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2014-15シーズンジャンプ成功率―――S.ヴォロノフ/FS編

遅咲きの苦労人、セルゲイ・ヴォロノフの2014-15シーズンFSジャンプ成功率を見る。


ヴォロノフの出場大会はロステレコム/NHK杯/GPF/ロシア選手権/欧州選手権/世界選手権/国別対抗戦の7試合であるがSPと同じくナショナルのプロトコルが公開されていないため除いた6試合で計算する。

 

予定構成
4T+3T  3A+2T  4T  3Lz  //  3A  3S  3Lo+2T+2Lo  2A  =  67.12(国別以外)
4T  3A+2T  3Lz+2T  3Lz  //  3A  3S  3Lo+Lo+2Lo  2A  =  59.14(国別)

 

GOE0以上はロステレコム8・NHK杯8・GPF7・欧州選手権5・世界選手権6・国別7の41回。

 

功率は41/48=85.42%。


数字的には非常に高い結果になった。ヴォロノフは今季の上位選手の中で唯一と言って良いSP・FS転倒無し選手だ。抜けはいくつかあるが着氷が乱れるようなジャンプはあまりなかったと言うことだろう。


・4T+3T 2/5 成功率40%

         基礎点    GOE   減点   合計
ロステレコム 14.40   2.00   0  16.40 
N H K 杯   14.40   1.43   0  15.83   
G P F   8.20   0.90   0   9.10  (3T+3T)   
欧州選手権  14.40  -1.71   0  12.69  (両足着氷) 
世界選手権   5.40   0.50   0   5.90  (3T+2T)    
 平均    11.36  0.624   0    11.984


4T2回構成だが2回とも入ったことは無かった。(ナショナルでは入ったらしいがプロトコル無し)しかし転倒は無かったためまずまず得点を獲得できた。ただ世界選手権では2回とも抜けてしまったためその後の構成に問題が出た。コンビネーションがTが多い現状抜けやすい4T2回はかなり危険だし3Tになるとかなり基礎点が落ちる。出来れば別の構成にしたいところだ。平均基礎点から出来高105.49%、元の基礎点から83.22%。


・4T 1/6 成功率16.67%

         基礎点    GOE   減点   合計
ロステレコム  4.10   1.00   0   5.10  (3T)
N H K 杯    4.10   0.80   0   4.90  (3T)
G P F  10.30  -0.86   0   9.44   (OT) 
欧州選手権   4.10   1.00   0   5.10  (3T) 
世界選手権   1.30  -0.40   0   0.90  (2T)    
国別対抗戦  10.30   0.14   0  10.44   
 平均     5.70   0.28   0        5.98

 

とにかく抜けが多かった。世界選手権では2Tになってしまったため新ルールに抵触、後のコンボに影響した。抜けてもきれいに降りるため多少GOEが付いて見た目失敗感が薄れるが点数的には非常に痛い。結果的には3Tを後半に飛んだ程度にしか稼げなかった。平均基礎点からは出来高104.91%と高いが、元の基礎点からは58.06%と半分程度しか得点を得られなかった。


・3A+2T 6/6 成功率100%

         基礎点    GOE   減点   合計
ロステレコム 10.78   1.57   0  12.35  (後半)
N H K 杯    9.80   1.00   0  10.80  
G P F    9.80  0.43   0  10.23   
欧州選手権   9.80   0.71   0  10.51    
世界選手権  12.60   0.86   0  13.46  (3A+3T)    
国別対抗戦   9.80   0.14   0   9.94   
 平均    10.43  0.785   0    11.215

 

四回転時代というが羽生の成功率から見ても実は3Aの成功が前提であるという注釈が付く。ヴォロノフもそういう意味で3Aが安定していたからこそ今季の安定した戦果を出したといえる。失敗した場合でもリカバリできるという器用さもあることが強みだ。平均基礎点から出来高107.53%、元の基礎点からだと114.44%と素晴らしい結果を得ている。


・3Lz 4/6 成功率66.67%


         基礎点    GOE   減点   合計
ロステレコム  2.10   0.00   0   2.10  (2Lz)
N H K 杯    2.10   0.00   0   2.10  (2Lz)  
G P F   6.00   0.60   0   6.60   
欧州選手権   6.00   0.90   0   6.90    
世界選手権   6.00   0.30   0   6.30     
国別対抗戦   6.00   0.80   0   6.80   
 平均     4.70  0.433   0     5.133

 

おそらくGPSの間は失敗では無く2Lzをやっていたのだと思うが・・・3Lzを取り戻した嬉しさから失敗と言うことにしておく。本当に何年ぶりの3Lzだっただろう。エッジエラーも無いのだから得点源として使用していきたい。平均基礎点から出来高109.21%、元の基礎点から85.55%と来季のLzに期待を持てる数字になった。

 

・3Lz+2T 1/1 成功率100%

         基礎点    GOE   減点   合計   
国別対抗戦   7.30   0.60   0   7.90   
 平均     7.30   0.60   0     7.90

 

今季取り戻したばかりの3Lzがしっかりコンビネーションに出来た。4Tが抜けて3Tになってしまうより確実の得点を稼げるかもしれない。もし来季これを入れるなら出来ればセカンドを3Tにしたいところ。出来高108.22%。


・3A 4/6 成功率66.67%

         基礎点    GOE   減点   合計
ロステレコム  8.50   0.57   0   9.07  (前半)
N H K 杯    9.35   0.86   0  10.21  
G P F   9.35   1.00   0  10.35   
欧州選手権   9.35  -2.57   0   6.78  (お手つきSO)    
世界選手権   1.21   0.03   0   1.24  (1A)     
国別対抗戦   9.35   1.14   0  10.49   
 平均    7.852  0.171   0     8.023

 

助走の長いヴォロノフの3Aにはなかなか高いGOEは付きにくい。しかし成功率でカバーできていたのがシーズン後半疲れと怪我でミスが出た。なかなか27歳の高齢で四回転と3Aを2回ずつやるのは大変なのかもしれない。しかし是非来季も頑張って上位に食い込んで欲しい。そのためにも3Aの成功は大事だといえる。平均基礎点に対して出来高102.18%、基礎点に対して85.8%はまずまずだといえる。


・3S 5/6 成功率83.33%

         基礎点    GOE   減点   合計
ロステレコム  4.62   0.40   0    5.02  
N H K 杯    4.62   0.80   0    5.42  
G P F   4.62   1.00   0    5.62   
欧州選手権   0.44  -0.06   0    0.38  (1S)    
世界選手権   4.62   0.80   0    5.42       
国別対抗戦   4.62   0.70   0    5.32   
 平均    3.923  0.607   0    4.53

 

最初のステップの後に来る3Aと3Sはジャッジ前をくるくる3周回りながら飛ぶ。イーグルなどつなぎは入れていても助走は長くなってしまいGOEはあまり付かないがきれいに着氷したときは降りた後で色々してて面白い。後半のジャンプにはベテランの味のようなものが見れて好きだったりする。ただ転倒が無いのは平均獲得点が下がらないでい良いと言えるが2A以外の全てのジャンプが抜ける可能性があるというのはちょっといただけない気がする。平均基礎点から出来高115.47%、元の基礎点から98.05%、抜けるとやはり失う点が多い。

 

・3Lo+2T+2Lo 4/6 成功率66.67%

         基礎点    GOE   減点   合計
ロステレコム  9.02   0.40   0   9.42  
N H K 杯    9.02   0.20   0   9.22  
G P F   9.02   0.70   0   9.72  
欧州選手権   9.02   0.60   0   9.62      
世界選手権   0.00   0.00   0   0.00       
国別対抗戦   8.14  -0.50   0   7.64  (3Lo+Lo+2Lo)   
 平均       7.37   0.233   0    7.603


国別は実は構成が違うが面倒なので一緒に計算する。世界選手権では四回転のミスでザヤ警報が発令していたため飛んだ瞬間ため息をついた人が多かったのでは?今季の2回転回数縛りの犠牲者になってしまった。抜けやすい四回転を持っている場合はT以外のコンボを考えないと色々厳しいがLoがつけられるのなら来季はもう少し有効に使っていきたいところだ。平均基礎点から出来高103.16%、元の基礎点からは84.29%とキックアウトの分だけ獲得点が少なくなっている。

 

・2A 6/6 成功率100%

         基礎点    GOE   減点   合計
ロステレコム  3.63   0.21   0   3.84  
N H K 杯    3.63   0.29   0     3.92 
G P F   3.63   0.50   0   4.13  
欧州選手権   3.63   0.50   0   4.13      
世界選手権   3.63   0.50   0   4.13       
国別対抗戦   3.63   0.07   0   3.70    
 平均        3.63  0.345   0     3.975

 

1種四回転の場合には必ず入れないと行けない2A。あまり加点は付かないが最後のジャンプでもあるのでまずはしっかりと基礎点が取れれば良いだろう。あまり見栄えはしないがアクセルに苦手感が無いのが安心できる選手だ。出来高109.5%。


<FSジャンプまとめ>

・四回転の成功率は3/11の27.27%と低い結果に。基礎点からは72.72%と1回は必ず3Tに抜けている結果通りの数字になった。抜けが頻繁に起きるのならいっそのこと取り戻した3Lz2回構成の方が確実に稼げるかもしれない。

・3Aの成功率は10/12の83.33%だが基礎点からは100.46%とそれ以上の獲得に成功している。1度抜けたのは大きい損失だったが成功率が高かったことが功を奏した。ヴォロノフが最も稼げたジャンプだったと言える。

・コンビネーションの成功率は13/18で72.22%とまずまず高いと言える。出来高も94.01%とほぼ基礎点を獲得できている。転倒が無いと言うことは大きく減点が無いと言うこと。4Tの抜けは痛いが他が取りこぼしがなかったことが高い数字をはじき出した。

・3Lz以下のジャンプの成功率は20/25の80%、出来高は95.33%。コンボのキックアウトと3Loの抜けの分基礎点までは届かなかった。しかしコンボ一つまるまる無くてもほぼ基礎点に近い得点を得たのはそれだけジャンプの成功率が良かったと言うこと。来季は四回転以外のジャンプの抜けを無くしたいところ。

旧採点下で育ったヴォロノフに新採点のルールで戦えというのはなかなか難しいものがある。しかし今季それでも上位に居続けたのは転倒が無かったことが大きい。飛ぶまでの助走は長いが飛んだ後は地味に色々しているのを見るとできる限りの新採点への対応はしている。選手の中では最高齢に近いが来季も怪我に気をつけて頑張って欲しい。ベテランならではの見せ方はさすがと思わせるが出来ればもう少しすてきなプログラムでお願いしたいところ。ジャンプの成功率は今季以上を維持し抜けをなくせばまだまだ十分対抗できる。高難度時代というのはなかなかノーミスが難しいという側面も持つ。青い選手達が自らに負けてしまう中微笑みながらベテランの安定感で上位をかっさらうそんな存在で有り続けて欲しい。