つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

蜘蛛男は笑顔で飛ぶ―――ボーヤン・ジン

女子シングルは本命よりその時良かった選手が五輪金メダルを取ることが多いが、男子シングルはある程度実績がある選手が五輪を制してきている。そういう意味では2年連続ワールド表彰台に上ったことで金メダル有力候補になったと言える。シーズン冒頭はジャンプが安定せずに心配したが終わってみれば非常に安定した成績を出している結果となった。
シーズン開始前にはかなり心配していたローリーとの相性がかなり良くSPFS共に好印象を残した。SPは持越と言うことでランを減らしもう少し密度を上げたらかなり評価が上がりそうな印象がある。来季のさらなる躍進が非常に楽しみな選手だ。
 
 
Sアメリカ   総合5位 245.08 SP8位 72.93 FS4位 172.15
中 国 杯   総合2位 278.54 SP1位 96.17 FS2位 182.37
四大陸選手権  総合5位 267.51 SP4位  91.33 FS5位 176.18
アジア大会   総合2位 280.08 SP1位 92.86 FS2位 187.22
世界選手権   総合3位 303.58 SP4位 98.64 FS3位 204.94 
国別対抗戦           272.61 SP3位 97.98 FS7位 174.63
平均       総合   274.567 SP平均  91.652 FS平均 182.915
 
2016-17シーズンで高難度ながらSPFSノーミスで揃えた今季唯一の選手となった。
シーズン冒頭は身長が伸び上半身のバランスも変わりジャンプが安定しないのかと心配したが後半に行くにつれしっかりGOEが取れるものに調整してきた。いつもにこにこ笑顔ながらしっかりやることをやってきている手強い選手になったなぁと感じる。
先日2015年GPFを久々に振り返ったが体型や所作がものすごく変わっていて驚いた。是非ローリーにしごかれて更なるスケーティングの向上を図ってまた驚かせて欲しい。
 
<ジャンプ>
SP  4Lz+3T 3A // 4T =37.73
         
         基礎点     GOE   減点    合計
  
Sアメリカ   33.43  -10.14 -2   21.29
中 国 杯   37.73    3.86  0   41.59
四大陸選手権  37.73   -1.97  0   35.76
アジア大会   37.73   -1.52  0   36.21
世界選手権   37.73    4.14  0   41.87
国別対抗戦   37.73    1.55  0   39.28
平均     37.013   -0.68 -0.333  36.00  
 
Sアメリカでは2転倒で非常に心配した。昨季から高難度挑戦の割に転倒が少ない選手だったからだ。その後もなかなか得点源の4Lzコンボが綺麗に決まらず苦労したが結果的にSアメリカのGOEマイナスが大きすぎるだけで基礎点はしっかり取ってきたことがわかる。
体型変化もほぼ終わったようだしSPは持越なので来季はシーズン開始から大暴れしそうな予感がする結果だ。
 
FS 4Lz 4S 3A+Lo+3S // 4T+2T 4T 3Lz+3T 3A 3F = 88.1
        
         基礎点     GOE  減点    合計
Sアメリカ   85.47  -6.41 -1   78.06
中 国 杯   85.57   1.52 -1   86.09  
四大陸選手権  91.58  -7.89 -2   81.69
アジア大会   78.90   4.98  0   83.88
世界選手権   88.10  10.94  0   99.04
国別対抗戦   77.09  -3.34  0   73.75
平均     84.452 -0.033 -0.667 83.752
 
四大陸のみ4Loに挑戦した。上手くいかなかったことでその後すっぱりと止めたことはクレバーだと感じる。入れなくても十分高難度なのでワールドでしっかり纏め評価を安定させた。
国別はシーズン終了後ということでおいておいても四回転で抜けが少ないというのは大きいなと基礎点を見て思う。大抵の選手はその位のTESを得るのにも苦労しているというのに・・・
4Lzの質については今のところ世界最高だと思うので4Tも同じレベルになると更に怖い存在になりそうだ。
 
<スピン>
SP
        基礎点   GOE     合計
Sアメリカ   9.3  1.21  10.51  レベル4 2回 レベル3 1回
中 国 杯   9.3  1.43  10.73  レベル4 2回 レベル3 1回
四大陸選手権  8.9  1.50  10.40  レベル4 2回 レベル3 1回
アジア大会   9.7  1.90  11.60  ALLレベル4
世界選手権   9.7  1.78  11.48  ALLレベル4
国別対抗戦   9.7  1.64  11.34  ALLレベル4
平均    9.433 1.577  11.01
 
シーズン後半にしっかりレベルを揃えてきていることは評価できる。GOEについても昨年よりは獲得できるようになってきている。
それ程上手いと感じる選手では無いが、しっかり回るという意識は持てているので割と好感が持てる。シーズン冒頭のポジション不足も持越プロならば来季には心配なさそう。

FS
        基礎点   GOE    合計
Sアメリカ   8.3  0.79   9.09  レベル4 1回 レベル3 2回
中 国 杯   8.7  1.28   9.98  レベル4 2回 レベル3 1回
四大陸選手権  9.3  1.22  10.52  レベル4 2回 レベル3 1回
アジア大会   9.7  1.90  11.60  ALLレベル4
世界選手権   9.7  2.00  11.70  ALLレベル4
国別対抗戦   9.7  1.93  11.63  ALLレベル4
平均    9.233  1.52 10.753
 
SPよりは多少取りこぼしているがそれでも後半しっかり纏めてきているしGOEも付いてきている。
FSはおそらく新プロになると思うのでこの位のGOEとレベルが取れればボーヤンとしてはまずまずなのかもしれない。

<ステップ>
SP
        基礎点   GOE   合計
 
Sアメリカ   3.3  0.79  4.09  レベル3
中 国 杯   3.9  0.80  4.70  レベル4
四大陸選手権  3.9  1.20  5.10  レベル4
アジア大会   3.3  1.00  4.30  レベル3
世界選手権   3.3  1.00  4.30  レベル3
国別対抗戦   3.9  1.60  5.50  レベル4
平均      3.6 1.065 4.665
 
プロが個性にあって盛り上がることもありGOEも昨季よりは延びている。多少せわしく詰め込みすぎている感じもするのでローリーがもう少し調整してくれないかなとは思う。ラストのハイドロが「スパイダーマーーーン」のところで大きくやるともっと効果的だと思う。
ただ昨季より格段に滑るようになっているので見応えが上がっている。動いている感が減っていることは素晴らしい。それでもチャンやブラウンに挟まれてしまうとまだまだな印象を受けるのでその辺りは継続的に強化して欲しい。
 
FS
        基礎点   GOE   合計
Sアメリカ   5.3  1.70  7.00  レベル3 
中 国 杯   5.9  1.60  7.50  レベル4
四大陸選手権  5.3  1.23  6.53  レベル3
アジア大会   5.9  2.24  8.14  レベル4
世界選手権   5.9  2.30  8.20  レベル4
国別対抗戦   5.3  1.81  7.11  レベル3
平均      5.6 1.813 7.413
 
昨季より平均が1点近く上がっている。レベル4が取れるようになってきていることが大きい。レベルが取れればGOE比率も上がるので今後もその傾向を続けて欲しい。
個人的には前半のコレオはともかく後半のステップが割と下を向いていることが多いのが気になる。苦しい時間なのはわかるが顔を上げて姿勢よく頑張って欲しい。

<TES計>
SP  
        基礎点   GOE  減点    合計
 
Sアメリカ  46.03 -8.14 -2   35.89
中 国 杯  50.93  6.09  0   57.02
四大陸選手権 50.53  0.73  0   51.26
アジア大会  50.73  1.38  0   52.11
世界選手権  50.73  6.92  0   57.65
国別対抗戦  51.33  4.79  0   56.12
平均    50.047 1.962 -0.333 51.675
 
序盤の取りこぼしが大きすぎて昨季より平均は落としている。スピンステップのレベルが揃ったのが国別だけだったことがもったいない。ただ来季は持越ならレベル取りは安定しそう。2年連続表彰台と言うことでトップ選手としての認識は高まっている。是非五輪での台風の目となって欲しい。

FS
         基礎点    GOE  減点     合計
Sアメリカ   99.07 -3.92 -1    94.15  
中 国 杯  100.17  4.40 -1   103.57
四大陸選手権 106.18 -5.44 -2    98.74
アジア大会   94.50  9.12  0   103.62
世界選手権  103.70 15.24  0   118.94
国別対抗戦   92.09  0.40  0    92.49
平均     99.285  3.30 -0.667 101.918 
 
抜けとかコンボ無しとかで昨季より基礎点は落としているが獲得点としては上がっている結果に。序盤の転倒のマイナスがあってそれならば十分なシーズンだったろう。
体型もしっかりして大人の体つきになりスケートも力強さが感じられる。話題としてはネイサンや宇野に隠れてしまった感はあるが単純なジャンプの質としては二人より上だと感じるので世界選手権の4Lzの様な質を常に見せられるようにして欲しい。
 
<PCS>
SP
        SS  TR  PE  CC  IN  合計
Sアメリカ   7.57  7.07  7.32  7.54  7.54  37.04
中 国 杯   7.79  7.46  8.11  7.93  7.86  39.15
四大陸選手権  8.18  7.68  8.21  7.93  8.07  40.07
アジア大会   8.20  8.00  8.10  8.20  8.25  40.75
世界選手権   8.25  7.96  8.46  8.07  8.25  40.99
国別対抗戦   8.36  8.04  8.64  8.32  8.50  41.86
平均       8.058  7.702  8.14   7.998   8.078   39.977
 
ワールドの表彰台に上ったにしてはシーズン冒頭は厳しかった。どうも北米はボーヤンをあまり評価したくない傾向があるようでネイサンや宇野のように一気に上がると言うことは無かったが後半になるにつれ伸びていることがわかる。
平均でほぼ40と昨季より1.5点ほども上がっている。地道な努力が実を結んでいると感じる。後はつなぎ、クロスはそれ程でも無いがランは非常に目につくのでその辺りもう少し工夫をしたいところだ。

FS
        SS  TR  PE  CC  IN  合計
Sアメリカ   7.82  7.39  7.93  7.93  7.93  78.00
中 国 杯   7.86  7.54  8.07  7.93  8.00  78.80 
四大陸選手権  8.04  7.43  7.64  7.82  7.79  77.44
アジア大会   8.45  8.15  8.45  8.30  8.45  83.60
世界選手権   8.71  8.36  8.68  8.64  8.61  86.00
国別対抗戦   8.43  8.00  8.11  8.32  8.21  82.14
平均       8.218  7.812   8.147  8.157   8.165   80.997
 
SPよりも更に渋さを感じたPCSだが結果的に平均80を超えたので実績がついてきたのだと感じる。印象としてはPEが高かったのだが結果的にSSだったことが面白い。滑りが良くなったことがそれでも評価されているのだろう。
ローリーの振付がボーヤンに合っていることも良かった。来季はどういう選曲になるかわからないがたぶんわかりやすい世界観の音楽が合っていると思う。下手な王道よりボーヤンの素直さや純朴さをアピールした方が良いと考える。

<来季に向けて>
来季もローリー振付だと思うので是非ボーヤンの個性を引き出すものであって欲しいと願っている。スケーティングの強化とともにローリーにはぜひ引き出し中を捌くって頑張って欲しい。
4Loについては入れる必要が有るか微妙だが、ネイサンと争うことになると難度の問題になりそうなので入れそうな予感はする。ただ入れる場所については検討した方が良いとは感じる。
大人の体型でしっかりジャンプを安定させてきたことで今季よりプログラムに工夫が出来ると思う。つなぎとステップでの姿勢の強化を頑張って欲しい。