つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

高難度時代に挑む―――ミハイル・コリャダー

羽生の全世界にいるファンたちが2017ワールドFSの注釈付き動画を世界的に発信している。面白い動画だなと感じる。ISUがお手本動画を配信しているが演技映像を垂れ流すだけでなくこういう注釈をつけてどこが評価されるのかどういう風に素晴らしいのかを明らかにしてくれれば日本の報道の仕方がもう少し変わるかもしれないのに、と思ったりする。ただ単にジャンプの成否を発信するのではなくどこでレベルを判別するのか、ステップはどこを見ているのか解説しやすくなるのではと思うのだ。ジャンプも単に「幅と流れがある良いジャンプでした」ではなくなってほしい。羽生のFSはノーミス演技だけにいいお手本になるのでISUも上手く利用すればいいのにと感じた。
もし作るならばアイスダンスが一番見たいのだが、男子シングルだったら羽生以外では特にチャンとフェルナンデスとブラウン、そしてコリャダーが見たいと思う。コリャダーは止まって動く場所もあるが結構足元は凝ってると思うのだ。ブラウンやチャンほど解説にはあまり取り上げられないのが残念だが、もう少しその辺りも評価されてもいいのにと思っている。今季はなかなかジャンプが安定しなくてシーズン当初は点数が伸びなかった。ただ初めてナショナルチャンプにもなったし世界選手権から国別にかけてまずまずの演技ができたので来季への期待も持てる終わり方だった。新たな4回転を入れる予定があるというコメントも出ているのでぜひ今季乗り越えられなかった280を超える演技を見せて欲しいと願っている。

フィンランディアT   総合4位 219.55 SP4位 80.20 FS5位 139.35
ロステレコム  総合4位 245.30 SP3位 90.28 FS6位 155.02
NHK杯    総合5位 225.69 SP4位 78.18 FS6位 147.51
欧州選手権   総合3位 250.18 SP3位  83.96 FS3位 166.22
世界選手権   総合8位 257.47 SP7位 93.28 FS9位 164.19 
国別対抗戦           279.41 SP4位  95.37 FS5位 184.04
平均       総合  246.266   SP平均 86.878  FS平均 159.388
 
結果的に見れば後半に向けて着実に点数を伸ばしたシーズンだったといえる。国別ではあるがPBも出せた。ただトップ選手の仲間入りというにはまだまだ下限が低いといえる。
入賞圏内を超えてユーロ以外の表彰台に上がるためには平均で265、下限で245を超えたいところだ。
 
 
<ジャンプ>
SP  4T+3T 3A // 3Lz =29.70
         
        基礎点    GOE   減点    合計
フィンランディアT  26.83  -1.09 -1   24.74  
ロステレコム 29.70   2.07  0   31.77
NHK杯   20.83   0.80  0   21.63
欧州選手権  21.20   3.41  0   24.61
世界選手権  29.70   4.50  0   34.20
国別対抗戦  29.70   4.46  0   34.16
平均    26.327  2.358 -0.167  28.518  
 
ソチの頃はこれで十分の構成だったが現在では少し厳しい構成となってしまった。確実に基礎点とGOEを稼ぎたいところだがシーズン冒頭はなかなかジャンプが揃わなかった。
しかし昨年のワールドといい今季のワールド&国別とシーズン後半でピークを合わせることは上手いのかもしれない。ジャンプそのものの質は良く流れも綺麗なのでGOEは付きやすい。特に3Lzの質の良さは素晴らしい。あとは確実性を上げたいところ。
 

FS 
        
        基礎点     GOE  減点     合計
フィンランディアT  47.87  -2.72  -1   44.15
ロステレコム 53.32   1.76  -1   54.08
NHK杯   55.83  -7.66  -2   46.17  
欧州選手権  62.53  -0.72  -1   60.81
世界選手権  62.47   1.09  -1   62.56
国別対抗戦  71.58   4.76  -1   75.34
平均    58.933 -0.582 -1.167  57.185
 
4Sや4Lzという2種目の4回転を入れようとしたシーズンだった。結果的に基礎点の高い4Lzにしたようだが今季中の成功はできなかった。新クワドの成功率が低いことは仕方ないことかもしれないがその影響か4Tも不安定になったことが序盤なかなか点数が伸びない原因だった。更に得意のはずの3Aもしばしばミスが出てしまうということで新クワドを試すにはリスクの方が大きかったシーズンだった。
コンボが足りなかったり予定構成がこなせない試合が多かったこともあり表彰台には絡めなかった。正直に言えば4Lzより4T2本構成をまずやるべきだと思うのだが・・・3Fがない分REPに引っかかりやすくリカバリしにくい構成を組んでいるところがもったいなく感じる。

<スピン>
SP
        基礎点   GOE     合計
フィンランディアT   9.7  2.50  12.20  ALLレベル4
ロステレコム  9.7  2.86  12.56  ALLレベル4
NHK杯    9.7  2.36  12.06  ALLレベル4
欧州選手権   9.7  3.28  12.98  ALLレベル4
世界選手権   9.7  2.57  12.27  ALLレベル4
国別対抗戦   9.7  2.93  12.63  ALLレベル4
平均      9.7  2.75  12.45
 
シーズン通してALLレベル4は素晴らしい。ロシアンはわりとスピンに苦労する選手が多いがコリャダーはポジション・回転ともに質がいい。
シーズンが進むとともにビールマンの姿を消したが、十分レベル確保はできているので無理する必要はない。平均獲得点数も素晴らしい出来だ。
 
 
FS
        基礎点   GOE   合計
フィンランディアT   8.9  1.83  10.73  レベル4 1回  レベル3 2回
ロステレコム  8.3  2.36  10.66  レベル4・3・2 各1回
NHK杯    9.7  2.22  11.92  ALLレベル4
欧州選手権   9.7  2.57  12.27  ALLレベル4
世界選手権   9.7  2.57  12.27  ALLレベル4
国別対抗戦   9.7  2.86  12.56  ALLレベル4
平均    9.333 2.402 11.735
 
転倒が毎試合発生しているためスピンでそのマイナスを埋めているといった印象。後半に向けて点数が伸びているのは評価されている。
ただスピンが得意な選手であるから、コンビネーションを2つにした方がお得なのにと思わないこともない。0.3もしくは0.5でも基礎点を上げられるなら取り組む価値はあると思う。
 
 
<ステップ>
SP
        基礎点   GOE   合計
フィンランディアT   3.9  1.05  4.95  レベル4 
ロステレコム  3.3  0.93  4.23  レベル3
NHK杯    3.3  0.64  3.94  レベル3
欧州選手権   3.3  1.00  4.30  レベル3
世界選手権   3.3  1.00  4.30  レベル3
国別対抗戦   3.9  1.40  5.30  レベル4
平均      3.5 1.003 4.503
 
ステップのレベルについてはなかなか4が取れなかった。コフトゥンに比べればGOEがつくのでレベルを落とすともったいない印象だ。
持ち越しプロだったので滑り慣れているはずだが、ステップのレベル要件については毎年少しずつ変わるので対応はなかなか難しいのかもしれない。
 
FS
        基礎点   GOE   合計
フィンランディアT   5.9  2.33  8.23  レベル4
ロステレコム  4.6  1.70  6.30  レベル2 
NHK杯    5.9  2.00  7.90  レベル4
欧州選手権   5.9  2.80  8.70  レベル4
世界選手権   5.3  1.36  6.66  レベル3
国別対抗戦   5.9  2.80  8.70  レベル4
平均    5.583 2.165 7.748
 
ロステレコムを除けばまずまずの点数を稼いでいる。ステップはレベルによって係数が変わるためGOEがつきやすい選手だからこそレベルにこだわりたい。
 
<TES計>
SP  
        基礎点   GOE  減点    合計
フィンランディアT  40.43  2.46 -1   41.89  
ロステレコム 42.70  5.86  0   48.56
NHK杯   33.83  3.80  0   37.63
欧州選手権  34.20  7.69  0   41.89
世界選手権  42.70  8.07  0   50.77
国別対抗戦  43.30  8.79  0   52.09
平均    39.527 6.112 -0.167 45.472
 
エレメンツの質については良い選手なのでジャンプミスさえなければ点が出やすい印象だ。シーズン後半に50点超えてきたことで来季に希望が持てる結果となっている。
ロシア男子がトップ選手から遠ざかっている実情があるので何とか頑張って欲しいものだ。とりあえずSPでは抜けは厳禁、特に3Aは稼ぎどころなので確実に飛びたいところだ。
 
FS
        基礎点    GOE  減点    合計
フィンランディアT  62.67  1.44 -1   63.11
ロステレコム 66.22  5.82 -1   71.04  
NHK杯   71.43 -3.44 -2   65.99
欧州選手権  78.13  4.65 -1   81.78
世界選手権  77.47  5.02 -1   81.49
国別対抗戦  87.18 10.42 -1   96.60
平均     73.85 3.985 -1.167 76.668 
 
毎試合転倒しているためGOEが伸びきらないことと減点が大きいことで70点台後半に落ち着いてしまった。羽生のようにジャンプミスが転倒に結びつくタイプの着氷なので安定するまでは仕方ないかもしれない。
転倒はともかくとしても抜けやコンボ不足・REPなどで基礎点を失っている試合が多いためまずはそこをなくすことを注視したい。コフトゥンにせよコリャダーにせよリカバリするということがないのがもどかしいと感じる。
 
<PCS>
SP
       SS  TR  PE  CC  IN  合計
フィンランディアT  7.88  7.38  7.63  7.71  7.71  38.31
ロステレコム 8.36  8.04  8.50  8.36  8.46  41.72
NHK杯   8.21  7.96  7.96  8.21  8.21  40.55
欧州選手権  8.43  8.14  8.50  8.46  8.54  42.07
世界選手権  8.57  8.29  8.61  8.43  8.61  42.51
国別対抗戦  8.64  8.36  8.89  8.57  8.82  43.28
平均      8.348  8.028   8.348     8.29  8.392   41.407
 
スケーティングの伸びの良い気持ちのいい滑りの選手なのでエレメンツをそろえると数字が出やすい選手だ。
ただし巧さはあるのにまだまだPCSが伸びきらないのはプログラムの問題もあるかと。コミカルな動きや表現は上手だが、それを点数に結びつけることに関しては弱いかなと感じる。もう少しうまくプログラミングできれば4回転が飛べるブラウン並みの評価が得られそうな印象がある。
五輪シーズンにコミカルでない良い振付が来ることを願っている。(バトルに振付してもらえないかな…)
 
FS
       SS  TR  PE  CC  IN  合計
フィンランディアT  7.67  7.33  7.58  7.75  7.79  76.24
ロステレコム 8.61  8.14  8.21  8.57  8.46  83.98
NHK杯   8.32  7.79  8.04  8.25  8.36  81.52
欧州選手権  8.57  8.18  8.43  8.43  8.61  84.44
世界選手権  8.46  8.07  8.21  8.29  8.32  82.70
国別対抗戦  8.86  8.50  8.86  8.64  8.86  87.44
平均      7.995  7.45  7.783   7.805   7.828   77.723
 
本来ならネイサンやボーヤンより上でブラウンと変わらない位の評価を受けても良いと感じる選手であるが、なかなかそこまで出ないのはやはり予定構成をこなしきれていないという点だろうか?
大技の転倒についてはジャッジもそこまで取り上げないが3A以下のジャンプでぽろぽろミスが出るのはいただけない。スケーティングはかなり良く着氷も美しく流れる選手なのでその辺りを強調したプログラムを組みしっかり基礎点を確保すれば275以上をコンスタントに出せる選手だと思う。
来季はさらに構成を上げるといっているが、まず取りこぼしがなくすことを注視して欲しい。
 
<来季に向けて>
コミカルっぽいプログラムを2つ並べたことが良かったかどうか微妙な印象だったシーズン。来季はぜひもっと違った方面の振り付けにしてほしい。SPFSのどちらかは北米系の振付師に依頼してくれたらと願っている。
スケーティングの伸びは非常にいい選手で足元も割と多彩で非常に好みの選手である。ジャッジの評価もまずまずな選手だけにロシアンという枠には収まらないで欲しい。
4Lzについては回転は問題なさそうだが着氷の感覚がまだつかめていない印象だ。飛形が飛ぶたびに異なっているみたいなのでまだ試行錯誤中かなという印象がある。オフの間にぜひそこをきわめて来季の武器にしてほしい。