つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

2016-17シーズン 羽生結弦SP要素

苦手な季節になってきたのでそろそろ新年まで消えようかと思ってます。その前にちょこっとだけ。ステップは前記事にあるので割愛。
 
 

4Lo(満点15.00=基礎点12.00+GOE3)
   成功率3/7=42.86%
 
        基礎点    GOE    合計     獲得率
オータムC  12.00   0.80  12.80  85.33%
Sカナダ    5.10  -2.10   3.00  20.00% コンボ扱
NHK杯   12.00  -2.63   9.37  62.47% SO
G P F  12.00  -1.03  10.97  73.13% こらえ着氷
4 C C  12.00   2.29  14.29  95.27%
世界選手権  12.00   2.43  14.43  96.20%
国別対抗戦   0.00   0.00   0.00   0.00% 1LoKO
平均      9.30 -0.034  9.266  61.77%
 
公式練習や6分間で良く抜ける割に試合では大丈夫で案外頼りになる武器だと思っていたらラストで思い切りやってしまった。国別の数字が恐ろしいというか残酷で泣ける・・・抜けはやばい、本当にやばいということで来季はないよう頑張ってください。
国別の数字を入れないと基礎点10.85 GOE-0.04  合計10.81 72.07%と新4回転初年度としてはまずまずの数字で落ち着く。4Sが不安定なシーズンとなったがそれでも戦ってこれたことはこのジャンプが大きかったと言える。
ただLoと言うジャンプの特性上、どうしても離氷まで間が空くし着氷もトゥジャンプよりは流れない。イーグルサンドをクリーンに決めてもALLGOE3がつかなかったので来季は可能であればコンボにした方がいいのではと考える。割と簡潔な入りのFSでは着氷率が高かったのでその方が高得点が稼げそうな気がする。
 
 
4S+3T(満点17.80=基礎点14.80+GOE3)
      成功率2/7=28.57%

        基礎点   GOE    合計    獲得率
オータムC   4.30 -2.10  2.20  12.36% 1S+3T
Sカナダ    4.40 -1.20  3.20  17.98% 単発3S扱
NHK杯   14.80  2.29 17.09  96.01%
G P F  14.80  2.57 17.37  97.58%
4 C C   5.60  0.70  6.30  35.39% 2S+3T
世界選手権  10.50 -4.00  6.50  36.52% 4S+2T 2TKOコンボ無
国別対抗戦  10.50 -4.00  6.50  36.52% 4SSOコンボ無
平均     9.271 -0.82 8.451  47.48%
 
コンボがコンボの得点にならないシーズンだった。ファーストが乱れるとコンボの基礎点がまるっと無くなってしまうためSPでは致命的。単独後のジャンプでリカバリもできないのでコンボはできれば最初に飛びたいと考えさせられる数字だ。
コンボの基礎点4.3点にコンボなしのGOE-3で転倒しなくても8.3点失う。これを3回もやって良く1位2位で終えられたなと非常に不思議に思える数字だ。
 

3A(満点12.35=基礎点9.35+GOE3)
   成功率7/7=100%

        基礎点   GOE    合計     獲得率
オータムC   9.35  2.00  11.35  91.90%
Sカナダ    9.35  2.71  12.06  97.65%
NHK杯    9.35  3.00  12.35 100.00%
G P F   9.35  2.43  11.78  95.38%
4 C C   9.35  3.00  12.35 100.00%
世界選手権   9.35  2.71  12.06  97.65%
国別対抗戦   9.35  2.86  12.21  98.87%
平均      9.35 2.673 12.023  97.35%
 
コンボであれだけ取りそびれても戦ってくることが出来た最大の要因が3A。成功率100%でGOEも97%以上もらえる4回転よりも確実に4回転の得点を稼げてしまう。
それでも今季はこのGOEが低いのではと言う声を良く聞いた。カウンターから飛んで幅も高さも素晴らしい質で降りたすぐ後に頭上超える高さまで足を上げているのだからALL3ついて良いのではないかということだ。
GOEにつき方と言うのは多少時代時代で変わってきているところがある。実際最初に羽生がバックアウトカウンターから3Aを飛んだのは悲愴の時だったがそこまで高い評価は受けなかった。入りも評価項目の一つでしかなくどこまでそれを点数に反映していいのかジャッジもさじ加減を模索しているのだろうと感じる。
ただこの飛び方は難しいと認められて過去に満点評価を受けてそれと変わりない質で飛んだならば(ルールが変わらない限り)いつでもついていいはずだと見ている方は感じる。しかしそうならないのでなぜ?と思う人が多かったということだろう。
中には羽生については過去の良いジャンプと比較されて評価されているとか、ジャッジがこの飛び方を見慣れて凄い事として評価をしなくなったなんてことを聞くこともあるが、基本今は絶対評価なのである。選手比評価などと言うことはあまり考えたくない。陰○論などと言いたくないので今季の3Aが満点にならないケースについて2つほど思うことを上げてみる。
一つ目は前の記事でも書いたが飛ぶ位置があまり良くなかったのでは?ということ。
今季の3Aはジャッジの左サイド手前から斜めに横切って反対側のショートサイド中央から奥側に向かって(ショートサイドの湾曲した壁に沿うように)飛んでいる。ジャッジはロングサイド中央に等間隔に座っている。その場合左側のジャッジからは飛んだ位置と着氷の幅ははっきりと認識できると思う。しかし反対側となる右側の端の方に座るジャッジからはその幅を認識するのは難しいのではないかと思うのだ。
直角三角形を想像してほしい。羽生の3Aが最も長い長辺の距離だとしてロングサイドの1点から見るジャッジには直角を作る高さと言う位置からしか見えないとしたら移動した距離はかなり縮んで見えるだろうということだ。更にジャンプは(よく誤解されるが)直線的に移動するわけではなくカーブを描くように飛んでいるわけだから高さ方面からしか見えないジャッジには尚更身幅というか距離が短く見えるだろう。
仮に良く見えなくても羽生が幅跳びジャンパーだということはわかっているはずと思うかもしれないが、「おそらく」と言う評価をジャッジがするかは疑問だ。過去に某引退選手が「苦手なジャンプはジャッジが見えにくい位置で飛ぶ」と発言したことがある。これはエラーかもしれないけどはっきり認識できないなら選手ファーストで悪い評価は見送る、と言うことだと考える。だとしたら当然その逆も成立するはずだ。良いジャンプを飛ぶ選手だと知っているが今の位置からははっきりと確認できないから最高点はつけられないと判断するジャッジがいてもおかしくないということだ。
そう考えると得意なジャンプを確実に良い評価してもらうためにはジャッジがしっかりと確認できる位置で飛んだ方がいい。例を挙げればボーヤンのFS冒頭の4LzやフェルナンデスのSPの3A、宇野が今季後半で軌道を変えた3Aなどはその幅や高さをジャッジが認識しやすかったのではと思う。見やすい位置で飛びしっかり着氷して見せれば文句のない綺麗な数字が並ぶ。ワールドのフェルナンデスのSP3Aは満点だったがこれは助走でロングサンドを横切ってそこからショートサイドの壁近くまで飛ぶジャンプだった。ロングサイド側のジャッジからその飛距離が見やすい位置だと思う。ジャッジから見て真横もしくは縦(縦ならリンクの幅から判別できる)に飛ぶ方が斜め方向に飛ぶより幅や移動距離が見やすいのではと考える。
2点目は「足上げ」は効果的だったか、と言う点。新採点になってずいぶん時間がたちどうやったら高いGOEがつくかデータが色々揃ってきた。ジャンプの入り出に工夫を付けることも数多くの選手によって行われている。ただそれでも一番GOEが付きやすいと思われるジャンプは(1)スピードを生かして離氷してクリーンな着氷をすること、(2)高さ又は幅もしくはその両方が際立っていること、(3)着氷がスムーズに流れること、この3点を兼ね揃えたものだと思う。例を上げればボーヤンのワールドFSの4Lzがそうだろう。特に入り出もこだわっていないが2.57ものGOEがついた。ぶっちゃけてしまうと音楽に合っているとか空中姿勢が良いと言うのは後付の理由じゃないのかとすら感じることがある。ジャッジによって割と基準が異なっていると感じるからだ。それでもジャンプそのものの質の評価が高いことが優先なのは基本的に変わりないように思う。
そうなると「足上げ」がそれほど効果的ではないのではと思えてくるのだ。着氷直後に足を頭上まで勢いよくあげることは言ってみれば急ブレーキをかけているようなものだからだ。本来はイーグルチェンジエッジができるほど素晴らしい流れを見せられる処をぶった切って足を上げている。バランス感覚の素晴らしさ体幹の強さが見える面白い振りではあるがジャンプの質を見るには有効ではなかったかもしれない。
更に足を上げるという工夫は女子選手などでは割とよく見られるものだ。男子でもブラウンなどが過去に使っている。でも3Aという高難度ジャンプ後の勢いのある場所であそこまで上げているケースはないというかもしれないが、工夫は工夫であるだけでそれが難しいから評価が高いというわけではない。あくまで足上げ、割とよくある工夫とジャッジが認識してしまえばそれまでになる。もちろん工夫の難度を加味しているジャッジもいるだろうが、難度にこだわらないであるないだけで判断するジャッジもいるだろう。工夫を「点数稼ぎ」などと言うコーチもいるくらいだから全然気にしないジャッジがいてもおかしくない。
イーグルサンド3Aが評価が高かったのは前後にイーグルを入れたことではなく降りた後のイーグルがチェンジエッジ出来るほどの流れがあったからだと思う。そこまで流れが作れる素晴らしいジャンプだったと評価されたのでALL3がついたのだろう。だとしたら足上げはもしかしたら全てのジャッジが評価できる物ではなかったのかもしれない。
しかしプリンスの曲にはイーグルよりも足上げの方が合っている。ただそれが「ジャンプの評価」に該当するかは微妙だ。曲と振付に関わることとジャッジが判断すればCCやINでの評価されてジャンプの評価には取り上げないかもしれない。
良くイーグルで飛ぶよりカウンターので飛ぶ方が難しいということをいう人がいるがイーグルで飛ぼうがカウンターで飛ぼうが入りの工夫と考えればどちらも同じ扱いになってしまう。より難しいから高評価にするというジャッジもいるかもしれないがそう判断しないジャッジを責める理由にもならない。定められた文言に合わせて数字でジャッジは評価する。その認識や評価のポイントについてはジャッジの裁量の範囲に任せられている。見ている観客としてはその差を説明してほしいと思うかもしれないが多少の齟齬は誤差の範囲と納得するしかない。少なくとも平均で97%を超える得点を確保できているのだから確かな技術と認められていることは間違いないのだ。
 

FCSq (満点4.7=基礎点3.2+GOE1.5)
 
        基礎点    GOE   合計    獲得率
オータムC   2.80  0.40  3.20  68.09% レベル3
Sカナダ    2.80  0.43  3.23  68.72% レベル3
NHK杯    3.20  0.93  4.13  88.72% レベル4
G P F   3.20  1.00  4.20  89.36% レベル4
4 C C   2.80  0.93  3.73  79.36% レベル3
世界選手権   3.20  1.00  4.20  89.36% レベル4
国別対抗戦   3.20  1.00  4.20  89.36% レベル4
平均     3.028 0.813 3.841  81.72%
 
コンボにミスが出るとレベルを落としがちだった。8回転廻る時間が無くなってしまうからだろう。結構ぎりぎりで設定してあるのだなと感じた。音楽には合っているがもう1~2回転多く廻る余裕が欲しい。
羽生のドーナツは形はきれいだが足を掴むときに膝が落ちるのは多少気になる。GOEは綺麗に回って+2といった評価。ブラウンの+3が並ぶキャメルはポジションの美しさに加え回転速度が急激に上がることで得ているのでドーナツではちょっと難しそうかなと感じる。ビールマンをする男子はあまりキャッチフットをやらない印象がある。キャッチフットスピンはあまり得意ではないのだろうかとちょっと気になっている。
 
 
SSq (満点4.5=基礎点3.00+GOE1.5)

        基礎点    GOE    合計    獲得率
オータムC   2.60  1.10   3.70  82.22% レベル3
Sカナダ    3.00  0.79   3.79  84.22% レベル4
NHK杯    3.00  1.14   4.14  92.00% レベル4
G P F   3.00  1.07   4.07  90.44% レベル4
4 C C   3.00  1.21   4.21  93.56% レベル4
世界選手権   3.00  1.14   4.14  92.00% レベル4
国別対抗戦   3.00  1.07   4.07  90.44% レベル4
平均     2.943 1.074  4.017  89.27%
 
最初の2試合を除き4点台とさすがに得意なスピンだなと言う数字。ただシットはキャメルやコンビネーションに比べて+3がつきにくいスピンだ。
ポジション的に回転速度の変更がしにくそうなイメージがあるが、曲に合わせようとしなければもっと早く回れるのかちょっと気になる。実際GOEのつき方を見ていると音楽に合わせて回るよりとにかく早く回った方が評価が高いので腕で振付するより一回できる限りの速度で回ってGOEが何点つくのか見せてくれないかと思っている。
 

CCoSq (満点5.00=基礎点3.50+GOE1.5)

        基礎点   GOE   合計     獲得率
オータムC   3.50  1.20  4.70  94.00% レベル4
Sカナダ    3.50  1.00  4.50  90.00% レベル4
NHK杯    3.50  1.07  4.57  91.40% レベル4
G P F   3.50  1.29  4.79  95.80% レベル4
4 C C   3.50  1.00  4.50  90.00% レベル4
世界選手権   3.50  1.21  4.71  94.20% レベル4
国別対抗戦   3.50  1.14  4.64  92.80% レベル4
平均      3.50  1.13  4.63  92.60%
 
シーズン通してレベル4は立派。そして全てでGOE+2以上と言う素晴らしい。獲得率も+2以上だと90%を超えます。
これ以上のGOEとなるとラストに回転数関係なく高速回転する必要がありそうなので全て音嵌めして作ってある羽生のプログラムでは難しそうだなと感じる。
ただこれ以上のGOEが付く選手も限られているしこれだけとれば差はつかないので+2以上有れば十分と言えるだろう。
 
 
<2016-17シーズン最高点>
 
4Lo    14.43(世界選手権)
4S+3T  17.37(GPF)
3A     12.35(NHK/4CC)
FCSp    4.20(NHK/世選/国別)
CCSp    4.21(4CC)
CCoSp   4.79(GPF)
StSq    6.00(AC/GPF/世選/国別)
 計     63.35
 
PCS    47.35(GPF/世選)
 
Total 110.70
 
今シーズンの最高点で計算するとTESは最高値更新するがPCSが低いため世界最高点にはならないという結果に。ノーミスが無かったので仕方ない。実際にTESの最高点が出たのならPCSも1~1.5ほどは上がると思うので世界最高が出るだろう。
複数の試合で最高点が出ている項目については比較的出しやすそうなので実際1つの試合で行うとしたらやはり前半2つのジャンプにかかってきそう。ジャッジもここを超えたら気前よくGOEを出しそうな気がする。
海外のジャーナリストが試合予想する際にノーミスだったら羽生が勝つと断言しているようにエレメンツの質の良さはすでに周知の事実だからだ。
こうして計算してみてもSPについては構成を上げる必要は全くないと言える。ネイサンもボーヤンもSP構成はほぼ天井となっている。PCSを縮めたとしても抜かれる心配はミスさえしなければ全くないので、決めた構成を確実に実行するだけで問題は無い。