2016-17シーズン ワールドへの道―――SP編おまけ
今シーズンの6強と呼べる選手たちのSP獲得点を要素別に見た。
ジャンプの成功率は例によってGOE0以上で計算。ファーストジャンプが抜けの場合はプラスでも失敗とみなす(セカンドはGOE+なら成功)。コンボをミスって別のジャンプにつけた場合はそちらの方にセカンドが合計されている。そして転倒減点は今回は含まれていない。
SPのジャンプ構成は全員シーズン通して変わっていない。ネイサンのみスピンでシットとキャメルの位置がGPFから入れ替わっている。
残念ながらスピンステップALLレベル4はいなかった。宇野が非常に惜しかった。クープ・ド・プランタンのプロトコルを見つけたのでその分も今回は加算している。
羽生 結弦 5試合
4Lo 2/5 40% 10.086
4S+3T 2/5 40% 9.232
3A 5/5 100% 11.978 ジャンプ平均計 31.296
FCSp レベル4・・・2回 3・・・3回 3.698
CSSp レベル4・・・4回 3・・・1回 3.982
CCoSp レベル4・・・5回 4.612 スピン計 12.292
StSq レベル4・・・4回 3・・・1回 5.626 TES計 49.214
ハビエル・フェルナンデス 4試合
4T+3T 2/4 50% 13.048
4S 2/4 50% 10.250
3A 3/4 75% 10.030 ジャンプ平均計 33.328
FUSp レベル4・・・3回 3・・・1回 3.508
CCoSp レベル4・・・2回 3・・・2回 4.125
CSSp レベル4・・・3回 3・・・2回 3.723 スピン計 11.356
StSq レベル4・・・4回 5.700 TES計 50.384
ネイサン・チェン 5試合
4Lz+3T 3/5 60% 16.722
4F 3/5 60% 11.090
3A 3/5 60% 8.034 ジャンプ平均計 35.846
FSSp レベル4・・・4回 3・・・1回 3.456
CCSp レベル4・・・3回 3・・・2回 3.508
CCoSp レベル4・・・1回 3・・・4回 3.692 スピン計 10.656
StSq レベル4・・・1回 3・・・4回 4.746 TES計 51.248
パトリック・チャン 5試合
4T+3T 3/5 60% 11.500
3A 2/5 40% 7.920
3Lz 3/5 60% 7.278 ジャンプ平均計 26.698
FSSp レベル4・・・5回 4.112
CCSp レベル4・・・3回 3・・・2回 3.930
CCoSp レベル4・・・4回 3・・・1回 4.590 スピン計 12.632
StSq レベル4・・・3回 3・・・2回 5.272 TES計 44.602
ボーヤン・ジン 4試合
4Lz+3T 1/4 25% 14.475
3A 3/4 75% 8.865
4T 3/4 75% 10.873 ジャンプ平均計 34.213
FCSp レベル4・・・2回 3・・・2回 3.365
CSSp レベル4・・・2回 3・・・2回 3.463
CCoSp レベル4・・・4回 3.983 スピン計 10.811
StSq レベル4・・・2回 3・・・2回 4.548 TES計 49.572
宇野 昌磨 7試合
4F 2/7 28.8% 11.313
4T+3T 2/7 28.8% 10.614
3A 6/7 85.7% 11.366 ジャンプ平均計 33.293
FCSp レベル4・・・7回 4.013
CSSp レベル4・・・7回 3.574
CCoSp レベル4・・・7回 4.553 スピン計 12.140
StSq レベル4・・・6回 3・・・1回 5.291 TES計 50.724
転倒減点を入れない&プランタンを含めると宇野がTESでフェルナンデスを超える。ついで4Fとコンボの成功率もかなり上がった。
スピンがALLレベル4のわりにこの中で宇野がそれほど高得点に感じないのはCSSpが1度GOE-2以上を食らっているため。足替え後に大きくバランスを崩したのだがレベル4でここまでマイナスされるのは珍しい。もともとスピンの中ではあまりGOEが高くない要素なので平均を下げてしまった。
ジャンプの成功率では宇野は非常に低いが4Fはステップ不足のGOEマイナスが4回あるため得点としては高めとなっている。決していい着氷ではないがある程度できてはいる宇野としては4Tコンボを確実に決めることが今の課題だろうと感じる。
ボーヤンとネイサンは冒頭の4Lzコンボの差が大きいことがわかる。ボーヤンは今季なかなかこの大技をクリーンにできていない。Lzはボーヤンの中ではもっともGOEが稼げるはずのジャンプなのでここで獲得できないと挽回する場所がなくなってしまう。SPのスピンステップについては現時点でこの二人に大きな差はないことがわかる。しかしレベルGOEともにネイサンはシーズン後半に来て確実に取れるようになってきているので今後は異なってくる可能性が高い。ボーヤンもレベルだけは獲得するようにしたい。
チャンはこの6人では構成が一人低いためジャンプで並び立てないことはわかっている。ただ問題はこの構成でも成功率が高くないことだ。高難度組がそこそこの成功率を誇っているためせめてそれを上回れないと最終グループに入れないという事態になってくるかもしれない。せめて羽生のように一つでも鉄板ジャンプを作りたいものだ。しかしスピンの獲得点は素晴らしい。後は得意のはずのステップをレベル4確実に取っておきたい。
フェルナンデスはどのジャンプもほどほど基礎点近く取っている。構成を上げないで完成度での勝負なのでここまでまずまずできている。しかしやはりGOEを付けていかないと若手に押される印象があるので4回転の成功率を80%維持したい。あと一人だけスピンの基礎点が低いためレベルはしっかりとっておきたい。
羽生は今季の苦労が良くわかる数字になっている。4回転の成功率については新要素なので仕方ない部分ではある。ただ他の選手と違うのは失敗が基礎点大幅減に結びついてしまっているところだ。抜けとコンボ無しそしてダウングレードは現行のルールでは最もやってはいけないミスである。4Loのダウングレードについてはおそらくもうないだろうが4Sは要注意。来季を見据えて4Tにすることはないと思うのでせめて飛びやすい飛び方で基礎点を確実に取るようにしたいところ。コンボでミスするとキャメルのレベルにも響く要因になっている。2重のマイナスはSPでは大きい。FSの滑走をグループ後半にするためにもTESをしっかりとっておきたい。それでも鉄板すぎる3Aの成功率・獲得点がすごい。4Loの基礎点と変わりないわけで4回転を一人3本入れているようなもの。3Aの存在が羽生は強いという印象を与え続けている。
PCSを入れるとボーヤンが劣る印象があるが、TESでは全く遜色ない。むしろチャンが厳しいなと感じる。ネイサンに今季では少し水をあけられた感じがあるが数字で見るとそこまでの差ではないことがわかる。決まった4Lzであればむしろボーヤンの方が質は良いのでとりあえず冒頭のジャンプを決めたいところだ。
今季の獲得点を見るとこの6人がデータ上上位に来る可能性が高い。そしてどの選手もそれなりの成功と失敗をしてシーズンを進んできた。ここまでの確率を超えた演技をした選手がワールドでは勝つだろう。表彰台全員がSP100点越え総合300点越えなんて物凄い試合が見られることを是非期待している。