まだ先の、でも遠くない未来に向けて Part.2
現行のジャンプの基礎点はこうなっている。
1回転 2回転 3回転 4回転
A 1.1 3.3 8.5 15.0
Lz 0.6 2.1 6.0 13.6
F 0.5 1.9 5.3 12.3
Lo 0.5 1.8 5.1 12.0
S 0.4 1.3 4.4 10.5
T 0.4 1.3 4.3 10.3
そして2016年に書いた「ジャンプの基礎点を下げてみる」の記事で私がこの位にすればと思った点数がこれだ。
2回転のLo以上のジャンプ全ての基礎点を下げてある。
1回転 2回転 3回転 4回転
A 1.1 3.0 8.0 14.0
Lz 0.6 2.0 5.5 12.0
F 0.5 1.8 4.9 11.0
Lo 0.5 1.7 4.7 10.7
S 0.4 1.3 4.1 9.7
T 0.4 1.3 4.0 9.5
今見ると現在も感じる3Aの優位性はまだ残っている感じだ。構成の行き詰まった女子選手ならば3A入れたくなるかもしれない。
そして今回新聞に載って内容によると基礎点が変わりそうなのは4回転で最大2点と言うことなのでそういった変更を考えてみる。
1回転 2回転 3回転 4回転
A 1.1 3.3 8.5 13.5
Lz 0.6 2.1 6.0 11.6
F 0.5 1.9 5.3 10.7
Lo 0.5 1.8 5.1 10.5
S 0.4 1.3 4.4 9.7
T 0.4 1.3 4.3 9.5
現在の状況を考えて一番下がりそうなのは4Lzだろう。何しろ飛ばれている4回転の中で際立って点数が高い。仮にGOE-3で4点引かれても9点以上得られてしまう。失敗してもかなりお得という状況は採点的に良いとは言えない。そんなわけで4Lzを最大値で下げる。
あとは難度とバランスを考えてこんな感じになるかと思う。GOEについては基準がまだわからないのでそのままと言うことで2017年ワールドについて上位選手を計算してみる。
羽生結弦 SP 52.04+ 47.35 -1 = 98.39 → 49.94+ 47.35 -1 = 96.29 差-2.10
FS 126.12+ 97.08 0 = 223.20 → 122.26+ 97.08 0 =219.34 差-3.86
計 178.16+ 144.43 -1 = 321.59 → 172.20+144.43 -1 =315.63 差-5.96
宇野昌磨 SP 59.16+ 45.70 0 = 104.86 → 56.76+ 45.70 0 =102.46 差-2.40
FS 120.03+ 94.42 0 = 214.45 → 115.17+ 94.42 0 =209.59 差-4.86
計 179.19+ 140.12 0 = 319.31 → 171.93+ 140.12 0 =312.05 差-7.26
ボーヤン SP 57.65+ 40.99 0 = 98.64 → 54.85+ 40.99 0 = 95.84 差-2.80
FS 118.94+ 86.00 0 = 204.94 → 114.38+ 86.00 0 =200.38 差-4.56
差 176.59+ 129.66 0 = 303.58 → 169.23+126.99 0 =296.22 差-7.36
フェルナンデス SP 60.79+ 48.26 0 = 109.05 → 59.19+ 48.26 0 =107.45 差-1.60
FS 98.62+ 94.52 -1 = 192.14 → 96.14+ 94.52 -1 =189.66 差-2.48
計 159.41+ 142.78 -1 = 301.19 → 1 55.33+142.78 -1 =297.11 差-4.08
チャン SP 54.11+ 48.02 0 = 102.13 → 53.31+ 48.02 0 =101.33 差-0.80
FS 98.11+ 94.92 0 = 193.03 → 95.63+ 94.92 0 =190.55 差-2.48
計 152.22+ 142.94 0 = 295.16 → 148.94+142.94 0 =291.88 差-3.28
ネイサン SP 55.22+ 43.11 -1 = 97.33 → 51.62+ 43.11 -1 = 93.73 差-3.60
FS 110.61+ 84.78 -2 = 193.39 → 102.85+ 84.78 -2 =185.63 差-7.76
計 165.83+127.89 -3 = 290.72 → 154.47+127.89 -3 =279.36 差-11.36
計算して感じたのはそこまで大きな変動にならないのだなと言うこと。ボーヤンとフェルナンデスの順位は変わるがそれもわずかでしかない。基礎点をよほど大きく下げGOEで3回転の方が優位にならなければ高難度を飛んだ方がまだましかもしれない。と言うことは若手のジャンプ偏重は変わらないということになる。
ただ高難度4回転の多いネイサンは大きく影響を受けFS順位が6位に下がり点数も離れる。TやSのみのチャンやフェルナンデスよりネイサンやボーヤンの方が影響が大きい。そういう意味では完成度重視の選手がもう少し見直されるかもしれない。実際20点以上差があったネイサンとブラウンの点差が半減することになる。ジャンプも1つ減るからもう少し点数も下がるだろう。
それでも・・・抜本的な解決にはならないだろうという感触はぬぐえない。更にGOE幅拡大がかなり心配だ。現在でも審判の基準が曖昧過ぎている部分が見えるためだ。
今の基礎点とGOEでも運用面でもう少し上手くやれば差別化できるのにと感じる部分がある。ルール上で決められているはずの減点が審判の裁量の違いで軽減されたりするあたり厳しくしていけば完成度の選手はもっと生きてくるはずなのだ。
だからこちょこちょ修正するより審判員の基準の一律化を図ることがまず先では無いかと思う。選手が不利益を被らないためによりよい競技になるようにその辺りをまずしっかり定めることから初めて欲しい。