全てを出し切った者たちの戦い―――四大陸選手権FS感想
女子は見事三原の逆転優勝!オズモントとデールマンがなかなかノーミス出来ないことは想像できましたが三原があそこまで纏められるとも予想していなかった。直前のナガスノーミスが生み出した良い演技が見られるぞ的な流れに上手く乗れた感じだ。初優勝&初200点超えおめでとう!
残念ながら四大陸の優勝ポイントを入れてもワールド後半グループに入れないのですが、評価は上がっていますので再び同じようなSPが出来れば十分入賞圏内に残れるはず。宮原と二人200点超えれば来季3枠の可能性が生まれます。是非頑張って欲しいです。
樋口についてはFSはだいぶジャンプを戻してきたが同じ場所でジャンプが抜けまくった。心理的なものかあるいは怪我のためか両方かよくわからないがワールドまでまだ1月有るのですっきりと気分を切り替える必要がある。魅力のスピード感が感じられなくなっているのでジャンプにミスが出るとPCS評価が厳しくなってしまうのは仕方ない。何かトラブルがあっても転倒や抜けがあってもプログラムにあった表情で最後まで滑りきる強さを学んで欲しい。転倒して腹を打っても笑顔で立ち上がるオズモンド、この強さもいろいろな敗北や挫折から身につけたものだ。是非乗り越えて欲しい。
本郷は急遽の代役で大変だった。本命はアジア大会だったはずだが前倒しで体調を整えたのだろう。体を急に絞ったためか動きが逆に重くなってしまったように見えた。本来なら徐々に体重を落としながら体力を落とさないよう滑り込む頃だったのだろう。本番使用の経験と切り替えてアジア大会に良い演技が出来るよう頑張って欲しい。
四大陸女子はころころ転倒が多い結果となった。氷に合う合わないと言うのがはっきり出るのかもしれない。会場にいる方からは水たまりが見えるというツイも有ったので観客が多いと溶けやすいのかもしれない。その辺りも出場選手は体験できて良かったのでは?今後に生かして欲しい。
レスリー・イブ 146.74 FS93.88 TES52.32 PCS45.56 -4
冒頭3Lz後の腕上げアピールが良い。2転倒で厳しいが丁寧に滑っている。ジャンプが上がったときに軸がゆがむことが転倒の多い原因。空中の姿勢を維持するには身長の割に筋力が足りない感じ。
スピンのスピードはないが滑りは悪くない。首から背中への姿勢が良くないので改善出来ればもっと良くなりそう。
アンドリュー・ドッズ 162.05 FS101.88 TES48.04 PCS54.84 -1
二人続けてピアノ曲。大きな3Lzは軸が曲がり転倒、空中で飛形がズレていく様は怖い。ジャンプは全て軸がゆがむのでおっかない。
後半スピードが落ちたせいかジャンプがまずまずに落ち着く。スピードがあるときにコントロールできないのかも。疲れてくるとスピンのスピードが格段に落ちてしまうのが残念。
マイカー・テン 135.79 FS89.38 TES46.24 PCS44.14 -1
体型と横顔的に本田を思い出す選手。大きな2Aでスタート。この辺りの選手はジャンプの前に飛ぶ方向を凝視する傾向が見られる。その域を超えられるかが上位選手との境なのかも。
ステップはかなり緩やかでエッジが浅そう。ジャンプ高さはあるけど締めが足りないのか回転が緩いのがもったいない。中盤のイーグル連続は印象的で良いかも。スピンはまずまず良い。
カイシャ・チョウ 138.46 FS91.08 TES46.88 PCS45.20 -1
2Aでスタート。全体的にジャンプが低いがなんとか着氷は出来ている。振付は右腕だけが動く感じ。ジャンプはもう少し高さを出すか締める力を付けないとなかなか綺麗に着氷は出来なそう。
チー・イー・ツァオ 169.63 FS118.61 TES64.25 PCS56.36 -2
3A転倒。、コンボOK、これまでの選手の中では高さと幅のあるジャンプ。構える時間をもう少し縮められれば評価が上がりそう。中盤の反転して頭打ちそうな転倒が怖い。ステップはタンゴなのでもう少しメリハリが欲しい、腕だけでの表現はいまいち。ラストのシットスピンはポジションも回転も良かった。
ナム・ニューエン 237.08 FS164.09 TES92.57 PCS72.52 -1
4TOK4S転倒でスタート。回転は大丈夫かSPの採点を見ると気になってしまう。ニューエンも腕は良いがそれ以外の上体が動かない印象がある。ジャンプの前以外は以前よりは滑って見える。スピンも上手くはないが頑張っている。ラスト反対?
PCSが低い・・・
イ・シヒョン 195.72 FS130.32 TES64.04 PCS66.28
韓国人1人目、第2グループに集結している。一瞬田中に見えた、体型似てる。上背があるのでジャンプが決まると映える。観客大喜び。しかしスピンは要練習。セカンドループ惜しい。3連がテンポ良い。もう少し長身を生かした振付にしたら良いのに。
マイケル・C・マルティネス 214.15 FS141.68 TES71.56 PCS71.12 -1
くるくる3Loでスタート、コフトゥンみたいな飛び方。3A軸曲がるがなんとか、飛び方がアメリカン。心地よい音楽がBGM化しているのが惜しい。ジャンプ何とか降りているが3Lzでついにコケ。ジャンプ中は非常に単調だがステップが情熱的なのはモロプロらしい。最後まで良く滑った。
ジュリアン・イー・ジージェイ 202.67 FS130.46 TES63.96 PCS67.50 -1
声と共に飛ぶジャンプ、ちょっと格好良い。でも軸が怖い。ジャンプの質的にはロシアン系か、パワフルで重量感がある。黒一色の衣装は面白くないのでもう少し何とかしよう。それから止まって踊るのはいまいち、腕は動くが足が動いていない感じ。ジャンプは悪くないので滑りを鍛えよう。
キム・ジンソ 195.05 FS130.79 TES63.95 PCS67.84 -1
4T転倒3A抜けと悪いスタート。動きは洗練されているし滑りもスピンも悪くない。楽しそうに滑るのも良いがなかなかその上に上がれないのはジャンプかな。どうしても離氷時も着氷も沈んでしまう。回転中も軸が微妙に揺れている。膝が柔らかいのも考え物かも。腰回りが太く見えるので衣装をもう少し改良したい。
イ・ジュンヒョン 187.58 FS120.03 TES56.11 PCS64.92 -1
3Aバッタン転倒痛そう。スタイルは良いけどジャンプはあまり高くない。ただフリーレッグはここまでの選手の中では綺麗な方。ジャンプ中左肩が下がりがちなので軸が曲がる原因かと。後半の曲の盛り上がりに滑りが負けているのでもう少し空間を上手く使えるようになりたい。
第3グループの前にネイサンの構成変更情報キャッチ。
4Lz+3T 4F 4T+2T 4T //3A+Lo+3F 4Sまたは3Lo 3Lz 3A=95.33(または89.39)恐ろしい。でも出来なくも無い構成。やはり3Aの係数は大事と言うことか。わくわくよりどきどきが上回る新情報だ。
田中刑事 220.18 FS142.63 TES68.71 PCS73.92
4S抜け×2でスタート。体を大きく使っての滑りはいいが高難度とセカンド3Tが無いため点数は伸びない。
ケヴィン・レイノルズ 222.31 FS145.95 TES72.31 PCS74.64 -1
4S抜け4T転倒。今日はSでミスる選手が多い、飛びにくい氷なのか。4T2本目は頑張ったが単独なのでREPもったいない。後半に行くほど滑りが伸びていく感じ。冒頭のミスは大きかったが最後まで頑張った。
ブレンダン・ケリー 227.39 FS149.28 TES76.70 PCS72.58
おっさん度が高くなったケリー君。髪が盛りすぎ?4Sようやく成功が見れた。非常に高さがあって良い。4TはほどけてSO。3Aコンボはタノ。全体的に昨季よりジャンプに高さがある。しかし後半になると軸ぶれが出てジャンプの質が落ちてくる。飛ぶことに集中しているの音楽がステップ以外BGM化している。スピードもがくっと落ちるので体力面が要課題。
ジェイソン・ブラウン 245.85 FS165.08 TES79.36 PCS85.72
3Aコンボでスタート。2本目はクリーン。キャメルはスピードがあって非常に良い。滑りも全米の頃よりだいぶ戻している。音に合わせてポーズするステップ良し。清涼感に満ちた演技。後半のコンボをもう少し早く消化した方が良い。ジャンプの質がどんどん落ちてゆくので非常に危険。音楽に遅れディダクションとられるか?
ミーシャ・ジー 239.41 FS157.56 TES80.64 PCS76.92
正直に言うとミーシャのジャンプ前の腕が好きじゃ無い。日本の女子選手にもこういう感じ多いんだけど・・・ジャンプの時は演技じゃ無い感じがするんだ。ただ滑るときは非常に曲を意識している。止まるときでは無く滑るときにもう少し膝下が綺麗に伸びると動きが映えると思う。ジャンプが安定したので途切れない一つの演技としてみせられるようになっている。4回転が無いから点数的には伸びないがこれはこれで正解だと思う演技だ。
グラント・ホクスタイン 235.72 FS153.78 TES77.00 PCS77.78 -1
4T何とか3Aコケ、昨年によく見た光景。2本目4Tは何とか。ミーシャの後だと滑りが軽やかに見える。後半になった方がジャンプの質が良くなってくる。ロングイーグルが曲の盛り上がりにきちんと合って気持ちいい。転倒はあったが演技は纏めた。笑顔がかわいい。
ボーヤン・ジン 267.51 FS176.18 TES100.74 PCS77.44 -2
ベストが戻ったボーヤン壁が近すぎたが4Lzコンボ決める。4SSO、4Lo転倒。小芝居がいまいちぎこちないが滑りはだいぶ良い。4Tfall2本目お手つき+2Tで何とかREPクリア。3連もなんとかOKで基礎点の確保はまずまず出来ている模様。かなり体力的に苦しそうだが何とか頑張った。
パトリック・チャン 267.98 FS179.52 TES89.94 PCS92.58 -2
4T+3T素晴らしい!3Aも流れる。4Sfall。ライスト止まるな、頑張れ!3AREPが痛い。後半も滑るがジャンプが飛びにくいのか着氷がいまいち。点数的にまたボーヤンと近そう。
ハン・ヤン 235.45 FS151.37 TES73.09 PCS78.28
3Aお手つきというか上から落ちたみたいな怖い着氷。4TSO、2本目はコンボOK。ハンヤン凄く太ももの形が変わっている。3A2本目抜け。3LoSO、3Lzコンボは良し。音楽が相変わらず意味わからないがミスが多い割に最後まで集中して滑っている。
宇野昌磨 288.05 FS187.77 TES98.69 PCS91.08 -2
4Lo4FOKの良いスタート。イーグル3Afall。4T何とか、2本目コンボ成功。3AfallREPで3連無し。ラストスピンがよれる。冒頭の良い流れが後半に生かせなかった。
羽生結弦 303.71 FS206.67 TES112.33 PCS94.34
4Lo4Sまずまずのスタート。後半4Sが抜けるが3A+3Tのあと4T+2Tに変更。ラストは3Aでリカバリ。コンボは3連なしがもったいないができる限りのことはした。
ネイサン・チェン 307.46 FS204.34 TES115.48 PCS88.86
4Lzコンボクリーン、4FもOK、4TSO、2本目何とかコンボ。3A3連何とか4Sも決める。ラスト3ASOでジャンプを纏める。後はしっかりエレメンツをこなす感じ。スピンも回転を数えて回っている様子。
<総合順位>
1位 ネイサン・チェン 307.46
2位 羽生結弦 303.71
3位 宇野昌磨 288.05
4位 パトリック・チャン 267.98
5位 ボーヤン・ジン 267.51
SPの点差が結果的大きかった。ただ2Sに抜けたときに3連を飛んでいたら面白かったかもしれないと言う結果に。やはり規定数のジャンプを飛び基礎点を稼ぐことが大事ということ。それにしても羽生は四大陸にはついてないらしい。
ネイサンも結果的に構成を上げて成功だったのかどうかは微妙だ。全米の構成のままの方がクリアに飛べたかもしれないのに。でも3Aは大事なんだよな。
チャンとボーヤンは今回もきわどい争いでチャンが勝ち。この二人いつもこんな感じだ。
予想から考えると羽生はSPで抜けた分マイナス、ネイサンは構成が上がったためちょっとオーバー、宇野は290超えないところが当たり。チャンとボーヤンは転倒2回で思ったほど伸びなかったと言う結果になった。
女子がころころ転んだが男子も今日は転倒が多かった。ただ女子も男子も結果的には転倒しない構成を完遂する選手が上位に来た。
ここから読み取れることは予定基礎点を確実に得る。コンボは使い切る。転倒はなるべく少なくということがこの会場で勝つのに必須なのかもしれない。
日本人的には残念な結果だが羽生もSPの抜けが致命傷だっただけでFSではネイサンに勝っている。そこまで悲観的になる負け方では無かった。
またここ数年羽生とフェルナンデスで争ってきたがそこにネイサンや宇野のような新勢力が割り込んできたことを実感させる戦いになったことが明らかになったという意味で面白くなったと思う。
来月のワールドそして来年の五輪がますます楽しみになってきた。
羽生も宇野もネイサンに負けたのはコンボを無駄にしたと言うことがGPFの反省を生かせなかった。ただできる限りのリカバリを羽生はし(3連を諦めたのはもったいないが)て結果的にFS4クワド降りたのでまずまずの成果はあったのでは。ついでに私的にラスト3Aが見れたことはラッキーだった。
宇野も4Loが綺麗に着氷できたことは成果だったでしょう。とりあえずテレビ報道的な嘘は解消されたし。
面白い戦いが見れたので地上波大画面を録画で見ることを楽しみにしています。
それにしても宇野とネイサンのPCSが伸びたなぁ。構成が劣るチャンとフェルナンデスはかなり厳しくなったなぁと感じます。