つれづれなるままに・・・

日々の思ったことを綴っていきます。

GPFに向けて―――ファイナル出場者GPS FSデータ

怪我の情報のあったメドベデワとボーヤンのWDが発表されて宮原とブラウンがINしました。宮原スケアメの後アメリカで合宿と言う事だったんだけど日程的に大丈夫なんでしょうか?全日本までのスケジュールもタイトなので上手く折り合いを付けて欲しいです。
しかし女子もまた本命選手が欠場と言う事でシングル競技では今回のGPFは五輪を占うという位置づけでは無くなってしまいました。代わりにカップル競技は熾烈な争いが見られそうで非常に楽しみなんですが残念ながら地上波放送は無し。ちょっともったいないですが日本では仕方ないことです。
メドベデワもボーヤンも大事な時期ですのでしっかり直して五輪に良い演技を持ってきて欲しいです。

 

そんなわけでメンバーはネイサン・宇野・コリャダー・ヴォロノフ・リッポン・ブラウンとなりました。ほぼ米露対戦ですね。誰がとっても初タイトルどうなるでしょうか?

 

<FS得点順>
1位 宇野昌磨     197.48 スケカナ
2位 ネイサン・チェン 193.25 ロステレコム 
3位 M・コリャダー  185.27 ロステレコム
4位 S・ヴォロノフ  181.06 NHK杯
5位 宇野昌磨     179.40 フランス杯
6位 A・リッポン   177.41 スケアメ
7位 A・リッポン   177.04 NHK杯
8位 M・コリャダー  176.25 中国杯
9位 ネイサン・チェン 171.76 スケアメ
10位 J・ブラウン   170.43 スケカナ
11位 S・ヴォロノフ  169.98 スケアメ
12位 J・ブラウン   160.59 NHK杯

ぱっと見て「低い」と思ってしまったのはここ2シーズンのせいでしょう。全体的な得点としてはソチ前後に近いのではないでしょうか?
ただ気になるのは2試合目で点数が伸びているのがリッポンしかいないという点。そのリッポンもごくわずかの上がりでしかも地元開催の試合だったわけでぼんやりしたスケートファンがなんか盛り上がらないなぁと感じてしまうゆえんがここにあるとよくわかります。
今シーズンFSをほぼほぼ纏めた選手がどの位いるのか、高難度化したからという言い訳もちょっと無理があるなという感じです。
フィギュアスケートがどこに向かおうとしているのかわからなくなっている、そう感じるのは私の気のせいでしょうか?

 

<TES上位順>
1位 宇野昌磨     106.32    スケカナ
2位 ネイサン・チェン 104.85    ロステレコム
3位 M・コリャダー  100.27 -4 ロステレコム
4位 S・ヴォロノフ   94.34    NHK杯
5位 A・リッポン    91.46    NHK杯
6位 M・コリャダー   90.11 -1 中国杯
7位 宇野昌磨      90.20 -2 フランス杯
8位 A・リッポン    88.91    スケアメ
9位 S・ヴォロノフ   86.50    スケアメ
10位 ネイサン・チェン  86.68 -2 スケアメ
11位 J・ブラウン    80.77 -1 スケカナ
12位 J・ブラウン    72.73 -2 NHK杯

 

・・・どう評価したら良いのか微妙な数字の並びだ。TES100点超えが3人もいることは評価すべき処だが、コリャダーの3転倒は大きな問題だと思うし宇野とネイサンにしても基礎点が高いから出たのだろうけど良い演技だったかといえば決してそうじゃないところが非常に微妙です。ただ一つこの上位3つについて触れるべきは回転不足やキックアウトがあったにせよ抜けが無かったこととコンボを3つしっかり入れたという点が大きい。コリャダーの様に3転倒してもTESが100超えると言うPCSが伸び悩む選手ならかなり魅力的な結果の象徴的な出来事なのかもしれない。
それは試合では4回転が決められていないブラウンの数字をみてもわかる。高難度が無い&その他のジャンプにミスが出るとどうやっても点数的に及ばない。例えジャンプミスの回数が同じでも4回転がある無いの差は点数としては大きい。
そして総合では唯一2戦目が高かったリッポンも実はTESは下がっていたという結果に。そこを鑑みると2戦目の良かった選手は一人もいないというファイナルメンバー、GPFがただの負担の大きな試合にならないことを願いたい。

 

<ジャンプ獲得点数順>  
1位 宇野昌磨     86.91     スケカナ
2位 ネイサン・チェン 86.54     ロステレコム
3位 S・ヴォロノフ  76.04     NHK杯
4位 M・コリャダー  79.15 -4  ロステレコム
5位 A・リッポン   69.89     NHK杯 
6位 M・コリャダー  69.27 -1  中国杯
7位 A・リッポン   67.54     スケアメ
8位 S・ヴォロノフ  66.83     スケアメ
9位 宇野昌磨     68.69 -2  フランス杯
10位 ネイサン・チェン 66.68 -2  スケアメ
11位 J・ブラウン   57.40 -1  スケカナ
12位 J・ブラウン   50.40 -2  NHK杯

 

4回転の成功の無いブラウンを除くと宇野とネイサンが最後尾というのが何ともいいようが無い。高難度だからまだ基礎点が残って救われている部分はかなり大きいと言える。そう思うとジャンプだけでTES100超えした羽生の質の良さは際立っていると言えるかもしれない。
ブラウンについては高難度が無いことも大きいがその他のジャンプにもミスが多いことがこの順位にとどまっている大きな理由。2シーズン前は4回転無しでもっと多くのジャンプ得点を得ていたため4回転挑戦というのはその他への影響が大きすぎるのかなと思わせる結果だ。
ヴォロノフとリッポンがファイナル進出できたのは3A以上の高難度以外はしっかり飛び加点を得たと言う事が大きい。してしまったミスを限定的に留めると言う事が今は非常に大切だと言える。


<スピン獲得点数上位順>
1位 J・ブラウン   13.77 ALLLv4 スケカナ
2位 宇野昌磨     13.41 ALLLv4 フランス杯
3位 A・リッポン   13.37 Lv4-2 Lv3-1 スケアメ 
4位 A・リッポン   13.27 ALLLv4 NHK杯
5位 ネイサン・チェン 12.77 ALLLv4 スケアメ
6位 J・ブラウン   12.63 Lv4-2 Lv3-1 NHK杯
7位 M・コリャダー  12.42 ALLLv4 ロステレコム
8位 M・コリャダー  12.34 ALLLv4 中国杯
9位 S・ヴォロノフ  11.87 Lv4-2 Lv3-1 スケアメ
10位 宇野昌磨     11.84 Lv4-2 Lv3-1 スケカナ
11位 S・ヴォロノフ  10.90 Lv4-1 Lv3-2 NHK杯
12位 ネイサン・チェン 10.61 Lv4-2 Lv1-1 ロステレコム

 

リッポンとブラウンはさすが、と言いたいがブラウンはキャメルでちょくちょくレベルを落とす。一番の見せ場で稼ぎどころであるのでもったいない。
スピンが得意なイメージがありレベルも取っているのにコリャダーの点数が思ったほど高くないのは基礎点が最も低いから。今は多くの選手がFSではコンビネーションを2つにして基礎点を上げてきている。0.3でも0.5でもGOEで上げるのはなかなか難しい。スピンは得意であると思うのでジャンプだけでなくこういう部分での基礎点上げも検討してみてもいいかもしれない。
SPに比べレベルや姿勢不足で点を落とすことも増えるがそれでも一つ程度なのでスピンに関してはやはりそこまで大きな得点差にならないエレメンツであるといえる。ただ見ている分にはスピンに見ごたえのある選手とこなしてる感の強い選手がはっきり違うのでもう少しその辺が得点に反映されて欲しいなぁとは感じる。

 

<ステップ獲得点順位>
1位 J・ブラウン   9.70 NHK杯   レベル4
2位 J・ブラウン   9.60 スケカナ   レベル4
2位 M・コリャダー  8.70 ロステレコム レベル4
4位 M・コリャダー  8.50 中国杯    レベル4
5位 A・リッポン   8.30 NHK杯   レベル4
6位 宇野昌磨     8.10 フランス杯  レベル3
7位 A・リッポン   8.00 スケアメ   レベル4
8位 S・ヴォロノフ  7.80 スケアメ   レベル4
9位 ネイサン・チェン 7.70 ロステレコム レベル3
10位 宇野昌磨     7.57 スケカナ   レベル3
11位 S・ヴォロノフ  7.40 NHK杯   レベル3
11位 ネイサン・チェン 7.23 スケカナ   レベル3

 

CSの頃ステップのレベルがなかなか取れないイメージがあったがGPSを終わってみると案外とれている選手が多かった。対応できてきているということなのか?
ステップに関していえばこの6人ではブラウンが抜きんでているようだ。確かに美しいスパイラルなど見ごたえのあるステップだ。コリャダーもレベルは取れているがブラウンと比較するとコレオが弱い。時間的にも短いから仕方ないのかもしれない。
SPではステップトップだったネイサンがFSでは最下位。レベルが取れていないのも響いているがやはりジャンプ偏重で滑れていないというところが評価が伸びてこないのだろう。


<GOE獲得点順位> 
             合計    ジャンプ  スピン  ステップ    
1位 S・ヴォロノフ  11.77= 7.77+2.00+2.00 NHK杯
2位 J・ブラウン   11.03= 3.80+3.43+3.80 NHK杯
3位 A・リッポン    9.55= 4.08+3.07+2.40 NHK杯
4位 A・リッポン    9.40= 3.73+3.57+2.10 スケアメ
5位 ネイサン・チェン  8.98= 4.37+2.21+2.40 ロステレコム
6位 M・コリャダー   8.64= 3.40+2.64+2.60 中国杯
7位 S・ヴォロノフ   8.08=-0.28+2.57+1.90 スケアメ
8位 J・ブラウン    6.19=-0.08+3.57+3.70 ロステレコム
9位 宇野昌磨      5.81= 0.90+2.64+2.27 スケカナ
10位 M・コリャダー   1.03=-4.49+2.72+2.80 ロステレコム
11位 ネイサン・チェン  0.74=-3.76+2.57+1.93 スケアメ
12位 宇野昌磨      0.01=-6.00+3.21+2.80 フランス杯

何とNHK杯表彰台独占!(違)GOEについては転倒がない選手の方が有利なわけでそういう意味でヴォロノフとリッポンが上位に来ます。ただそれでもすべてのエレメンツで平均的にGOEを得る必要があります。スピンステップでそこまで高GOEというわけでもないヴォロノフが10点を超えてくるというのはやはりすごいことだなと感じます。
一方で安定しているといわれる宇野の順位の低さ。スピンやステップでヴォロノフより多くのGOEをもらっている割にはという点からしても実は安定した演技ができていないことがわかります。またプラス評価のジャンプについてもその評価に値するのか疑問を感じる部分が多い選手です。そういう意味ではこれでもまだ救われているのかもしれない。


<PCS上位順>
             計  SS TR PE CC IN
1位 宇野昌磨     91.20 9.32 9.00 8.89 9.18 9.21 フランス杯
2位 宇野昌磨     91.16 9.29 8.89 9.04 9.11 9.25 スケカナ
3位 J・ブラウン   90.66 8.86 9.04 9.04 9.07 9.32 スケカナ
4位 J・ブラウン   89.86 8.89 8.93 8.79 9.11 9.21 NHK杯
5位 M・コリャダー  89.00 9.07 8.75 8.75 9.00 8.93 ロステレコム
6位 A・リッポン   88.50 8.82 8.50 8.89 8.93 9.11 スケアメ
7位 ネイサン・チェン 88.40 8.96 8.57 8.89 8.89 8.89 ロステレコム
8位 M・コリャダー  87.14 8.89 8.57 8.54 8.82 8.75 中国杯
9位 ネイサン・チェン 87.08 8.82 8.50 8.57 8.86 8.79 スケアメ
10位 S・ヴォロノフ  86.72 8.71 8.29 8.89 8.68 8.79 NHK杯
11位 A・リッポン   85.58 8.54 8.29 8.75 8.46 8.75 NHK杯
11位 S・ヴォロノフ  83.48 8.46 7.96 8.50 8.39 8.43 スケアメ

 

PCSって本当に何なんだろうと感じる数字の並びです。例えば宇野の数字の変遷。2転倒でグダグダだったフランス杯の方が高い・・・というか滑りがスケカナより良かった?SPから全くスピード感なかったけど・・・
そしてNHK杯からスケアメに流れたリッポンとヴォロノフの数字の変化。上にも挙げたようにリッポンのTESはスケアメで下がったのにトータルが上回ったのはPCSが上がったから。確かに冒頭で肩を痛めた割に頑張っていたがむしろ振付などは簡素化していたのにTRやCC・INが1段階(0.25)以上上がるというのは妥当な評価なのか?
そしてヴォロノフも確かにジャンプの質はスケアメが劣っていたが5項目全部1段階以上下がるほど悪い演技だったのだろうか?本当に疑問だ。自国選手には甘い点数を・演技スタイルが好まない選手には厳しい評価をというようなジャッジの個人的な心情が反映されてはいないのだろうか?別の試合との比較はしないという前提があるようだがいざとなったらSBなどの点数で決まる部分がある以上ある程度のジャッジの一貫性はやはり必要だと思う。その試合だけでの判断などという甘えが現在の採点への疑問を抱かせてしまっていると思われるのでシーズンを通したジャッジの検証を行っていくべきであるとたった2試合を見ても感じる。
また各項目ごとの採点もかなり疑問だ。少なくとも宇野の滑りや動きに音楽性は感じないし、振付が曲の世界観に合っているとは思わない。バッククロスでも音楽性を表現できる選手はいるが現時点では宇野もネイサンもただジャンプを飛ぶためのスピードの確保のためにしか行っていない。それでSSが高くなったりするのはやはりおかしいだろう。
PCSについてはアバウトな文言でなく各項目で0.25点ごとの基準をしっかりと示してほしい。今のままではまるで選手ごと都合の良い順位をつけるための調整に利用されているように思われてしまう。
大きなミスをしたら満点を出さないルールができたはずなのにその辺りも曖昧のまま運用されている。今はライストがあって世界どこにいても自由に演技が見れる時代だ。映像の検証も自由に行われる。その中で説明のできない点数を出し続ける意味がどこにあるのか、ジャッジの好みや利便を感じさせる採点が生み出す危険性を真剣にとらえ競技の未来を考えて欲しいと願っている。