つれづれなるままに・・・

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五輪メダルという切符を得て―――ハビエル・フェルナンデス平昌五輪銅メダルに

唯一手に入れることが出来なかった五輪メダルをついにハビエル・フェルナンデスは手に入れた。銅メダルであっても4年前手をすり抜けていったものを得たと言う事は大きかっただろう。キャリアの終わりも見えている時期に手にしたこのメダルは今後に大きく生きてくる。本当におめでとう!SPFSともにここまでまとめた演技が見られるとはシーズン前半には思いもしなかった。本当にクリケットのピーキング力は凄いと感心する。

 

それでも本当はもっと良い色が欲しかっただろう。実際もう一つ上のメダルを取ったと私も思っていた。転倒やつまりこらえ着氷が多かった宇野よりはプログラムとしては完成された出来だったからだ。

確かに宇野とはもともと9点近い基礎点の差があった。そこから2Sに抜けて更に10点以上失ったことは結果として大きかったと思う。それでも差は2点無い僅差だったのだ。

フェルナンデスの演技を見ているときこの滑走順は彼にとって一番最悪のものだったのでは無いかと感じた。そのことがメダルの色を銀から銅に変えたのでは無いかと試合が終わった後思ったのだ。

 

競技中はプロトコルは見えないのでTESカウンターの数字の変遷で何点入ったのか予想するしか無い。フェルナンデスの滑走順が羽生の次になったことが悪かったのでは?と思ったのは2つめのジャンプを飛んだときだ。


最初の2つのジャンプ、羽生は4Sと4T、フェルナンデスは4Tと4S+2Tを飛んだ。本当はフェルナンデスは2番目が4S+3Tだったが4Sがあまり良くなかったので2Tを付けたのだ。結果的に3Tは次の3Aでリカバリ出来たのでここでの基礎点の損失は無かったわけだがそれでもこの2つのジャンプの時点で私はフェルナンデスの逆転は厳しいなと思った。
羽生は結果的にコンボが1つ入らず2T分の基礎点の損をした。しかし羽生の失った2Tを入れて飛んだフェルナンデスの2つめのジャンプ時点のTESは25点代半ばを表示していた。ところが羽生は2つめの時点で26.60を出していたのだ。(プロトコルでは結果的に満点になったのでジャンプ2つで26.80点稼いでいた)つまりこの時点で羽生の失った2Tはフェルナンデスに対しては全く問題にならなかっただけでなくすでにFSでも上回っているということになる。勿論後半羽生はRPEで3点以上失っているのでこの分についてはまだわからないがSPで4点差があることはそうなると大きかったなと思ったのだ。


ではフェルナンデスのジャンプはそこまで差が出るものだったのだろうか?4Sコンボについては確かに着氷がいまいちだったからGOEが少ないのはわかる。しかし4Tは勢いもある良いジャンプだったのだ。普通のGPSやユーロだったら+3ついていたかもしれない。実際ジャッジの1/3は+3を付けている。でも残りの6人は+2が4人と+1が2人だった。これはその前に羽生のGOE満点ジャンプを見ていたことが影響しなかったのだろうか?


もしフェルナンデスの前がジャンプのつまり着氷の多かった宇野だったらあの4Tにもっと高いGOEが付いていたかもしれない。他のジャンプのGOEにも響いていたなら2位と3位が入れ替わっていたかもしれない。完成された美しいジャンプを持つ羽生を直前に見てしまったためにフェルナンデスのGOEが渋くなってしまった気がした。フェルナンデスは羽生に比べると転倒したくないためかフリーレッグが下がりがちだし後半になるとどうしても上から落ちる感じになるためそこまでの流れが出にくくなる。シーズン前半を思えばジャンプもしっかり飛び回って着氷できていたのにそこまで点数が伸びなかったのはそういう影響があったのかもしれないと出されたプロトコルを試合後に見て改めて思ったのだった。

それでもGPSやユーロで勝っても結構グダグダしていたFSがあそこまでしっかりと演じきれたことは素晴らしかったと思う。五輪という最高の舞台でそれをやり切ったことは記憶にも記録にも残る。明らかな着氷不良が2度あった羽生より転倒などがあった宇野より演技としては見ごたえのある整ったものだったと思う。

 

試合後引退を示唆するような発言をし羽生が涙したという。年齢ももう若いとはいえないし五輪メダルを目指して節制する毎日を続けるのはフェルナンデスのような性格の選手には大変だろう。一度ゆっくり休んでリフレッシュしもし続ける意思があるなら続けて欲しいし引退するならそれでもいい。五輪という大舞台のメダルを得たのだ。自分の望み通りに新たな道を選んでも問題ない。

 

昨年のワールドで300点に乗りながら表彰台を逃したとき、GPFを逃したとき、五輪の表彰台は難しいかなと思ったことがある。ジャンプ主体で若手が伸びてきて基礎点としては戦えなくなってきてノーミスしなければと精神的な負担になることもあっただろう。それでもワールド2連覇・ユーロ6連覇・五輪銅メダルは素晴らしい実績だ。最後と思い乗り込んだ五輪で念願のメダルを得たことは本当に良かった。すっきりとした体型のフェルナンデスの笑顔が表彰台に上がる姿を見れたこと、羽生の連覇とともに非常にうれしいことだった。オーサーやトレーシーが非常に喜んでいた姿も印象的だった。羽生連覇・フェルナンデス3位・ジュンファンPBとチームクリケットとしては素晴らしい五輪になっただろう。ワールドに出るかはわからないがオフにショーでその演技を見ることを楽しみにしている。

 

五輪銅メダルおめでとう!SPFSともに素敵な演技でした!!