つれづれなるままに・・・

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年が明ける前に―――「実績」のおさらい

まもなく年が変わる。2017-18シーズンは五輪年という最も大事なシーズンだ。そのシーズンを前に現在の現役選手の実績を振り返っておく。
フィギュアスケートにおいて「実績」はかなり大事な要素だ。現役中だけではなく引退後にもタイトルやメダルを持っていることは響いてくる。

<大会別順位>
順位はタイトルを持っていることが優先、大会としては五輪>ワールド>ユーロ=4CC>GPFの順で判断。同じメダル数の場合は出場回数が少ない方が上位となっている。
                       ユーロ/
           五輪  ワールド    4CC    GPF   出場回数
1位 羽生 結弦   金1 金2銀2銅1    銀3   金4銀1   1/6/3/6
2位 P・チャン   銀1 金3銀2    金3     金2銀1銅1 2/8/4/8
3位 フェルナンデス    金2  銅2  金5       銀2銅1 2/11/11/5
4位 デニス・テン  銅1   銀1銅1  金1            2/8/6/0
5位 N・チェン              金1       銀1   0/1/1/1
6位 レイノルズ              金1  銅1        1/6/6/0
7位 無良 崇人              金1            0/3/5/1
8位 A・リッポン             金1            0/4/5/1
9位 宇野 昌磨        銀1        銅1     銅2 0/2/3/2
10位 ボーヤン・ジン        銅2    銀1          0/2/2/1
11位 コフトゥン                銀2銅1        0/5/5/2
12位 ヴォロノフ                銀1銅1     銅1 0/6/7/1
13位 J・ファリス               銀1          0/1/2/0
14位 ビチェンコ                銀1          1/6/6/0
15位 ハン・ヤン                  銅3        1/3/4/1
16位 コリャダー                  銅1        0/2/2/0
17位 ロス・マイナー                銅1        0/2/3/0
18位 M・ブレジナ                 銅1        2/8/10/1
 
 現在現役の選手でチャンピオンシップとGPFのメダルを持っているのは上記の18選手となっている。1個だけという選手が案外いたため予想以上の人数になった。ユーロもしくは4CCではワールドやGPFより表彰台に上がりやすい部分があるのだろう。強い選手と呼ばれるためにはそれ以外の試合でも表彰台に上がる必要がある。そういう意味では羽生・フェルナンデス・チャンのPCS3強が実績においても強いことが良くわかる。
タイトルを持っているという点においてワールドでメダルを取った宇野やボーヤンもまだ無良やリッポンを抜けていない。尤もこの二人がタイトルを持っていてもあまり重要視されないのは五輪シーズンの優勝という点もあったりする。欧州の選手は五輪があってもユーロに出場することが多いが五輪と近い4CCは辞退することが多い。有力選手のいない大会での勝利ということでマスコミの報道などでもあまり大きくとられていない現状がある。ただタイトルを取ったという「実績」はあるのは変わりない。
 

<メダル獲得数順位>
 
1位 羽生 結弦    金7銀6銅1 14個 
2位 P・チャン    金8銀4銅1 13個 
3位 フェルナンデス  金7銀4銅3 12個    
4位 デニス・テン   金1銀1銅2  4個 
5位 宇野 昌磨      銀1銅3  4個
6位 コフトゥン      銀2銅1  3個
7位 ボーヤン・ジン    銀1銅2  3個
8位 ヴォロノフ      銀1銅2  3個
9位 ハン・ヤン        銅3  3個
10位 N・チェン    金1銀1    2個 
11位 レイノルズ    金1  銅1  2個
 
12位以降は1個なので割愛。それにしても上位3人のぶっちぎり感がすごい。ここ7年ほど期間の上位がほぼこの3人で占められてきたことが良くわかる。それなのにこの3人が同時に乗った表彰台が一度もないというのが不思議だ。
3シーズン前まではこの3人にテンを含めて4強と言うことがあったが、実績で見てしまうと少し物足りない感じだ。怪我などの原因でGPFに一度も出場できていないことも大きい。
そして羽生の金銀獲得数の多さ。マスコミが絶対王者などと呼ぶほど毎回勝っているわけではないがそれでも2位で3位以下がほとんどないということが良くわかる。フェルナンデスも金メダル数では並ぶがユーロの5連覇が大きく羽生やチャンがいる試合では2015-16のワールド連覇以外では勝てていないということになっている。
4位以下はメダル数では差がないがここ2年のシニア入りした若者たちとそれ以前から頑張っているベテラン勢と2極化している現状が見て取れる。

<メダル獲得点順位>
 
金3銀2銅1で計算し出場した試合数で割る順位。1未満だと平均順位が3位以下となり逆に3に近いほど金メダル獲得率が高いということになる。
ついでに台乗り率も上げておく。これは単純に出場した試合数に対して表彰台に上がった数を割ったものだ。
                
1位 羽生 結弦   34/16=2.125 台乗り率 14/16=87.50%
2位 N・チャン    5/ 3=1.667 台乗り率  2/ 3=66.67%
3位 P・チャン   34/22=1.591 台乗り率 13/22=59.09%
4位 フェルナンデス 28/29=0.966 台乗り率 12/29=41.38%
5位 ボーヤン・ジン  4/ 5=0.800 台乗り率  3/ 5=60.00%
6位 宇野 昌磨    5/ 7=0.714 台乗り率  4/ 7=57.14%  
7位 J・ファリス   2/ 3=0.667 台乗り率  1/ 3=33.33%
8位 デニス・テン   7/16=0.438 台乗り率  4/16=25.00%
9位 コフトゥン    5/12=0.417 台乗り率  3/12=25.00% 
10位 ハン・ヤン    3/ 9=0.333 台乗り率  3/ 9=33.33%
11位 レイノルズ    4/13=0.308 台乗り率  2/13=15.38%
 
台乗り率はどうしてもベテラン勢は悪くなる。特にフェルナンデスは早くから世界選手権やユーロに出ていたためかなり不利な結果となった。メダルを獲得しているここ6シーズンで計算すると28/18=1.556と順位は変わらないが3位以上を確保した数字となる。台乗り率では12/18=66.67とネイサンと同率になる。
一方試合数の少ないシニアに上がりたてで上位に何度か来たことがある選手には優位な順位となっている。
その中で光る羽生のメダル獲得点と台乗り率の高さ。試合数の少ない若手をぶっちぎってしまう非常に安定した成績を上げている選手だといえる。それなのに若手に脅かされて不安定な選手的な報道が多いのが非常に疑問に感じる。
ここで初めてボーヤンが宇野を上回った。出場試合数の違いによるものだがGPFを抜かしたチャンピオンシップだとまだボーヤンの方がメダル獲得率が上ということになる。
そしてファリスがここでジャンプアップしてくる。単純に出場試合が少ないためだが若くして引退というのはもったいないなと感じさせる。復帰するという嬉しい情報が入っているのでぜひ頑張って欲しい。

<順位点ランキング>

実際の順位を合計し試合数で割る。同率の場合は試合数の多い方が上位とする。
 
1位 羽生 結弦    30/16=1.875位 7シーズン
2位 P・チャン    66/22=3.000位 9シーズン
3位 N・チェン     9/ 3=3.000位 1シーズン
4位 ボーヤン・ジン  18/ 5=3.600位 2シーズン
5位 宇野 昌磨    27/ 7=3.857位 3シーズン(シニア2年だが4大陸に3回出場している)
6位 J・ファリス   19/ 3=6.333位 2シーズン
7位 コフトゥン    83/12=6.917位 5シーズン
8位 デニス・テン  130/16=8.125位 9シーズン
9位 ハン・ヤン    75/ 9=8.333位 5シーズン(シニア4年、4大陸にその前年も出場している)
10位 フェルナンデス 244/29=8.413位 11シーズン
 
羽生が飛びぬけていて次に5位と6位で境界があることがわかる。しかしデニス・テンとフェルナンデスはジュニア時代からシニアのチャンピオンシップに出場しているため非常に数字が悪くなっているという状況がある。
羽生と同じ7シーズンにするとテン79/11=7.182位、フェルナンデス70/20=3.500位とテンはともかくフェルナンデスは格段に上がる。更に6シーズンに限定するとテン65/10=6.500位と少し上がるだけだがフェルナンデスは51/18=2.833位と羽生に次ぐ数字となる。テンは五輪を挟んだ4年間のみ際立った成績を出しているだけだがフェルナンデスは今シーズン若干下がったもののこの6シーズンはほぼ台乗りしていたということが良くわかる数字となっている。
チャンもこの2シーズン数字を落とし気味ではあるが、実績という点ではまだ若手に負けていない。どちらかといえば伸び盛りの若者が優位だがベテランがどこまで踏みとどまり壁となるのかも非常に楽しみではある。
ファリスのように一時期だけ良いということは若手には時々ある。継続的に何年もトップを張れるかはまだ未知数だ。そういう意味では羽生・チャン・フェルナンデスはここ数年にわたる確実な力があると証明しているのかもしれない。