つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

GPFに向けて―――ファイナル出場者GPS SPデータ

某有名ブロガーさんのところでGPS開始前にファイナル出場予想が行われていた。数多くの人が投票していたが男子シングルに関して当てた人はいただろうか?その位今シーズンの出場者は難しかったと思う。
ちなみに私の予想は羽生・フェルナンデス・チャン・ネイサン・ボーヤン・コリャダーの6人。このメンバーが来る、と言うよりもこの6人のファイナルが見たいという願望が強いものだった。五輪前だし1国一人というのも良いだろうとも思ったのだ。
結果的に半分当たった訳だがどちらかといえば当たった3人の方が意外だったと思えてしまうメンバーとなった。


ネイサン・チェン  30P 
宇野昌磨      28P 
M・コリャダー   26P 
S・ヴォロノフ   26P 
アダム・リッポン  26P 
ボーヤン・ジン   20P 
 


GPFの順位予想は後日としてまずは各選手のGPSデータを振り返ってみる。
 
<SP得点順>
1位 ネイサン・チェン 104.12 スケアメ
2位 宇野昌磨     103.62 スケカナ
3位 M・コリャダー  103.13 中国杯
4位 ネイサン・チェン 100.54 ロステレコム
5位 宇野昌磨      93.92 フランス杯
6位 ボーヤン・ジン   93.89 中国杯
7位 S・ヴォロノフ   90.06 NHK杯
8位 アダム・リッポン  89.04 スケアメ
9位 S・ヴォロノフ   87.51 スケアメ
10位 M・コリャダー   85.79 ロステレコム
11位 アダム・リッポン  84.95 NHK杯
12位 ボーヤン・ジン   77.97 スケアメ
 
100点超えの選手が3人と流石高難度時代と思う一方下半分についてはあまり変わらない気がする。リッポン以外は4回転を入れているためミスると大きな減点となってしまうためだろう。
ヴォロノフとリッポンのようにそこまで高難度で無くてもミス無く演技して安定した点数を獲得するというのもSPではまだ有りなのかもしれない。
ただ一方で2試合ともミスがあっても100点を超えるネイサンという存在を見ると基礎点というのは大きいなと感じる。多少の着氷の乱れ位なら4Lzや4Fを入れるのは有りなんだろう。

 

<TES上位順>
1位 M・コリャダー  59.63 中国杯
2位 ネイサン・チェン 59.56 スケアメ
3位 ネイサン・チェン 57.57 ロステレコム
4位 宇野昌磨     57.12 スケカナ
5位 ボーヤン・ジン  52.67 中国杯
6位 S・ヴォロノフ  49.18 NHK杯
7位 宇野昌磨     48.91 フランス杯
8位 S・ヴォロノフ  46.97 スケアメ
9位 アダム・リッポン 45.04 スケアメ
10位 アダム・リッポン 43.16 NHK杯
11位 M・コリャダー  42.19 ロステレコム
12位 ボーヤン・ジン  37.28 スケアメ
 
意外や意外TESトップはコリャダーでした。つまりはコリャダーよりもネイサンや宇野の方がPCSが高いと言う事・・・何となく釈然としない印象があります。実績という部分で弱い処はありますが単純な滑りや表現する技術という点ではこの二人は十分上回れると思うのですが・・・今後上がってくることを期待します。
4回転の無いリッポンのTESは40点代半ば、4T1本のヴォロノフが50点行くか行かないかの辺り。そう考えると2本入れるというのは大きいなぁと感じます。
ただ今シーズン今のところ60点を超えた選手は羽生とフェルナンデスの二人だけ、いかに高難度でも単独前にきちんとステップを入れられなかったりするとなかなか超えられない数字のようです。


<ジャンプBV上位順>
1位 ネイサン・チェン 40.78 4Lz-3T // 4F 3A
2位 ボーヤン・ジン  37.73 4Lz+3T 3A // 4T
3位 宇野昌磨     37.71 4F // 4T-3T 3A
4位 M・コリャダー  37.55 4Lz 4T+3T // 3A
5位 S・ヴォロノフ  29.95 4T-3T 3Lz // 3A
6位 アダム・リッポン 24.70 3F-3T 3A // 3Lz

 

構成差だけで15点以上というなんともすごい数字です。
ただネイサンの4Fもコリャダーの4Lzもステップからは飛んでいません。宇野やボーヤンも二人よりはましという程度です。しかしこれによるマイナスはほぼ無しの状態。ステップから間が空く3Lzのヴォロノフが容赦なく減点を食らうことから考えるとなんとなく釈然としません。
「ステップからの単独ジャンプ」というのが必要エレメンツなので3回転4回転にかかわらず同じ目線で評価すべきだと思うのですがそうではない辺りが微妙な採点だと感じます。

 
<ジャンプ獲得点数順>
1位 M・コリャダー  43.12    中国杯
2位 ネイサン・チェン 42.35    スケアメ
3位 ネイサン・チェン 40.46    ロステレコム
4位 宇野昌磨     40.13    スケカナ
5位 ボーヤン・ジン  36.52    中国杯
6位 S・ヴォロノフ  33.61    NHK杯
7位 S・ヴォロノフ  31.76    スケアメ
8位 宇野昌磨     31.58 -1 フランス杯
9位 アダム・リッポン 26.39    スケアメ
10位 アダム・リッポン 26.33    NHK杯
11位 M・コリャダー  24.69    ロステレコム
12位 ボーヤン・ジン  22.73    スケアメ
 
驚いたのはこの高難度時代にあって転倒は宇野の1回だけということ。GPSとはいえ勝ち抜くためには転倒は基本あってはならないということでしょう。4回転のないリッポンの2試合のジャンプ得点が近いというのも面白い。
ボーヤンの低いのは3A抜けでノーカン、コリャダーはコンボ無しのGOE-3のため。SPでは要素が少ない分抜けとコンボ無しは痛い。埋める方法がないという点で小さいミスはあってもネイサンとヴォロノフの安定はSPでは大きいといえる。


<スピン獲得点数上位順>
1位 アダム・リッポン 13.05 ALLLv4 スケアメ 
2位 M・コリャダー  12.70 ALLLv4 ロステレコム
3位 宇野昌磨     12.55 ALLLv4 スケカナ
4位 ボーヤン・ジン  11.99 ALLLv4 中国杯
5位 宇野昌磨     11.93 ALLLv4 フランス杯
6位 ネイサン・チェン 11.56 Lv4・・・2 Lv3・・・1 ロステレ
7位 ネイサン・チェン 11.51 Lv4・・・2 Lv3・・・1 スケアメ
8位 S・ヴォロノフ  11.41 ALLLv4 NHK杯
9位 S・ヴォロノフ  11.34 ALLLv4 スケアメ
10位 アダム・リッポン 11.33 Lv4・・・2 Lv3・・・1 NHK杯
11位 ボーヤン・ジン  11.27 ALLLv4 スケアメ
12位 M・コリャダー  11.21 Lv4・・・2 Lv1・・・1 中国杯
 
このメンバーではほとんどスピンで差は付かないという結果に。昨季と比較しても1位は高いですが他の上位は低め、ただし全員11点以上という下限の高い数字でもあります。
レベルもおおよそ取れる選手なのでGOE勝負という意味ではリッポンとコリャダーが有利といったところでしょうか。ただ中国杯のコリャダーがびりになっているのは一つレベル1を取ってしまったから。さすがにこのマイナスは取り戻せなかった。
男子は割とキャメルでレベルを取り損ねる印象があります。足を変えた後で必要回転数を満たせないケースが多いのかな?あとは途中で膝が落ちてしまい連続にならないケースとか・・・
いずれにせよスピンは3つある割には上位ではそこまで大きく点差がつかないエレメンツに現状なっているようです。


<ステップ獲得点順位>
1位 ネイサン・チェン 5.70 スケアメ   レベル4
2位 ネイサン・チェン 5.60 ロステレコム レベル4
2位 アダム・リッポン 5.60 スケアメ   レベル4
4位 アダム・リッポン 5.50 NHK杯   レベル4
5位 宇野昌磨     5.40 フランス杯  レベル4
6位 M・コリャダー  5.30 中国杯    レベル4
7位 M・コリャダー  4.80 ロステレコム レベル4
8位 宇野昌磨     4.44 スケカナ   レベル3
9位 S・ヴォロノフ  4.16 NHK杯   レベル3
9位 ボーヤン・ジン  4.16 中国杯    レベル3
10位 S・ヴォロノフ  3.87 スケアメ   レベル3
11位 ボーヤン・ジン  3.24 スケアメ   レベル2
 
何とびっくり、昨季は最下位の方にいたネイサンがトップ!続いてリッポンというアメリカ勢が上位を占めました。確かに今シーズンのネイサンのステップは格好いいですからレベルさえ取れれば評価が高くなるのかもしれません。
そして今のところヴォロノフとボーヤンがレベル4をとれていません。ボーヤンは怪我のせいであまり練習できていないようなので少し心配。シーズン序盤はなかなかレベル取りがしにくい印象がありましたが徐々に取れる選手が増えてきています。エレメンツが少ない分SPではこういった基礎点をしっかりとっておきたいです。

 

<GOE獲得点順位> 
             合計    ジャンプ  スピン  ステップ    
1位 宇野昌磨      9.71= 5.72+2.85+1.14 スケカナ
2位 M・コリャダー   9.68= 5.57+2.71+1.40 中国杯
3位 アダム・リッポン  6.74= 1.69+3.35+1.70 スケアメ
4位 S・ヴォロノフ   6.23= 3.66+1.71+0.86 NHK杯
5位 ネイサン・チェン  5.58= 1.57+2.21+1.80 スケアメ
6位 アダム・リッポン  5.26= 1.63+2.03+1.60 NHK杯
7位 S・ヴォロノフ   4.02= 1.81+1.64+0.57 スケアメ
8位 ネイサン・チェン  3.59=-0.32+2.21+1.70 ロステレ
9位 ボーヤン・ジン   3.35= 1.14+1.57+0.64 スケアメ
10位 M・コリャダー   2.94=-0.96+3.00+0.90 ロステレ
11位 ボーヤン・ジン   1.94=-1.21+2.29+0.86 中国杯
12位 宇野昌磨      1.30=-2.43+2.23+1.50 フランス杯
 
転倒した宇野が最下位というわかりやすい結果に。昨季は10位以下はマイナスだったことを考えると割合みんなGOEを取っているということがわかります。
今回は4T1本のヴォロノフや4回転無しのリッポンが入っていることも大きいのかもしれない。いずれにしても転倒するとGOE-3がついてしまう。そのマイナスを打ち消すことが困難ということ。ファイナルに進出する選手はその辺りがしっかりできていたということだろう。
しかし宇野のジャンプ加点5.72というのは・・・他の選手に比べても幅も高さもなく奇妙な着氷のジャンプのどこにそんな要素があるのか本当に理解できない。

 
<PCS上位順>
             計  SS TR PE CC IN
1位 宇野昌磨     46.50 9.29 9.14 9.46 9.32 9.29  スケカナ
2位 宇野昌磨     46.01 9.29 9.04 9.07 9.32 9.29  フランス杯
3位 ネイサン・チェン 44.56 8.89 8.64 9.07 9.00 8.96  スケアメ
4位 アダム・リッポン 44.00 8.64 8.50 9.00 8.82 9.04  スケアメ
5位 M・コリャダー  43.60 8.96 8.54 8.68 8.71 8.71  ロステレコム
6位 M・コリャダー  43.50 8.75 8.36 8.93 8.75 8.71  中国杯
7位 ネイサン・チェン 42.97 8.61 8.39 8.61 8.57 8.79  ロステレコム
8位 アダム・リッポン 41.79 8.32 8.11 8.43 8.36 8.57  NHK杯
9位 ボーヤン・ジン  41.22 8.32 8.07 8.29 8.29 8.25  中国杯
10位 S・ヴォロノフ  40.88 8.25 7.89 8.39 8.21 8.14  NHK杯
11位 ボーヤン・ジン  40.69 8.29 7.89 8.11 8.29 8.11  スケアメ
12位 S・ヴォロノフ  40.54 8.18 7.86 8.18 8.14 8.18  スケアメ

宇野とコリャダーの2試合の比較が面白い。特に宇野については転倒した分だけPEを下げましたという採点。ものの見事に計算しつくしましたという平均点を打ち出している。あまりにも鮮やかすぎる採点マジックですねと言いたくなります。
そしてコリャダーはコンボ抜けのジャンプミスの多い方がPCSでは高かったという結果に。地元という部分が大きいかと思いますが、地元だから高いというのも本来はおかしいはずなんですが・・・
そしてスケアメの自国上げとライバル下げの鮮やかさも見事です。ヴォロノフは確かに旧採点下の選手ですので今の採点方式に合っていない部分はあるでしょう。しかしこうあからさますぎるとただのジャッジの好みじゃね?と思われます。まずはこういう場合には8点台がつきます9点台になります的な誰が見てもわかる指標を示すべきだと思います。
この6人の2試合の数字を並べただけで妙なうさん臭さが漂ってしまうというのはいかがなものなんでしょうか?