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つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

競技者と表現者の狭間で―――ミーシャ・ジー

2016-17 フィギュアスケート ミーシャ・ジー

ミーシャ・ジーという選手はかなり昔から知っていた。ただkamiyann的にはあまり関心のない選手だった。EXではハチャメチャに動き目立っていたが試合ではいまいち、特にエレメンツの質が低いことが原因だった。
しかし3シーズン前からその傾向がガラッと変わる。回転が緩み勝ちで着氷がいまいちだったジャンプもしっかり回るようになった。スピンもステップもきちんとルールに対応して行うようになった。その上で自分の個性を出すことは変わらなかった。意識が変わるとこんなに上手くなるものなんだ、ととても感心したことを覚えている。
EXの盛り上げ役としても様々な情報の発信者としても人気者だった。今シーズンに入っては振付師としても実績も作っている。怪我や年齢更には資金難などの問題でワールドは今回で最後ということだが、枠も持っているのでぜひ五輪というフィギュアスケート最大位の大会まで引退を伸ばしてほしい。

 

オータムC   総合2位 230.55 SP2位 79.52 FS3位 151.03
Sカナダ    総合6位 226.07 SP7位 72.30 FS5位 153.77
フランス杯   総合7位 229.06 SP8位 72.49 FS6位 156.57
四大陸選手権  総合7位 239.41 SP8位  81.85 FS8位 157.56
冬季アジア   総合6位 233.93 SP8位 76.18 FS5位 157.75 
世界選手権   総合12位 243.45 SP16位   79.91 FS10位 163.54
平均       総合  233.745  SP平均 77.042 FS平均 156.703

230点を超えると中堅クラスという印象がある。各試合の点数を見ても平均を見ても十分その結果を出してきている。これを上回るにはやはり4回転が必要になってくる。今季冒頭は入れてきたが成功はできなかった。怪我の影響もあり後半は外してきたが演技としてはまとまり印象が良くなったので無理してまで入れなくてもいいと感じた。4回転が飛び交う中ではなかなか点が伸ばせないジレンマを感じるだろうが個性を出す必要を見せる選手も必要だ。そういう意味でも安定した成績を出し続けるジーという選手は重要な人物だと感じる。


<ジャンプ>
SP  

         
        基礎点    GOE  減点    合計
オータムC  30.13  -2.08  0   28.05  
Sカナダ   24.13  -2.50 -1   20.63
フランス杯  26.40  -6.04 -1   19.36
四大陸選手権 24.63   0.97  0   25.60
冬季アジア  23.33  -2.10  0   21.23
世界選手権  24.63  -0.47  0   24.16
平均    25.542 -2.037 -0.333  23.172 

ジャンプについてはどうしてもGOEがマイナスになってしまう傾向がある。もともとジャンプが得意な選手ではないので仕方ない部分ではある。後半は4回転を抜いてきたので基礎点は下がったが全体としては安定してきた。GOEがつくタイプのジャンプではないため基礎点を確実に稼ぐ方が有効だと感じる選手だ。


FS 
        
        基礎点    GOE  減点    合計
オータムC  55.67 -0.86  0   54.81
Sカナダ   57.72 -2.37  0   55.35
フランス杯  59.70 -1.34 -1   57.36  
四大陸選手権 59.43  3.10  0   62.53
冬季アジア  54.73  2.94  0   57.67
世界選手権  59.43  4.02  0   63.45
平均     57.78 0.915 -0.167 58.528

kamiyann的にはジャンプ前の腕や肩の位置と着氷そのものは好みではない選手だ。しかし着氷後の腕の使い方は非常にいい選手だと思う。旧採点時代のユーロ選手はジーのようにびしっと腕を伸ばすことが多かったが昨今あまりいなくなってしまった。体操ほどしっかりする必要はないがそれでもエレメンツを行いましたというアピールは試合なのであった方がいいのではと思うことはある。ジーの肩から手の先まで伸ばす腕は美しいと感じる。

FSについては前半と後半のGOE差が経過をはっきり示している。4回転を入れるか入れないか、である。怪我のためだったようだがジーのやりたかった綺麗な音楽に合わせた美しい演技には4回転は必要なかったように感じる。点数的にも入れない方が大幅に伸びている。


<スピン>
SP
        基礎点   GOE    合計
オータムC   9.3  1.20  10.50  レベル4 2回 レベル3 1回
Sケナダ    9.3  1.43  10.73  レベル4 2回 レベル3 1回
フランス杯   9.3  1.29  10.59  レベル4 2回 レベル3 1回
四大陸選手権  8.8  2.57  11.37  レベル4 1回 レベル3 2回
冬季アジア   9.3  1.90  11.20  レベル4 2回 レベル3 1回
世界選手権   9.3  2.00  11.30  レベル4 2回 レベル3 1回
平均     9.02 2.388 11.408

 キャメルとシット両方でなかなか4が取れなかった。もともとそれほど得意という選手ではないのでシーズンとしては後半の方が点数が伸びているのでこれくらいとれればいいのかもしれない。

 

FS
        基礎点   GOE   合計
オータムC   8.9  1.80  10.70  レベル4 1回  レベル3 2回
Sカナダ    8.9  1.57  10.47  レベル4 1回  レベル3 2回
フランス杯   9.3  1.64  10.94  レベル4 2回  レベル3 1回
四大陸選手権  8.4  1.71  10.11  ALLレベル3
冬季アジア   9.3  2.00  11.30  レベル4 2回  レベル3 1回
世界選手権   9.7  1.79  11.49  ALLレベル4
平均    9.083 1.752 10.835

レベル4がラストで揃ったことがぐっとくる。SPよりも安定しなかったがそれでも後半に行くほど点数が伸びていることがわかる。

 

<ステップ>
SP
        基礎点   GOE   合計
オータムC   3.9  1.12  5.02  レベル4 
Sカナダ    3.3  0.86  4.16  レベル3
フランス杯   3.3  1.07  4.37  レベル3
四大陸選手権  3.9  1.40  5.30  レベル4
冬季アジア   3.9  1.40  5.30  レベル4
世界選手権   3.9  1.40  5.30  レベル4
平均      3.7 1.208 4.908

ステップは得意分野だ。PCS3強やブラウンからみてしまうと控えめに見れるが総得点が230レベルの選手の中にあってはかなりいい数字であるといえる。レベル4を安定して取れているところがルールをきちんと理解した振付師としては信用が置けるという評価になるだろう。


FS
        基礎点   GOE   合計
オータムC   5.3  2.52  7.82  レベル3
Sカナダ    5.3  2.79  8.09  レベル3 
フランス杯   5.3  3.03  8.33  レベル3
四大陸選手権  5.9  2.10  8.00  レベル4
冬季アジア   5.9  3.08  8.98  レベル4
世界選手権   5.9  2.90  8.80  レベル4
平均      5.6 2.737 8.337

ジーのステップの面白いところは全般的にコレオの方がGOEが高い傾向にあるところだ。うまい選手はもちろんどちらも高GOEを取るが、案外似たような数字になる。ジーの場合は明らかにコレオの方が秀でていることが珍しい。近年レベルを取ることに重点が置かれコレオが流し気味に見える選手が増えてきたのでジーのようなコレオで魅せる選手は貴重だと感じる。 

 

<TES計>
SP  
        基礎点   GOE  減点    合計
オータムC  43.33  0.24  0   43.57  
Sカナダ   36.73 -0.21 -1   35.52
フランス杯  39.00 -3.68 -1   34.32
四大陸選手権 37.33  4.94 -1   41.27
冬季アジア  36.53  1.20  0   37.73
世界選手権  37.83  2.93  0   40.76
平均    38.458 0.903 -0.5   38.861

TESはどうしてもジャンプの成否で左右されてしまう。ジャンプの苦手な選手はなかなか上位に入れない厳しい時代ではある。それでも予定構成の基礎点と稼げる部分でGOEを確実に得ることで着実に積み重ねていくしかない。4回転のない選手はよりその傾向が高まる。4回転を抜いてTESが安定したことは評価に値すると感じる。


FS
        基礎点    GOE  減点    合計
オータムC  69.87  3.46  0   73.33
Sカナダ   71.92  1.99  0   73.91  
フランス杯  74.30  3.33 -1   76.63
四大陸選手権 73.73  6.91  0   80.64
冬季アジア  69.93  8.02  0   77.95
世界選手権  75.03  8.71  0   83.74
平均    72.463 5.403 -0.166   77.70 

4回転を入れた時よりなくしたほうが得点としては高くなった。もちろん滑り込みができてレベルを安定させた影響もあるが、自分が決めた構成を確実にこなしたことが大きい。世界選手権のプロトコルはマイナスのない美しいものとなった。引退覚悟の試合でこれを見せた価値は高いと思う。

 

<PCS>
SP
       SS  TR  PE  CC  IN  合計
オータムC  7.15  6.90  7.20  7.35  7.35  35.95
Sカナダ   7.46  7.00  7.43  7.43  7.46  36.78 
フランス杯  7.57  7.36  7.64  7.71  7.89  38.17 
四大陸選手権 7.96  7.79  8.29  8.18  8.36  40.58
冬季アジア  7.60  7.40  7.70  7.85  7.90  38.45
世界選手権  7.79  7.57  7.86  7.89  8.04  39.15
平均      7.588  7.366   7.687   7.735  7.833   38.180

SPは5項目が案外平均的な数字になっている。あまり他の選手と変わりない傾向。

 

FS
       SS  TR  PE  CC  IN  合計
オータムC  7.70  7.10  7.95  7.90  8.20  77.70
Sカナダ   7.75  7.50  8.21  8.18  8.29  79.86
フランス杯  7.79  7.61  8.14  8.11  8.32  79.94 
四大陸選手権 7.68  7.46  7.75  7.71  7.86  76.92
冬季アジア  7.90  7.55  8.10  8.10  8.25  79.80
世界選手権  7.79  7.61  8.14  8.00  8.36  79.80
平均      7.768   7.472  8.048  8.00   8.213   79.003

FSはSPに比べると5項目にばらつきを感じる。ただ数字の出方としてはフェルナンデスタイプの後半3項目が高いタイプ。FSの方がばらつきが出るのは時間とエレメンツが多い分SPよりも魅せるということができる点にあるのかもしれない。

 

<来季に向けて>

ワールドで五輪枠を確保した。一方振付のお仕事も順調だという情報も入っている。振付て終わりというものでもないので練習時間や環境などの問題もあるだろう。しかしフィギュア選手にとってやはり五輪は大切な試合なので持ち越しプロでもいいので何とか頑張ってくれないかと思う。若い選手が4回転を飛ぶことに注視する傾向が強いだけにジーのような選手がいる意味は大きいはず。来季もその姿が見られることを願っている。