つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

フィギュアへの愛を滑る―――ジェイソン・ブラウン

4回転さえ飛べればトップ選手とシニアに上がった頃から言われていた。昨季は怪我で後半シーズンを棒に振ったが、今季冒頭から4回転をSPFSとも投入してきた。
残念ながら一度も成功することは無く怪我まで負ってしまい心配されたが、全米選手権の頃から4回転を抜いて復帰した。結果的にその方が成績的には安定しアメリカに3枠をもたらすことになった。
 

ロンバルディアT   総合2位 256.49 SP2位 81.58 FS1位 174.91
USインターナショナル   総合1位 254.04 SP2位 83.18 FS1位 170.86
Sアメリカ   総合2位 268.38 SP3位 85.75 FS2位 182.63
NHK杯    総合7位 218.47 SP8位 74.33 FS7位 144.14
四大陸選手権  総合6位 245.85 SP9位 80.77 FS6位 165.08
世界選手権   総合7位 269.57 SP8位 93.10 FS7位 176.47 
国別対抗戦           273.67 SP5位 94.32 FS6位 179.35
平均       総合  255.21  SP平均 84.719 FS平均  170.491
 
SアメリカでFS,国別でSPと総合のPBを出した。FSはともかく4回転を抜いてPBが出たことには何とも言いようがない。4回転無しで90点代半ばが出せるのはブラウン位だが昨季同じ演技をして出せたかというと微妙な印象だ。ジャンプ偏重にならないようにしたい思惑もあってこそのブラウンの数字が見えてくるからだ。しかし結局のところ基礎点を上げなければこれ以上の伸びはない。4回転を入れて同レベルの演技が出来るか、来季が正念場なのかもしれない。
そしてその為の3枠を無事に確保できたことは非常に良かったと言えるだろう。
 
<ジャンプ>
SP  
         
         基礎点     GOE  減点    合計
ロンバルディアT   23.36  -0.64 -1   21.72  
USインターナショナル   27.06  -1.88 -1   24.18
Sアメリカ   30.13  -1.00 -1   28.13
NHK杯    20.83  -3.50  0   17.33
四大陸選手権  22.72  -1.90 -1   19.82
世界選手権   24.70   4.50  0   29.20
国別対抗戦   24.70   4.66  0   29.36
平均     24.786 -0.034 -0.571 24.249  
 
4回転を入れない方が点数が高いのはブラウンの4回転がほとんど回転不足になってしまうからだ。それに転倒がつき減点を合わせると3回転+GOEの方が上回ってしまう。
ただSPに関してはまだこの戦法は有効かもしれない。最終グループは無理だろうがその前であれば90点以上であれば十分入れる。ブラウンの完成度ならばSPはまだその戦法でも良いかもしれない。
4回転は今季成功できなかったが3Aについては向上が見られた。昨季までは回転がぎりぎりでそれ故の着氷のいまいちもあったりしたが少なくともワールドと国別の3Aはしっかり回りきって余裕を持って着氷が出来ていた。上半身がシャープになったというか多少ゆるめだった軸が細くなった感じがする。4回転を練習した成果がもしかしたら生かされているのかもしれない。

 
FS 
        
         基礎点     GOE  減点    合計
ロンバルディアT   64.21   1.50 -1   64.71 
USインターナショナル   60.44   2.40 -1   61.84
Sアメリカ   65.54   4.57  0   70.11  
NHK杯    49.09  -7.84 -1   40.25
四大陸選手権  53.94   2.25  0   56.19
世界選手権   61.61   3.38 -1   63.99
国別対抗戦   55.48   8.12  0   63.60
平均     58.616  2.054 -0.571 60.099
 
ブラウンの今季のFSの問題は4回転では無く3Loだと思う。こんなに苦手だったっけ?と思わず以前をさかのぼってしまった。確かに得意ではなさげな飛び方だけどここまでミスが出るものでも無かった。ただ昨季や2季前はこれほど終盤に飛んでいなかった。あまり得意ではないのならば羽生の3Fのように早めに飛んでミスを少なくするという戦法でも良いのではと感じる。
構成で弱いため後半6ジャンプ、しかもあまり連続にならないように組み込んでいるが、ジャンプが終わるまでコレオ以外基本左回り(それもだんだん円が小さくなってくる)というのは単調だと感じる。足下は色々入れているが同じ方向へ動くだけというのは意外性というか幅が狭い印象になるので改善を求めたい。
 
<スピン>
SP
        基礎点   GOE     合計
ロンバルディアT   9.7  3.10  12.80  ALLレベル4
USインターナショナル   9.3  2.30  11.60  レベル4 2回 レベル3 1回
Sアメリカ   6.5  1.79   8.29  レベル4 2回 ノーカン  1回
NHK杯    8.3  1.58   9.88  レベル4 1回 レベル3 2回
四大陸選手権  9.7  2.65  12.35  ALLレベル4
世界選手権   9.7  3.50  13.20  ALLレベル4
国別対抗戦   9.7  3.57  13.27  ALLレベル4
平均    8.986 2.641 11.627
 
スピンは最もブラウンの稼ぎどころだがやはり怪我をしていると大変な要素なのだなと思う数字。NHKは軸がゆがんだりズレたりしていた。
そしてスケアメのキャメルで足をとれずにノーカンになってしまったことが平均を大きく下げることになった。ただそれ以外の試合のGOEは素晴らしい。出来ればスピンオール満点を狙ってほしい。

FS
        基礎点   GOE    合計
ロンバルディアT  10.2  3.60  13.80  ALLレベル4
USインターナショナル  10.2  3.20  13.40  ALLレベル4
Sアメリカ   9.7  3.50  13.20  レベル4 2回 レベル3 1回
NHK杯   10.2  2.92  13.12  ALLレベル4
四大陸選手権 10.2  3.57  13.77  ALLレベル4
世界選手権  10.2  3.78  13.98  ALLレベル4
国別対抗戦   9.7  4.07  13.77  ALLレベル4 V付き
平均   10.057  3.52 13.577
 
4.50満点の平均3.52というのは素晴らしい!SPではいまいちだったNHKもFSはしっかり得点を確保している。
もったいないのは国別、レベルは確保したものの姿勢不足で基礎点を落としてしまった。それでも4点超えというGOEは素晴らしいのですがトータル14点超えが見られなかったことが残念でならない。
 
 
<ステップ>
SP
        基礎点   GOE   合計
ロンバルディアT   3.9  1.96  5.86  レベル4
USインターナショナル   3.9  1.40  5.30  レベル4
Sアメリカ   3.9  2.00  5.90  レベル4
NHK杯    3.3  1.29  4.59  レベル3
四大陸選手権  3.9  1.70  5.60  レベル4
世界選手権   3.9  1.70  5.60  レベル4
国別対抗戦   3.9  1.90  5.80  レベル4
平均    3.814 1.707 5.521
 
凄い数字、フェルナンデスには負けるけどチャンより上という。GOE平均はチャンの方が高いんだけどレベル4の確保数で上になるという。やはりステップはレベルが大事。
ブラウンのステップは上下のメリハリが大きく印象に残るというところがGOEの高さにつながっていると感じる。レベルをここでとっているよと非常にわかりやすく見せてくれるありがたい選手でもある。
 
FS
        基礎点  GOE    合計
ロンバルディアT   5.9  3.50  9.40  レベル4
USインターナショナル   5.9  3.22  9.12  レベル4 
Sアメリカ   5.9  3.40  9.30  レベル4
NHK杯    5.3  2.77  8.07  レベル3
四大陸選手権  5.9  3.50  9.40  レベル4
世界選手権   5.9  3.40  9.30  レベル4
国別対抗戦   5.9  4.00  9.90  レベル4
平均    5.814 3.399 9.213
 
FSはSPと逆でチャンには負けるがフェルナンデスよりは上という結果。チャンとは基礎点は同じだったので体調が悪かったNHK杯の点が足を引っ張った形だ。
ただそれ以外すべて3点以上というGOEは素晴らしい。チャンにとってステップは「滑りの良さ」、フェルナンデスは「表現」だがブラウンは「魅せる」ということで評価を受けているという感じだ。
 
<TES計>
SP  
        基礎点   GOE  減点    合計
ロンバルディアT  36.96  4.42 -1   40.38 
USインターナショナル  40.26  1.82 -1   41.08
Sアメリカ  40.53  2.79 -1   42.32
NHK杯   32.43 -0.63 -1   30.80
四大陸選手権 36.32  2.45  0   38.77
世界選手権  38.30  9.70  0   48.00
国別対抗戦  38.30 10.13  0   48.43
平均    37.586 4.382 -0.571 41.397
 
TES平均40以上というのは少し前ならかなりいい点数だった。基礎点の急激な伸びによってこの数字が平凡に見えてしまうのが怖い。
前半4回転チャレンジがあったため転倒していることがやはり痛い。転倒はPCSにも響くので4回転チャレンジするにしてもせめてステップアウト程度に収められないと出遅れてしまう。
それでもスピンステップで稼げるということは大きいと感じる数字だ。
 
 
FS
         基礎点    GOE  減点     合計
ロンバルディアT   80.31  8.60 -1    87.91
USインターナショナル   76.54  8.82 -1    84.36  
Sアメリカ   81.14 11.47  0    92.61
NHK杯    64.59 -2.15 -1    61.44
四大陸選手権  70.04  9.32  0    79.36
世界選手権   77.71 10.56 -1    87.27
国別対抗戦   71.08 16.19  0    87.27
平均     74.487 8.973 -0.571  82.889 
 
NHK杯が大きく平均を下げてしまった。やはり基礎点を大きく下げるミスは痛い。ただ怪我の影響もあった中での結果なのでそれ以外では80点台半ばで落ち着く。
トップは100点110点の時代なので構成を上げなくては太刀打ちできないが、3Loの抜けなどなくし安定的にTES90超え出来ればGPSなどでは表彰台に届くだろう。とりあえず飛べるジャンプは確実に飛ぶことが大事なので構成だけでなく配置などにも工夫をしたい。
 
<PCS>
SP
        SS  TR  PE  CC  IN  合計
ロンバルディアT   8.20  8.00  8.35  8.20  8.45  41.20
USインターナショナル   8.40  8.35  8.30  8.45  8.60  42.10
Sアメリカ   8.50  8.57  8.71  8.79  8.86  43.43
NHK杯    8.36  8.54  8.21  8.71  8.71  42.53
四大陸選手権  8.50  8.50  8.57  8.64  8.79  43.00
世界選手権   8.96  8.96  9.07  9.00  9.11  45.10
国別対抗戦   8.96  9.04  9.32  9.18  9.39  45.89
平均       8.554  8.566      8.647    8.71   8.844   43.321
 
シーズンを通して着実に上げていったと感じる出来。4回転無しで45超えは凄いと思う。若手がなまじBVにこだわるので質の良さを評価したいジャッジの思惑もあるのだろうか。
CCやINが高いのは一瞬の静寂から音が大きくなる瞬間のバレエジャンプなど静かな曲ながら非常にインパクトのある振付を優雅に滑ったことを評価されたのだろう。
そして相変わらずSSより高いTRはトップ選手ではブラウンだけ。

FS
        SS  TR  PE  CC  IN  合計
ロンバルディアT   8.35  8.60  8.85  8.80  8.90  87.00 
USインターナショナル   8.35  8.55  8.75  8.85  8.75  86.50
Sアメリカ   8.89  8.79  9.11  9.04  9.18  90.02
NHK杯    8.07  8.39  8.00  8.43  8.46  82.70  
四大陸選手権  8.43  8.43  8.64  8.61  8.75  85.72
世界選手権   8.89  8.71  9.07  8.86  9.07  89.20
国別対抗戦   9.07  9.04  9.11  9.32  9.50  92.08
平均       8.579  8.644  8.79   8.844   8.944   87.603
 
FSでも後半2項目が高くSSよりTRが高いのも変わりない。ただSPに比べると後半の左周回の多さが私には評価できない。同一円上でジャンプを飛び続けているという印象が強いからだ。ジャンプが固まらないように分散した結果長い時間をその行為に費やしているように見える。これは振付というか構成の問題かもしれないがもう少し右回りや方向転換をしてほしい。ネイサンやボーヤンよりも気になった。
スパイラルの美しさ、足の上がりの気持ちよさは素晴らしい、本当にラインの綺麗な選手だと思う。その中で私が一番好きなのは両腕を広げ胸を張ったラインだったりする。NHK杯の時はその辺りがきちっとしてなくて本当に体調が悪いんだなと感じた。怪我には気を付けて来季も素晴らしいプログラムを滑って欲しい。
 

<来季に向けて>
NHK杯の時怪我して体調が悪いことを聞いて心配していたが後半シーズンには回復してくれてうれしかった。昨季もケガで後半棒に振ったので来季は体調万全で過ごせるように気を付けて欲しい。
4回転についてはまだ微妙という感じだが今季後半3Aとコンボのセカンドで進化が見られたのでうまく感覚がつかめたらいけるかもという期待はある。飛びすぎには気を付けて頑張って欲しい。
SPFSとも今季は割と似た印象の曲だったので来季はもう少し違った感じになることを期待する。クラッシックとドラマティックプロだったりしたらうれしい。
解くとモコモコのあの髪がどうしてきれいなお団子になるのかすごく不思議だがすっきりしてかなり好きだった。女子もだがポニーテールって顔に当たったり汗で首筋に張り付いたりしてあんまり好きじゃないので来季もぜひお団子でお願いしたい。