2014-15シーズン男子シングルSPジャンプ平均獲得点ランキングまとめ
2014-15シーズンの上位選手のSPにおけるジャンプ成功率と平均獲得点を個別に見てきた。
成功率が高ければ獲得点が高いわけでもないというものだった。それぞれの要素ごとの獲得点順に並べてみる。
・3A(アクセルジャンプ)平均獲得点ランキング
基礎点 GOE 減点 合計 成功率
1位 羽生結弦 9.208 2.595 0 11.803 100.00%
2位 デニス・テン 8.500 0.890 0 9.390 75.00%
3位 M.ジー 8.500 0.535 0 9.035 100.00%
4位 S.ヴォロノフ 8.397 0.426 0 8.823 66.67%
5位 N.ニューエン 8.641 -0.072 -0.166 8.403 83.33%
6位 ハン・ヤン 7.083 1.215 0 8.298 66.67%
7位 J.ブラウン 8.142 -0.027 -0.142 7.973 71.43%
8位 フェルナンデス 7.388 0.423 0 7.811 50.00%
9位 M.コフトゥン 5.855 -1.202 -0.333 4.320 16.67%
3AはSPでもFSでも必須ジャンプであるので是非成功確率を上げたいジャンプだ。
羽生の成功率の高さもさることながらGOEの断トツ差に驚く。一方でフェルナンデスとコフトゥンといったジャンプの強いイメージのある選手が案外得点を獲得できていない結果も意外だ。世界選手権で見た目ノーミスのフェルナンデスが4Tお手つきの羽生を上回れなかった原因がスピンだけで無くここにもあることがよくわかる。
今季の上位選手であるがSPの3Aだけで羽生とコフトゥンで7.5点ほども差がついてしまう。コフトゥンの四回転2回構成が3Aの失敗で全く生きていないことがよくわかる。SPにおいては確実に決められるジャンプがあるというのは本当に強みだ。
・ステップからの単独ジャンプ平均獲得点ランキング
基礎点 GOE 減点 合計 成功率
1位 フェルナンデス 10.500 0.493 -0.166 10.827 66.67% (4S)
2位 羽生結弦 8.818 0.628 -0.166 9.280 50.00% (4T)
3位 デニス・テン 10.300 -1.3575 -0.5 8.4425 25.00% (4T)
4位 ハン・ヤン 9.267 -1.542 -0.167 7.558 16.67% (4T)
5位 M.コフトゥン 8.617 -1.143 -0.167 7.307 16.67% (4Tと4S)
6位 J.ブラウン 6.243 0.600 0 6.843 85.72% (3Lzと4T)
7位 M.ジー 5.830 0.525 0 6.355 100.00% (3F)
8位 S.ヴォロノフ 5.610 0.550 0 6.160 100.00% (3Lo)
9位 N.ニューエン 4.858 0.417 0 5.275 83.33% (3Fと4S)
3A以外のジャンプについては成功率より実施ジャンプの基礎点の高さでランキングがある程度決まってくる。成功率が多少低くても回りきれるならばやはり四回転ジャンプの方がお得だと言うことがよくわかる。何しろ成功率が20%切るコフトゥンが100%のジーやヴォロノフを上回ってしまうのだから。
同じ四回転同士ならばやはり成功率が獲得点に影響している。一方で基礎点がかなり損をしている羽生が確保しているテンを上回るのは成功ジャンプのGOEが高いと言うことだ。
四回転を跳ばない選手は離されない為にも失敗は許されない、少しでもGOEを得る努力をすることが必要なこともよくわかる序列だ。ニューエンは4Sのノーカンが痛かった。
・3-2以上のコンビネーションジャンプ平均獲得点ランキング
基礎点 GOE 減点 合計 成功率
1位 S.ヴォロノフ 12.900 0.613 0 13.513 66.67% (4T+3T)
2位 M.コフトゥン 12.700 -0.112 0 12.588 66.67% (主に4S+3T)
3位 デニス・テン 11.110 0.325 0 11.435 75.00% (3Lz+3T)
4位 N.ニューエン 10.981 0.167 0 11.148 50.00% (主に3Lz+3T)
5位 フェルナンデス 9.450 0.317 0 10.387 50.00% (3Lz+3T)
6位 ハン・ヤン 10.227 0.111 0 10.338 50.00% (3Lz+3T)
7位 J.ブラウン 9.377 0.533 0 9.910 85.71% (3F+3T)
8位 M.ジー 9.825 -0.050 0 9.775 50.00% (3Lz+3T)
9位 羽生結弦 8.892 -1.337 -0.333 7.222 16.67% (3Lz+3T)
羽生が最下位とはなんか新鮮なランキングだ・・・成功率も低いけど転倒が多いことがこの結果につながっている。というか羽生以外の選手は転倒していないというのも驚きだ。コンビネーションは成功率で100%の選手がいなかっただけにミスが多いというイメージがあったが案外点数的には確保している選手が多いということか。
これも基礎点の高さである程度決まりそこから成功率で順位が決まっている。単独ジャンプに比べGOE加点が付きにくいので基礎点と成功率が順位に密接に影響している。
最初に個別に記事を書いたときより国別やナショナル(ブラウンはB級も)が入ったため一部の選手はデータがかなり変わっている。
SPは要素が少ない分だけジャンプ失敗による差がつきやすい。どの項目でも1位と9位では5点差以上差がついている。単独ジャンプのフェルナンデスとニューエンはそれぞれ元のジャンプの基礎点の差がその位あるから仕方ない。しかし3Aとコンビネーションについては元の差はそこまでないのにジャンプ一つ分以上の差がついてしまうのは大きいと思う。
羽生はまだ3Aだけで他者より2点以上のアドバンテージを持てるからコンボの失敗もある程度相殺できている。稼げる鉄板ジャンプがあるというのは本当に強みであるといえる。
ニューエンの項で選手によって基礎点の高さで稼ぐ人と基礎点が低くてもGOEで稼ぐ人とその両方を求める人がいる、と書いた。だがこのまとめを見るとジャンプについては基礎点が低くてGOEをたくさんもらい勝負する、というのは難しいことがわかる。何故なら三回転と四回転ではGOE係数が異なるからだ。また四回転を飛ばない人はジャンプそのものが余裕の無い場合も多く加点が付きにくい傾向もある。自分が出来るぎりぎりの構成を組みそれを高確率で決めると言うことが案外四回転の無い選手こそ必要なのかもしれない。