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つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

それでも旅は続く―――パトリック・チャン

2014-15シーズンに休養して翌シーズンから戻ってきたときにおそらくここまでの高難度化は予想していなかったと思われる。ボーヤンの登場はセンセーショナルではあったがジャンプ以外の部分は弱かったのでまだそれ程の脅威は無かったはずだ。
しかしながらネイサンを身近で認識し羽生が更に構成を上げてきていることからソチシーズンでも行わなかった構成上げを敢行した。昨季後半から3Aを2回にし今季は4Sを投入してきた。おそらく来季にはSPも2クワドにしてくるだろう。
年齢がフィギュア選手の中では高いチャンにとってなかなか体力的に難しい部分ではあるが更に進化しようとする姿勢は評価したい。この高難度時代にあるからこそそのスケーティングの良さはもっと評価されるべきだと思うからだ。
 
フィンランディアT   総合2位 248.73 SP3位 84.59 FS2位 164.14
Sカナダ    総合1位 266.95 SP1位 90.56 FS2位 176.39
中 国 杯   総合1位 279.72 SP3位 83.41 FS1位 196.31
G P F   総合5位 266.75 SP2位 99.76 FS5位 166.99
四大陸選手権  総合4位 267.98 SP5位 88.46 FS4位 179.52
世界選手権   総合5位 295.16 SP3位 102.13 FS5位 193.03 
国別対抗戦          276.47 SP6位 85.73 FS3位 190.74
平均       総合    271.68 SP平均  90.663 FS平均  181.017
 
平均してしまうと1試合平均7クワドのネイサンと4クワドのチャンの獲得点が8点ほどしか無いという面白い数字マジックが見れる。これだけ見ると下手に4回転増やさなくても良いかもと思ってしまうが、多種4回転はネイサンだけでは無いのでやはり良いときのGOE差で埋められる程度の構成にしておきたくなる。
昨シーズンはSPで出遅れてFSで盛り返すという試合が多かったが今季はSPを纏めPBも出せた。FS高難度構成になるとやはり体力的に厳しそうなので来季上位をキープするためにはやはりSPで上位にとどまり滑走順をなるべく後にしてGOEとPCSを出しやすくする必要がある。ただおそらく2種クワドにしてくるためそれが可能かは現時点では未知数だ。
 

<ジャンプ>
SP  4T+3T 3A // 3Lz =29.70
         
         基礎点      GOE   減点    合計
フィンランディアT   30.13   -6.10  -1   23.03  
Sカナダ    29.70   -0.70  -1   28.00
中 国 杯   23.10   -1.60   0   21.50
G P F   29.70    4.54   0   34.24
四大陸選手権  27.83   -3.11  -1   23.72
世界選手権   29.70    5.83   0   35.53
国別対抗戦   25.49   -2.94  -1   21.55
平均      27.95  -0.583 -0.571  26.796 
 
今季は昨季のような3Lz抜けは無くその分ある程度は確実に基礎点を稼いだ。ただそれ程高難度では無い割に半分転倒があるというのは今の状況では厳しい。
4Tが4S練習の影響からか割とミスが出たのが基礎点を下回ってしまった大きな原因。そして3A、決まると綺麗なんだけど確実というわけでは無いのがやはり不安要素となっている。

 
FS 
        
         基礎点     GOE  減点    合計
フィンランディアT   56.42  -0.66 -1   54.76 
Sカナダ    61.10   3.14 -1   63.24
中 国 杯   77.16   6.59 -1   82.75  
G P F   62.03  -4.09 -4   53.94
四大陸選手権  70.53  -3.10 -2   65.43
世界選手権   72.05   5.29  0   77.34
国別対抗戦   67.04   6.10  0   73.14
平均     66.619  1.896 -1.286 67.229
 
成功ジャンプにはGOEがつきやすいが、転倒が多いとなかなか点数は伸びない。
今季から投入した4SはGPF以降はかなりの確率で入れることが出来た。決まればGOEが付くので大きな武器になる。一方で昨季から継続して後半の4回転の成功率が低い。3Aもなかなか2本ともクリーンに決められないのが現状だ。無理に前半3後半5にせずにネイサンのように前半ジャンプ多め後半滑りで見せる方式にしても良いのではと思う。少なくともネイサンよりは滑りに見応えがある分評価はされやすいと思う。
 

<スピン>
SP
        基礎点   GOE     合計
フィンランディアT   9.3  2.92  12.22  レベル4 2回 レベル3 1回
Sカナダ    9.2  3.13  12.33  レベル4 2回 レベル3 1回
中 国 杯   9.7  3.21  12.91  ALLレベル4
G P F   9.3  3.42  12.72  レベル4 2回 レベル3 1回
四大陸選手権  9.7  3.28  12.98  ALLレベル4
世界選手権   9.3  3.28  12.58  レベル4 2回 レベル3 1回
国別対抗戦   9.7  3.00  12.70  ALLレベル4
平均    9.457 3.177 12.634
 
計算していて感心したのがスピン。稼ぎどころであることはわかっていたがここまで良かったんだと驚いた。これを上回れるのはブラウンと羽生・宇野くらいじゃないのか?
レベルはちょくちょく落としているが、平均12.5以上は素晴らしい数字だ。

FS
        基礎点   GOE    合計
フィンランディアT   9.3  2.84  12.14  レベル4 2回 レベル3 1回
Sカナダ    9.7  2.93  12.63  ALLレベル4
中 国 杯   9.3  3.00  12.30  レベル4 2回 レベル3 1回
G P F   9.3  3.07  12.37  レベル4 2回 レベル3 1回
四大陸選手権  9.3  2.71  12.01  レベル4 2回 レベル3 1回
世界選手権   9.2  2.07  11.27  レベル4 2回 レベル3 1回
国別対抗戦   9.7  2.86  12.56  ALLレベル4
平均      9.4 2.783 12.183
 
FSのスピンも非常に良い得点だ。ただシーズン後半に来てラストのコンビネーションのGOEが低めになった。体力的に厳しかったのだろう。
確実の稼げるポイントなのであと一踏ん張り頑張りたいところだ。
 
 
<ステップ>
SP
        基礎点   GOE   合計
フィンランディアT   3.9  1.52  5.42  レベル4
Sカナダ    3.3  1.43  4.73  レベル3
中 国 杯   3.3  1.21  4.51  レベル3
G P F   3.9  1.80  5.70  レベル4
四大陸選手権  3.9  2.10  6.00  レベル4
世界選手権   3.9  2.10  6.00  レベル4
国別対抗戦   3.9  1.90  5.80  レベル4
平均    3.729 1.723 5.452
 
ステップはチャンの最大の見せ場であるがレベルを落としている分フェルナンデスには及ばなかった・レベルで係数が変わる分GOEも低くなってしまう。
満点の回数はフェルナンデスと同じ2回。フェルナンデスが格好良さとかフラメンコらしい動きを楽しむのに対してチャンは純粋に滑りの気持ちよさを楽しむエレメンツとなっている。チャンの魅力が最も感じられるのがステップだと思う。
 
FS
        基礎点   GOE   合計
フィンランディナT   5.9  3.26  9.16  レベル4
Sカナダ    5.9  3.50  9.40  レベル4 
中 国 杯   5.3  2.96  8.26  レベル3
G P F   5.9  4.00  9.90  レベル4
四大陸選手権  5.9  3.60  9.50  レベル4
世界選手権   5.9  3.60  9.50  レベル4
国別対抗戦   5.9  4.00  9.90  レベル4
平均    5.814  3.56 9.374
 
FSステップはフェルナンデスよりも高くなっている。レベルも中国杯以外は取れている。コレオもStSqも非常に高い。なのでむしろ満点が出なかったことが残念でならない。ステップ合計10点越えを来季期待したい。

<TES計>
SP  
        基礎点   GOE  減点    合計
フィンランディアT  43.33 -1.66 -1   40.67 
Sカナダ   42.20  3.86 -1   45.06
中 国 杯  36.10  2.82  0   38.92
G P F  42.90  9.76  0   52.66
四大陸選手権 41.43  2.27 -1   42.70
世界選手権  42.90 11.21  0   54.11
国別対抗戦  39.09  1.96 -1   40.05
平均    41.136 4.316 -0.571 44.881
 
転倒が半数合ったためどうしてもGOEが伸びなかった。ノーミスであれば世界選手権のようにGOE10点以上稼ぐ質の良さの持ち主なのでジャンプの成功率を上げるようなプログラムを組んだ方が良いのかもしれない。
来季は2種クワドにするようだがもしそうならば3ジャンプ全て前半でも良いかもしれない。ジャンプについては基礎点確保、スピンステップで稼げばチャンならば十分上位にこれると思う。
 
FS
         基礎点    GOE  減点     合計
フィンランディアT   71.62  5.44 -1    76.06
Sカナダ    76.70  9.57 -1    85.27  
中 国 杯   91.76 12.55 -1   103.31
G P F   77.23  2.98 -4    76.21
四大陸選手権  85.73  3.21 -2    86.94
世界選手権   87.15 10.96  0    98.11
国別対抗戦   82.64 12.96  0    95.60
平均     81.833 8.239 -1.286  88.786 
 
ネイサンやボーヤンを見てしまうと基礎点差は大きいなと感じる。PCSで15点差を埋めると言うことは現行のルールではかなり難しくなってきている。構成を上げることを検討したくなる数字だが、現実には転倒とコンボ抜け・REPなどの基礎点減が多かった結果の基の数字でもある。転倒があっても中国杯で100点超えをしているので、無しで纏められれば110程度は出せるということ。
高難度ジャンパー達は羽生を除けばそこまで完璧に点数を出せる訳ではない。実際ボーヤンはノーミスで204点。チャンがTES110点出せれば205以上にはなる。無理な構成上げよりも組んだ構成を完璧に実施することにに徹した方が良いと思う。
 

<PCS>
SP
        SS  TR  PE  CC  IN  合計
フィンランディンT   8.63  8.54  8.33  8.67  8.75  42.92
Sカナダ    9.14  8.93  9.00  9.18  9.25  45.50
中 国 杯   9.07  8.89  8.57  8.89  9.07  44.49
G P F   9.43  9.36  9.46  9.39  9.46  47.10
四大陸選手権  9.18  9.11  8.93  9.25  9.29  45.76
世界選手権   9.71  9.46  9.64  9.57  9.64  48.02
国別対抗戦   9.36  9.21  8.75  9.18  9.18  45.68
平均       9.217  9.071   8.954   9.162  9.234   45.638
 
チャン・フェルナンデス・羽生をPCS3強と呼んでいる。ソチシーズンまではそれでもチャンが一番高かった。しかし休養後チャンと羽生はほとんど変わりなくなり、世界王者になって以降フェルナンデスも同レベルになった。
そして今季はミスると低めに採点されるチャンと羽生に対しフェルナンデスは高値安定傾向となっている。ノーミス同士だった世界選手権でもフェルナンデスの方が高い。SSとTRはチャンが上、後半3項目がフェルナンデスが上というよう特色は分かれているが・・・2クワドの構成の高さとフラメンコという認識されやすい世界の表現が評価されたのだろう。そういう意味では五輪シーズンには王道的なわかりやすい曲の方が有利なのかもしれない。
 
FS
        SS  TR  PE  CC  IN  合計
フィンランディアT   8.83  8.58  8.67  8.96  9.00  88.08 
Sカナダ    9.21  9.00  8.96  9.18  9.21  91.12
中 国 杯   9.36  9.18  9.14  9.36  9.46  93.00
G P F   9.32  9.11  8.57  9.18  9.21  90.78
四大陸選手権  9.25  9.18  9.14  9.29  9.43  92.58
世界選手権   9.57  9.46  9.36  9.57  9.50  94.92
国別対抗戦   9.64  9.43  9.32  9.57  9.61  95.14
平均       9.311   9.134  9.023   9.301  9.346   92.231
 
崩壊したGPFを除いてはシーズン後半に向けて伸びていった印象。ただやはり下限はフェルナンデスより低め。チャンが今季あまりPCSが高くならなかったのはノーミス出来なかったこととFSの構成がトップの中では低めだからという理由もあるかもしれない。実際にはフェルナンデスとはそれ程差はない。だがフェルナンデスは今季欧州といういってみれば地元でしか試合が無かったため多少有利に採点された感じだ。
ジャッジには北米・欧州・アジアと若干好みというか重要視する項目にばらつきがあるので当たる試合によっては多少の有利不利は発生している。出された数字はともかく試合内での序列は変わりないので順位には影響しないがこうして纏めてみるとこの数字である意味をどうとらえて良いのかわからなくなってくる。少なくともTRについてはフェルナンデスがチャンより高い理由がよくわからない。
 

<来季に向けて>
いかに優れたスケーティング技術を持とうとTESを堅実に稼げないと現行ルールでは勝てない。ただチャンの場合五輪団体戦のメダルはほぼ確実に得られるので可能な限りの高構成を確実に実施したい。3A2本の確実性が得られないなら4S4T2本ずつ構成(しかも前半4本構成)でも良いかもしれない。
その一方で無理して構成を上げてバタバタするよりも現行のままそのスケーティングの良さを見せつける方が個性とチャンの存在意義を感じられる気もする。
その為構成を上げるならばジャンプの飛びやすさや位置を検討すべきだし、上げないのならばチャンにしか見せられないような滑りを生かしたものにしたい。できればステップ満点を一度見てみたいのでジャッジが出さざるを得ないような記憶に残るプログラムを組んで欲しい。現役ラストシーズンになるかもしれないのでスピードや滑らかさを堪能できるものであるといいなと思っている。