つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

フランス杯FSざっと感想

女子は前日とは打って変わって良い演技を数多く見ることが出来た。第1滑走者が良い演技をするとその流れが結構続いたりする。そういう意味ではドイツのショットさんに健闘賞をあげたい。

SPで無表情のエテリの隣で泣きそうだったザギトワがFSで大捲り。中国杯よりSPが崩れたから心配していたがやはり戦国ロシアで鍛えられた選手らしくFSで強さを見せつけた。スケートとしては結構ブチブチ切れる感じでまだまだなんだけどあそこまでジャンプを決められると「高い技術」を評価しないわけにはいかないのでしょう。PCSも順調に育っています。中国杯&フランス杯という組み合わせも良かった気がします。オズモンドに勝ちきった分対メドベデワの最有力候補に挙げられる選手になりました。後半曲が変わりテンポがアップしたところで音に合わせて飛んだり着氷したりするのは見ていて非常に気持ちいい。ついでにメダルの代わりに貰ったよくわからない星飾りも彼女が持つと似合います。あとはSPを安定させることが課題ですね。ファイナルで良い演技を見られることを期待します。

ソツコワは割と淡々としているのですが今季は結構きっちりエレメンツをこなしてくるので怖い存在です。それにしても冒頭のコンボの高さと幅の素晴らしさ!オズモンドはいかにもパワーを感じる飛び方で理解できるのですが、上背があっても華奢な彼女にあのジャンプが出来ることが凄く不思議です。ただ後半はその質も落ちてきますので厳しいジャッジに当たるとUR取られそう。衣装も素敵ですしこのまま五輪3枠目に入れるのかGPFの順位が大事になりそう。

FSは合っている三原は彼女らしい見た目ノーミスの演技を見せました。ただSPで失敗しているためかかなり慎重というか堅実に実行しています的な雰囲気が見える演技でした。第1滑走になってしまったことも不利だったかもしれませんがその後に出てきたザギトワやトゥルシンバエワがエレメンツをこなしながらもそれぞれの魅力を見せ高PCSを獲得したことに比べると物足りなさを感じてしまっても仕方ないと思います。これは選手自身やコーチがある程度意識改革を必要とする課題だと思うのでSPの変更共々もう少し今シーズンを戦っていくための手段を再検討した方が良いと思います。

そういう意味では順位を落としはしましたが白岩の方が良かった気がします。最後のジャンプで転倒してしまいましたが三原に対してかなり差があったPCSが1点未満まで縮めたことからも今回のジャッジがその辺りを評価した事がわかります。正直編曲の意図がよくわからない展覧会の絵なんですがスピード感と演技に集中した姿勢や表情といい今日の演技は今シーズンで一番良かったと思います。ただやはり全体的にジャンプが低いので回転が結構ぎりぎりに見えます。怪我の影響もあるかと思うのでもっと良いジャンプが跳べる期待はしています。後はスピンがもう少し上手くなって欲しいです。女子はレベルを取れるだけでは戦っていくことが厳しいので3つの内の一つだけでもこれは素晴らしいと高GOEを得られるスピンを作っていけると良いですね。


前日メタメタだった女子にいい演技が幾つも見られたのでこれは男子は自爆大会かと予想してしまったのが悪かったのかその通りになってしまいました。
転倒とREPと抜け祭り、結果的に4回転無しのミーシャが表彰台に上ってしまうという・・・(おそらく最初で最後のGPS表彰台がメダルじゃ無くてアクリルの星というのもかわいそうだな)
それにしても演技とプロトコルを見ると壮絶な自爆大会だったんですが意外に冷めているというのか悲壮感を感じないのは何故なんだろう?フランスだからか?それもあるかもしれないが五輪シーズンの割にそこまで周囲が盛り上がっていない感じが寂しい。今が一番話題になるはずなのに、何かフィギュアスケートを取り巻く全てで迷走しているみたいな印象を与える大会だった気がします。

 


フェルナンデスはSPが良かったのでジャンプの調子が戻ってきているのかもと期待していたのですが2転倒+REP、セカンド3T入らずと世界チャンプになる前のようなプロトコルの演技になってしまった。ただその当時はしっかり体が出来ていなくて体力が持たないという感じだったのに今はかなり絞って絞りすぎてついて行かないみたいな感じになってしまっている。年齢的な衰えというものに対して周囲が思う以上に自分がナーバスになっているみたいだ。リラックスした方がフェルナンデスの良さが出せると思うし周囲もわかっているのだろうが若手の高難度戦略に完璧にやらないといけないという意識が負担になっているのかもしれない。
前日も感じたが欧州の試合で全体的にPCSが出ている割にはフェルナンデスには発狂していない。確かにグダったのでこの数字は納得だがそういう点数の出方もまたフェルナンデスに負担になっているかもしれない。


宇野も2転倒と締まらない演技だった。今回入れてきた3Lzが完璧にeだと思ったが取られていない。エッジエラーや回転不足に甘い採点だと思っていたが!も無しというのはいかんだろう。
インフルエンザ後で調子が悪いと言う情報があったが後半の4回転については飛ぶ前から駄目だと見て取れた。その後の3Aで飛べそうなスピードを出したので気持ち的に盛り返したのかこれなら飛べるからやろうと切り替えたのか、いずれにせよ見ている側としてはあまり気持ちの良いものでは無い作為を感じてしまったことが残念。更に最後のコンビネーションスピンがカメラが動くほど移動していたのにGOE+2以上というのはいかがなものかと思う。
ロンバルディアから着実に点数を落としてきているのが日本人選手らしいといえばそうなのだろうが色々迷走していると感じさせる演技だった。シニアGPFの唯一の選手になりそうなので体調管理には気を付けてください。


そんな波乱の中3位に入ったのはミーシャ・ジー。4回転を3本4本飛ぶ選手とそう変わりない点数が出た。女子の時も感じたが欧州のジャッジは自分の世界を表現できる選手を評価する傾向にあるのだなと感じた。
ミーシャについてはこの構成を実行しミス無く演技をする限り何も言う事は無い。更にこの演技を深めて五輪に向かって欲しい。

 

この試合の回転不足判定は他の試合の1段階甘めといった感じ。URはセーフでDGがURになるといった採点になっている。そんな甘めの採点に宇野やサマリン・ヴィンセントはかなり救われた。しかしそんなサマリンも表彰台から漏れてGPFがなくなってしまった。ヴィンセントについてはPCSもかなりガタガタになってしまっているので構成を落とすことも本気で検討したほうがいい。転倒や着氷の際に足をひねっているみたいなところがいくつもあって見ていてかなり怖い。次の五輪も十分狙える年齢だけに無理はしすぎない方がいいと思う。

高難度化して転倒が増えるのは理解できるのだが演技そのものに響いてグダグダしてしまうと競技として成立しているのかと疑問を感じてしまう。だからこそ基礎点を下げてある程度歯止めをかけたいのだろうがそれ以上に拡大するGOEが更に不安をあおる。この試合だけ見ても全体的に甘目採点は理解できるもののそのGOEが本当に妥当なのかという点には首をかしげざるを得ない。せめて回転不足・エッジエラーについてはどの試合どの選手にも共通の認定にしてほしい。振り回される選手が可愛そうだ。あとは両足などの完全なミスへのGOEのばらつきの統一。プラス要件での相殺は軽度のものについては認めてもいいが打ち消してはいけないミスはあるかと思う。GOE幅を拡大するならこういう事象にはこういうGOEが確実につくという基準をしっかりと定めてからにしてほしいと改めて希望する。