2014-15シーズンジャンプ成功率―――デニス・テン/FS編
四大陸王者・世界選手権3位のデニス・テンのFSジャンプ成功率を見る。
出場試合はSアメリカ/エリックB/四大陸選手権/世界選手権の4試合。
予定構成
4T+3T 4T 3A+2T // 3A 3F+Lo+3S 3Lz 3Lo 2A = 70.69
全てのジャンプを行っているので32回、GOE0以上はSアメリカ5・エリックB6・四大陸7・世界選手権6の24回。
成功率は24/32=75%
確率的には羽生のFSと同じという結果に。試合数は違うが案外この二人得点的には似たようなシーズンを過ごしている。
・4T+3T 3/3 成功率100%
基礎点 GOE 減点 合計
エリックB 14.40 2.00 0 16.40
四大陸選手権 14.40 2.29 0 16.69
世界選手権 14.40 1.71 0 16.11
平均 14.40 2.00 0 16.40
テンの最も基礎点の高いジャンプ。Sアメリカでは4Tが失敗してコンボを入れることが出来なかったがそれ以外では実施し高い得点を獲得できた。四回転のコンボは難しいが抜けることも難度も落とすことも無くGOE2以上と評価が高い実施だった。出来高113.89%は素晴らしいとしかいえない。
・4T 1/5 成功率20%
基礎点 GOE 減点 合計
Sアメリカ 10.30 -3.00 -1 6.30 (転倒)
Sアメリカ 1.30 0.03 0 1.33 (2T)
エリックB 10.30 -3.00 -1 6.30 (転倒)
四大陸選手権 10.30 2.00 0 12.30
世界選手権 10.30 -1.86 0 8.44 (SO)
平均 8.50 -1.166 -0.4 6.934
Sアメリカで入らなかったコンボは1stが2Tとなってしまって単独ジャンプ扱いに。こちらはコンボに比べて成功率が悪い。四回転が2つとも失敗しなかったためコンボがつけられたと言うことか。テンもどちらかと言えば羽生タイプというか四回転の失敗は転倒が多いイメージだ。平均基礎点から出来高81.58%、元の基礎点から67.32%と単独というコンボより難度が低いという予想を裏切りあまり稼げていない結果になった。
・3A+2T 3/4 成功率75%
基礎点 GOE 減点 合計
Sアメリカ 12.60 0.43 0 13.03 (3A+3T)
エリックB 2.40 0.00 0 2.40 (1A+2T)
四大陸選手権 9.80 0.29 0 10.09
世界選手権 9.80 1.00 0 10.80
平均 8.65 0.43 0 9.08
Sアメリカでは4T失敗でコンボがつけられなかったためこちらに3Tをつけてリカバリしたため基礎点が高くなっている。着氷が流れないことが多くGOEがあまり付かないのとエリックでの抜けで失った点数が大きく基礎点までは取り戻せなかった。平均基礎点から出来高104.97%、元の基礎点から92.65%。
・3A 1/4 成功率25%
基礎点 GOE 減点 合計
Sアメリカ 9.35 0.43 0 9.78
エリックB 1.21 0.00 0 1.21 (1A)
四大陸選手権 9.35 -1.14 0 8.21 (SO)
世界選手権 8.50 -1.86 0 6.64 (前半SO)
平均 7.1025 - 0.6425 0 6.46
世界選手権では前半としてカウントされて基礎点が下がっている。3AがきれいなイメージがあるがFS後半のこのジャンプは失敗が多かった。平均基礎点から出来高90.95%、基礎点から69.09%であまり稼げているとはいえない結果になった。
3F+Lo+3S 2/4 成功率50%
基礎点 GOE 減点 合計
Sアメリカ 6.05 -1.80 0 4.25 (3Fe・2S)
エリックB 1.23 -0.69 0 0.54 (2Fe・+SEQ)
四大陸選手権 11.00 1.20 0 12.20
世界選手権 11.00 0.80 0 11.80
平均 7.32 - 0.1225 0 7.1975
シーズン当初Fにeをとられていたが比較的厳しめの世界選手権でも付かなかったほど改善してきた。シーズン前半が悪すぎて後半の良い部分でも補えきれなかったのが惜しい。試合数がもう少し多かったらと思わずにいられない。平均基礎点に対して出来高98.32%、元の基礎点に対して65.43&%。
・3Lz 4/4 成功率100%
基礎点 GOE 減点 合計
Sアメリカ 6.60 1.00 0 7.60
エリックB 6.60 0.50 0 7.10
四大陸選手権 6.60 1.10 0 7.70
世界選手権 6.60 1.10 0 7.70
平均 6.60 0.925 0 7.525
シーズン前半の不調時でもしっかり決めている。テンの鉄板ジャンプといって良いのかもしれない。出来高114.02%。
・3Lo 3/4 成功率75%
基礎点 GOE 減点 合計
Sアメリカ 5.61 -0.80 0 4.81 (お手つき)
エリックB 5.61 0.50 0 6.11
四大陸選手権 5.61 1.50 0 7.11
世界選手権 5.61 1.10 0 6.71
平均 5.61 0.575 0 6.185
3LoはあまりGOEが付かないジャンプのイメージがあるが四大陸・世界選手権の加点は素晴らしい。出来高出来高110.25%。
・2A 4/4 成功率100%
基礎点 GOE 減点 合計
Sアメリカ 3.63 0.43 0 4.06
エリックB 3.63 0.64 0 4.27
四大陸選手権 3.63 0.43 0 4.06
世界選手権 3.63 0.57 0 4.20
平均 3.63 0.5175 0 4.1475
ルール構成上入れなければ行けない2A。来季からは四回転を2種にするとのことだから入らなくなるのかも。しかし四大陸の2Aに加点が付くのはちょっと甘い気がする。3AといいFS後半のアクセルはあまり得意で無い印象だ。出来高114.26%。
<FSジャンプまとめ>
・FSでの四回転の成功率は4/8で50%。基礎点24.7に対して獲得点23.334で出来高94.47%とコンボのGOEが高く付いたので点数的には二つ合わせればあまり損はしていない。抜けが一度だけと少ないので後はもう少し転倒を減らしたいところだ。
・コンビネーションの成功率は8/11で72.73%。1回コンビネーションを損しているが、成功率はそれ程悪くない。こちらも4T+3TのGOEが高いため基礎点35.2に対し32.6775点獲得できている。出来高92.83%とそれ程悪くない数字を出している。
・3Aは4/8で成功率50%.後半3Aがいまいちだったため成功率も得点も伸び無かった。基礎点19.15に対して得点15.54、出来高81.14%とテンの中では低めになっている。SPFSと併せて12回飛ぶことになる重要ジャンプだけに成功率70%以上、獲得点9割以上を目指したいところ。
・3Lz以下のジャンプの成功率は13/16で81.25%。基礎点26.84に対し25.055得点、出来高93.35%と高い数字になっている。上位に安定しているためにはやはり3Lz以下のジャンプミスは印象も悪いためできる限り少なくしたいところ。
プロトコルを見ていると選手のタイプがいくつか分けられると思うことが時々ある。テンは上にも書いたが羽生と似たタイプだと感じることが多い。ジャンプについて言えば抜けが少なく高難度以外にミスジャンプが少ないところが印象が近いといえる。ただ羽生の得点に及ばないのは構成が多少弱いだけでは無く3Aの成功率とGOE加点が少ないことが上げられる。SPFSとも羽生は後半に3Aを跳びほぼ成功させるがテンは後半3Aの確率がやはり落ちる。GOEについては前半の高難度ジャンプの前のつなぎが少ないことから羽生ほどはやはり付かない。その辺りをジャンプについては重点的に改善したいところだ。ただ2種四回転となるとその実施精度がどの程度になるか、他に影響がどの程度及ぶか全く未知なため戦略と併せて来季のプログラムに期待したい。