つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

GPFに向けて―――ファイナル出場者GPS FSデータ

怪我の情報のあったメドベデワとボーヤンのWDが発表されて宮原とブラウンがINしました。宮原スケアメの後アメリカで合宿と言う事だったんだけど日程的に大丈夫なんでしょうか?全日本までのスケジュールもタイトなので上手く折り合いを付けて欲しいです。
しかし女子もまた本命選手が欠場と言う事でシングル競技では今回のGPFは五輪を占うという位置づけでは無くなってしまいました。代わりにカップル競技は熾烈な争いが見られそうで非常に楽しみなんですが残念ながら地上波放送は無し。ちょっともったいないですが日本では仕方ないことです。
メドベデワもボーヤンも大事な時期ですのでしっかり直して五輪に良い演技を持ってきて欲しいです。

 

そんなわけでメンバーはネイサン・宇野・コリャダー・ヴォロノフ・リッポン・ブラウンとなりました。ほぼ米露対戦ですね。誰がとっても初タイトルどうなるでしょうか?

 

<FS得点順>
1位 宇野昌磨     197.48 スケカナ
2位 ネイサン・チェン 193.25 ロステレコム 
3位 M・コリャダー  185.27 ロステレコム
4位 S・ヴォロノフ  181.06 NHK杯
5位 宇野昌磨     179.40 フランス杯
6位 A・リッポン   177.41 スケアメ
7位 A・リッポン   177.04 NHK杯
8位 M・コリャダー  176.25 中国杯
9位 ネイサン・チェン 171.76 スケアメ
10位 J・ブラウン   170.43 スケカナ
11位 S・ヴォロノフ  169.98 スケアメ
12位 J・ブラウン   160.59 NHK杯

ぱっと見て「低い」と思ってしまったのはここ2シーズンのせいでしょう。全体的な得点としてはソチ前後に近いのではないでしょうか?
ただ気になるのは2試合目で点数が伸びているのがリッポンしかいないという点。そのリッポンもごくわずかの上がりでしかも地元開催の試合だったわけでぼんやりしたスケートファンがなんか盛り上がらないなぁと感じてしまうゆえんがここにあるとよくわかります。
今シーズンFSをほぼほぼ纏めた選手がどの位いるのか、高難度化したからという言い訳もちょっと無理があるなという感じです。
フィギュアスケートがどこに向かおうとしているのかわからなくなっている、そう感じるのは私の気のせいでしょうか?

 

<TES上位順>
1位 宇野昌磨     106.32    スケカナ
2位 ネイサン・チェン 104.85    ロステレコム
3位 M・コリャダー  100.27 -4 ロステレコム
4位 S・ヴォロノフ   94.34    NHK杯
5位 A・リッポン    91.46    NHK杯
6位 M・コリャダー   90.11 -1 中国杯
7位 宇野昌磨      90.20 -2 フランス杯
8位 A・リッポン    88.91    スケアメ
9位 S・ヴォロノフ   86.50    スケアメ
10位 ネイサン・チェン  86.68 -2 スケアメ
11位 J・ブラウン    80.77 -1 スケカナ
12位 J・ブラウン    72.73 -2 NHK杯

 

・・・どう評価したら良いのか微妙な数字の並びだ。TES100点超えが3人もいることは評価すべき処だが、コリャダーの3転倒は大きな問題だと思うし宇野とネイサンにしても基礎点が高いから出たのだろうけど良い演技だったかといえば決してそうじゃないところが非常に微妙です。ただ一つこの上位3つについて触れるべきは回転不足やキックアウトがあったにせよ抜けが無かったこととコンボを3つしっかり入れたという点が大きい。コリャダーの様に3転倒してもTESが100超えると言うPCSが伸び悩む選手ならかなり魅力的な結果の象徴的な出来事なのかもしれない。
それは試合では4回転が決められていないブラウンの数字をみてもわかる。高難度が無い&その他のジャンプにミスが出るとどうやっても点数的に及ばない。例えジャンプミスの回数が同じでも4回転がある無いの差は点数としては大きい。
そして総合では唯一2戦目が高かったリッポンも実はTESは下がっていたという結果に。そこを鑑みると2戦目の良かった選手は一人もいないというファイナルメンバー、GPFがただの負担の大きな試合にならないことを願いたい。

 

<ジャンプ獲得点数順>  
1位 宇野昌磨     86.91     スケカナ
2位 ネイサン・チェン 86.54     ロステレコム
3位 S・ヴォロノフ  76.04     NHK杯
4位 M・コリャダー  79.15 -4  ロステレコム
5位 A・リッポン   69.89     NHK杯 
6位 M・コリャダー  69.27 -1  中国杯
7位 A・リッポン   67.54     スケアメ
8位 S・ヴォロノフ  66.83     スケアメ
9位 宇野昌磨     68.69 -2  フランス杯
10位 ネイサン・チェン 66.68 -2  スケアメ
11位 J・ブラウン   57.40 -1  スケカナ
12位 J・ブラウン   50.40 -2  NHK杯

 

4回転の成功の無いブラウンを除くと宇野とネイサンが最後尾というのが何ともいいようが無い。高難度だからまだ基礎点が残って救われている部分はかなり大きいと言える。そう思うとジャンプだけでTES100超えした羽生の質の良さは際立っていると言えるかもしれない。
ブラウンについては高難度が無いことも大きいがその他のジャンプにもミスが多いことがこの順位にとどまっている大きな理由。2シーズン前は4回転無しでもっと多くのジャンプ得点を得ていたため4回転挑戦というのはその他への影響が大きすぎるのかなと思わせる結果だ。
ヴォロノフとリッポンがファイナル進出できたのは3A以上の高難度以外はしっかり飛び加点を得たと言う事が大きい。してしまったミスを限定的に留めると言う事が今は非常に大切だと言える。


<スピン獲得点数上位順>
1位 J・ブラウン   13.77 ALLLv4 スケカナ
2位 宇野昌磨     13.41 ALLLv4 フランス杯
3位 A・リッポン   13.37 Lv4-2 Lv3-1 スケアメ 
4位 A・リッポン   13.27 ALLLv4 NHK杯
5位 ネイサン・チェン 12.77 ALLLv4 スケアメ
6位 J・ブラウン   12.63 Lv4-2 Lv3-1 NHK杯
7位 M・コリャダー  12.42 ALLLv4 ロステレコム
8位 M・コリャダー  12.34 ALLLv4 中国杯
9位 S・ヴォロノフ  11.87 Lv4-2 Lv3-1 スケアメ
10位 宇野昌磨     11.84 Lv4-2 Lv3-1 スケカナ
11位 S・ヴォロノフ  10.90 Lv4-1 Lv3-2 NHK杯
12位 ネイサン・チェン 10.61 Lv4-2 Lv1-1 ロステレコム

 

リッポンとブラウンはさすが、と言いたいがブラウンはキャメルでちょくちょくレベルを落とす。一番の見せ場で稼ぎどころであるのでもったいない。
スピンが得意なイメージがありレベルも取っているのにコリャダーの点数が思ったほど高くないのは基礎点が最も低いから。今は多くの選手がFSではコンビネーションを2つにして基礎点を上げてきている。0.3でも0.5でもGOEで上げるのはなかなか難しい。スピンは得意であると思うのでジャンプだけでなくこういう部分での基礎点上げも検討してみてもいいかもしれない。
SPに比べレベルや姿勢不足で点を落とすことも増えるがそれでも一つ程度なのでスピンに関してはやはりそこまで大きな得点差にならないエレメンツであるといえる。ただ見ている分にはスピンに見ごたえのある選手とこなしてる感の強い選手がはっきり違うのでもう少しその辺が得点に反映されて欲しいなぁとは感じる。

 

<ステップ獲得点順位>
1位 J・ブラウン   9.70 NHK杯   レベル4
2位 J・ブラウン   9.60 スケカナ   レベル4
2位 M・コリャダー  8.70 ロステレコム レベル4
4位 M・コリャダー  8.50 中国杯    レベル4
5位 A・リッポン   8.30 NHK杯   レベル4
6位 宇野昌磨     8.10 フランス杯  レベル3
7位 A・リッポン   8.00 スケアメ   レベル4
8位 S・ヴォロノフ  7.80 スケアメ   レベル4
9位 ネイサン・チェン 7.70 ロステレコム レベル3
10位 宇野昌磨     7.57 スケカナ   レベル3
11位 S・ヴォロノフ  7.40 NHK杯   レベル3
11位 ネイサン・チェン 7.23 スケカナ   レベル3

 

CSの頃ステップのレベルがなかなか取れないイメージがあったがGPSを終わってみると案外とれている選手が多かった。対応できてきているということなのか?
ステップに関していえばこの6人ではブラウンが抜きんでているようだ。確かに美しいスパイラルなど見ごたえのあるステップだ。コリャダーもレベルは取れているがブラウンと比較するとコレオが弱い。時間的にも短いから仕方ないのかもしれない。
SPではステップトップだったネイサンがFSでは最下位。レベルが取れていないのも響いているがやはりジャンプ偏重で滑れていないというところが評価が伸びてこないのだろう。


<GOE獲得点順位> 
             合計    ジャンプ  スピン  ステップ    
1位 S・ヴォロノフ  11.77= 7.77+2.00+2.00 NHK杯
2位 J・ブラウン   11.03= 3.80+3.43+3.80 NHK杯
3位 A・リッポン    9.55= 4.08+3.07+2.40 NHK杯
4位 A・リッポン    9.40= 3.73+3.57+2.10 スケアメ
5位 ネイサン・チェン  8.98= 4.37+2.21+2.40 ロステレコム
6位 M・コリャダー   8.64= 3.40+2.64+2.60 中国杯
7位 S・ヴォロノフ   8.08=-0.28+2.57+1.90 スケアメ
8位 J・ブラウン    6.19=-0.08+3.57+3.70 ロステレコム
9位 宇野昌磨      5.81= 0.90+2.64+2.27 スケカナ
10位 M・コリャダー   1.03=-4.49+2.72+2.80 ロステレコム
11位 ネイサン・チェン  0.74=-3.76+2.57+1.93 スケアメ
12位 宇野昌磨      0.01=-6.00+3.21+2.80 フランス杯

何とNHK杯表彰台独占!(違)GOEについては転倒がない選手の方が有利なわけでそういう意味でヴォロノフとリッポンが上位に来ます。ただそれでもすべてのエレメンツで平均的にGOEを得る必要があります。スピンステップでそこまで高GOEというわけでもないヴォロノフが10点を超えてくるというのはやはりすごいことだなと感じます。
一方で安定しているといわれる宇野の順位の低さ。スピンやステップでヴォロノフより多くのGOEをもらっている割にはという点からしても実は安定した演技ができていないことがわかります。またプラス評価のジャンプについてもその評価に値するのか疑問を感じる部分が多い選手です。そういう意味ではこれでもまだ救われているのかもしれない。


<PCS上位順>
             計  SS TR PE CC IN
1位 宇野昌磨     91.20 9.32 9.00 8.89 9.18 9.21 フランス杯
2位 宇野昌磨     91.16 9.29 8.89 9.04 9.11 9.25 スケカナ
3位 J・ブラウン   90.66 8.86 9.04 9.04 9.07 9.32 スケカナ
4位 J・ブラウン   89.86 8.89 8.93 8.79 9.11 9.21 NHK杯
5位 M・コリャダー  89.00 9.07 8.75 8.75 9.00 8.93 ロステレコム
6位 A・リッポン   88.50 8.82 8.50 8.89 8.93 9.11 スケアメ
7位 ネイサン・チェン 88.40 8.96 8.57 8.89 8.89 8.89 ロステレコム
8位 M・コリャダー  87.14 8.89 8.57 8.54 8.82 8.75 中国杯
9位 ネイサン・チェン 87.08 8.82 8.50 8.57 8.86 8.79 スケアメ
10位 S・ヴォロノフ  86.72 8.71 8.29 8.89 8.68 8.79 NHK杯
11位 A・リッポン   85.58 8.54 8.29 8.75 8.46 8.75 NHK杯
11位 S・ヴォロノフ  83.48 8.46 7.96 8.50 8.39 8.43 スケアメ

 

PCSって本当に何なんだろうと感じる数字の並びです。例えば宇野の数字の変遷。2転倒でグダグダだったフランス杯の方が高い・・・というか滑りがスケカナより良かった?SPから全くスピード感なかったけど・・・
そしてNHK杯からスケアメに流れたリッポンとヴォロノフの数字の変化。上にも挙げたようにリッポンのTESはスケアメで下がったのにトータルが上回ったのはPCSが上がったから。確かに冒頭で肩を痛めた割に頑張っていたがむしろ振付などは簡素化していたのにTRやCC・INが1段階(0.25)以上上がるというのは妥当な評価なのか?
そしてヴォロノフも確かにジャンプの質はスケアメが劣っていたが5項目全部1段階以上下がるほど悪い演技だったのだろうか?本当に疑問だ。自国選手には甘い点数を・演技スタイルが好まない選手には厳しい評価をというようなジャッジの個人的な心情が反映されてはいないのだろうか?別の試合との比較はしないという前提があるようだがいざとなったらSBなどの点数で決まる部分がある以上ある程度のジャッジの一貫性はやはり必要だと思う。その試合だけでの判断などという甘えが現在の採点への疑問を抱かせてしまっていると思われるのでシーズンを通したジャッジの検証を行っていくべきであるとたった2試合を見ても感じる。
また各項目ごとの採点もかなり疑問だ。少なくとも宇野の滑りや動きに音楽性は感じないし、振付が曲の世界観に合っているとは思わない。バッククロスでも音楽性を表現できる選手はいるが現時点では宇野もネイサンもただジャンプを飛ぶためのスピードの確保のためにしか行っていない。それでSSが高くなったりするのはやはりおかしいだろう。
PCSについてはアバウトな文言でなく各項目で0.25点ごとの基準をしっかりと示してほしい。今のままではまるで選手ごと都合の良い順位をつけるための調整に利用されているように思われてしまう。
大きなミスをしたら満点を出さないルールができたはずなのにその辺りも曖昧のまま運用されている。今はライストがあって世界どこにいても自由に演技が見れる時代だ。映像の検証も自由に行われる。その中で説明のできない点数を出し続ける意味がどこにあるのか、ジャッジの好みや利便を感じさせる採点が生み出す危険性を真剣にとらえ競技の未来を考えて欲しいと願っている。

GPFに向けて―――ファイナル出場者GPS SPデータ

某有名ブロガーさんのところでGPS開始前にファイナル出場予想が行われていた。数多くの人が投票していたが男子シングルに関して当てた人はいただろうか?その位今シーズンの出場者は難しかったと思う。
ちなみに私の予想は羽生・フェルナンデス・チャン・ネイサン・ボーヤン・コリャダーの6人。このメンバーが来る、と言うよりもこの6人のファイナルが見たいという願望が強いものだった。五輪前だし1国一人というのも良いだろうとも思ったのだ。
結果的に半分当たった訳だがどちらかといえば当たった3人の方が意外だったと思えてしまうメンバーとなった。


ネイサン・チェン  30P 
宇野昌磨      28P 
M・コリャダー   26P 
S・ヴォロノフ   26P 
アダム・リッポン  26P 
ボーヤン・ジン   20P 
 


GPFの順位予想は後日としてまずは各選手のGPSデータを振り返ってみる。
 
<SP得点順>
1位 ネイサン・チェン 104.12 スケアメ
2位 宇野昌磨     103.62 スケカナ
3位 M・コリャダー  103.13 中国杯
4位 ネイサン・チェン 100.54 ロステレコム
5位 宇野昌磨      93.92 フランス杯
6位 ボーヤン・ジン   93.89 中国杯
7位 S・ヴォロノフ   90.06 NHK杯
8位 アダム・リッポン  89.04 スケアメ
9位 S・ヴォロノフ   87.51 スケアメ
10位 M・コリャダー   85.79 ロステレコム
11位 アダム・リッポン  84.95 NHK杯
12位 ボーヤン・ジン   77.97 スケアメ
 
100点超えの選手が3人と流石高難度時代と思う一方下半分についてはあまり変わらない気がする。リッポン以外は4回転を入れているためミスると大きな減点となってしまうためだろう。
ヴォロノフとリッポンのようにそこまで高難度で無くてもミス無く演技して安定した点数を獲得するというのもSPではまだ有りなのかもしれない。
ただ一方で2試合ともミスがあっても100点を超えるネイサンという存在を見ると基礎点というのは大きいなと感じる。多少の着氷の乱れ位なら4Lzや4Fを入れるのは有りなんだろう。

 

<TES上位順>
1位 M・コリャダー  59.63 中国杯
2位 ネイサン・チェン 59.56 スケアメ
3位 ネイサン・チェン 57.57 ロステレコム
4位 宇野昌磨     57.12 スケカナ
5位 ボーヤン・ジン  52.67 中国杯
6位 S・ヴォロノフ  49.18 NHK杯
7位 宇野昌磨     48.91 フランス杯
8位 S・ヴォロノフ  46.97 スケアメ
9位 アダム・リッポン 45.04 スケアメ
10位 アダム・リッポン 43.16 NHK杯
11位 M・コリャダー  42.19 ロステレコム
12位 ボーヤン・ジン  37.28 スケアメ
 
意外や意外TESトップはコリャダーでした。つまりはコリャダーよりもネイサンや宇野の方がPCSが高いと言う事・・・何となく釈然としない印象があります。実績という部分で弱い処はありますが単純な滑りや表現する技術という点ではこの二人は十分上回れると思うのですが・・・今後上がってくることを期待します。
4回転の無いリッポンのTESは40点代半ば、4T1本のヴォロノフが50点行くか行かないかの辺り。そう考えると2本入れるというのは大きいなぁと感じます。
ただ今シーズン今のところ60点を超えた選手は羽生とフェルナンデスの二人だけ、いかに高難度でも単独前にきちんとステップを入れられなかったりするとなかなか超えられない数字のようです。


<ジャンプBV上位順>
1位 ネイサン・チェン 40.78 4Lz-3T // 4F 3A
2位 ボーヤン・ジン  37.73 4Lz+3T 3A // 4T
3位 宇野昌磨     37.71 4F // 4T-3T 3A
4位 M・コリャダー  37.55 4Lz 4T+3T // 3A
5位 S・ヴォロノフ  29.95 4T-3T 3Lz // 3A
6位 アダム・リッポン 24.70 3F-3T 3A // 3Lz

 

構成差だけで15点以上というなんともすごい数字です。
ただネイサンの4Fもコリャダーの4Lzもステップからは飛んでいません。宇野やボーヤンも二人よりはましという程度です。しかしこれによるマイナスはほぼ無しの状態。ステップから間が空く3Lzのヴォロノフが容赦なく減点を食らうことから考えるとなんとなく釈然としません。
「ステップからの単独ジャンプ」というのが必要エレメンツなので3回転4回転にかかわらず同じ目線で評価すべきだと思うのですがそうではない辺りが微妙な採点だと感じます。

 
<ジャンプ獲得点数順>
1位 M・コリャダー  43.12    中国杯
2位 ネイサン・チェン 42.35    スケアメ
3位 ネイサン・チェン 40.46    ロステレコム
4位 宇野昌磨     40.13    スケカナ
5位 ボーヤン・ジン  36.52    中国杯
6位 S・ヴォロノフ  33.61    NHK杯
7位 S・ヴォロノフ  31.76    スケアメ
8位 宇野昌磨     31.58 -1 フランス杯
9位 アダム・リッポン 26.39    スケアメ
10位 アダム・リッポン 26.33    NHK杯
11位 M・コリャダー  24.69    ロステレコム
12位 ボーヤン・ジン  22.73    スケアメ
 
驚いたのはこの高難度時代にあって転倒は宇野の1回だけということ。GPSとはいえ勝ち抜くためには転倒は基本あってはならないということでしょう。4回転のないリッポンの2試合のジャンプ得点が近いというのも面白い。
ボーヤンの低いのは3A抜けでノーカン、コリャダーはコンボ無しのGOE-3のため。SPでは要素が少ない分抜けとコンボ無しは痛い。埋める方法がないという点で小さいミスはあってもネイサンとヴォロノフの安定はSPでは大きいといえる。


<スピン獲得点数上位順>
1位 アダム・リッポン 13.05 ALLLv4 スケアメ 
2位 M・コリャダー  12.70 ALLLv4 ロステレコム
3位 宇野昌磨     12.55 ALLLv4 スケカナ
4位 ボーヤン・ジン  11.99 ALLLv4 中国杯
5位 宇野昌磨     11.93 ALLLv4 フランス杯
6位 ネイサン・チェン 11.56 Lv4・・・2 Lv3・・・1 ロステレ
7位 ネイサン・チェン 11.51 Lv4・・・2 Lv3・・・1 スケアメ
8位 S・ヴォロノフ  11.41 ALLLv4 NHK杯
9位 S・ヴォロノフ  11.34 ALLLv4 スケアメ
10位 アダム・リッポン 11.33 Lv4・・・2 Lv3・・・1 NHK杯
11位 ボーヤン・ジン  11.27 ALLLv4 スケアメ
12位 M・コリャダー  11.21 Lv4・・・2 Lv1・・・1 中国杯
 
このメンバーではほとんどスピンで差は付かないという結果に。昨季と比較しても1位は高いですが他の上位は低め、ただし全員11点以上という下限の高い数字でもあります。
レベルもおおよそ取れる選手なのでGOE勝負という意味ではリッポンとコリャダーが有利といったところでしょうか。ただ中国杯のコリャダーがびりになっているのは一つレベル1を取ってしまったから。さすがにこのマイナスは取り戻せなかった。
男子は割とキャメルでレベルを取り損ねる印象があります。足を変えた後で必要回転数を満たせないケースが多いのかな?あとは途中で膝が落ちてしまい連続にならないケースとか・・・
いずれにせよスピンは3つある割には上位ではそこまで大きく点差がつかないエレメンツに現状なっているようです。


<ステップ獲得点順位>
1位 ネイサン・チェン 5.70 スケアメ   レベル4
2位 ネイサン・チェン 5.60 ロステレコム レベル4
2位 アダム・リッポン 5.60 スケアメ   レベル4
4位 アダム・リッポン 5.50 NHK杯   レベル4
5位 宇野昌磨     5.40 フランス杯  レベル4
6位 M・コリャダー  5.30 中国杯    レベル4
7位 M・コリャダー  4.80 ロステレコム レベル4
8位 宇野昌磨     4.44 スケカナ   レベル3
9位 S・ヴォロノフ  4.16 NHK杯   レベル3
9位 ボーヤン・ジン  4.16 中国杯    レベル3
10位 S・ヴォロノフ  3.87 スケアメ   レベル3
11位 ボーヤン・ジン  3.24 スケアメ   レベル2
 
何とびっくり、昨季は最下位の方にいたネイサンがトップ!続いてリッポンというアメリカ勢が上位を占めました。確かに今シーズンのネイサンのステップは格好いいですからレベルさえ取れれば評価が高くなるのかもしれません。
そして今のところヴォロノフとボーヤンがレベル4をとれていません。ボーヤンは怪我のせいであまり練習できていないようなので少し心配。シーズン序盤はなかなかレベル取りがしにくい印象がありましたが徐々に取れる選手が増えてきています。エレメンツが少ない分SPではこういった基礎点をしっかりとっておきたいです。

 

<GOE獲得点順位> 
             合計    ジャンプ  スピン  ステップ    
1位 宇野昌磨      9.71= 5.72+2.85+1.14 スケカナ
2位 M・コリャダー   9.68= 5.57+2.71+1.40 中国杯
3位 アダム・リッポン  6.74= 1.69+3.35+1.70 スケアメ
4位 S・ヴォロノフ   6.23= 3.66+1.71+0.86 NHK杯
5位 ネイサン・チェン  5.58= 1.57+2.21+1.80 スケアメ
6位 アダム・リッポン  5.26= 1.63+2.03+1.60 NHK杯
7位 S・ヴォロノフ   4.02= 1.81+1.64+0.57 スケアメ
8位 ネイサン・チェン  3.59=-0.32+2.21+1.70 ロステレ
9位 ボーヤン・ジン   3.35= 1.14+1.57+0.64 スケアメ
10位 M・コリャダー   2.94=-0.96+3.00+0.90 ロステレ
11位 ボーヤン・ジン   1.94=-1.21+2.29+0.86 中国杯
12位 宇野昌磨      1.30=-2.43+2.23+1.50 フランス杯
 
転倒した宇野が最下位というわかりやすい結果に。昨季は10位以下はマイナスだったことを考えると割合みんなGOEを取っているということがわかります。
今回は4T1本のヴォロノフや4回転無しのリッポンが入っていることも大きいのかもしれない。いずれにしても転倒するとGOE-3がついてしまう。そのマイナスを打ち消すことが困難ということ。ファイナルに進出する選手はその辺りがしっかりできていたということだろう。
しかし宇野のジャンプ加点5.72というのは・・・他の選手に比べても幅も高さもなく奇妙な着氷のジャンプのどこにそんな要素があるのか本当に理解できない。

 
<PCS上位順>
             計  SS TR PE CC IN
1位 宇野昌磨     46.50 9.29 9.14 9.46 9.32 9.29  スケカナ
2位 宇野昌磨     46.01 9.29 9.04 9.07 9.32 9.29  フランス杯
3位 ネイサン・チェン 44.56 8.89 8.64 9.07 9.00 8.96  スケアメ
4位 アダム・リッポン 44.00 8.64 8.50 9.00 8.82 9.04  スケアメ
5位 M・コリャダー  43.60 8.96 8.54 8.68 8.71 8.71  ロステレコム
6位 M・コリャダー  43.50 8.75 8.36 8.93 8.75 8.71  中国杯
7位 ネイサン・チェン 42.97 8.61 8.39 8.61 8.57 8.79  ロステレコム
8位 アダム・リッポン 41.79 8.32 8.11 8.43 8.36 8.57  NHK杯
9位 ボーヤン・ジン  41.22 8.32 8.07 8.29 8.29 8.25  中国杯
10位 S・ヴォロノフ  40.88 8.25 7.89 8.39 8.21 8.14  NHK杯
11位 ボーヤン・ジン  40.69 8.29 7.89 8.11 8.29 8.11  スケアメ
12位 S・ヴォロノフ  40.54 8.18 7.86 8.18 8.14 8.18  スケアメ

宇野とコリャダーの2試合の比較が面白い。特に宇野については転倒した分だけPEを下げましたという採点。ものの見事に計算しつくしましたという平均点を打ち出している。あまりにも鮮やかすぎる採点マジックですねと言いたくなります。
そしてコリャダーはコンボ抜けのジャンプミスの多い方がPCSでは高かったという結果に。地元という部分が大きいかと思いますが、地元だから高いというのも本来はおかしいはずなんですが・・・
そしてスケアメの自国上げとライバル下げの鮮やかさも見事です。ヴォロノフは確かに旧採点下の選手ですので今の採点方式に合っていない部分はあるでしょう。しかしこうあからさますぎるとただのジャッジの好みじゃね?と思われます。まずはこういう場合には8点台がつきます9点台になります的な誰が見てもわかる指標を示すべきだと思います。
この6人の2試合の数字を並べただけで妙なうさん臭さが漂ってしまうというのはいかがなものなんでしょうか?

 

スケートアメリカ少しだけ

SPは仕事のためリアル観戦できませんでした。無良・コフトゥンと状態が良くなさそうな下ばかり向いた滑りが非常に心配になりました。ボーヤンも明らかに痛めていることがわかりましたがそれでもまだ先の二人よりは滑り切る意志というものを感じました。それぞれがいろいろな事情を抱えて試合会場に立っているわけです。苦しい結果ながらもそれぞれが少しでもいい方向へ向かう手段を手にしてほしいと思います。

 

FSは朝から観戦しましたが8時に外出予定になっていたのでネイサンの演技が終わるまで見ていました。ネイサンは公式練習では好調という話を耳にしていましたが左右のブレードの色が違って見えたので何か問題があったのでしょうか?Lz以外のジャンプをすべてミスるという奇妙な結果となりました。靴の問題だけでしたらいいのですけど・・・

とりあえず今日はもうサモヒンで泣いてしまって・・・・・・そこからはおちついて見ていられなくなってしまいました。サモヒンが止めて欲しいと叫んでいるのに何故音楽は流れ続けるのか・・・・・・結果的に棄権して病院に向かったようですが骨折などの大怪我で無いことを願います。サモヒンの元気な姿を五輪で見られることをひたすら祈ります。

次の滑走が肩の脱臼に悩まされ昨シーズン手術したハン・ヤンでまた非常に心配になり、更にリッポンが4Lzで肩を痛めたのを見て心を痛めました。本当にフィギュアスケートは過酷なスポーツだと思います。

ボーヤンは両足捻挫しているという情報も耳にしました。ファイナルの切符を得たわけですがこれから国内戦もあるでしょうから決して無理はしないで欲しいです。それでも8つのジャンプエレメントを抜けなく実行したのは彼の強さを感じます。十分なケアと今後の良い対応をしてほしいです。

 

高難度化してもう数年たちます。棄権入れ替えは割と毎年あるものです。出場登録してからの棄権もないこともないですがここまで試合結果を大きく左右するシーズンはなかった気がします。男子シングル全体が嫌な雰囲気に取り巻かれている感じがします。とりあえずファイナルに出る6人の選手は日本に来たらお祓いしてもらった方がいいかも・・・名古屋なら熱田神宮かな?とにかくあと2週間、できるだけいい状態で日本に来て頂きたいです。

GPSに参加した選手の皆様お疲れさまでした。次の試合でも元気ないい演技を見られることを期待しています。怪我や不調を抱えている選手が少しでも良くなることを心の底から願っています。

 

 

最終戦を前にーーースケートアメリカ開幕前

羽生はカナダに渡ったとスケ連から発表になった。安静期間も終わり復帰に向けて着実に進んでいるのだろう。良い過程を経ることを願っている。

さてGPFにはコリャダーと宇野が確定した。残りの4枠はネイサン・ヴォロノフ・ボーヤン・リッポンのスケアメ組とブラウンの5人の中から決まりそうだ。面白いことにスケアメ組みの4名は過去GPFに1度出場したことがある選手達ばかり。出来ることなら出場経験の無いブラウンに出て欲しいが残念ながら日本の試合と相性悪いんだよ。


無良崇人
ネイサン・チェン
セルゲイ・ボロノフ
ボーヤン・ジン
アダム・リッポン
ヨリク・ヘンドリックス
ケビン・レイノルズ
ハン・ヤン
ダニエル・サモヒン
マキシム・コフトゥン
ロス・マイナー
ロマン・サドフスキー

 

ジュンファンのWDによってハン・ヤンが2戦目を獲得した。前回まずまずの演技を見せてくれたので期待している。
一方1戦目WDだったコフトゥンが今回は出場できるらしい。コリャダーもヴォロノフも頑張っている。アリエフやサマリンもよじ登ってきている。何となく五輪運が無い気もするがコフトゥンも是非枠を争ってほしいと願っている。。
そして無良、スケカナから少し時間をおいて気分を切り替えることが出来たと思う。五輪出場のためにも自分の良さを出来るだけ発揮して欲しい。

 

表彰台としてはスケアメに強いリッポンと地元の期待がかかるネイサンが有利かな。ボーヤンはどこまで滑り込みできたか気になる。昨シーズンも2戦目はだいぶ良かった。とりあえず基礎点を確保できれば表彰台には乗れると思う。そこに無良・ハン・ヤン・コフトゥン・ヴォロノフがどこまで割り込めるかが見所かなと思っています。

 

残念ながらスケアメの地上波放送はなし。中国杯でFS勝手に放映時間が変わってしまったため録画できないということがあったが放映そのものもないとは!五輪シーズンとは思えない所業です。海外で日本はフィギュアスケートが人気スポーツだなんで記事が出たこともありますがこんなことからしてもそれは間違いだと良くわかる。私の目からすると逆にどんどんスポーツとしてのフィギュア人気が下がっている気がするのだが、そういう危機意識があるのかなと不安になります。

一方で今はライストあるから別に地上波放送無くなってもいいかなーなんて思っている部分もあったりして。何というか客観的に伝えられないマスコミ報道や解説にならない解説を聞いているとそんなやさぐれたような気分になることもあるんです。ただ選手の頑張りはそれとは全く関係ないので五輪シーズンの最後のGPSぜひいい戦いが見れることを願っています。

 

フランス杯FSざっと感想

女子は前日とは打って変わって良い演技を数多く見ることが出来た。第1滑走者が良い演技をするとその流れが結構続いたりする。そういう意味ではドイツのショットさんに健闘賞をあげたい。

SPで無表情のエテリの隣で泣きそうだったザギトワがFSで大捲り。中国杯よりSPが崩れたから心配していたがやはり戦国ロシアで鍛えられた選手らしくFSで強さを見せつけた。スケートとしては結構ブチブチ切れる感じでまだまだなんだけどあそこまでジャンプを決められると「高い技術」を評価しないわけにはいかないのでしょう。PCSも順調に育っています。中国杯&フランス杯という組み合わせも良かった気がします。オズモンドに勝ちきった分対メドベデワの最有力候補に挙げられる選手になりました。後半曲が変わりテンポがアップしたところで音に合わせて飛んだり着氷したりするのは見ていて非常に気持ちいい。ついでにメダルの代わりに貰ったよくわからない星飾りも彼女が持つと似合います。あとはSPを安定させることが課題ですね。ファイナルで良い演技を見られることを期待します。

ソツコワは割と淡々としているのですが今季は結構きっちりエレメンツをこなしてくるので怖い存在です。それにしても冒頭のコンボの高さと幅の素晴らしさ!オズモンドはいかにもパワーを感じる飛び方で理解できるのですが、上背があっても華奢な彼女にあのジャンプが出来ることが凄く不思議です。ただ後半はその質も落ちてきますので厳しいジャッジに当たるとUR取られそう。衣装も素敵ですしこのまま五輪3枠目に入れるのかGPFの順位が大事になりそう。

FSは合っている三原は彼女らしい見た目ノーミスの演技を見せました。ただSPで失敗しているためかかなり慎重というか堅実に実行しています的な雰囲気が見える演技でした。第1滑走になってしまったことも不利だったかもしれませんがその後に出てきたザギトワやトゥルシンバエワがエレメンツをこなしながらもそれぞれの魅力を見せ高PCSを獲得したことに比べると物足りなさを感じてしまっても仕方ないと思います。これは選手自身やコーチがある程度意識改革を必要とする課題だと思うのでSPの変更共々もう少し今シーズンを戦っていくための手段を再検討した方が良いと思います。

そういう意味では順位を落としはしましたが白岩の方が良かった気がします。最後のジャンプで転倒してしまいましたが三原に対してかなり差があったPCSが1点未満まで縮めたことからも今回のジャッジがその辺りを評価した事がわかります。正直編曲の意図がよくわからない展覧会の絵なんですがスピード感と演技に集中した姿勢や表情といい今日の演技は今シーズンで一番良かったと思います。ただやはり全体的にジャンプが低いので回転が結構ぎりぎりに見えます。怪我の影響もあるかと思うのでもっと良いジャンプが跳べる期待はしています。後はスピンがもう少し上手くなって欲しいです。女子はレベルを取れるだけでは戦っていくことが厳しいので3つの内の一つだけでもこれは素晴らしいと高GOEを得られるスピンを作っていけると良いですね。


前日メタメタだった女子にいい演技が幾つも見られたのでこれは男子は自爆大会かと予想してしまったのが悪かったのかその通りになってしまいました。
転倒とREPと抜け祭り、結果的に4回転無しのミーシャが表彰台に上ってしまうという・・・(おそらく最初で最後のGPS表彰台がメダルじゃ無くてアクリルの星というのもかわいそうだな)
それにしても演技とプロトコルを見ると壮絶な自爆大会だったんですが意外に冷めているというのか悲壮感を感じないのは何故なんだろう?フランスだからか?それもあるかもしれないが五輪シーズンの割にそこまで周囲が盛り上がっていない感じが寂しい。今が一番話題になるはずなのに、何かフィギュアスケートを取り巻く全てで迷走しているみたいな印象を与える大会だった気がします。

 


フェルナンデスはSPが良かったのでジャンプの調子が戻ってきているのかもと期待していたのですが2転倒+REP、セカンド3T入らずと世界チャンプになる前のようなプロトコルの演技になってしまった。ただその当時はしっかり体が出来ていなくて体力が持たないという感じだったのに今はかなり絞って絞りすぎてついて行かないみたいな感じになってしまっている。年齢的な衰えというものに対して周囲が思う以上に自分がナーバスになっているみたいだ。リラックスした方がフェルナンデスの良さが出せると思うし周囲もわかっているのだろうが若手の高難度戦略に完璧にやらないといけないという意識が負担になっているのかもしれない。
前日も感じたが欧州の試合で全体的にPCSが出ている割にはフェルナンデスには発狂していない。確かにグダったのでこの数字は納得だがそういう点数の出方もまたフェルナンデスに負担になっているかもしれない。


宇野も2転倒と締まらない演技だった。今回入れてきた3Lzが完璧にeだと思ったが取られていない。エッジエラーや回転不足に甘い採点だと思っていたが!も無しというのはいかんだろう。
インフルエンザ後で調子が悪いと言う情報があったが後半の4回転については飛ぶ前から駄目だと見て取れた。その後の3Aで飛べそうなスピードを出したので気持ち的に盛り返したのかこれなら飛べるからやろうと切り替えたのか、いずれにせよ見ている側としてはあまり気持ちの良いものでは無い作為を感じてしまったことが残念。更に最後のコンビネーションスピンがカメラが動くほど移動していたのにGOE+2以上というのはいかがなものかと思う。
ロンバルディアから着実に点数を落としてきているのが日本人選手らしいといえばそうなのだろうが色々迷走していると感じさせる演技だった。シニアGPFの唯一の選手になりそうなので体調管理には気を付けてください。


そんな波乱の中3位に入ったのはミーシャ・ジー。4回転を3本4本飛ぶ選手とそう変わりない点数が出た。女子の時も感じたが欧州のジャッジは自分の世界を表現できる選手を評価する傾向にあるのだなと感じた。
ミーシャについてはこの構成を実行しミス無く演技をする限り何も言う事は無い。更にこの演技を深めて五輪に向かって欲しい。

 

この試合の回転不足判定は他の試合の1段階甘めといった感じ。URはセーフでDGがURになるといった採点になっている。そんな甘めの採点に宇野やサマリン・ヴィンセントはかなり救われた。しかしそんなサマリンも表彰台から漏れてGPFがなくなってしまった。ヴィンセントについてはPCSもかなりガタガタになってしまっているので構成を落とすことも本気で検討したほうがいい。転倒や着氷の際に足をひねっているみたいなところがいくつもあって見ていてかなり怖い。次の五輪も十分狙える年齢だけに無理はしすぎない方がいいと思う。

高難度化して転倒が増えるのは理解できるのだが演技そのものに響いてグダグダしてしまうと競技として成立しているのかと疑問を感じてしまう。だからこそ基礎点を下げてある程度歯止めをかけたいのだろうがそれ以上に拡大するGOEが更に不安をあおる。この試合だけ見ても全体的に甘目採点は理解できるもののそのGOEが本当に妥当なのかという点には首をかしげざるを得ない。せめて回転不足・エッジエラーについてはどの試合どの選手にも共通の認定にしてほしい。振り回される選手が可愛そうだ。あとは両足などの完全なミスへのGOEのばらつきの統一。プラス要件での相殺は軽度のものについては認めてもいいが打ち消してはいけないミスはあるかと思う。GOE幅を拡大するならこういう事象にはこういうGOEが確実につくという基準をしっかりと定めてからにしてほしいと改めて希望する。

眠気との闘い―――フランス杯SPざっと感想

土曜休みだったので女子シングルから男子シングルまでぶっつづけ観戦。途中でyoutubeが切れてしまったので非常に焦りました。久しぶりの長時間にペアのあたりから眠らないまでも数十秒くらい記憶がなくなる箇所がちらほら。でも上手い選手の時はそうならないんですよね。上手さの中には人を引き付ける何かも含まれているのかもしれない。長丁場だったので今回はメモを取らずに観戦。感想は男子シングル後寝て起きた後に書いています。

高難度化した男子に比べ完成度勝負になってきている女子シングル。それが崩壊と言って良いほどミスが多い試合となった。その後のアイスダンスやペアでもミスが多くこれは氷が悪いのかと心配になる位だった。しかし男子は後半グループはまずまずの演技を見ることが出来た。GPSも終盤に来て良い演技を見ることは良いことだ。FSでも是非良い演技を見せて欲しい。

採点は女子の時から全体的に回転不足とエッジエラーが甘めだった。男子もその流れだがこれまでのGPSと比較するとPCSも高めに感じる。CS等を見ても傾向として欧州の試合の方が点が伸びる。PBを出したいなら北米より欧州に出場する方が有利かもしれないが最終的に点数で競った場合を考えると差がつきすぎるのはどうかなと疑問に思う。GPFは日本になるがさてどちらの採点に近いのだろうか?

NHK杯からの連戦となった白岩は先週とは打って変わって良い滑りだったと思います。上位陣がかなりミスりましたのでクリーンな演技が光りました。ジャンプが年々低くなってきている事が気になりますし2Aは相変わらずおっかないですがそれでも良い笑顔で自分らしさをアピールできたと思います。こういう良い演技を繰り返すことと滑る際にもう少し膝下を伸ばす意識が高いとPCSももっと上がってくると思います。TESはトップでしたし良い位置で滑れますのでFSでもPBが出せるよう頑張って欲しいです。

三原はコンボが壁に近くなりすぎて途中で降りたみたいになってしまったのがもったいなかった。ただそれを除いてもやはりこのSPは駄目だろう。白岩が彼女の魅力を伝えるプロで評価を高めたのに対して合わないという点だけを強調してしまう作りになっている。三原は基本動き方や体の使い方(特に上半身)が緩い。その彼女がラテンのカチっとした動きをしようとすると型にはまり切れないだけではなく振付だからやっています感が強く漂ってしまう。それがむしろジュニア女子のような未熟な印象を与えてしまっている。五輪シーズンで評価を受けることが大事ですので柔らかさや温かみといった彼女の良さを強調するプログラムに今からでも変更したほうがいいと思う。

 

1位 ハビエル・フェルナンデス 107.86 TES60.00 PCS 47.86
点数が出たとき思ったほど伸びなかったなと思った。欧州の試合だったしPB近くは行くかと思ったのだがそこまでの発狂は無かった。
プロトコルを見てもGOEは演技からすれば妥当だと思われる数字だ。そうなるとスピンの基礎点が劣る分やはり110は難しいのだなと感じてしまう。
それにしてもスペインジャッジの自国愛は強いなぁ・・・
個人的にはフェルナンデスのチャップリンは悪くは無いけどそこまではまっているとは思いません。動きは確かにチャップリン的なんですが何となくパロディ感が漂ってしまうんですよね。オールド映画のイメージではでしたらカペラノのEXの方が雰囲気が出てますし、チャップリン感はキーガンの方が近い。動きや演技は上手いのですがそれがかえっていかにもチャップリンを演じています的な印象に受け取られるかもしれない。ショーでやったら受けそうですが評価という点ではどうかなと言う感じです。
ただステップ中の片足を曲げてくるくる回る辺りなど確かな技術が無いとあそこまで魅せることはできないだろうな感心します。

 

2位 宇野昌磨 93.92 TES 48.91 PCS 46.01 -1
演技を見たあと良くても90点出そうも無いなと思った。差は4FがDGでなかったこととコンボのセカンドでURを取られなかったことに加えPCSが2点ほど高かったためだ。まぁ回転不足は比較的甘い採点だったのでそれで救われたのかもしれないがステップでもあれだけスピードが出てないのにPCSが下がらないことが非常に不思議。
インフルエンザ後と言う事の様なので全体的に体が重そうな滑りだった。

 

3位 アレクサンドル・サマリン 91.51 TES50.98 PCS40.53
演技後のやってやったぜみたいな表情が面白かった。この高難度構成を大きなミス無く演じきったという気持ちの表れだったろう。ただTESについては速報値から7点近くダウンし90点を超える程度で落ち着いた。これは4LzでURを取られたためだが宇野の転倒と違っておそらく+GOEがついていたことからそれも無くなった事が大きかったのだろう。
一方でPCSはここまで出るかと思った。37~38位かなと思っていたので・・・宇野が46出たのも下位選手に割と出してしまったからと言う事もあるかもしれない。大柄で動きも映えるが滑りの滑らかさという点ではまだまだといった選手だ。高難度が飛べたからという点でSSを上げたり他の4項目につられてTRが上がるのは違うだろうと思う。まぁ欧州の選手だからやったぜと覇気を見せた若者に思わずご褒美をあげてしまったかもしれないが、かつてのコフトゥンのように大きな大会に来てがっくりする姿は見たくないのでその辺りもう少し上手くやって欲しいと思う。


4位 モリス・クヴィテラシヴィリ 86.98 TES48.98 PCS39.00 -1
今年最も伸びている若手では無いだろうか?相変わらず4Sと4Tの区別が難しいのだが、飛び方については言及しないルールのようなのでまぁ良いだろう。3Aとコンボは非常に良かっただけに4Tでの転倒はもったいなかった。ためが少なく綺麗な着氷の選手なので今後に期待している。上背もあって足も長いのに持て余していない感じが好ましい。スピンはしっかりレベルを取ってきている。ただキャメルはあまり上手くない。ジャンプを安定させたらキャメルの強化をお願いしたい。

 

5位 アレクセイ・ビチェンコ 86.79 TES46.29 PCS40.50
NHK杯からの連戦で心配していたがジャンプは4Tでちょっとシェイキーになった以外は非常に安定していた。ベテランなのにすごい。
演技のこなれ具合もNHK杯より良かった気がする。ステップのウキウキ楽しい感じが非常に良かった。ただしレベルは取れていない・・・この辺り多少ジレンマがある。上体の動き不足か3連を認定されていないのかそれともターンの左右が認定されていないのか、演じることを中心で良いとは思うが取れるならばせめて3は取っておきたいので改良を願いたい。
そしてPCSが40を超えた。後半3項目はあの楽しく滑るさまが評価されていると思うので自分に合ったプログラムをさらに良くしていって欲しい。

 

6位 ミーシャ・ジー 85.41 TES43.13 PCS42.28
4回転がないので80点台半ばからなかなか点数は伸ばすことができない。ただノーミスを繰り返してPCSはかなり上がってきている。
引退を考えている選手であるので構成的に無理をする必要はないし自分の世界を見せるという魅力を伝えるという意味で今の男子シングルにあって第一人者であるかもしれない。
ただ個人的にはあまりひげは好きじゃない。

 

ヴィンセントは高難度2つ回転不足+コンボ無しで点数を伸ばすことができませんでした。PCSも36となかなか厳しいシニアの壁に当たっています。高難度を1つにして演技をまとめて着実に成長する過程をとってもいいとは思うが五輪シーズンなので博打的になってしまうのでしょうか?その辺りがもったいないです。

そしてファイナルの可能性があるアーロンもジャンプミスが響いてかなり困難な状況になってしまった。ただファイナルがダメでも全米で巻き返し代表入りを獲得するためにはここでいい演技をしておきたい。ぜひ気持ちを切り替えて頑張って欲しい。

米露大戦!?―――GPFへの道

今季のGPF出場者は堅いなぁ、なんて思っていた自分を殴りたい。そうだよ、順当なGPS・GPFなんて過去無いんだよ。と言うことでおそらくは予想もしてなかったメンバーによる戦いになりそうです。

4戦終えた時点で可能性のある選手を見ていて思った。

 

これもしかしたらアメリカvsロシアになるんじゃね?


かなり低いですがアメリカ3人・ロシア3人という可能性もあるのです。それを自国選手のための招致したはずの日本で開催するとなったら何とも日本スケ連に皮肉な結果になります。女子もかなり厳しい状況ですので今頃ひやひやしているかもしれません。


とりあえず現状を纏めておきます。

 

確定 
ミハイル・コリャダー 3位ー1位 26ポイント

現在確定しているのはコリャダーのみ。次点が2-4位22ポイントのブラウンでおそらくこれを下回るポイントでの進出は無いでしょう。ブラウンもフランス・スケアメの結果によっては可能性もありますがこれまでの上位が順当に表彰台に乗ってしまうと難しくなります。

 

<現在15ポイント獲得>
ネイサン・チェン
宇野昌磨
セルゲイ・ヴォロノフ

次戦4位以上でGPF進出、5位でもいける可能性は残る。

 

<現在13ポイント獲得>
ボーヤン・ジン
アダム・リッポン

2位以上で進出確定。3位は組み合わせによって進出できない場合も有り


<現在11ポイント>
アレクサンドル・サマリン
マックス・アーロン
アレクセイ・ビチェンコ

1位で確定。2位は駄目な場合もあり。

9ポイントの選手も可能性が無い訳では無いが1位になるのは難しそうなので割愛。

 

アメリカ3人・ロシア3人になるためにはフランス杯で1位2位をアーロンとサマリンが占め宇野が5位以下になる&スケアメでリッポンが2位以上ネイサンとヴォロノフが4位以上でボーヤンが表彰台から漏れた場合。そうなるとネイサン・アーロン・リッポンとコリャダー・ヴォロノフ・サマリンの対戦になる。

 

もっともかなり難しそうな条件である。現実的に考えるとアメリカ2人・ロシア2人に日本と中国の6人になる可能性が高そうだ。

 

ただ確実そうな予想をして全く当たってこなかった今シーズンを振り返ればまだ波乱があるかもしれない。悪いことは起こって欲しくないが突然確変して上位に名乗りを上げる選手が現れるのはうれしい。そういった喜ばしい驚きを目にすることを楽しみにあと2週観戦していきたい。