に楽しみにしていたのだが私にとってはあまりにも時期が悪い大会となってしまった。
月末月初は仕方ないにしろ工場監査と税務署監査予定が重なった。それだけでも大変だったのにワールド開催期間中に突然同僚が辞める(切られた)ことになってしまってその煽りをもろに受けてしまった。
結局ライブで見れたのは女子SPの最終グループと男子SPの後半3グループ、そしてフェルナンデスのFSの残り1分ちょいだけ。録画も失敗してしまってさんざんだった。一応男子SPはリアルで感想を書いていたが上げる時間も取れず時期を逃してしまったのでとりあえずもう良いかなとまとめの方に切り替えることにした。実際女子シングルは未だに前半グループを見ておらず、ワールドを落ち着いて振り返る前に国別が始まってしまいそうな現状です。


   
<ジャンプ獲得点数上位>
              基礎点  GOE  計    減点
  1位 フェルナデス  34.45  8.72  43.17
  2位 ボーヤン・ジン 37.73  4.14  41.87
  3位 宇野 昌磨   36.25  5.14  41.39
  4位 N・チェン   39.55   -0.29     39.26  -1(38.26)
  5位 P・チャン   29.70  5.83     35.53
  6位 コリャーダ   29.70  4.50     34.20
  7位 レイノルズ   33.60  0.44     34.04
  8位 羽生 結弦   31.85  1.14     32.99 
  9位 B・ケリー   29.95  2.59     32.54
10位 ビチェンコ     29.36  2.84   32.20
11位 コフトゥン   34.45   -1.42   33.03  -1(32.03)   

 

羽生には減点があるがレイトスタートが原因なのでこの項目からは外した。
1位の数字は昨季より微妙に下がっている(昨季は羽生で43.31)がそれ以下の数字は格段に今季は上がっている。それはやはり基礎点が上がっていることが大きい。昨季はベスト10で基礎点30を超えていたのは4人だったが今季は6人となり更にネイサンに至ってはほぼ40という高基礎点となっている。あまりに高すぎて転倒1回してもノーミスの選手を上回ってしまうと言うのはSPとしてはどうなんだと思ってしまうところではあるがルール上それは仕方ないのかもしれない。
それにしてもコンボ抜けで-4の減点を受けたのにGOEがプラスになるというのが羽生のすごいところ。決まったジャンプの質の良さでは羽生そしてフェルナンデスは抜き出ていると言う印象がある結果となっている。


<スピン得点上位10人>
           基礎点 GOE  合計
  1位 J・ブラウン   9.7  3.50  13.20  
  2位 羽生 結弦    9.7  3.35  13.05
  3位 P・チャン    9.3  3.28  12.58
  4位 S・ウォーカー    9.7  2.65  12.35
  5位 宇野 昌磨    9.7  2.57  12.27
  5位 コリャーダ    9.7  2.57  12.27
  7位 ヴァシリエフス  9.7  2.28  11.98
  8位 N・チェン    9.3  2.36  11.66
  9位 フェルナンデス  9.4  2.22  11.62
10位 ボーヤン・ジン  9.7  1.78  11.48

 

SP落ちのウォーカーが4位に入っていることが素晴らしい。と言うかSP落ちの6選手中スピンALLレベル4は4人もいた。これは素晴らしい結果。どうしてもジャンプが飛べる選手が上位に来る傾向があるがジャンプ以外のエレメンツもやはり大事である。GOEがなかなかつかなくてもレベルは必要要件さえ満たせば獲得できるのだからしっかりとっておきたいもの。下位の選手でもそれが出来るほどレベルは上がってきているのだろう。ミニマムを入れた意味がある結果なのかもしれない。
実はスピンも1位は昨季より下がっているがそれ以下は昨季より上がってきている。SPの場合ジャンプがノーミスの場合こういうところで差がつくことになる。FS滑走順にも影響を与えるため基礎点を取りこぼさずGOEを少しでも稼ぐことが大切だ。そういう意識が選手にしっかりあるから全体的に数字が上がってきているのだろう。

 

<ステップ得点上位10人>
            基礎点  GOE  合計
1位 P・チャン     3.90  2.10  6.00
1位 フェルナンデス   3.90  2.10  6.00
1位 羽生 結弦     3.90  2.10  6.00
4位 デニス・テン    3.90  1.80  5.70
5位 J・ブラウン    3.90  1.70  5.60
6位 宇野 昌磨     3.90  1.60  5.50
7位 ヴァシリエフス   3.90  1.40  5.30
7位 ミーシャ・ジー   3.90  1.40  5.30
9位 ボーヤン・ジン   3.30  1.00  4.30
9位 N・チェン     3.30  1.00  4.30
9位 コリャーダ     3.30  1.00  4.30
9位 A・マヨロフ    3.30  1.00  4.30

 

レベル4が8人、3が17人、2が4人、1が1人という結果は昨季とあまり変わらない。
ただトップはレベル4GOE満点が3人も出るハイレベルな争いとなった。シーズン冒頭はなかなかレベルが取れないがここまで来るとしっかり攻略してくるところが上位選手であると言うことだろう。
それにしてもボーヤンとネイサンは本当にスピンステップでは差がないことがよくわかる。選手の個性としては似ていないが数字上では似た選手になってしまうことが面白い。

 

<TES上位10人>
             ジャンプ  スピン  ステップ  計          減点
  1位 フェルナンデス 43.17   11.62    6.00  60.79
  2位 宇野 昌磨   41.39  12.27  5.50  59.16
  3位 ボーヤン・ジン 41.87  11.48  4.30  57.65
  4位 N・チェン   39.26  11.66  4.30  55.22    -1(実質54.22)
  5位 P・チャン   35.53  12.58  6.00  54.11
  6位 羽生 結弦   32.99  32.99  6.00  52.04  -1(実質51.04)
  7位 M・コリャーダ 34.20  34.20  4.30  50.77
  8位 レイノルズ   34.04  10.21  4.23  48.48
  9位 J・ブラウン  29.20  13.20  5.60  48.00
10位 B・ケリー   32.54  11.20  3.87  47.61
11位 M・コフトゥン 33.03  11.41  4.01  48.45  -1(実質47.45)

 

なんと7位までTES50超えというハイスコアの試合だった。ワールドは結構自爆というか転倒などの大きなミスがつきものだが全体的に転倒は少なく上位は基礎点とノーミス度の差で決まった感じだ。
それでも今季の6強はしっかり上位をキープしているところがさすがだと言える。羽生はある意味コンボ抜けという転倒以上のマイナスを受けながらもこの位置がキープできたことがFS逆転できた要因になっただろう。
この中ではあえて4回転を無しで纏めたブラウンが異質だ。最終滑走で点数が出やすかったこともあるが質が良いと言うことが実は大切であると言うことがよくわかる結果だと言える。ジャンプが3つしか無いSPなら博打的確率の4回転を入れるより完成度の高さで勝負する意味がまだあると言える。ある意味では正しいSPの活用法なのかもしれない。


<GOE獲得上位10人>
                 ジャンプ  スピン  ステップ   計
  1位 フェルナンデス  8.72   2.22  2.10  13.04 
  2位 P・チャン    5.83   3.28  2.10  11.21
  3位 J・ブラウン   4.50   3.50  1.70   9.70  
  3位 宇野 昌磨    5.14   2.57  1.60   9.31
  5位 M・コリャーダ  4.50   2.57  1.00   8.07
  6位 ボーヤン・ジン  4.14   1.78  1.00   6.92
  7位 羽生 結弦    1.14   3.35  2.10   6.59    
  8位 ヴァシリエフス  2.14   2.28  1.40   5.82 
  9位 B・ケリー    2.59   1.50  0.57   4.66
10位 ビチェンコ    2.84   0.86  0.86   4.56

 

GOEの上位にビチェンコが入っているのがうれしい驚き、あまりGOEが付かないタイプだと思っていたから。年を重ねて質が良くなるというのは素晴らしいことです。
それでも1位と10位で8.5点ほどGOEで点差がつく結果に。これは3Aの基礎点に近いわけだから大きなボーナスだと感じる。フェルナンデスとチャンという構成を上げなかった二人が最もGOEを獲得したわけでSPにおいては基礎点が高いことが即有利というわけでは無いという結果となった。
基本ジャンプにミスが無かった人がSPの場合この部門で上位に来るのだがコンボ抜けでGOE-3だった羽生が入ってしまうことが実施エレメンツの質の良さを示している。


<PCS上位10人>
              SS  TR   PE CC IN  計
  1位 フェルナンデス  9.43 9.36 9.79 9.75 9.93 48.26    
  2位 P・チャン    9.71 9.46 9.64 9.57 9.64 48.02     
  3位 羽生 結弦    9.50 9.21 9.57 9.50 9.57 47.35  
  4位 宇野 昌磨    9.21 8.96 9.21 9.07 9.25 45.70 
  5位 J・ブラウン   8.96 8.96 9.07 9.00 9.11 45.10  
  6位 N・チェン    8.64 8.43 8.61 8.68 8.75 43.11
  7位 デニス・テン   8.64 8.21 8.64 8.46 8.64 42.59
  8位 M・コリャーダ  8.57 8.29 8.61 8.43 8.61 42.51   
  9位 M・コフトゥン  8.54 8.18 8.36 8.39 8.46 41.93
10位 ボーヤン・ジン  8.25 7.96 8.46 8.07 8.25 40.99

 

数字を眺めていると色々考えたくなるPCS。とりあえず面白いと思ったのがミスのあったネイサンの方がジャンプを纏めたテンやコリャーダより高かったこと。
そしてPCS3強は羽生がフェルナンデスのSSを除いて他の二人に全ての項目負けていること。ノーミスとそうで無いことの差だろう。ある意味妥当だと言える。そしてフェルナンデスとチャンは前半2項目がチャン、後半3項目がフェルナンデスといったようにはっきりと二人の持ち味が別れる点数の付き方になっている。
高難度をノーミスしたボーヤンが10位に入ってきたがPEが一番高い辺り素直にPCSを出し切れないジャッジの心情が見える気がする。それでも四大陸に続き公式戦で40を超えてきたので上位選手との差は少なくなってきている。スケーティングを向上した成果が評価されたのだろう。今季上位6強の中ではまだ下だがチャンピオンシップで良い演技をしたことでその差は縮まっていると感じる。