つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

予想優勝スコアから来季の構成を予想してみる

偏頭痛持ちの私はこの雨が多い時期が苦手だ。幸い今のところそこまで天候が悪くないので何とかやっていられる。
ここのところ考えているのは平昌五輪の優勝スコアだ。各選手がどの数字を目指して構成を組んでくるのか予想するのがこの時期の楽しみだったりする。毎シーズンまとめをした後の楽しみだ。
しかしながら来シーズンの優勝スコアは予想しづらい。何しろヘルシンキワールドでは300点超えても表彰台に立てなかったのだ。こんなことはシーズン始まる前に予想もしていなかった。急激な構成の上昇とそれをある程度達成出来る選手の登場による変化のたまものだ。
ヘルシンキのワールドでは300点を超えても表彰台に立てなかった。6位ですら290点を超えていた。その下は少し空いているので現在の処この6人が平昌五輪の表彰台候補になるだろう。来季は更にシニア入りする選手がいるが現実的に考えて300点を超えるのはかなり難しいと思われる。その為ニューフェイスはまずおいておく。
ヘルシンキの表彰台が300点以上で占められたことからも平昌五輪もそこから大きく下がることは無いと思われる。悪くても3位が290を下回ることは無いだろう。五輪というのは選手にとっても特別な大会で皆これに併せて調整してくる。今回は表彰台候補が6人と多いのでその全てが乱れると言うことは考えにくい。五輪が2度目3度目のベテランが3人もいることもあるからおそらく金メダルはヘルシンキの点に近いかそれ以上になると考える。
そうなると320点以上の点数が優勝には必要かなと考える。何しろワールドチャンプが世界記録保持者だ。いつもいつもその数字が出せなくてもワールドのようにここぞというときに力を出せることは実証済みだ。そんなわけで少なくとも320点を出せるという前提で構成を組むことにする。
 
 
<ボーヤン・ジン>
ボーヤンは史上4人目の総合300点超えの選手ではあるが、6強の中で唯一SPで100点超えしていない選手でもある。構成としてはネイサンに次いで高い後半4回転入りのプログラムだがPCSがなかなか伸び悩み現状超えられていない。
ただSPは持越であるし一般受けする曲で盛り上がるのでノーミスレベル揃えできれば超える可能性はある。ただ構成は天井であるので点数を大きく伸ばすのは難しい。スピンステップのGOEが飛躍的に伸びることも考えにくいのでノーミスで102~103位が最高では無いかと予想する。
そうすると320点超えるためにはFSで217~218必要となってくる。ボーヤンの最高点が205点弱なのでもう12~13点以上必要と言うことになる。
2016-17シーズンのPCSの平均が81点弱、最高が86点だった。五輪という大舞台でノーミスで纏めればもう少し出るだろうから88と考えるとTESで130欲しいところだ。つまりTESの最高点が119点弱だったのであと11点ほどの上積みが必要と言うことになる。2016-17シーズンのスピン・ステップの最高点が20点弱なので110点以上ジャンプで稼がなければならないと言う計算になる。
ボーヤンのジャンプはPCS3強と比較するとGOEがそれ程つくタイプでは無い。それでもノーミスだったワールドではGOEで11点ほど得ることができた。そうするとやはり構成で100点を超える必要が出てくる。
2016-17シーズンが4Lz 4S 3A+Lo+3S // 4T+2T 4T 3Lz+3T 3A 3F = 88.1だったのであと12点ほど上げなくてはならない。
現在の3種4クワドでは100点超えは出来ない。100点を超える構成を考えるとするなら少なくても4種6クワドで4Lzと4Tを2本飛ばなくてはいけない。
4Lz+3T 4Lz 4Lo //4S 3A+Lo+3S 4T+2T 4T 3Lz =100.48
この構成でようやく100点超えとなる。ザヤを考えるとラストを3Fにしたい処だがそれでは微妙に100点を超えない。4Lz2回よりも実戦で成功していない4Lo挑戦と割と着氷不良が多い4Sが後半で成功できるかがネックになりそうだ。
ネイサンに対抗するためには4Fを入れたいところではあるがFは時々!がつくので当分は無いだろうという気がする。案外ボーヤンはよく考えてプログラムし着実に実行するタイプだと思うので成功する自分が見える構成にするだろう。
ジャンプ基礎点100.48+GOE11+スピンステップ20+PCS88=218.48でSP103点を合わせれば322.48、上げた構成でワールド並みの完成度の演技を見せれば出ない点数では無いなと思う。
羽生はこれ以上の点数を出したことがあるがそれはそれで仕方ないと思うだろう。320点超える点数が出せればメダルは取れるはず。ボーヤンの本命は次の五輪だと思うので高構成でこの点数が出せれば良い経験になるだろう。

<ネイサン・チャン>
ネイサンは学業の問題があるらしく平昌五輪の成績によっては一時競技を離れるという話も出ている。その為にはできる限り金メダルを得る手段を講じてくると思われる。
そうなると320点では無く羽生の持つ330点を超える点数を求めることになりそうな気がする。2転倒してもワールドTESは110点近く出た。その結果を見てもがむしゃらにTESを求めてきそうだ。
ネイサンは構成が高い分SPの最高が103点を超えている。来季のプログラムも同様の評価を受けられれば五輪シーズンでもあるため105点ほどは出る可能性がある。スピンステップの最高点が21点超えPCSが89点弱なのでジャンプでは115点ほど必要になってくる。
ネイサンの問題点は高難度ジャンプは跳べるが他の5人と比較して成功のGOEがあまり高くないこと。不良とは行かないまでもつまり気味であったり前傾になったりでそこまで多くは稼げていない傾向がある。2016-17シーズンのジャンプのGOE最高が8点ほどであるからもう少し良くても10点行くか行かないかといったところか。そうなると330点以上を目指すには基礎点だけで104~105点必要になってくる。
2016-17シーズンの最高構成がワールドの4Lz 4F+2T 4F 4T //3A 4S 4T+3T 3Lz+2T+2Lo =96.77だったからあと8点以上上げなければいけない。 
4Lz+3T 4Lz 4F+2T 4F //3A 4S 4T+Lo+3F 3Lz =102.61
4Lz+3T 4Lz 4F+2T //4F 3A 4S 4T+Lo+3F 3Lz =103.84
4種クワドだと4Lz・4F2回構成にしても少し足りない計算になる。しかも本番で1度も実行していない足を変えるタイプの3連を入れるリスクもある。本気で330点を目指す意識があるのならばやはり5種を入れる必要がある。
4Lz 4F+3T 4F 4Lo //3A 4S 4T+2T+2Lo 4T+2T =102.90
4Lz+3T 4Lz 4F+2T 4F //4Lo 3A 4S 4T+2T+2Lo =106.24
4Lz 4F+4T 4F+3T 4Lo //3A 4S 4T+2T+2Lo 3Lz =107.04
5種6クワドにしても2回転が多いと点数は伸びない。一方でセカンド4Tを入れる的なコメントがツイに上がっていたのであり得ると言えばあるかもしれない。
一番最後の構成の3連を3Fに変えれば110点を超えてくる。そこまでリスキーにするかはかなり疑問だ。というのはネイサンはあまりコンボの着氷がクリーンにならないからだ。セカンド4Tを入れるのならば2T+2Loで良いのかもしれない。
演技を纏めたときのPCSはボーヤンより高めに出るのでGOEで若干負けても構成が高い分逃げ切れる。あとは自分でどこまでジャンプを揃えるかにかかってくる。構成で上回る分羽生がジャンプを揃えても着氷の出来如何では勝てる可能性はある。
ネイサンは構成変更に慣れている。より高難度を稼ぐ意識があればプログラムの質を下げてもがむしゃらに飛んでくる。ただ五輪シーズンはジャンプを揃えれば点が出やすい。スケートファンでは無い一般視聴者が見る機会が増えるためわかりにくいPCSでは差を付けない傾向になるからだ。そういう意味ではネイサンにとっては多少有利に働くこともある。プログラムを熟練するよりもジャンプの成否にかかり切りになる可能性もあるがどこまでの構成をひっさげてシーズンに挑むのか今から非常に楽しみである。
 
パトリック・チャン
SP100点FS200点超えしている割に6強の中では唯一300点超えをしていない選手である。
SPは今季より2クワドにしてくるが成功率を考えるとジャンプ全部前半と言うことも考えられる。しかし1クワドで102点出た実績があるので基礎点を考えれば全部前半でも105~107点ほどは出せそうな感じだ。
そうなると320点目指すためには213~215必要になる。今季はFSがなかなかまとまらなくてPCSが伸び悩んだがパーフェクトであれば羽生やフェルナンデスと遜色ない数字が出るだろう。低めに見て97.5ととりあえず想定する。
スピンステップの2016-17シーズン最高が22点台位半ばなので22点として考える。ジャンプのGOEはクリーンならばつくタイプだ。2016年の4大陸を参考にすれば14点弱ついている。215からそれらを引くと81.5点ほどの構成が必要になってくる。
2016-17シーズンのワールドはおそらく4T+3T 4S 3A+Lo+3S //4T 3A 3Lo 3Lz+2T 3F =78.65だった。そこから3点ほど上げる必要がある。
チャンの問題はクワドが2種であることと3Aが2本なかなか揃わないこと、更に後半の4回転の成功率の低いことだ。新4回転を入れることは無いので構成を上げるとしても4S・4Tを2本ずつにするしか無い。
4T+3T 4S+2T 4S 4T //3A 3Lz+Lo+3S 3Lo 3F =79.98
4T+3T 4S+2T 4S //4T 3A 3Lz+Lo+3S 3Lo 3F =81.01
4S+3T 4S 3A //4T+2T 4T 3Lz+Lo+3S 3Lo 3F =81.32
4S+2T 4S 3A //4T+3T 4T 3Lz+Lo+3S 3Lo 3F =81.62
セカンド3Tを後半にしてようやく81.5を超える構成になる。しかしこうして計算してみるとあまり現実的では無いなと感じる。
2種クワドでは結局のところ3A以外の3回転ジャンプの数が変わらないため飛躍的に基礎点は上がらない。そしてどちらかと言えば平昌五輪は個人の金メダルよりも団体金の方が可能性が高い。無理に320点を目指すよりも実現可能な構成を纏めきってPB→表彰台の方が気分的にも安定した演技が見られそうな気がする。
なのでもし構成を上げるというのなら3Aを減らし4S・4T2回/ジャンプ前半4本という一番上の戦術で良いのではと思う。ベテランなので構成を大きく変更するよりもこれまでの延長上に有る方が対応し易いだろう。プレッシャーのかかる大舞台では点数にこだわるよりも自分の力が最も出せる方が有利だ。順位やメダルは後から付いてくる物と思って自信が持てる構成で挑んで欲しい。
 
ハビエル・フェルナンデス
ユーロ圏唯一と言って良いメダルが期待される選手だがチャンと同じく新しい4回転を挑戦するには難しい年齢のベテランだ。ただチャンよりは3Aが安定していて高GOEが稼げる分有利かなと言う気がする。それでも若手の高難度攻勢に対抗するためには可能であれば上げておきたいところだ。尤もSPについてはノーミスであれば110超え出来る実績があるのでこのままでも十分だと言える。上げるとするならばFSになるだろう。
と言っても新しい4回転を入れるとは思えないので現状の3クワド3A2本を4クワド3A1本に変える位しか出来ない感じた。
2016-17シーズンの構成が4T 4S+3T 3A+2T //4S 3A 3Lz 3F+Lo+3S 3Lo =79.23だったところの3Aを4Tに変更する。
4T+3T 4T 4S+2T //4S 3A 3Lz 3F+Lo+3S 3Lo =81.03
4T+3T 4S+2T 3A //4T 4S 3Lz 3F+Lo+3S 3Lo =81.21
結局のところ飛ぶジャンプ自体はチャンと同じなので大きくは上がらない。しかしフェルナンデスは2016ワールドでSP転倒しながら314点出している。SP110点取ってFSを纏めれば現状の構成でも確実に320点は超えられる。325点出ても不思議では無い。そう考えると下手にリスクを上げるよりは基礎点が低くても上の構成で良いのではと言う気がする。4T+3TはSPで飛んでいるから問題ないし、後半の構成も現状と同じだから体になじんでいるだろう。下手にリスキーに追い込むよりはわかりやすい方がフェルナンデスには合っていると思う。

羽生結弦
優勝スコアが320点以上ならば羽生は別に構成を上げる必要は無い。ただすでに発表された来季のSPは基礎点が上がっていることが判明している。世界最高点を出したプログラムのリメイクなので某イタリア解説者では無いが五輪でノーミス出来たら115点出ても不思議では無い。羽生が優勝ラインを何点に想定しているかはわからないが320にせよ330にせよSPで115点出せるならばかなり有利であろう。
ただ五輪シーズンで優勝候補に対する対抗馬になりうる選手にはPCSが上がりやすいと言う傾向がある。4年前の羽生も結果的にSPでは1点差ほどに詰めてきた。ネイサンやボーヤンにはまだ多少の差があるがあまり当てにしすぎてはいけないだろう。高難度をノーミスされてTESを上回られたとしても出来ればPCS差範囲で押さえたいところだ。
2016-17シーズンの構成は4Lo 4S 3F //4S+3T 4T 3A+2T 3A+Lo+3S 3Lz =87.53だった。羽生はスピンステップで22点、GOEについては全てのジャンプで+2以上を得られる質の良さがある。これだけでネイサンボーヤンに10点差ほど付けられる。ただ高難度である以上ミスも出やすく、また羽生の場合抜けという形になりやすいので出来るだけ基礎点でもある程度は近づいておきたいところだ。
4Lzについてはシーズン後のインタビューや雑誌のコメントなどで否定的だった。新しいジャンプを入れるというのは確かにリスキーではある。ただ着氷率が6割以上有るのなら入れてみても面白いのでは無いかとは個人的には思っている。基礎点が上がるからでは無くあくまでリスク管理のためにである。
最近何かで3A2本では無く4S4T2本の可能性が上がっているが見ている側としては出来れば止めて欲しいなぁと思う。
4Lo 4S 3F //4S+3T 4T+2T 4T+Lo+3S 3A 3Lz =89.51
3Aを4Tに変えただけでは基礎点で2点も変わらない。そしてREPの危険は相変わらずつきまとう。だったらいっそこうして欲しいとすら思う。
4Lo 3Lz 3F //4S+3T 4S+2T 4T+Lo+3S 4T 3A =89.96
後半4クワドというとってもリスク高い構成ではある。体力的にもきついだろうしGOEを稼げる質を得られるかという心配もある。ただREPの危険は多少減る。後半連続してジャンプを飛ぶので転倒すると次に響きそうではある。ただチャレンジの分には面白いかなと感じる。
しかしそれよりは着氷率がある程度有るのならば4Lzを入れることを勧めたい。
4Lz 4Lo 3F //4S+3T 4T+2T 3Lz 3A+Lo+3S 3A =90.63
4Lz 4Lo 3F //4S+3T 4T+3T 3Lz 3A+Lo+3S 3A =93.93
4種4クワドでREPの心配がほぼ無い。もし4Lzが3Lzになった場合は後半の3Lzを4Tに変更すれば多少のリカバリが出来るというというメリットもある。
ついでに前半上手くやって体力的に余裕があれば3Lzを4Tに変更するという進化形も考えることが出来る。
4Lz 4Lo 3F //4S+3T 4T+2T 4T 3A+Lo+3S 3A =95.36
ここまで構成が上げられればネイサンやボーヤンの基礎点はほぼ気にならなくなるだろう。
ほぼ100%の自信がある3Aを一つ減らし5クワドにするよりは4種4クワドを実験的に行う方がリスクとしては少ないのではと数字上は感じる。特に羽生の場合コンボを後半に行おうとするから尚更だ。勿論着氷率が練習で5割割り回転不足になりやすいというのなら入れる価値は無いがある程度着氷が可能ならとりあえずやってみても良いのではと思う。更に先を見るという意味でも出来ればチャレンジして欲しいなと個人的には思っている。
 
宇野昌磨については割愛。ジャンプの質についてはかなりの疑問を持っているので書きにくい。好意的でないことを書いて無意味に責められるのも面倒だ。ついでにファン以外の人も見る五輪であの気持ちの悪い着氷に今季と同じような評価が受けられるかはよくわからない点も大きい。ただ今季の傾向から更に構成を上げそうな予想は立つ。一般の視聴者が見て「変なジャンプ」という感想を持たせないようなジャンプを飛んで欲しいとは願っている。
 
今のところはこの6人が平昌五輪の表彰台候補だ。曲や構成など一部分かった選手もいるが本格的に判明するのは新年が明けてからだろう。ショーなどで忙しい選手も多いが良い練習を積み体調に気を付けて最高の状態で五輪を迎えられるようにしてほしい。確実にリアル観戦出来ないのだが最高の戦いをしてくれることを願っている。
 
 

2016-17シーズン 羽生結弦FS要素

kamiyann的にはワールドで素晴らしい演技を見たのでFSは書かなくていいかなと思ったのですが、それでもSPだけではしっくりこないと思い一応上げておくことにしました。ついでに満点からの獲得率だとALL3なんてめったに出ないですし基礎点の違いで同じGOEでも差が出てしまうので基礎点比も上げておきます。
 
4Lo 満点15.00=基礎点12.0+GOE3.00)
    成功率 6/7=85.71%
 
        基礎点    GOE    合計     基礎点比 獲得率
オータムC  12.00   0.40  12.40  103.33% 82.67%
Sカナダ    5.10  -2.10   3.00    25.00% 20.00% DG転倒
NHK杯   12.00   1.57  13.57  113.08% 90.47% 
G P F  12.00   1.14  13.14  109.50% 87.60% 
4 C C  12.00   2.14  14.14  117.83% 94.27%
世界選手権  12.00   2.43  14.43  120.25% 96.20%
国別対抗戦  12.00   2.57  14.57  121.42% 97.13% 
平均    11.014  1.164 12.178  101.48% 81.19%
 
初投入にして成功率85%超え、平均でも基礎点以上獲得できているという素晴らしい結果だった。SPはイーグルからという難しい入りが成功率を下げていたのだと感じる。GOEも試合を重ねるごとに上がっている今季の非常に大きな武器となった。この成功率の高さは来季への自信になるだろう。もし4Lzなどの新4回転を投入しない場合には4Loを2回にする可能性もありそうだ。
 

4S(満点13.50=基礎点10.50+GOE3.00)
   成功率 6/7=85.71%
 
        基礎点   GOE    合計    基礎点比 獲得率
オータムC  10.50  0.80 11.30  107.62% 83.70% 
Sカナダ   10.50  2.00 12.50  119.05% 92.59% 
NHK杯   10.50  2.29 12.79  121.81% 94.74%
G P F  10.50  2.57 13.07  124.48% 96.81%
4 C C  10.50  1.43 11.93  113.62% 88.37% 
世界選手権  10.50  2.71 13.21  125.81% 97.85% 
国別対抗戦   0.40 -0.09  0.31   2.95%  2.30% 1S抜け
平均     9.057 1.673 10.73  102.19% 79.48%
 
今季最も安定していた4回転だったがラストの国別で抜けてしまった。何の心配もなく見ていたがやはり抜けのリスクはあるのだと実感できた経験は来季のためによかったのかもしれない。昨季から単発の4Sについては安定して飛べている印象がある。国別の抜けを入れても基礎点以上を獲得できる成功率とGOEの高さは大きな武器であると思う。来季も2回入れるつもりなら2本とも後半にしてまずコンボを消化させてほしい。
 

3F (満点7.40=基礎点5.30+GOE2.10)
   成功率 6/7=85.71%
 
        基礎点   GOE    合計     基礎点比 獲得率
オータムC   5.30 -0.56   4.74    89.43% 64.05% SO
Sカナダ    5.30  0.70   6.00  113.21% 81.08%
NHK杯    5.30  1.40   6.70  126.42% 90.54%
G P F   5.30  1.60   6.90  130.19% 93.24%
4 C C   5.30  1.60   6.90  130.19% 93.24%
世界選手権   5.30  1.50   6.80  128.30% 91.89%
国別対抗戦   5.30  1.80   7.10  133.96% 95.95%
平均      5.30 1.149  6.449  121.68% 87.15%
 
シーズン冒頭珍しく着氷が乱れたがその後はほぼ危なげない出来だった。ただ他の選手を見ても3回転のジャンプはどれだけ入り出に凝っても着氷がスムーズでもGOE3があまりつかない傾向がみられる。あとどうしたら満点が出るのかどの雑誌でも記者でもいいのでジャッジに質問して欲しい。
 
4S+3T (満点19.28=基礎点16.28+GOE3.00) 
      成功率 2/7=28.57%
 

         基礎点    GOE     合計   基礎点比 獲得率
オータムC   6.27   0.00   6.27  38.51% 32.52% 3S+2T
Sカナダ    6.16   0.50   6.66  40.91% 34.54% 2S+3T
NHK杯    8.09  -4.00   4.09  25.12% 21.21% 転倒REP
G P F   8.09  -4.00   4.09  25.12% 21.21% 転倒REP
4 C C   1.98  -0.06   1.92  11.79%   9.96% 2S+Lo
世界選手権  16.28   2.43  18.71   114.93% 97.04%
国別対抗戦  16.28   2.43  18.71   114.93% 97.04%
平均     9.021 -0.386  8.635  53.04% 44.78%
 
今季の鬼門中の鬼門のジャンプだった。この前後で全くジャンプの質が変わってしまう試合が前半多かった。しかし羽生という選手は面白いものできちんと成功体験をするとそのあと続くことが良くある。結果的にラストの2試合は綺麗に成功できた。しかし今季このジャンプが問題だったのは単にジャンプをミスったからということではないことが大きかった。2度目の4Sのため転倒してしまうとREPで0.7掛けでGOE-4だけでなく基礎点3.46を問答無用で失ってしまう。更にコンボリカバリができなかったため2T分の基礎点を失うという3重苦になってしまう。転倒しない場合は抜けなのでこれもやっぱり10点近い基礎点の損失になる。結果的に2回成功しGOEが多くついても基礎点の半分程度しか稼げなかった。コンボがコンボとして得点が得られないとそれを補う手段はないため来季はどんな構成を組んでもとりあえずREPにリスクが低いことを前提にしてほしい。
 

4T (満点14.33=基礎点11.33+GOE3.00)
   成功率 6/7=85.71%
 
        基礎点    GOE     合計     基礎点比 獲得率
オータムC   8.80 -4.00   4.80   42.37% 33.50% UR転倒
Sカナダ   11.33  0.43  11.76  103.80% 82.07%
NHK杯   11.33  1.57  12.90  113.86% 90.02%
G P F  11.33  0.26  11.59  102.29% 80.88%
4 C C  11.33  1.86  13.19  116.42% 92.04%
世界選手権  11.33  2.43  13.76  121.45% 96.02%
国別対抗戦  11.33  2.71  14.04  123.92% 97.98%
平均    10.969 0.751  11.72  103.44% 81.79%
 
シーズン冒頭のUR転倒のマイナスが大きかったがそれ以外はしっかりと得点を獲得できた。後半4回転の成功率が昨季までを思うと不安だったが、その前のジャンプをミスっている割にはしっかり決めるという強さを見せられた。4Tはどんな状態でも飛べると感じさせるほど自信を持っているのだろう。4Sコンボが不安だった分頼りになるジャンプなので足の状態が良いのならば若干基礎点は下がっても4T2本の方が安定しそうではある。ただ靭帯は私も経験があるが一度伸ばしたりすると完治はしないものなので負荷をかけすぎないよう気を付けて欲しい。

3A+2T (満点13.78=基礎点10.78+GOE3.00)
            成功率 7/7=100%

        基礎点    GOE    合計    基礎点比 獲得率
オータムC  10.78  1.60  12.38  114.84%   89.84% 
Sカナダ   10.78  1.86  12.64  117.25%   91.73%
NHK杯   14.08  2.00  16.08  149.17% 116.69% ア3A+3T
G P F  14.08  1.86  15.94  147.87% 115.67% 3A+3T
4 C C  14.08  2.43  16.51  153.15% 119.81% 3A+3T
世界選手権  10.78  2.00  12.78  118.55%   92.74%
国別対抗戦  10.78  1.57  12.35  114.56%   89.62%
平均    12.194 1.903 14.097     130.77% 102.30%
 
今季唯一のALL成功ジャンプ。4Sコンボのリカバリのためセカンドが3Tになることが3試合あったため基礎点比だけでなく獲得率でも100%を超えてしまった。3Aを2本とも後半にしかもコンボで入れてしっかり稼げる、これが羽生という選手の強さの基礎になっていると感じる。セカンド3Tを予定したジャンプ以外でリカバリできるというのは結構難しいと色々な選手を見ていて感じる。それを3Aでしかも後半にGOEをしっかりつけて成功できるという選手はトップ選手でもそれほど多くない。この辺りも羽生が安定して上位にいられる理由の一つだ。
 

3A+Lo+3S (満点17.74=基礎点14.74+GOE3.00)
成功率 3A 4/5=80% 4T 1/2=50%

        基礎点   GOE    合計     基礎点比 獲得率
オータムC  10.78  0.00  10.78  73.13% 60.77% 3A+1T+1Lo
Sカナダ   14.74  1.29  16.03  108.75% 90.36%
NHK杯   11.33  1.00  12.33  83.65% 69.50% 3A+Lo+2S
G P F  10.78 -1.43   9.35  63.43% 52.71% 3A+Lo<<+2S
4 C C  12.76  1.14  13.90  94.30% 78.35% 4T+2T
世界選手権  14.74  2.14  16.88  114.52% 95.15%
国別対抗戦  16.72 -0.23  16.49  111.87% 92.95% 4T+Lo+3S
平均    13.121 0.559  13.68  92.81% 77.11%
 
成功率はファーストが抜けなくてGOEが0以上なら成功で計算するがもともとの構成でしっかり成功できたのは2回だけという4Sコンボの次に今季点数が伸びない原因だった。ただ4Sコンボとは異なり基礎点を大幅に落とすまではいかなかったし着氷がいまいちになっても転倒はなかった。そういう意味ではまずまずではなかったかと思う。正直に言えば羽生の3連はあまり好きではないが、ワールドのラストの3Sは非常にきれいだったと思う。間のLoが年々またいでいる感じになっているのは体力温存なのかな?3Aの反動で流れる感じになりがちなのでその辺りがもう少しスムーズになればいいと思う。
シーズン後半には試合中の構成変更をチャレンジした。結果としては転倒もせずコンボにもできまずまずの成果だったのでは。後半4Tを2本飛べる経験ができたことは来季の構成を幅広く考えられる利点になると思う。

3Lz (満点8.70=基礎点6.60+GOE2.10)
   成功率 3Lz 3/5=60.00% 3A 1/2=50.00%

        基礎点   GOE     合計   基礎点比  獲得率
オータムC   6.60 -2.10   4.50    68.18% 51.72% 転倒
Sカナダ    6.60  1.30   7.90  119.70% 90.80%
NHK杯    6.60  1.30   7.90  119.70% 90.80%
G P F   0.66 -0.06   0.60   9.09%   6.90% 1Lz抜け
4 C C   9.35  2.43  11.78  178.48% 135.40% 3A
世界選手権   6.60  1.50   8.10  122.73%   93.10%
国別対抗戦   1.21  0.09   1.30    19.70%   14.94% 1A
平均     5.374 0.637  6.011    91.08%   69.09%
 
羽生の場合4回転よりある意味心配になってしまう3Lz。結果としては転倒1回抜け1回とほぼ例年通りの成功率だった。ただ決まった場合かなりの高さとふわっとした着氷が気持ちいい質の高いジャンプだった。3Fとともにどうしてかなかなか3は付かないのだが質は問題なくいいので来季入れる場合は抜けだけはなくしたいところ。
後半シーズンは構成変更にチャレンジしたためあっさりなくなってしまうケースが出てきた。私的にはラストは3Aにしてほしいと思っている。国別では抜けたが基本安心度は3Aの方が高い。
 
単独ジャンプ (満点58.93=基礎点45.73+GOE13.20)

        基礎点   GOE    合計     基礎点対比
オータムC  43.20 -5.46  37.74  82.53%  64.04%
Sカナダ   38.83  2.33  41.16  90.01%  69.85%
NHK杯   45.73  8.13  53.86  117.78%  91.40%
G P F  39.79  5.51  45.30  99.06%  76.87%
4 C C  48.48  9.46  57.94  126.70%  98.32%
世界選手権  45.73 10.57  56.30  123.11%  95.54%
国別対抗戦  30.24  7.08  37.32  81.61%  63.33%
平均    41.714 5.374 47.088  102.97%  79.90%
 
オータムの2転倒と国別の2抜けが大きく平均を下げた。オータムはシーズン開始の足慣らしであるし国別はシーズン終了後のお祭りのようなものなのでそう深刻にならなくてもいいだろう。それでもこの2試合を含めてもしっかり基礎点を確保できている。単発ジャンプについてはあまり心配はいらないかと感じる。
ちなみにA級戦のみで計算すると平均50.912 基礎点比111.33% 獲得率86.39%という非常に良い数字になる。コンボで損する試合が多かったがそれでもGPF以外では1位を取り続けた強さがここにあるとわかる。
ワールドノーミスながらGOEが微妙に少なかったなと感じたがそれでも80%はしっかりとっていた。カナダ・スペイン・中国というライバル国が入って日本がいなかったジャッジの中でもその数字が出せたというのは羽生のジャンプの質が非常に素晴らしい表れだろう。

コンビネーションジャンプ (満点50.80=基礎点41.80+GOE9.00)
 
        基礎点   GOE    合計     獲得率
オータムC  27.39  1.60  28.99  69.35% 57.07%
Sカナダ   31.68  3.65  35.33  84.52% 69.55%
NHK杯   33.50 -1.00  32.50  77.75% 63.98%
G P F  32.95 -3.57  29.38  70.29% 57.83%
4 C C  28.82  3.51  32.33  77.34% 63.64%
世界選手権  41.80  6.57  48.37  115.72% 95.22%
国別対抗戦  43.78  3.77  47.55  113.76% 93.60%
平均    34.274 2.076  36.35  86.96% 71.56%
 
基礎点を超えたのは2試合だけという今季の厳しさがここにあったことがわかる。コンビネーションジャンプは3回入るが、セカンドサードの4ジャンプの基礎点をしっかり獲得できるかは今のルールにおいてはかなり重要だ。特にボーヤンとネイサンはどれほど着氷が乱れようとも無駄にしないで消化してくる。基礎点獲得型の選手はその辺り貪欲なので基礎点の劣る構成が確実な現状取りこぼしはできる限り避けたい。出来れば確率が高いところで飛びたいが後半ボーナスの利点も欲しいのなら飛びやすい位置や入りで無意味なリスクは避けたいところだ。ついでにファーストが乱れても他でつけられるように後半5ジャンプ全てにセカンドサードがつけられるようにしておきたい。

FCCoSp 3.5 GOE1.5 =5.0
 
        基礎点    GOE   合計   獲得率
オータムC   3.50  1.00  4.50  90.00% レベル4
Sカナダ    3.50  1.00  4.50  90.00% レベル4
NHK杯    3.50  1.00  4.50  90.00% レベル4
G P F   3.50  1.07  4.57  91.40% レベル4
4 C C   3.50  0.93  4.43  88.60% レベル4
世界選手権   3.50  0.86  4.36  87.20% レベル4
国別対抗戦   3.50  1.00  4.50  90.00% レベル4
平均      3.50  0.98  4.48  89.60%
 
ALLレベル4でシーズンを揃えた。ワールドが思ったほど伸びなかったことでGOEは微妙に1.00を下回った。無理してビールマンを入れなくても十分レベルは取れるのでそろそろ卒業してもいいのではと思う。体力的にも結構大変みたいだし・・・
 
FCSSp 3.0 GOE1.5 =4.5

        基礎点    GOE    合計   獲得率
オータムC   3.00  0.70   3.70  82.22% レベル4
Sカナダ    3.00  0.71   3.71  82.44% レベル4
NHK杯    2.60  0.64   3.24  72.00% レベル3
G P F   2.60  0.79   3.39  75.33% レベル3
4 C C   3.00  1.00   4.00  88.89% レベル4
世界選手権   3.00  0.79   3.79  84.22% レベル4
国別対抗戦   3.00  0.86   3.86  85.78% レベル4
平均     2.886 0.784   3.67  81.56%
 
得意なスピンではあるがFSではあまり伸びなかった。演技後半の8回転がどうしても回転が鈍りがちなのでGOEが伸びないのかもしれない。3連をミスると時間が足りなくなり気味になる影響もあったことも点数が伸びない原因。SPと同じ構成でいいのでは思うのだけど違うレベル取りというのにこだわりがあるようだ。多様性を示すという意味ではこだわりも悪くないけれどSPとFSをジャッジが比較して採点するわけではないので勝負的にはどうだろうと思ってしまう部分ではある。
 
CCoSp 3.5 GOE1.5 =5.0

        基礎点   GOE   合計     獲得率
オータムC   3.50  0.40  3.90  78.00% レベル4
Sカナダ    3.50  0.36  3.86  77.20% レベル4
NHK杯    3.50  0.86  4.36  87.20% レベル4
G P F   3.50  0.57  4.07  81.40% レベル4
4 C C   3.50  0.93  4.43  88.60% レベル4
世界選手権   3.50  1.00  4.50  90.00% レベル4
国別対抗戦   3.50  1.00  4.50  90.00% レベル4
平均      3.50 0.731 4.231  84.62%
 
シーズンが進むにつれてGOEが高くなっているというのはある意味正しい成果かもしれない。ラストにガーっと高速に回転するとGOEがつきやすそうだけれどもこのプログラムではあまり合わないなと思う。獲得率としては90%とれていたら十分なのかもしれない。

StSq 3.90 2.10 =6.00
 
        基礎点   GOE   合計    獲得率
オータムC   3.90  1.68  5.58  93.00% レベル4
Sカナダ    3.30  0.93  4.23  70.50% レベル3
NHK杯    3.30  1.00  4.30  71.67% レベル3
G P F   3.90  1.70  5.60  93.33% レベル4
4 C C   3.90  1.70  5.60  93.33% レベル4
世界選手権   3.90  1.50  5.40  90.00% レベル4
国別対抗戦   3.90  1.90  5.80  96.67% レベル4
平均     3.729 1.487 5.216  86.93%
 
国別では高評価だったがFSのStSqについてはフェルナンデスやチャンよりは低めになってしまう。丁寧に滑っている感じはすごくあったがそれがむしろメリハリというか表現としては弱くなってしまったのかもしれない。この辺りは選曲や振り付けもかかわっているので来季のプログラムではどう対策を取ってくるか非常に楽しみではある。

ChSq 2.00 2.10 =4.10
 
        基礎点   GOE   合計    獲得率
オータムC   2.00  1.26  3.26  79.51% 
Sカナダ    2.00  1.50  3.50  85.37% 
NHK杯    2.00  1.30  3.30  80.49% 
G P F   2.00  1.70  3.70  90.24% 
4 C C   2.00  1.60  3.60  87.80% 
世界選手権   2.00  1.40  3.40  82.93% 
国別対抗戦   2.00  1.40  3.40  82.93% 
平均      2.00 1.451 3.451  84.17%
 
決して低いわけではないのだけどなんとなく低いと感じてしまう数字だ。ハイドロ・イーグルなど色々やって時間を取っている割にインパクトが弱かったかなと思っている。あと個人的に羽生のステップ中のぴょこっと飛ぶホップが雑な感じがしてあまり好きじゃない。飛ぶならアメリカ勢のように派手に飛んで欲しい。
 
<2016-17シーズン最高点>
 
4Lo      14.57(国別)
4S       13.21(世界選手権)
3F        7.10(国別)
4S+3T    18.71(世選/国別)
4T       14.04(国別)
3A+2T    12.78(世界選手権)
3A+Lo+3S 16.88(世界選手権)
3Lz       8.10(世界選手権)
FCCoSp    4.57(GPF)
FCSSp     4.00(4CC)
CCoSp     4.50(世選/国別)
StSq      5.80(国別)
ChSq      3.70(GPF)
TES計    127.96
 
PCS      97.08(世界選手権)
 
Total   225.04
 
TESがワールド前に計算した神ったときの羽生の数字とほぼ同じになったことが面白い。ほとんどが世界選手権と国別の数字になってしまうというのはシーズンラストの方がいい質のものを見せたということでここ2シーズンの課題をクリアできたということではないだろうか。
今季の最高演技であるワールドと最高要素の差があまりないことから見て構成を上げなければほぼ天井を出してしまったということになる。あとはスピンステップのGOEをもう少し取りに行くことくらいしかできないが羽生としてはどうするのか非常に気になるところだ。
五輪はどちらかといえばノーミスを求められるので極端には構成上げはしないだろう。ただ3種クワドでは2本飛ぶジャンプを4Sから4Loにするくらいしか上げようがない。3Aを4Sまたは4TにしてもいいだろうがGOEを考えるとあまりおいしくなさそうな気がする。ただ新クワドを入れるとしたら成功率がやはりネックだ。アイスショーなどで時間も取られるしどこまで練習できるかわからないが後悔のない構成を組んで五輪に向かってほしいと思う。もしかしたら現役最後のシーズンになるのかもしれない。自分のやりたいことを思いきりできる体作りをして可能かなぎりの最強構成でやり切って欲しいと願っている。
 
 
蒸し暑い季節になりました。静岡ではタチアオイの花が咲き始めました。この時期は精神的にも肉体的にもかなりしんどいので花が終わる梅雨明けごろまではネットから消ええるつもりです。どういうルートでここを発見されたのかわかりませんがかなり多くの方が見えてくださっているようです。好き勝手に思ったことを書いているだけなのですが見ていただいてありがとうございました。励ましのコメントを頂いたり色々感謝いたします。
新しいシーズンが素晴らしい演技がたくさん見られるシーズンになることを願っています。

2016-17シーズン 羽生結弦SP要素

苦手な季節になってきたのでそろそろ新年まで消えようかと思ってます。その前にちょこっとだけ。ステップは前記事にあるので割愛。
 
 

4Lo(満点15.00=基礎点12.00+GOE3)
   成功率3/7=42.86%
 
        基礎点    GOE    合計     獲得率
オータムC  12.00   0.80  12.80  85.33%
Sカナダ    5.10  -2.10   3.00  20.00% コンボ扱
NHK杯   12.00  -2.63   9.37  62.47% SO
G P F  12.00  -1.03  10.97  73.13% こらえ着氷
4 C C  12.00   2.29  14.29  95.27%
世界選手権  12.00   2.43  14.43  96.20%
国別対抗戦   0.00   0.00   0.00   0.00% 1LoKO
平均      9.30 -0.034  9.266  61.77%
 
公式練習や6分間で良く抜ける割に試合では大丈夫で案外頼りになる武器だと思っていたらラストで思い切りやってしまった。国別の数字が恐ろしいというか残酷で泣ける・・・抜けはやばい、本当にやばいということで来季はないよう頑張ってください。
国別の数字を入れないと基礎点10.85 GOE-0.04  合計10.81 72.07%と新4回転初年度としてはまずまずの数字で落ち着く。4Sが不安定なシーズンとなったがそれでも戦ってこれたことはこのジャンプが大きかったと言える。
ただLoと言うジャンプの特性上、どうしても離氷まで間が空くし着氷もトゥジャンプよりは流れない。イーグルサンドをクリーンに決めてもALLGOE3がつかなかったので来季は可能であればコンボにした方がいいのではと考える。割と簡潔な入りのFSでは着氷率が高かったのでその方が高得点が稼げそうな気がする。
 
 
4S+3T(満点17.80=基礎点14.80+GOE3)
      成功率2/7=28.57%

        基礎点   GOE    合計    獲得率
オータムC   4.30 -2.10  2.20  12.36% 1S+3T
Sカナダ    4.40 -1.20  3.20  17.98% 単発3S扱
NHK杯   14.80  2.29 17.09  96.01%
G P F  14.80  2.57 17.37  97.58%
4 C C   5.60  0.70  6.30  35.39% 2S+3T
世界選手権  10.50 -4.00  6.50  36.52% 4S+2T 2TKOコンボ無
国別対抗戦  10.50 -4.00  6.50  36.52% 4SSOコンボ無
平均     9.271 -0.82 8.451  47.48%
 
コンボがコンボの得点にならないシーズンだった。ファーストが乱れるとコンボの基礎点がまるっと無くなってしまうためSPでは致命的。単独後のジャンプでリカバリもできないのでコンボはできれば最初に飛びたいと考えさせられる数字だ。
コンボの基礎点4.3点にコンボなしのGOE-3で転倒しなくても8.3点失う。これを3回もやって良く1位2位で終えられたなと非常に不思議に思える数字だ。
 

3A(満点12.35=基礎点9.35+GOE3)
   成功率7/7=100%

        基礎点   GOE    合計     獲得率
オータムC   9.35  2.00  11.35  91.90%
Sカナダ    9.35  2.71  12.06  97.65%
NHK杯    9.35  3.00  12.35 100.00%
G P F   9.35  2.43  11.78  95.38%
4 C C   9.35  3.00  12.35 100.00%
世界選手権   9.35  2.71  12.06  97.65%
国別対抗戦   9.35  2.86  12.21  98.87%
平均      9.35 2.673 12.023  97.35%
 
コンボであれだけ取りそびれても戦ってくることが出来た最大の要因が3A。成功率100%でGOEも97%以上もらえる4回転よりも確実に4回転の得点を稼げてしまう。
それでも今季はこのGOEが低いのではと言う声を良く聞いた。カウンターから飛んで幅も高さも素晴らしい質で降りたすぐ後に頭上超える高さまで足を上げているのだからALL3ついて良いのではないかということだ。
GOEにつき方と言うのは多少時代時代で変わってきているところがある。実際最初に羽生がバックアウトカウンターから3Aを飛んだのは悲愴の時だったがそこまで高い評価は受けなかった。入りも評価項目の一つでしかなくどこまでそれを点数に反映していいのかジャッジもさじ加減を模索しているのだろうと感じる。
ただこの飛び方は難しいと認められて過去に満点評価を受けてそれと変わりない質で飛んだならば(ルールが変わらない限り)いつでもついていいはずだと見ている方は感じる。しかしそうならないのでなぜ?と思う人が多かったということだろう。
中には羽生については過去の良いジャンプと比較されて評価されているとか、ジャッジがこの飛び方を見慣れて凄い事として評価をしなくなったなんてことを聞くこともあるが、基本今は絶対評価なのである。選手比評価などと言うことはあまり考えたくない。陰○論などと言いたくないので今季の3Aが満点にならないケースについて2つほど思うことを上げてみる。
一つ目は前の記事でも書いたが飛ぶ位置があまり良くなかったのでは?ということ。
今季の3Aはジャッジの左サイド手前から斜めに横切って反対側のショートサイド中央から奥側に向かって(ショートサイドの湾曲した壁に沿うように)飛んでいる。ジャッジはロングサイド中央に等間隔に座っている。その場合左側のジャッジからは飛んだ位置と着氷の幅ははっきりと認識できると思う。しかし反対側となる右側の端の方に座るジャッジからはその幅を認識するのは難しいのではないかと思うのだ。
直角三角形を想像してほしい。羽生の3Aが最も長い長辺の距離だとしてロングサイドの1点から見るジャッジには直角を作る高さと言う位置からしか見えないとしたら移動した距離はかなり縮んで見えるだろうということだ。更にジャンプは(よく誤解されるが)直線的に移動するわけではなくカーブを描くように飛んでいるわけだから高さ方面からしか見えないジャッジには尚更身幅というか距離が短く見えるだろう。
仮に良く見えなくても羽生が幅跳びジャンパーだということはわかっているはずと思うかもしれないが、「おそらく」と言う評価をジャッジがするかは疑問だ。過去に某引退選手が「苦手なジャンプはジャッジが見えにくい位置で飛ぶ」と発言したことがある。これはエラーかもしれないけどはっきり認識できないなら選手ファーストで悪い評価は見送る、と言うことだと考える。だとしたら当然その逆も成立するはずだ。良いジャンプを飛ぶ選手だと知っているが今の位置からははっきりと確認できないから最高点はつけられないと判断するジャッジがいてもおかしくないということだ。
そう考えると得意なジャンプを確実に良い評価してもらうためにはジャッジがしっかりと確認できる位置で飛んだ方がいい。例を挙げればボーヤンのFS冒頭の4LzやフェルナンデスのSPの3A、宇野が今季後半で軌道を変えた3Aなどはその幅や高さをジャッジが認識しやすかったのではと思う。見やすい位置で飛びしっかり着氷して見せれば文句のない綺麗な数字が並ぶ。ワールドのフェルナンデスのSP3Aは満点だったがこれは助走でロングサンドを横切ってそこからショートサイドの壁近くまで飛ぶジャンプだった。ロングサイド側のジャッジからその飛距離が見やすい位置だと思う。ジャッジから見て真横もしくは縦(縦ならリンクの幅から判別できる)に飛ぶ方が斜め方向に飛ぶより幅や移動距離が見やすいのではと考える。
2点目は「足上げ」は効果的だったか、と言う点。新採点になってずいぶん時間がたちどうやったら高いGOEがつくかデータが色々揃ってきた。ジャンプの入り出に工夫を付けることも数多くの選手によって行われている。ただそれでも一番GOEが付きやすいと思われるジャンプは(1)スピードを生かして離氷してクリーンな着氷をすること、(2)高さ又は幅もしくはその両方が際立っていること、(3)着氷がスムーズに流れること、この3点を兼ね揃えたものだと思う。例を上げればボーヤンのワールドFSの4Lzがそうだろう。特に入り出もこだわっていないが2.57ものGOEがついた。ぶっちゃけてしまうと音楽に合っているとか空中姿勢が良いと言うのは後付の理由じゃないのかとすら感じることがある。ジャッジによって割と基準が異なっていると感じるからだ。それでもジャンプそのものの質の評価が高いことが優先なのは基本的に変わりないように思う。
そうなると「足上げ」がそれほど効果的ではないのではと思えてくるのだ。着氷直後に足を頭上まで勢いよくあげることは言ってみれば急ブレーキをかけているようなものだからだ。本来はイーグルチェンジエッジができるほど素晴らしい流れを見せられる処をぶった切って足を上げている。バランス感覚の素晴らしさ体幹の強さが見える面白い振りではあるがジャンプの質を見るには有効ではなかったかもしれない。
更に足を上げるという工夫は女子選手などでは割とよく見られるものだ。男子でもブラウンなどが過去に使っている。でも3Aという高難度ジャンプ後の勢いのある場所であそこまで上げているケースはないというかもしれないが、工夫は工夫であるだけでそれが難しいから評価が高いというわけではない。あくまで足上げ、割とよくある工夫とジャッジが認識してしまえばそれまでになる。もちろん工夫の難度を加味しているジャッジもいるだろうが、難度にこだわらないであるないだけで判断するジャッジもいるだろう。工夫を「点数稼ぎ」などと言うコーチもいるくらいだから全然気にしないジャッジがいてもおかしくない。
イーグルサンド3Aが評価が高かったのは前後にイーグルを入れたことではなく降りた後のイーグルがチェンジエッジ出来るほどの流れがあったからだと思う。そこまで流れが作れる素晴らしいジャンプだったと評価されたのでALL3がついたのだろう。だとしたら足上げはもしかしたら全てのジャッジが評価できる物ではなかったのかもしれない。
しかしプリンスの曲にはイーグルよりも足上げの方が合っている。ただそれが「ジャンプの評価」に該当するかは微妙だ。曲と振付に関わることとジャッジが判断すればCCやINでの評価されてジャンプの評価には取り上げないかもしれない。
良くイーグルで飛ぶよりカウンターので飛ぶ方が難しいということをいう人がいるがイーグルで飛ぼうがカウンターで飛ぼうが入りの工夫と考えればどちらも同じ扱いになってしまう。より難しいから高評価にするというジャッジもいるかもしれないがそう判断しないジャッジを責める理由にもならない。定められた文言に合わせて数字でジャッジは評価する。その認識や評価のポイントについてはジャッジの裁量の範囲に任せられている。見ている観客としてはその差を説明してほしいと思うかもしれないが多少の齟齬は誤差の範囲と納得するしかない。少なくとも平均で97%を超える得点を確保できているのだから確かな技術と認められていることは間違いないのだ。
 

FCSq (満点4.7=基礎点3.2+GOE1.5)
 
        基礎点    GOE   合計    獲得率
オータムC   2.80  0.40  3.20  68.09% レベル3
Sカナダ    2.80  0.43  3.23  68.72% レベル3
NHK杯    3.20  0.93  4.13  88.72% レベル4
G P F   3.20  1.00  4.20  89.36% レベル4
4 C C   2.80  0.93  3.73  79.36% レベル3
世界選手権   3.20  1.00  4.20  89.36% レベル4
国別対抗戦   3.20  1.00  4.20  89.36% レベル4
平均     3.028 0.813 3.841  81.72%
 
コンボにミスが出るとレベルを落としがちだった。8回転廻る時間が無くなってしまうからだろう。結構ぎりぎりで設定してあるのだなと感じた。音楽には合っているがもう1~2回転多く廻る余裕が欲しい。
羽生のドーナツは形はきれいだが足を掴むときに膝が落ちるのは多少気になる。GOEは綺麗に回って+2といった評価。ブラウンの+3が並ぶキャメルはポジションの美しさに加え回転速度が急激に上がることで得ているのでドーナツではちょっと難しそうかなと感じる。ビールマンをする男子はあまりキャッチフットをやらない印象がある。キャッチフットスピンはあまり得意ではないのだろうかとちょっと気になっている。
 
 
SSq (満点4.5=基礎点3.00+GOE1.5)

        基礎点    GOE    合計    獲得率
オータムC   2.60  1.10   3.70  82.22% レベル3
Sカナダ    3.00  0.79   3.79  84.22% レベル4
NHK杯    3.00  1.14   4.14  92.00% レベル4
G P F   3.00  1.07   4.07  90.44% レベル4
4 C C   3.00  1.21   4.21  93.56% レベル4
世界選手権   3.00  1.14   4.14  92.00% レベル4
国別対抗戦   3.00  1.07   4.07  90.44% レベル4
平均     2.943 1.074  4.017  89.27%
 
最初の2試合を除き4点台とさすがに得意なスピンだなと言う数字。ただシットはキャメルやコンビネーションに比べて+3がつきにくいスピンだ。
ポジション的に回転速度の変更がしにくそうなイメージがあるが、曲に合わせようとしなければもっと早く回れるのかちょっと気になる。実際GOEのつき方を見ていると音楽に合わせて回るよりとにかく早く回った方が評価が高いので腕で振付するより一回できる限りの速度で回ってGOEが何点つくのか見せてくれないかと思っている。
 

CCoSq (満点5.00=基礎点3.50+GOE1.5)

        基礎点   GOE   合計     獲得率
オータムC   3.50  1.20  4.70  94.00% レベル4
Sカナダ    3.50  1.00  4.50  90.00% レベル4
NHK杯    3.50  1.07  4.57  91.40% レベル4
G P F   3.50  1.29  4.79  95.80% レベル4
4 C C   3.50  1.00  4.50  90.00% レベル4
世界選手権   3.50  1.21  4.71  94.20% レベル4
国別対抗戦   3.50  1.14  4.64  92.80% レベル4
平均      3.50  1.13  4.63  92.60%
 
シーズン通してレベル4は立派。そして全てでGOE+2以上と言う素晴らしい。獲得率も+2以上だと90%を超えます。
これ以上のGOEとなるとラストに回転数関係なく高速回転する必要がありそうなので全て音嵌めして作ってある羽生のプログラムでは難しそうだなと感じる。
ただこれ以上のGOEが付く選手も限られているしこれだけとれば差はつかないので+2以上有れば十分と言えるだろう。
 
 
<2016-17シーズン最高点>
 
4Lo    14.43(世界選手権)
4S+3T  17.37(GPF)
3A     12.35(NHK/4CC)
FCSp    4.20(NHK/世選/国別)
CCSp    4.21(4CC)
CCoSp   4.79(GPF)
StSq    6.00(AC/GPF/世選/国別)
 計     63.35
 
PCS    47.35(GPF/世選)
 
Total 110.70
 
今シーズンの最高点で計算するとTESは最高値更新するがPCSが低いため世界最高点にはならないという結果に。ノーミスが無かったので仕方ない。実際にTESの最高点が出たのならPCSも1~1.5ほどは上がると思うので世界最高が出るだろう。
複数の試合で最高点が出ている項目については比較的出しやすそうなので実際1つの試合で行うとしたらやはり前半2つのジャンプにかかってきそう。ジャッジもここを超えたら気前よくGOEを出しそうな気がする。
海外のジャーナリストが試合予想する際にノーミスだったら羽生が勝つと断言しているようにエレメンツの質の良さはすでに周知の事実だからだ。
こうして計算してみてもSPについては構成を上げる必要は全くないと言える。ネイサンもボーヤンもSP構成はほぼ天井となっている。PCSを縮めたとしても抜かれる心配はミスさえしなければ全くないので、決めた構成を確実に実行するだけで問題は無い。
 

主人公、それは道を拓く者―――羽生結弦

羽生結弦って今現在はどういう立場の選手なのだろう?2016-17シーズン中ずっとこんな問いかけが私の中で付きまとっていた。やたら王者王者と持ち上げる割に羽生超え羽生超えと連呼するマスコミも一因だが、五輪王者で世界最高を何度も出しながらも連続でワールドを落とし更に靭帯損傷と言う大きな負傷後のリハビリからの復帰のシーズンでもあったからだ。
つまり怪我からの復帰を果たすベテラン選手なのか、2年にわたって敗北した王者に対する最大のライバルなのか、新4回転を引っ提げて上位に殴り込むチャレンジャーなのか、羽生をどうとらえていいのかなかなか判断できないでいたわけだ。
初戦のオータムCで明らかに練習が足りないまだ骨組みだけの演技に間に合うのか不安を感じ今季は無理せず怪我を悪化させずいけたらいいなどと思ってしまったことも原因だっただろう。

更にそんな風に漠然としたイメージを抱いたのは正直今季のSPFSともにそれほど好みではなかったためもあったからかもしれない。
といってもSPについてはオータムで見たときこれは面白いかも!と思ったのだ。昭和の新人アイドルチックではあるが上手く嵌ればこれまでにない感じのものになるのではと期待した。しかし衣装の変わった頃から何か想像とは違うなと感じ始めた。GPF・4CCと見ていくうちに昭和の新人アイドルからドラゴンボールのサイア人化した孫悟空みたい(イメージです)だと思うようになった。どっちかっていうとプリンスはベジータ(あくまでイメージです)じゃないの?と思ったが羽生結弦は斜に構えるタイプではないから自然そうなるのだろう。別に自分が思っていた感じと違ってがっかりしたわけではない。これはこれで非常に面白いプログラムではあった。アピール力の弱さや優等生イメージの付きまとう日 本人選手にあってここまで派手なオーラを待ち散らしながら疾走し会場を沸かせることが出来るなど滅多にないことだからだ。
演技としてはワールドが一番良かったと思う。ただ・・・ワールドSPを見た後でオータムを見ると、まだ初々しさの見える新人アイドルが垢抜けてブレイクし平成の大スターになった演技も見たかったな、と無い物ねだりしたくなるだけだ。
FSについてはシーズン通してイメージは変わらなかった。最初に見たときにこれはノーミスしたら凄いプログラムになるかもと思ったのだ。そして実際ワールドでそれを証明してみせた。もう何百回演技を見たかわからない男子シングル史上歴史に残る演技になったと思う。ただ完成できれば素晴らしいがミスが出るときついプログラムでもあった。スケカナやGPFを見ていてちょっと今季は厳しいかもと感じてしまうくらいに。実際にはシーズン通してGPF以外では1位を取っていたもののどこか不安げな報道がなされたのもそういうイメージから来ていたのかもしれない。

それでもこのいろいろな意味で華々しかったシーズンを終えてみれば羽生結弦と言う選手の立場がどんなものであったかはっきり見て取れた。チャレンジャーでも復帰したベテランでもライバルでも何でもない、現在のこの男子シングルにおける主人公だった。半年という長いシーズンの中で様々な困難や自らの失敗を乗り越えてワールドの最高位に上り連続五輪金メダルへの道をはっきりと切り開いた。勝利も敗北も若手の台頭による混戦も無責任な周囲の煽りも全て今シーズンという物語に幅を持たせる演出にしてしまった紛れもないメインキャスト。そして熾烈な今シーズンを勝ち抜き五輪という最高の舞台へ向けて優勝候補筆頭として向かうことになった。
来シーズンもまた主人公でいるのかそれはまだわからない。しかしとりあえずそのスタート時に中心に立つことは確約させた。最高の舞台を迎えた時どういう立場にある羽生を見るのか今から非常に楽しみである。
 
 
オータムC   総合1位 260.57 SP1位 88.30 FS1位 172.27
Sカナダ    総合2位 263.06 SP4位 79.65 FS1位 183.41
NHK杯    総合1位 301.47 SP1位 103.89 FS1位 197.58
G P F   総合1位 293.90 SP1位 106.53 FS3位 187.37
四大陸選手権  総合2位 303.71 SP3位 97.04 FS1位 206.67
世界選手権   総合1位 321.59 SP5位 98.39 FS1位 223.20 
国別対抗戦          284.00 SP7位 83.51 FS1位 200.49
平均       総合  289.757 SP平均  93.901 FS平均  195.856
 
結果的に見れば1位と2位しかないシーズン、得点的にもトップだったのになぜか世界選手権に勝つまでは安定しないイメージがつきまとった。
昨シーズンだした最高点があまりにも高くなかなかそれに準じる演技ができなかったことがもどかしかったし若手のなりふり構わない追い上げのインパクトが強かったかもしれない。それでも結果的に勝たなければならないワールドでしかも最高点を出して勝てた意味は大きかったと思う。
シーズン通して苦戦した印象がついたのはSPが揃わなかったことが数字的には大きい。FSはGPFを除けばすべて1位という素晴らしい結果だった。基礎点を損なう大きなミスがつきまとったがそれでも勝ってきたのは取るべき部分でしっかり獲得してきたから。結果として数字を見ればどれほど身勝手にマスコミが騒ごうとも1位と2位しかなかった強さを示したシーズンだったといえる。
 
<ジャンプ>
SP  4Lo 4S+3T // 3A =36.15
         
         基礎点     GOE   減点    合計
オータムC   25.65    0.70 -1   25.35  
Sカナダ    18.85   -0.59  0   18.26
NHK杯    36.15    2.66  0   38.81
G P F   36.15    3.97  0   40.12
四大陸選手権  26.95    5.99  0   32.94
世界選手権   31.85    1.14  0   32.99
国別対抗戦   19.85   -1.14  0   18.71
平均     27.921   1.819 -0.143  29.597  
 
転倒は無理やりとんだコンボのみだったが、基礎点を落とすミスが多かったため点数的に伸びなかった。
4Loは初投入のわりにまずまず着氷でき回転も比較的安定していてよかったが4Sコンボがなかなか厳しかった。またコンボが後という構成のためファーストをミスるとセカンドの基礎点も失うことになり二重のマイナスとなるケースも多かった。
SPは基礎点を落とすとリカバリできないため着実の基礎点を稼げる構成にした方がいい。特に羽生のSPは全てエッジジャンプという「抜け」の危険が伴う。ラストの国別で4Loが抜けた時の恐怖を感じただろう。来季はおそらくジャンプの種類は変えないだろうから変なこだわりをするよりは確実に飛びやすい手段や配置を手配する必要があると考える。

 
FS 4Lo 4S 3F // 4S+3T 4T 3A+2T 3A+Lo+3S 3Lz =87.53
        
         基礎点     GOE  減点    合計
オータムC   70.59  -3.86 -2   64.73 
Sカナダ    70.51   5.98 -1   75.49
NHK杯    79.23   7.13 -1   85.36  
G P F   72.74   1.94 -1   73.68
四大陸選手権  77.30  12.97  0   90.27
世界選手権   87.53  17.14  0  104.67
国別対抗戦   74.02  10.85  0   84.87
平均     75.989   7.45 -0.714  82.724
 
基礎点を獲得できたのは結果的にワールドだけだった。ただシーズンが進むにつれ転倒がなくなっていったことは良い結果。多クワドになっても転倒はやはり大きい。体調がまずまずで練習が積めれば数多くの4回転を飛んでも転倒しない経験は大きかったのでは。
ただ苦戦のイメージがついてしまったのはやはり抜けやコンボ無しによる基礎点の損失が大きかったため。ネイサン・ボーヤン・宇野という今季上位に入った選手は基本抜けない選手、GOEをいくら積み重ねても越えられない壁を自ら作り上げないよう気を付けたい。来季もALLコンボ後半にしたいのなら2本飛ぶジャンプは両方後半にすべきだ。失敗=REPの構図は基本起こらないように構成を組みたい。
それでもジャンプのGOE10点超えが3回もあることは大きい。ただボーヤンのワールドを見ても揃えれば若手も10点超えが可能なのでアドバンテージを失わないためには基礎点確保が最重要課題だ。

<スピン>
SP
        基礎点   GOE     合計
オータムC   8.9  2.70  11.60  レベル4 1回 レベル3 2回
Sカナダ    9.3  2.22  11.52  レベル4 2回 レベル3 1回
NHK杯    9.7  3.14  12.84  ALLレベル4
G P F   9.7  3.36  13.06  ALLレベル4
四大陸選手権  9.3  3.14  12.44  レベル4 2回 レベル3 1回
世界選手権   9.7  3.35  13.05  ALLレベル4
国別対抗戦   9.7  3.21  12.91  ALLレベル4
平均    9.471 3.017 12.488
 
GOE3超えは素晴らしい。ただコンボミスするとキャメルのレベルを落としやすいシーズンだった。後ろがしっかり決まっているため入りで出遅れると回転する時間が無くなるためだ。
音をしっかり聞いて演じる選手だけに無駄のないプログラムを組むのだろうが多少大目に回れる余裕が欲しいかなと感じる。今季の状況を踏まえてよい演技構成を組んで欲しい。
 
FS
        基礎点   GOE    合計
オータムC  10.0  2.10  12.10  ALLレベル4
Sカナダ   10.0  2.07  12.07  ALLレベル4
NHK杯    9.6  2.50  12.10  レベル4 2回 レベル3 1回
G P F   9.6  2.43  12.03  レベル4 2回 レベル3 1回
四大陸選手権 10.0  2.86  12.86  ALLレベル4
世界選手権  10.0  2.65  12.65  ALLレベル4
国別対抗戦  10.0  2.86  12.86  ALLレベル4
平均    9.886 2.495 12.381
 
スピン中のジャンプは多くの選手がレベル上げに使うが羽生がやると大丈夫か?と心配してしまうのはダム・パリの頃の体力の無さを思い出すからだろう。その後しばらくなくなっていたが今シーズン足変えの際に復活した。体力がついたこともそうだがこのやり方の方が安心して見ていられる。昨季までのコンビネーションと違う印象だし入れて良かったと思う。
今季はレベルは比較的取れたがSPに比べGOEが控えめだった。特に得意なシットスピンがあまり稼げていない。3連がなかなかクリーンに入らないことが多く影響を受けたこともあったためかもしれない。
スピンは音楽に合っているよりもリズム関係なく豪快にガーっとスピードを上げた方がGOEがつきやすい傾向にある。そういう意味では回転スピードを上げにくいシットで8回転を使ってしまうのはちょっともったいない気がする。

<ステップ>
SP
        基礎点   GOE   合計
オータムC   3.9  2.10  6.00  レベル4
Sカナダ    3.9  1.80  5.70  レベル4
NHK杯    3.9  1.80  5.70  レベル4
G P F   3.9  2.10  6.00  レベル4
四大陸選手権  3.3  1.43  4.73  レベル3
世界選手権   3.9  2.10  6.00  レベル4
国別対抗戦   3.9  2.10  6.00  レベル4
平均    3.814 1.919 5.733
 
これほどステップで点数を稼げたシーズンはなかったのではと思う。満点4回はフェルナンデス・チャンより多く平均点もトップだった。
今のルールではゆったりと確実にステップを刻むことがレベル確保に有利となっている。それをあれだけのノリとスピードで行えばGOEもついて当然なのかもしれない。
今までに無い感じのはじけたステップは曲のラストにかけて盛り上げに大きく貢献していた。

FS
        基礎点   GOE   合計
オータムC   5.9  2.94  8.84  レベル4
Sカナダ    5.3  2.43  7.73  レベル3 
NHK杯    5.3  2.30  7.60  レベル3
G P F   5.9  3.40  9.30  レベル4
四大陸選手権  5.9  3.30  9.20  レベル4
世界選手権   5.9  2.90  8.80  レベル4
国別対抗戦   5.9  3.30  9.20  レベル4
平均    5.729 2.938 8.667
 
レベルも昨季に比べればかなり安定して取っていた。ただSPに比べてもGOEが稼げたかは微妙。平均3をちょっと切るというのは決して低くはないのだが、チャンやフェルナンデスに比べると低いなと感じる。
個人的な好みではStSqはオータムが一番好きだった。滑っている感がすごく感じたからだ。羽生に非常にターンやステップがうまい選手だが、それだけに滑っているよりも動いている刻んでいるという印象になってしまうことがある。今シーズンはわりと滑っているステップだったが曲が静かなパートのためか欧米のジャッジには評価が上げにくい印象だったのかもしれない。
コレオはハイドロまではいいがその後のイーグルからイナバウアーにかけてがちょっとまどろっこしいかなと思った。GOEがほどほどになってしまったのは特に何かを演じるプログラムではないのでジャッジの感性に合うか合わないにゆだねられてしまったのかもしれない。

<TES計>
SP  
        基礎点   GOE  減点    合計
オータムC  38.45  5.50 -1   42.95 
Sカナダ   32.05  3.43  0   35.48
NHK杯   49.75  7.60  0   57.35
G P F  49.75  9.43  0   59.18
四大陸選手権 39.55 10.56  0   50.11
世界選手権  45.45  6.59 -1   51.04
国別対抗戦  33.45  4.17  0   37.62
平均    41.207 6.754 -0.286  47.675
 
世界選手権のレイトスタートの減点がもったいない。そして転倒が倍あったネイサンの平均から4.5点ほど低いということからも今シーズンの基礎点がいかに獲得できていないかが見て取れる。ネイサンもボーヤンもレベルはしっかりとってくるのでスピンステップで縮める点数はわずかだ。FSに優位を得るためには基礎点の差以内にTES差を収めたいところだ。
 
 
FS
         基礎点     GOE  減点     合計
オータムC   86.49   1.18 -2    85.67
Sカナダ    85.81  10.48 -1    95.29  
NHK杯    94.13  11.93 -1   105.06
G P F   88.24   7.77 -1    95.01
四大陸選手権  93.20  19.13  0   112.33
世界選手権  103.43  22.69  0   126.12
国別対抗戦   89.92  17.01  0   106.93
平均     91.603 12.884 -0.714  103.773 
 
羽生が強いということが一番わかるのがこの項目だったりする。基礎点で10点以上ネイサンより劣っているのに合計では勝ってしまうという。TESで負けなければ若手には絶対抜かれることがないのでこのTESを確実に稼ぎ続けることが羽生が連覇する条件だといえる。
それでも今季は抜けとコンボ無しで10点以上基礎点失う試合が多かった。今季後半にリカバリできる方法を得た経験は大きいがリカバリでは基本予定構成を超えることが羽生の場合はない。構成を来季上げるかわからないが上げなくても抜けをなくすだけでなくコンボを確実に消化する心構えが必要だと思う。
一方でスピンステップなど含めて弱い要素がないことがジャンプ構成で負けてもTESで張り合える強さの一因になっている。FSGOEが平均で10点超えるのは羽生だけ、7試合中5試合でできているという結果が素晴らしい。
 
<PCS>
SP
        SS  TR  PE  CC  IN  合計
オータムC   9.20  8.80  8.95  9.15  9.25  45.35
Sカナダ    8.93  8.71  8.71  8.93  8.89  44.17
NHK杯    9.39  9.04  9.29  9.36  9.46  46.54
G P F   9.39  9.25  9.64  9.50  9.57  47.35
四大陸選手権  9.46  9.25  9.29  9.39  9.54  46.93
世界選手権   9.50  9.21  9.57  9.50  9.57  47.35
国別対抗戦   9.39  9.18  8.79  9.21  9.32  45.89
平均       9.323   9.063  9.177   9.291   9.371   46.226
 
PEの振れ幅の大きな1年だった。実際ジャンプミスが多かったので仕方ないかもしれない。
ただノーミスがなかった割にはSPはPCSは比較的安定していたといえる。そしてINが高かったというのは羽生にしては珍しいシーズンだった。観客を巻き込んだラストの盛り上がりが印象的なプログラムだったということかもしれない。
 
FS
        SS  TR  PE  CC  IN  合計
オータムC   9.10  8.60  8.20  8.80  8.60  86.60
Sカナダ    8.96  8.64  8.64  8.93  8.89  88.12
NHK杯    9.36  9.07  9.18  9.29  9.36  92.52
G P F   9.36  9.11  9.07  9.32  9.32  92.36
四大陸選手権  9.46  9.25  9.54  9.46  9.46  94.34
世界選手権   9.68  9.46  9.86  9.75  9.79  97.08
国別対抗戦   9.50  9.18  9.14  9.46  9.50  93.56
平均       9.346   9.044    9.09   9.287  9.274   92.083
 
フェルナンデス・チャンともに平均では下回った。チャンとは国別の数字でひっくり返った感じだ。
SPでミスがあり今シーズン意外な順でFSを迎えることが多くそのため有力選手が残った状態で演技することが多かったことでPCSが控えめな印象になりやすかった。
FSではSPと異なりCCとINが同じくらいの数字という例年と同じ傾向が見てとれる。
演技の出来によってPCS時の上下する幅はフェルナンデス・チャンに比べると大きい。その影響もあってTRが一番3人の中で低くなっている。これについては正直よくわからないと思ってしまう。

<来季に向けて>
SPは2年周期で回してきているのでもしかしたら来季も継続かもしれない。
ただそうではない可能性も高い。コンボに苦手意識ができているという発言もあったからガラッと変えた方がいいかもしれない。ただ何にせよ確実に基礎点を確保できる構成・配置を検討して欲しい。五輪でのSP出遅れはかなり痛い。いかに逆転した実績を作っても出遅れという印象は悪いからだ。
FSは確実に変更するだろう。五輪シーズンにはインパクトが弱い曲だからもう少しドラマチックな曲に変えると思う。
一方で気になるのは構成だ。羽生は基本毎年構成を上げてきた。ソチシーズンですら僅かだけで上げている。シーズン後のインタビューでは大きくは変えないことを口にしているがそれでも多少は上げてきそうな気がする。
私的には本当に4Lzの成功率が6割以上あるのならFS冒頭に入れてもいいのではと思う。4種4クワド構成(4Lz 4Lo 3F //4S+Lo+3S 4T 3A+3T 3Lz+2T 3A =90.63)でネイサンやボーヤンが構成を上げても十分戦えると思う。この構成ならほぼREPは発生しないし自分の状態を考えて上手くいけばさらに構成上げできる余地を残しているからだ。
ただ4Lzの着氷率が5割切るようだったら入れないで完成度を上げた方がいい。構成を下げることはしないと思うのでその場合は2本飛ぶジャンプは全て後半にしてREPが起きにくい順番に配置したい。ジャンプはあくまで飛びやすい配置で、できればGOE対策でジャッジがジャンプの幅や高さを認識しやすい場所で飛びたい。(今シーズンは割と一部のジャッジからは幅が確認しづらい位置で飛んでいたように感じるので・・・)宇野が今シーズン後半でやったようなジャッジの正面を横切るようなジャンプがあったら面白いと思う。
あとは体調管理に気を付けて4年前のように是非平昌五輪の主人公になるような演技を見せて欲しいと願っている。
 

取捨選択の自由

少し前にツイッター上である記事の情報が流れてきた。
ここ数年乱発しているフィギュア雑誌に蹂躙され老舗雑誌が追い込まれている状況を嘆いたものだった。更にはそれに群がる購入者へ見る目を持てと苦言を呈した内容だった。
読み終わったときに頭を抱えた。あきれたというより末期的だと感じたからだ。
文中にフリーの編集者N氏という人物が登場する。この手の記事は実名でない限り本当に存在するかはわからない。ただ似たようなことを言う関係者はいたのだろうと想像はできる。しかしそれを口にする意味をその人たちは理解しているのだろうかと疑問に思う。その言葉を突き詰めて考えれば「私たちは無能です!」と宣言しているのと同じだということを。
 
私は学生時代文芸部に所属していた。毎月1冊部誌をさらに年1回文化祭に合わせて文芸誌を発行することが主な活動だった。
毎月の部誌はB4のわら半紙に印刷機で印刷し2つ折りにしてスーパーホッチキスで留めた簡易なもの。(今の子供たちはわら半紙って知っているのだろうか?)
当時はパソコンもないワープロ時代。印刷機も今のようなものではなく大型のガチャコンガチャコン音のうるさいよくズレる手間のかかる代物だった。印刷した紙を部員総出で美しく2つ折りにして(この美しく2つ折りすることに非常にこだわりがあった)大型の机に並べ皆でぐるぐる回りながら本にしていく。結構労力がかかるそれでいて楽しい作業だった。
 
一方文化祭用に発行する雑誌は外部で印刷製本される。当時はまだ個人による自費出版はあまりなかった時代である。コミケもあることはあったがかなりマイナーな時代だ。印刷業者に頼むというのはかなりのコストのかかるものだった。
 
ところで本を作るときに一番大変な作業は何だと思いますか?
 
文章を書くこと?編集構成をすること?見本刷りから校正修正していくこと?
 
それぞれなかなか労力がいることだが、本好きならば案外楽しんで出来る作業だったりする。筆が進まないことも思い通りな形にならない悩みで落ち込んだりもするが最初からわかって始めていることなのでそこまで大変だとは感じない。
 
実は文芸誌制作に一番大変なのは作るための資金を用意することだった。
 
生徒会からもらう部費は毎月の部誌の紙代を賄う(それでも使いすぎて時々怒られました・・・)ことが精一杯だったので外部委託する資金は自分たちで稼がなければならないわけだ。バイトすることも出来ない私たちに出来ることはただ一つ「広告を集める」こと。地元の店舗や知り合い・親戚のつてなどに雑誌に広告を載せてくれるよう1件1件お願いに回るのだ。これは体力的にも精神的にも非常につらい作業だった。
1ページで1万円、半分で5千円、4分割で3千円、6分割で千円という設定で30万から40万かかる製本代を捻出しなくてはならない。千円がだいたい80%、3千円が15%と言った比率だったから少なくとも40件以上集める必要があった。当然断られることも多いのでものすごくしんどく毎年その時期気鬱だった。中にはお金は出してくれるもののデザインやコピーなどはそちらで作ってと言われるケースもありそういった労力も別に必要だったりもした。
 
その次に大変な作業はその作った本を「売る」という作業。
文化祭2日間の間に取り置き分以外の冊数を売りさばかなくてはならなかった。一応文芸部の研究発表をするブースもあるがそこだけで売り切れるはずも無く、部員が交代で校内を歩き回り生徒や父兄・来場者に売って回る。結果的に文芸部員は期間中誰よりも校内を歩きながら文化祭の内容を全く知らないまま卒業することになるのだ。

今となっては良い思い出だが当時はなかなかしんどかった。ただお金を貰うと言うことと物を売ると言うことが非常に大変であることを知った経験は大きかったと後から思ったのだった。
 
私は結構長くフィギュアスケートのファンをやっている。子供の頃から本は好きだったが育ったのは本屋も無い田舎町(メジャーな雑誌などは文房具店で売ってた)でフィギュアスケートの雑誌があることも大学生になるまで知らなかった。といってもバイトで生活費を稼ぐ苦学生だったので高価なフィギュア雑誌が買えるはずも無く本屋でぺらぺら流し読みするくらいだった。
社会に出て正社員になり安定的に給与が得られるようになって初めて購入することが出来た。以来10数年、フィギュア雑誌の中で老舗と言われるワールド・フィギュアスケートを年に何回か購入してきた。外国人選手好きの私にはこれが一番情報があったためだ。本棚や押し入れを探せば30冊以上は出てくるのではないかと思う。

ソチ五輪の少し前日本男子選手中心の雑誌が出たときはとても驚いた。それまでは五輪後に突発本が出ることがあっても多くが女子選手中心だったからだ。せっかく出たのだからと購入したが、30代後半(当時)のおばさんはあまりのゆづゆづしさにくらくらしてしまった。ただこういうものでもフィギュア雑誌が出てくれたことは喜ばしかったのでその後も継続して購入した。そしてソチ五輪で羽生が五輪王者になるとそういう雑誌が爆発的に増加したのだ。
当初はどんな形でもファンが増えると良いと思いせっせと幅広く購入していたのだが、翌シーズン終了した頃には力尽きた。なんというか・・・色々大変だったのだ。
 
1.増えすぎて管理できない。置き場が無くなる。
大きさがA4版が多くかさばること。写真がメインのため紙質が良い場合が多く重ねると重量がとんでもないことになること。更に羽生が表紙の場合が多く、また各社似たような物をチョイスするので同じ雑誌を2冊購入してしまうミスを何度も犯してしまったことなど多すぎて管理できなくなった。
 
2.写真がメインで読むところがほとんど無い雑誌が多かった。
動画や録画で演技を見返すことは割と良くあるが、静止画には全く興味が無い。絵を描く趣味も無いためパラ見して重ねるだけというものが多かった。
 
3.財布がきつい
2000円前後といった高価な雑誌が多いため購入額が半端ない金額となってしまい色々支障を来した。
 
4.間違いが多い
単純な誤植レベルの物は数知れず。特に多かったのは写真と個人名が合ってないというケース、外国人選手はまだわからないこともないが日本選手でも間違っているケースがありあきれてしまった。
一番笑ったのは2・3・4回転ジャンプの基礎点を纏めた表で回転数表記が全部1回転少ない物を見つけたとき。でもその時はこれで女子の計算したら何点になるだろう、とうきうき計算して楽しんだ覚えはある。読む物が少ない分雑誌内で誤植を探すことが楽しみになっていた時期もあった。
まぁ笑えるとか単純な誤植はまだいいですが、許せないのはライターがルールを理解せずに文章を書いているケース。素人に書かせているのかと確認したら何度か記事を読んだことがある名前だったりしてがっかりしたことが1度や2度では無かった。
長年フィギュア雑誌を手がけているライターが過去について書いてある文章の内容が間違っているケースも良くある。時系列が違っていたり会場や年度が違うというのはまだましで違う試合の内容を混ぜて書かれていたりきちんとデータ管理もされていないのかと腹立たしく思った物だった。
 
そんなこんなでこれだけ雑誌が出ていれば当面フィギュア雑誌が無くなることは無いだろう、私が買い支える必要はないと翌シーズンからは厳選して購入することにしたのだった
その結果それ以降購入する雑誌は激減した。2季前はそれでもシーズン中15冊ほど購入したが昨季は10冊を割り今シーズンは結果的に5冊しか買わなかった。
そして雑誌を選択しだしたのは私だけでは無かったようで昨季辺りからすぐ売れる雑誌とそうで無い雑誌が別れてきた印象だ。本屋の店頭でも残っている雑誌はいつも同じタイトルになってきている。

そんな状況下の現在、冒頭のような記事を書かれたのは売れない部類の中に老舗雑誌が数多く含まれていると思われる。ただそれはそれで仕方ないだろうと思う。何しろ今季私は1冊もそういった「老舗雑誌」を購入していないからだ。
 
全部では無いが長年ワールド・フィギュアスケートを購入してきた。特にソチオリンピックの前後はほぼ全て購入していた覚えがある。しかし昨季は2冊、今季は結局1冊も買わなかった。

買わない理由は特にない。強いて言うなら買って読む必要は無いと感じたからだ。
基本的にこの雑誌の内容はマンネリ。試合内容のまとめと選手のインタビュー中心。ときどき振り付け師やコーチのインタビュー、アイスショーの特集などがある位。振り付け師やコーチのインタビューも纏めて読める利点はあっても有名どころなので他の雑誌やネット上の情報で見る機会はあるのだ。この雑誌でなくてはならないというのは価値を今では見いだせなくなっている。
 
許可をとらない非正規な雑誌が正規の雑誌を蹂躙したと記事に書かれているが、きちんと選手や関係者に向き合う機会があるのに写真載せるだけの手抜き雑誌に負けるということは結局は手抜き雑誌以下の内容だと判断されていると言うことだろう。時代に合っていない、ニーズを読めていない、一方で老舗ブランドを維持するような高尚な記事もかけていないということ。
選手やコーチに聞く質問も真新しい物は無い、他の媒体でも得られる情報の焼き直しに過ぎない内容を数千円を出して購入しろというのは消費者を馬鹿にした行為だと思わないのだろうか?非常に不快に感じてくる。
 
関係者に接することが出来る老舗ならばいくらでも出来ることがあるはずだ。例えば何かの大会特集だったらその試合での各エレメンツの高得点要素を取り上げてどこが優れているのかどう評価されているのか分析や解説してみてもいいだろう。できれば判断したジャッジ自身に聞ければ良いが無理ならばジャッジ資格者でも構わない。ついでに今後試合を見るときはどこに注目すべきかジャッジ視点を明確に説明してくれたらありがたかったりする。そういう行為は非正規本には決してできない行為だ。なぜコネや人脈があるのにそういう発想がないのだろう。
例をあげるとするとボーヤンのワールドFS冒頭の4Lz特集なんてどうだろう。私が見た中での過去最高の出来の4Lzだったと思うし、高いGOEもついた。離氷スピードがどの位で飛んだ高さと幅がどの位で着氷後の流れがどの位だったのか数字で見せてくれたらすごくありがたいと思う。今季の他の4Lzと比べてどこが良かったのかあるいは昨季のボーヤンと比較してみるのも面白いのではと4Lz一つとってもいろいろ企画アイデアが生み出せる。

老舗の雑誌というのはそのスポーツの素晴らしさ、面白さを広める物だろう。この技術がどれだけ高度な物なのかとか不明瞭になりがちの採点がどう行われているのかを伝えたり、毎年変更されるルールがどう変わったのか、何故変わったのか、それによって選手にどう影響が出るのか、プラス面マイナス面併せてわかりやすく解説し理解を深めようとするものではないだろうか。
聞いた内容をただ垂れ流したりライターの作ったシナリオに試合内容を纏める物では無いはずだ。しかし現状はライター個人の思い込みや好みや感性をまき散らす場になっているのではないだろうか。

人気選手ばかり取り上げる傾向を揶揄するのならば老舗こそその他の選手の素晴らしさや可能性、今現在の実力を「客観的に」特集すれば良いはずだ。それが優れた内容であるならな人気選手以外のファンは購入したいと思うだろう。何故自らそれをしないで購入者を責めるのか全く理解できない。
やっていて売れないというのならそれはライターや編集者の能力が低いだけの話。「客観的」でなかったり曖昧な自己満足の文章を垂れ流すだけでは共感や理解ができるはずがない。結果的に値段に見合わないと見切られていくのだ。
学生時代の私たちでさえ規定冊数売り切るために見合う単価を自分たちで設定し販売した。学生が作った本での売り上げで印刷経費すべてが賄えるはずのないことはわかっていたから毎年赤字にならないよう広告料を必死で集めたのだ。
設定価格に見合う雑誌が作れていないのに別雑誌を購入する消費者に見る目がないなどよく言えたものだ。それより自分たちの力量を過分に想定している現状や購入者に対する思い上がり・傲慢な目線を改めるべきだと思う。
良い雑誌を選び購入したいというのは購入者の自由と権利だ。「買わない」という選択に売る側が文句をつけるいわれはない。
 
実は私がワールド・フィギュアスケートを購入しなくなったことには一つのきっかけがある。2季前のシーズン中のことが発端だった。
この雑誌にはT氏という割とフィギュア関係でよく見かけるライターが良く記事を書いている。かなり色んな媒体で見かける人物なのでこの人の好みや思考の方向性のような物がある程度知識として私の中で蓄積されていた。
ある試合をリアルタイムで見た後ふと思った。きっとT氏がこの試合の記事を書いたらこんな感じになるだろうな、と。思ったら少し面白くなったので内容を書き出してみた。切り口はこうでこういう文章でこんな風に纏めるだろう、と6行ほど箇条書きした。そしてしばらくしてT氏のその試合の記事を見つけて私は思わず天を仰いでしまった。そこそこ長い記事だったが切り口も語りも8割は予想通りの内容、特にまとめ方はそのままその通りの文章だった。
おいおい金貰って仕事で書いてるライターが素人に考え読まれるような文章書くなよ・・・と突っ込んでしまっても仕方ないだろう。
 
読んだ文章はワールド・フィギュアスケートの雑誌上ではなかったのだが、これを契機に一気に購入意欲を失ってしまった。貴方の書く文章は読まなくてもわかります、と思ってしまったからだ。
 
自分の考えが正しいと確認するために読むという楽しみも有りと言えばあるのかもしれない。ただ基本本や雑誌という物は新たな知識や認識を得たいと思って読む物では無いだろうか?その試合からしか得られない新たな視点や内情など目にできないことを期待して本を取る。しかし満足できるものでないことが続けば当然読者は離れてゆく。
特にフィギュア雑誌は値段がかなり高めとなっている。そして購入者には老舗だから正規本だからという理由に付加価値など何も感じないのだ。
非正規本といっても写真は正規のルートで購入しているしとってもいないインタビューをねつ造しているわけでも無い。私は買わないが綺麗な写真が見たいと言うだけならそれを購入することをとがめられないだろう。少なくとも写真購入代金分はスケート連盟の懐を潤しているし売れればそれなりの貢献にはなる。それを読者を奪われたなどと逆恨みするのは間違いだろう。
要するに今の状況は老舗の編集者やライターがしている仕事がそんな「手抜き本」以下の価値だと判断されているだけだ。苦言を呈する前に自分たちの怠慢・怠惰を恥じることがまず先だろう。
 老舗の看板を立てに吠えるより先に冊数が出る本を作るか、数は出なくても純粋なファンを納得させるような読み応えある雑誌にするかしっかりとした方針を立てそれに合った社内改革をするべきだ。それができないまま今まで通りの古い考えに固執した時代の見えないお抱えライターと緩い関係を結んだ人々の間だけのうちわネタ的な雑誌を作っていくというのならばそれはそれでいい。結局フィギュアスケートという競技や選手を愛しているわけでも理解しているわけでもない、自己満足の雑誌を作りたいというだけなのだから廃れても本望だろう。
 そうでないのならば「現在」のフィギュアスケートの魅力を愛する人々による改革と刷新し他には作れない雑誌にしていかなければならない。しかしあのような記事が出るということは関係者間で全く問題の本質が見えていないのだなと感じられて思いやられる。
 
過去は過去で賛美すればいい。だが今は今の魅力を客観的に多様性をもって伝えられなければ「雑誌」という形はいずれなくなっていくのだろう。
 ネット情報時代だ。多種多様な情報があふれていて自由に得られるものが数多く存在する。知りたければ外国の記事でもいくらでも読むことができる。そういう時代の中で売れないものが市場から淘汰されるのは自然の摂理。他者を責めるばかりで身を切るような努力を何もしていかなければいずれ消えていくだけなのだと私は思っている。
 

フィギュアへの愛を滑る―――ジェイソン・ブラウン

4回転さえ飛べればトップ選手とシニアに上がった頃から言われていた。昨季は怪我で後半シーズンを棒に振ったが、今季冒頭から4回転をSPFSとも投入してきた。
残念ながら一度も成功することは無く怪我まで負ってしまい心配されたが、全米選手権の頃から4回転を抜いて復帰した。結果的にその方が成績的には安定しアメリカに3枠をもたらすことになった。
 

ロンバルディアT   総合2位 256.49 SP2位 81.58 FS1位 174.91
USインターナショナル   総合1位 254.04 SP2位 83.18 FS1位 170.86
Sアメリカ   総合2位 268.38 SP3位 85.75 FS2位 182.63
NHK杯    総合7位 218.47 SP8位 74.33 FS7位 144.14
四大陸選手権  総合6位 245.85 SP9位 80.77 FS6位 165.08
世界選手権   総合7位 269.57 SP8位 93.10 FS7位 176.47 
国別対抗戦           273.67 SP5位 94.32 FS6位 179.35
平均       総合  255.21  SP平均 84.719 FS平均  170.491
 
SアメリカでFS,国別でSPと総合のPBを出した。FSはともかく4回転を抜いてPBが出たことには何とも言いようがない。4回転無しで90点代半ばが出せるのはブラウン位だが昨季同じ演技をして出せたかというと微妙な印象だ。ジャンプ偏重にならないようにしたい思惑もあってこそのブラウンの数字が見えてくるからだ。しかし結局のところ基礎点を上げなければこれ以上の伸びはない。4回転を入れて同レベルの演技が出来るか、来季が正念場なのかもしれない。
そしてその為の3枠を無事に確保できたことは非常に良かったと言えるだろう。
 
<ジャンプ>
SP  
         
         基礎点     GOE  減点    合計
ロンバルディアT   23.36  -0.64 -1   21.72  
USインターナショナル   27.06  -1.88 -1   24.18
Sアメリカ   30.13  -1.00 -1   28.13
NHK杯    20.83  -3.50  0   17.33
四大陸選手権  22.72  -1.90 -1   19.82
世界選手権   24.70   4.50  0   29.20
国別対抗戦   24.70   4.66  0   29.36
平均     24.786 -0.034 -0.571 24.249  
 
4回転を入れない方が点数が高いのはブラウンの4回転がほとんど回転不足になってしまうからだ。それに転倒がつき減点を合わせると3回転+GOEの方が上回ってしまう。
ただSPに関してはまだこの戦法は有効かもしれない。最終グループは無理だろうがその前であれば90点以上であれば十分入れる。ブラウンの完成度ならばSPはまだその戦法でも良いかもしれない。
4回転は今季成功できなかったが3Aについては向上が見られた。昨季までは回転がぎりぎりでそれ故の着氷のいまいちもあったりしたが少なくともワールドと国別の3Aはしっかり回りきって余裕を持って着氷が出来ていた。上半身がシャープになったというか多少ゆるめだった軸が細くなった感じがする。4回転を練習した成果がもしかしたら生かされているのかもしれない。

 
FS 
        
         基礎点     GOE  減点    合計
ロンバルディアT   64.21   1.50 -1   64.71 
USインターナショナル   60.44   2.40 -1   61.84
Sアメリカ   65.54   4.57  0   70.11  
NHK杯    49.09  -7.84 -1   40.25
四大陸選手権  53.94   2.25  0   56.19
世界選手権   61.61   3.38 -1   63.99
国別対抗戦   55.48   8.12  0   63.60
平均     58.616  2.054 -0.571 60.099
 
ブラウンの今季のFSの問題は4回転では無く3Loだと思う。こんなに苦手だったっけ?と思わず以前をさかのぼってしまった。確かに得意ではなさげな飛び方だけどここまでミスが出るものでも無かった。ただ昨季や2季前はこれほど終盤に飛んでいなかった。あまり得意ではないのならば羽生の3Fのように早めに飛んでミスを少なくするという戦法でも良いのではと感じる。
構成で弱いため後半6ジャンプ、しかもあまり連続にならないように組み込んでいるが、ジャンプが終わるまでコレオ以外基本左回り(それもだんだん円が小さくなってくる)というのは単調だと感じる。足下は色々入れているが同じ方向へ動くだけというのは意外性というか幅が狭い印象になるので改善を求めたい。
 
<スピン>
SP
        基礎点   GOE     合計
ロンバルディアT   9.7  3.10  12.80  ALLレベル4
USインターナショナル   9.3  2.30  11.60  レベル4 2回 レベル3 1回
Sアメリカ   6.5  1.79   8.29  レベル4 2回 ノーカン  1回
NHK杯    8.3  1.58   9.88  レベル4 1回 レベル3 2回
四大陸選手権  9.7  2.65  12.35  ALLレベル4
世界選手権   9.7  3.50  13.20  ALLレベル4
国別対抗戦   9.7  3.57  13.27  ALLレベル4
平均    8.986 2.641 11.627
 
スピンは最もブラウンの稼ぎどころだがやはり怪我をしていると大変な要素なのだなと思う数字。NHKは軸がゆがんだりズレたりしていた。
そしてスケアメのキャメルで足をとれずにノーカンになってしまったことが平均を大きく下げることになった。ただそれ以外の試合のGOEは素晴らしい。出来ればスピンオール満点を狙ってほしい。

FS
        基礎点   GOE    合計
ロンバルディアT  10.2  3.60  13.80  ALLレベル4
USインターナショナル  10.2  3.20  13.40  ALLレベル4
Sアメリカ   9.7  3.50  13.20  レベル4 2回 レベル3 1回
NHK杯   10.2  2.92  13.12  ALLレベル4
四大陸選手権 10.2  3.57  13.77  ALLレベル4
世界選手権  10.2  3.78  13.98  ALLレベル4
国別対抗戦   9.7  4.07  13.77  ALLレベル4 V付き
平均   10.057  3.52 13.577
 
4.50満点の平均3.52というのは素晴らしい!SPではいまいちだったNHKもFSはしっかり得点を確保している。
もったいないのは国別、レベルは確保したものの姿勢不足で基礎点を落としてしまった。それでも4点超えというGOEは素晴らしいのですがトータル14点超えが見られなかったことが残念でならない。
 
 
<ステップ>
SP
        基礎点   GOE   合計
ロンバルディアT   3.9  1.96  5.86  レベル4
USインターナショナル   3.9  1.40  5.30  レベル4
Sアメリカ   3.9  2.00  5.90  レベル4
NHK杯    3.3  1.29  4.59  レベル3
四大陸選手権  3.9  1.70  5.60  レベル4
世界選手権   3.9  1.70  5.60  レベル4
国別対抗戦   3.9  1.90  5.80  レベル4
平均    3.814 1.707 5.521
 
凄い数字、フェルナンデスには負けるけどチャンより上という。GOE平均はチャンの方が高いんだけどレベル4の確保数で上になるという。やはりステップはレベルが大事。
ブラウンのステップは上下のメリハリが大きく印象に残るというところがGOEの高さにつながっていると感じる。レベルをここでとっているよと非常にわかりやすく見せてくれるありがたい選手でもある。
 
FS
        基礎点  GOE    合計
ロンバルディアT   5.9  3.50  9.40  レベル4
USインターナショナル   5.9  3.22  9.12  レベル4 
Sアメリカ   5.9  3.40  9.30  レベル4
NHK杯    5.3  2.77  8.07  レベル3
四大陸選手権  5.9  3.50  9.40  レベル4
世界選手権   5.9  3.40  9.30  レベル4
国別対抗戦   5.9  4.00  9.90  レベル4
平均    5.814 3.399 9.213
 
FSはSPと逆でチャンには負けるがフェルナンデスよりは上という結果。チャンとは基礎点は同じだったので体調が悪かったNHK杯の点が足を引っ張った形だ。
ただそれ以外すべて3点以上というGOEは素晴らしい。チャンにとってステップは「滑りの良さ」、フェルナンデスは「表現」だがブラウンは「魅せる」ということで評価を受けているという感じだ。
 
<TES計>
SP  
        基礎点   GOE  減点    合計
ロンバルディアT  36.96  4.42 -1   40.38 
USインターナショナル  40.26  1.82 -1   41.08
Sアメリカ  40.53  2.79 -1   42.32
NHK杯   32.43 -0.63 -1   30.80
四大陸選手権 36.32  2.45  0   38.77
世界選手権  38.30  9.70  0   48.00
国別対抗戦  38.30 10.13  0   48.43
平均    37.586 4.382 -0.571 41.397
 
TES平均40以上というのは少し前ならかなりいい点数だった。基礎点の急激な伸びによってこの数字が平凡に見えてしまうのが怖い。
前半4回転チャレンジがあったため転倒していることがやはり痛い。転倒はPCSにも響くので4回転チャレンジするにしてもせめてステップアウト程度に収められないと出遅れてしまう。
それでもスピンステップで稼げるということは大きいと感じる数字だ。
 
 
FS
         基礎点    GOE  減点     合計
ロンバルディアT   80.31  8.60 -1    87.91
USインターナショナル   76.54  8.82 -1    84.36  
Sアメリカ   81.14 11.47  0    92.61
NHK杯    64.59 -2.15 -1    61.44
四大陸選手権  70.04  9.32  0    79.36
世界選手権   77.71 10.56 -1    87.27
国別対抗戦   71.08 16.19  0    87.27
平均     74.487 8.973 -0.571  82.889 
 
NHK杯が大きく平均を下げてしまった。やはり基礎点を大きく下げるミスは痛い。ただ怪我の影響もあった中での結果なのでそれ以外では80点台半ばで落ち着く。
トップは100点110点の時代なので構成を上げなくては太刀打ちできないが、3Loの抜けなどなくし安定的にTES90超え出来ればGPSなどでは表彰台に届くだろう。とりあえず飛べるジャンプは確実に飛ぶことが大事なので構成だけでなく配置などにも工夫をしたい。
 
<PCS>
SP
        SS  TR  PE  CC  IN  合計
ロンバルディアT   8.20  8.00  8.35  8.20  8.45  41.20
USインターナショナル   8.40  8.35  8.30  8.45  8.60  42.10
Sアメリカ   8.50  8.57  8.71  8.79  8.86  43.43
NHK杯    8.36  8.54  8.21  8.71  8.71  42.53
四大陸選手権  8.50  8.50  8.57  8.64  8.79  43.00
世界選手権   8.96  8.96  9.07  9.00  9.11  45.10
国別対抗戦   8.96  9.04  9.32  9.18  9.39  45.89
平均       8.554  8.566      8.647    8.71   8.844   43.321
 
シーズンを通して着実に上げていったと感じる出来。4回転無しで45超えは凄いと思う。若手がなまじBVにこだわるので質の良さを評価したいジャッジの思惑もあるのだろうか。
CCやINが高いのは一瞬の静寂から音が大きくなる瞬間のバレエジャンプなど静かな曲ながら非常にインパクトのある振付を優雅に滑ったことを評価されたのだろう。
そして相変わらずSSより高いTRはトップ選手ではブラウンだけ。

FS
        SS  TR  PE  CC  IN  合計
ロンバルディアT   8.35  8.60  8.85  8.80  8.90  87.00 
USインターナショナル   8.35  8.55  8.75  8.85  8.75  86.50
Sアメリカ   8.89  8.79  9.11  9.04  9.18  90.02
NHK杯    8.07  8.39  8.00  8.43  8.46  82.70  
四大陸選手権  8.43  8.43  8.64  8.61  8.75  85.72
世界選手権   8.89  8.71  9.07  8.86  9.07  89.20
国別対抗戦   9.07  9.04  9.11  9.32  9.50  92.08
平均       8.579  8.644  8.79   8.844   8.944   87.603
 
FSでも後半2項目が高くSSよりTRが高いのも変わりない。ただSPに比べると後半の左周回の多さが私には評価できない。同一円上でジャンプを飛び続けているという印象が強いからだ。ジャンプが固まらないように分散した結果長い時間をその行為に費やしているように見える。これは振付というか構成の問題かもしれないがもう少し右回りや方向転換をしてほしい。ネイサンやボーヤンよりも気になった。
スパイラルの美しさ、足の上がりの気持ちよさは素晴らしい、本当にラインの綺麗な選手だと思う。その中で私が一番好きなのは両腕を広げ胸を張ったラインだったりする。NHK杯の時はその辺りがきちっとしてなくて本当に体調が悪いんだなと感じた。怪我には気を付けて来季も素晴らしいプログラムを滑って欲しい。
 

<来季に向けて>
NHK杯の時怪我して体調が悪いことを聞いて心配していたが後半シーズンには回復してくれてうれしかった。昨季もケガで後半棒に振ったので来季は体調万全で過ごせるように気を付けて欲しい。
4回転についてはまだ微妙という感じだが今季後半3Aとコンボのセカンドで進化が見られたのでうまく感覚がつかめたらいけるかもという期待はある。飛びすぎには気を付けて頑張って欲しい。
SPFSとも今季は割と似た印象の曲だったので来季はもう少し違った感じになることを期待する。クラッシックとドラマティックプロだったりしたらうれしい。
解くとモコモコのあの髪がどうしてきれいなお団子になるのかすごく不思議だがすっきりしてかなり好きだった。女子もだがポニーテールって顔に当たったり汗で首筋に張り付いたりしてあんまり好きじゃないので来季もぜひお団子でお願いしたい。

雑記

GWも最終日となりました。月曜日からの勤務を考えると気鬱になってきます。そしてフィギュアシーズンも終わり7月の新シーズン開始まではブログの方も放置期間に入ることでしょう。辺境ブログを見てくださった方々、色々ありがとうございました。

アイスショーのチケット今年も取り損ねました・・・手取り20万無い貧乏事務員としてはイベントごとの参加は1月に1度と決めています。5月7月8月は既に他が入り込んでいましてアイスショーが見たければ6月しかなかったのですが「良席で」という条件のもとプレミアムかSSしか狙わないため今シーズンも「お席がご用意できませんでした」のオンパレードとなりました。想定内のことですのでもう落ち込みはしませんが自分の籤運の無さを実感します。
 
ぼちぼち書いてきたシーズンまとめもあとはブラウンと羽生くらいで終わろうかなと思っています。時間的&心情的な余裕があったらいいんですけど個人的になかなかこの5月から8月っていうのは難しい時期なんですよ。
 
来季が五輪ということで選手情報も早めに発信されているようです。持ち越しについては案外早めに出てくるものですがそうじゃない人たちも新プロの情報が出てきます。一つ言えるのは来季はララランドが多そうだということ。ミュージカル物は使いやすい曲が多いし世界的な話題作なので五輪という舞台に向けてはアピールしやすいという利点もあるのでしょう。
宇野は「冬」と「トゥーランドット」、田中はFS持ち越しのSPスカリ、無良はチャーリーとスカリということが判明してます。
そしてフェルナンデスはSPは過去に使ったものを利用しFSはスペインの音楽というか登場人物がモチーフ(しかし伝統的な作品ではない)ということ。SPはチャップリンかな。FSはゾロとかドン・キホーテとか?でもドン・キホーテだと伝統的になるから違うか?まだはっきりしませんがおそらくフェルナンデスらしい作品になるのでしょう。新境地というよりは「五輪」を意識した妥当な選曲になるかと思います。なんになるにせよお披露目が楽しみです。

各地でアイスショーが開かれていますのでEXとか新作も見発表されている模様、いいな・・・見たいけどチケット取引サイト利用してまでは行きたくないので今年は諦めます。日本のアイスショーは高額化していますが世界的には集客が困難になっているようです。今は面白い興行がたくさんあるのでただ持ちプロを淡々と実行するだけでは興味をそそられないのでしょう。フィギュアスケートというスポーツもある意味での曲がり角に来ていますがショーなどについても見直す時期に来ているのかもしれません。特に引退した選手たちの受け皿になるようなイベントや興行が必要な気がします。日本という極地だけで盛り上がっても先細りするだけ。まだ集客できている日本も特定選手に便乗している実態があるので不安要素は満載です。
来年の五輪が終わると引退する選手が多く出るでしょう。新たな若い選手達がそれ以上に盛り上げることができるのか、スポーツとしてさらなる進化ができるのか、資金の必要なスポーツだけになかなか心配な現状です。