つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

ルールと運用 ―――プロトコルのお勉強

スケートカナダはいろいろ勉強になる大会だった。

 

スケーターズフェイバーという言葉がこれほどツイッターを騒がしたことはないだろう。これはそれほど珍しくはない、ジュニアの選手のプロトコルなどではちょくちょく起こることなのだが、羽生という超有名選手におきた事象なので結構話題になった。もっともジュニア選手の適応の場合はダブルジャンプの関係で起きることが多く羽生のようなケースは珍しいので面白い事象だったことは確かだ。今回の羽生のケースで言えることはステップ入れてジャンプを飛ぶことは難しいけど、多少はマイナスを軽減できる側面もあるんだよということだ。

 

面白いなんて言えないケースでいえば宮原のステップノーカンの件。宮原は今季USクラシック、JOをすでに2戦出ていたがそこではこの判定を受けていなかった。だから驚いたことは確かだろう。すでにルールに詳しい方が問題点を上げている。それを見るとなるほどなぁと考えさせられる。

今は言わなくなったが以前はステップにも種類があった。ストレートラインステップとかサーキュラーステップといった氷上をどう利用して行うかで区別されていた。例えば羽生でいえばバラ1のステップはストレートラインを、SEIMEIはサーキュラーを基調にしている。ただ現在はステップでそれほどその形にはこだわりがない、と認識していた。氷上をある程度大きく使ってステップを行えばいいのだと考えていたが、もう少し縛りがあったということなのだろう。ある程度長くステップを行えばたいていの場合その要件をクリアしていたが、今回の宮原ははねられたというわけだ。

先の2試合でその要件を考慮していたかどうかわからない。もしかしたらレベル認定のみで考慮されなかったのかもしれない。結果今回ノーカンということになったわけだ。結論から言えばステップはやはりストレートラインもしくはサーキュラーを基本に形作るべきだということだ。宮原のステップはコーチやジャッジ資格者にももちろん判定してもらっていただろうが、そこまでこだわられていなかったのだろう。次のNHK杯までに修正を行ってほしい。

 

そしてもう一つ面白いというのか結果的に問題がなくてよかったねというのがサモヒンのFSだ。プロトコルを見ると彼だけ一つ要素が多くラストがキックアウトされている。実は今季ステップ中にジャンプをしても認定されるというルールがある。そのためステップ中に飛んだAがカウントされて要素過多で0点になったわけだ。

サモヒンはステップが最後の要素だったからキックアウトされただけで済んだがステップが途中にある選手は気を付けないとラストジャンプがキックアウトされてしまう可能性がある。2A以上の点数が消えてしまうことを思えばステップ中にカウントされそうなジャンプを入れないように気を付けなければいけない。

 

文章としてルールの変更を見ているが、これがどういう事象なのかは実際のケースを見て初めて理解するということがよくある。今回羽生とサモヒンは救われたが宮原はかなり損をした。順位の変更がないだけよかったが認識がないということは危険だなとひどく感じる。

新採点になって陰謀論とかジャッジ愛され論とかよく耳にした。結果的にみればルールをよく知らない人たちが理解しないで騒いでいただけのケースが多かった。今回の宮原の件を見ても知らないって怖いと感じる。数が多すぎて毎年変更がありすぎてついでに複雑でどういう事象を指すのか認識しづらくてなかなかすべてを把握することは大変だ。ただ今回のように起こったケースをよく検証することで次にこうならないよう対応することができる。GPSで良かったと考えて対応していくしかない。ついでに抱えた選手全員に引っかかるところがないかもう一度検証してほしい。

基礎点確保し加点をどう上積みするか、取りこぼしをどれだけ少なくできるか、その上で個性をどう出し音楽を表現するか、それで現在順位が決まる。ルールを知らないということはそれだけ勝利への道が遠ざかるということ。多くの選手の演技を検証することも大切だなとつくづく勉強になったスケートカナダ大会だった。

 

一つだけ・・・本郷の衣装についての記載は良くわからなかった。何が問題だったのか、提起したジャッジはぜひ教えてください。